Japan
サイト内の現在位置を表示しています。
Vol.71 No.1 データを活用した持続可能な都市経営特集
Vol.71 No.1(2018年9月)
都市のさまざまな社会課題をデジタル変革によって解決するスマートシティへの取り組みは新しい時代を迎えようとしており、全体最適の視点で、クロスドメイン(分野横断)でのデータ利活用が主流になろうとしています。
NECは、これらを実現するためのデータ活用プラットフォーム、AI、ネットワーク、セキュリティなど高度なデジタル技術を持っています。更に、データ活用を加速させる取り組みとして、地域課題を解決し経済成長と持続可能なまちづくりに向けて、自治体、地元企業、市民を中心とした地域共創活動にも力を入れています。
本特集では、新たな方向に進み始めたスマートシティの動向と、世界及び日本国内でNECが取り組んでいるソリューション、その基盤となるシティマネジメント技術を紹介します。
データを活用した持続可能な都市経営特集
データを活用した持続可能な都市経営特集によせて
執行役員常務中俣 力
データ利活用型スマートシティの始動
執行役員受川 裕
データを活用した都市経営のビジョン
世界のデータ利活用型スマートシティ開発動向
望月 康則
持続可能な社会に向けた都市経営へのパラダイムシフト
小野田 勇司
世界に先駆けて超高齢化社会に直面している日本おいて、将来の社会保障財源不足を克服して持続可能な社会を実現することが最大の課題となっています。高度成長期から進めてきた都市の運営を見直して変革していくための都市経営が必要です。ハード主体の社会基盤からデータ活用型の柔らかい社会基盤へ抜本的にパラダイム転換しなくてはなりません。そして、この変革を進めていくためには、デジタル技術の適用に加えてアナログ施策ともいうべき地域共創も必要です。課題先進国である日本において、この困難な社会課題を解決するような新しい概念の社会基盤を創り出すことができれば、それが世界の将来に役立つものと期待されます。
データ利活用型スマートシティの実証・実装事例
データを活用した都市経営の海外事例
李 周翰・久木田 信哉
FIWAREを活用したスマートシティ向け共通プラットフォームの構築(高松市事例)
石井 和彦・山中 淳史
豊島区における「群衆行動解析技術」を活用した総合防災システム
山崎 規史・中島 哲也・山口 泰広・向 健次・鈴木 慶太・瓶子 正人
訪日外国人向けのおもてなしサービスの高度化と地域活性化への取り組み事例
田中 謙
自治体データ活用事例 ~財務・⼦育て・地域振興などのさまざまなデータ活用~
赤司 興・渡部 睦
シティマネジメント技術
データ利活用型都市経営を実現する情報プラットフォーム:FIWARE
竹内 崇・寺澤 和幸
2016年、官民データ活用推進基本法が施行され、国・自治体・民間企業が保有するデータを都市の課題解決に活用することが期待されるようになりました。しかし、これらのデータを活用しようとしても、データを流通させるための仕組みがないことが課題となっています。そこで、NECは、欧州で公共サービスを提供する自治体や企業などの業種を越えたデータ利活用やサービス連携を促すために開発・実装されたプラットフォーム・FIWAREについて、その開発に2011年から参加し、更に、都市経営やビジネスに利用できるよう、その品質を独自に検証し、セキュリティなどを強化のうえ、基盤サービスとして提供を開始しました。
FogFlow:クラウドとエッジを通じたIoTサービスのオーケストレーション
Bin CHENG・Ernoe KOVACS・北澤 敦・寺澤 和幸・羽田 亨・武内 守
スマートシティ、スマートインダストリー、コネクテッドビークル向けにさまざまなIoTサービスを提供するIoTインフラプロバイダは昨今、応答時間短縮の要請に応じて、地理的に分散したインフラを準備する必要に迫られ、それらの管理に要する手間と費用の問題に直面しています。FogFlowは、通信量及び応答時間の低減を実現するため、クラウドやエッジ上でIoTサービスの動的なオーケストレーションを実現する分散実行フレームワークです。高いスケーラビリティと信頼性を備えた自動化・最適化されたIoTサービスを提供することで、インフラプロバイダが運営コストを大幅に低減するための支援をします。また、FogFlowは、サービス開発者やシステムインテグレータが、安い開発コストと短い開発期間でIoTサービスを素早く実現するために必要なデータセントリックなプログラミングモデルと開発ツールチェーンを提供し、実際に、研究所だけではなく、NECソリューションイノベータのスマートシティプロジェクトでも実証されました。
スマートシティIoTに求められるセキュリティ要件と技術
佐々木 貴之・森田 佑亮・小林 俊輝
