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データを活用した持続可能な都市経営特集によせて

執行役員常務
中俣 力
NAKAMATA Chikara

多様化・グローバル化が進む現代社会では、さまざまな社会課題が複雑に絡み合い、私たちを取り巻く環境も急速に変化しています。NECは、世界が抱える社会課題をICTの活用によって解決し、人が豊かに生きる「安全」「安心」「効率」「公平」な社会の実現を目指しています。

世界的にみると、人口増加と都市化が進み、2050年には都市に住む人口の割合は70%に達すると予測されるなか、犯罪やテロなどのリスク拡大が危惧されています。また、インターネットの普及は、従来の方法では防ぐことのできない新しい犯罪を増やし、デジタルテクノロジーを活用したセーフティ対策の必要性が高まっています。

日本国内では少子高齢化が加速し、社会保障費増加や労働力減少、消費・経済力の低下が課題となります。更には維持すべきインフラの老朽化対策など地域経済への負担も拡大し、2040年までには消滅可能性都市は半数にものぼるとも予測されています。

NECは、これまでに生体認証や映像解析を含むAIやIoT、セキュリティといった先端技術を活用し、安全・安心な都市の実現に世界中で取り組んできました。例えば「群衆行動解析技術」は、災害等有事の際にリアルタイムのカメラ映像などから「人の混雑、滞留状況」をプライバシーに配慮しながら解析し、異変に対するアラートを通知し、行動予測に役立てることで、都市のマネジメントに貢献しています。

このように、今まで見えなかった実社会の出来事をデジタル・データに変換し、見える化、分析、対処へ生かすことで、社会課題解決に向け新たな価値を提供するとともに、明確なKPIの設定と可視化されたPDCAの実行により、エビデンスに基づいた都市経営が可能となります。

情報の有効活用においては、多様なデータソースとクオリティ確保、並びにプライバシーへの配慮が必要ですが、これからは防災やセーフティ、観光、交通、建設、ヘルスケア、インフラメンテナンスなど、領域や地域を跨いでデータをつなぎ合わせることが肝要です。こうしたデータの連携が新たな価値を生み出し、自治体・民間でのイノベーション促進や住民サービスの維持・向上など、地域の「産業創出」「人材育成」を中心とした都市全体の価値向上と差異化にもつながります。

NECは、これらを実現するためのデータ活用基盤、AI、ネットワーク、セキュリティなど高度なデジタル技術を持つとともに、データ活用を加速させる取り組みとして、街づくり協議会や包括連携協定など自治体、地元企業、市民を中心とした地域課題を解決し経済成長と持続可能なまちづくりに向けた地域共創活動にも力を入れています。

都市に関するさまざまな情報を活用し、人を中心につなぎ合わせることで生活をより豊かに変え、安全・安心で住みよい都市をサステナブルな形で実現していく。NECは、実世界とサイバー世界を融合させて、人を中心とした社会づくりを目指し、都市経営の発想で社会の変革に貢献します。また、NEC自身も社会価値の最大化に向けて、ESG(Environment、Social、Governance:環境・社会・ガバナンス)視点での優先テーマとKPIを策定し、SDGs(Sustainable Development Goals:国連の持続可能な開発目標)への貢献を目指します。

今回の「データを活用した持続可能な都市経営特集」では、NECが提供するデータ利活用型スマートシティの実証・実装事例、シティマネジメント技術、地域共創への取り組みについて紹介します。

本特集をぜひご一読賜りますとともに、引き続き、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。