スマートシティは効率的な都市運営を実現する一方で、そのシステムがサイバー攻撃の対象となるリスクが存在します。本稿では、セキュアなスマートシティ実現に必要なセキュリティ要件と、それらを満たすために求められるセキュリティ機能について述べます。具体的には、スマートシティIoTの特徴である多様なデータが扱われている点と、機器が街中にも配置される点から、スマートシティIoTに特有のセキュリティ要件は、柔軟な情報流通制御と、IoT機器の保護であることを明らかにします。更に、各要件を満たすための実現技術(セキュアデータ流通基盤、IoT機器の改ざん検知)について説明します。
欧州におけるスマートシティとSociety 5.0の実現へ向けての標準化の動向
FROST, Lindsay・BAUER, Martin
日本では、Society 5.0(情報化社会)化が進んでいます。商品とサービスの生産、流通、更には消費までをもデジタル化することで、デジタル経済での価値が生まれます。サービスに必要なナレッジプロセッシング(AIや機械学習など)では、多数の異なるソースから情報を収集して組み合わせるため、メタデータ(情報の質、ソース、ライセンス、使用権、個人情報の使用権も含む)が必要です。関連する標準は多数あり、調査結果をここに記載します。ヨーロッパの標準化グループETSI ISG CIMでは、この情報交換用にNGSI-LDというオープンなAPIを開発しています。また、他の多くの標準化機関と協力して、IoTプラットフォーム、モバイルアプリ、レガシーデータベース、リンクされたオープンデータとの相互運用を促進しています。
都市評価指標標準とその活用
山田 徹・野澤 善明・本永 和広・芹沢 昌宏
地域共創
地域共創基盤としての「スマートシティたかまつ推進協議会」
大賀 暁・小林 慶佑
枠を超えた共創活動「せとうちDMO」の立ち上げ
幸田 拓也・北脇 佐知子・深澤 克之・久保 勝則・吉岡 千代・山内 亜紀
包括連携協定による地域共創
柳橋 歩・松井 亮治
「新たな行政サービス共創研究会」が創るこれからのあたりまえ
小松 正人・岩田 孝一・田中 絵美・佐藤 洋・藤川 直子・丹野 智恵子・岸 佳那
普通論文
スピン流熱電変換 ~インフォマティクスを活用した材料開発と適用領域~
石田 真彦・岩崎 悠真・澤田 亮人・桐原 明宏・白根 昌之
スピン流と呼ばれる新しい物性を活用したエネルギー変換技術が2008年に報告されてからその間、新しい材料の発見などによって変換効率は大きく改善してきました。改善の背景には、純粋に新しい材料やメカニズムの発見を積み重ねて行くだけでない、まったく異なるアプローチで材料開発のプロセスを効率化する取り組みが大きく関わっています。本稿では、材料開発分野の大規模データ取得の試みと、得られたデータを機械学習などによって解析する情報科学的アプローチを組み合わせた新しい材料開発プロセスの構築と、その活用について紹介します。また、スピン流熱電変換技術の実用化に向け、その適用分野について議論します。
NanoBridge-FPGAによるIoTデバイスの低電力・高性能化
阪本 利司・宮村 信・白 旭・杉林 直彦・多田 宗弘
NEC独自の金属原子移動型スイッチ“NanoBridge”を搭載したFPGA(NanoBridge-FPGA)は、電力効率が高く、かつ処理速度が速くなっています。更に、放射線や高温に対する耐性にも優れており、センサー端末の低電力化と高性能化を両立させる技術として、幅広い応用が期待されています。FPGAは半導体スイッチ及びメモリを用いてハードウェア(回路構成)を変更できる集積回路で、CPUと比べて電力効率が高いことが特長です。FPGAで使われる半導体スイッチ及びメモリを、省面積であるNanoBridgeで置き換えることにより、FPGAの電力効率を更に高めることができます。本稿では、NanoBridgeの動作原理、NanoBridge-FPGAの内部構造、及び市販FPGAとの性能比較について述べます。
IoTデバイス応用に向けたナノカーボンの材料開発
弓削 亮太・井原 和紀・沼田 秀昭・二瓶 史行
代表的なナノ材料であるカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノホーン集合体(CNHs)は、NECにより発見されました。CNTは、炭素の六角形の並び方の違いで金属・半導体的性質を持ち、半導体的CNTを利用した薄膜トランジスタは、エレクトロニクス領域への応用が期待されています。一方、CNHsは、高比表面積と高分散性を持ち、キャパシタ、燃料電池の電極材などのエネルギーデバイス領域への応用が期待されています。更に近年、NECにおいてカーボンナノブラシ(CNB)が発見され、CNBがCNTとCNHsの優れた特性を併せ持つことから大きな注目を集めています。本稿では、NEC のナノカーボンの材料開発について紹介します。
Hyperledger Fabric 1.0を用いた金融領域におけるブロックチェーン技術検証
鳥山 慎一・岡部 達也・田中 俊太郎・金子 雄介
NEC Information
C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017 Orchestrating a brighter world
基調講演
展示会報告
NEWS
2017年度C&C賞表彰式開催