Japan
サイト内の現在位置
伊藤忠商事株式会社様
SAP S/4HANAと連携した全社統合データ基盤を構築
次世代“の“商い”と“働き方”の実現を加速
- 業種:
-
- 卸売・小売業・飲食店
- 業務:
-
- 経理・財務
- 営業・販売
- ソリューション・サービス:
-
- AI・ビッグデータ
事例の概要
課題背景
- リアルタイムに損益を把握することができない
- 煩雑なレポート作成作業に、社員の時間が費やされていた
- デジタル変革時代に向け、業務の効率化・高度化を図る必要があった
成果
次世代の“商い”や“働き方”を推進へ
今後のデジタル変革を見据え、次世代全社統合データ基盤を整備。高度なデータ分析・活用が行えるようになったことで、意思決定の迅速化や付加価値の高い業務へのシフトなど、中期経営計画に基づく次世代の“商い”や“働き方”を推進
社内外のデータを自在に活用可能に
社内外に散在するデータを、必要な人が、欲しい時に、欲しい形で抽出できるシステムを整備。煩雑なレポート作成業務なども短時間で作成可能に
守りから攻めへのIT活用を加速
SAP HANAを中核に、全社横断のデータをリアルタイムかつ一元的に統合する環境を構築。システム更新にとどまらず、最新技術を活用することで標準化を図り、“2025年の崖”にいち早く対応
導入ソリューション
SAP S/4HANAで構築した新基幹システムとシームレスに連携するほか、外部システムも含めた全社業務データを横断的に分析・活用できる基盤を構築。これにより煩雑だったレポート作成作業を劇的に効率化させるとともに、市場や需給状況に応じた意思決定の迅速化など、経営マネジメントのリアルタイム化も視野に入れている
本事例に関するお問い合わせはこちらから
事例の詳細
導入前の背景や課題
基幹システム刷新にあわせて、DXを支える統合データ分析基盤を整備
日本を代表する総合商社として、幅広い領域で事業を展開する伊藤忠商事様。同社は中期経営計画「Brand-new Deal2020」に基づき、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進。「商い」と「働き方」の次世代化を推進し「次世代商人」を目指す活動を展開しています。
その一環として実施されたのが、基幹システムの全面刷新です。「当社基幹システムのコンセプトは1970年代から大きく変わっておらず、リアルタイムでの損益把握が難しい、新たな要求に俊敏に対応できないなど、様々な課題を抱えていました。このままでは経営リスクになりかねないため、抜本的な見直しを図ろうと考えました」と同社の浦上善一郎氏は説明します。ここでは、ITインフラのパブリック・クラウド化(伊藤忠テクノソリューションズが提供するCUVICmc2への移行)を実施すると同時に、会計システムにSAP S/4HANAを導入。各部門システムとのデータ連携も改善することで、会計処理の大幅時間短縮など様々な成果を上げています。
加えて、もう1つのポイントが、データ活用の高度化にも取り組んだ点です。「従来は各部門システムにデータが分散していたため、分析やレポート作成を行うには、複数のシステムからデータを収集した上で、集計や加工を行う必要がありました。これでは生産性も上がらずタイムリーなデータ活用も行えないため、会計データや営業取引データも含めた全社データを横断的に活用できる、全社統合データ基盤の構築に踏み切りました」と同社の小竹三郎氏は話します。
選択のポイント
新基幹システムから外部データまで、あらゆるデータを一元的に管理できる基盤を整備
SAP HANAの高速性を最大限に活かし、SAP S/4HANAとシームレスな連携を実現するBI環境である次世代全社統合データ基盤(「HANABI(ハナビ)」)。ここには、新基幹システムの会計システムの単体/連結会計データをはじめ、各事業カンパニーの経営計画/契約・商品データ、外為システムの為替予約データ、海外基幹システムの海外店会計データなど、ありとあらゆるデータがSAP HANA上のデータレイクに集約される予定です。エンドユーザは、統合化されたBIツールを利用して、これらのデータを一元的に分析・活用することが可能。プロジェクトのパートナーには、SAP HANAに関する高い技術力や手厚い支援体制を評価してNECを選定しました。
「複数システムからのデータの収集や集計作業を自動的に行えるため、月次分析などのレポートを短時間で作成できます。以前のように、各業務システムに個別にログインする必要もなく、手作業による集計ミスなどが起きる心配もありません。また、RPAと組み合わせることで、定型フォーマットへの転記も人手を介さず行えるようにしています」と小竹氏は話します。
また、データレイクに全データを集めたことで、データ活用の幅も大きく広がりました。「今後はカンパニーをまたいだ分析を行いたいといったニーズにも容易に応えられます」と浦上氏は続けます。さらに社内の業務データだけでなく、各カンパニーの事業と関わりのありそうな外部の統計データなども積極的に取り込んでいく考えです。こうした情報と組み合わせた分析を行えば、市場環境の変化に先んじて手を打つことも可能になります。
さらに、ユーザのデータ分析・活用を支援する専門組織「BICC(Business Intelligence Competency Center)」も新たに設置。分析データの一元管理や営業/管理部門のレポート作成支援、データ活用に関する啓蒙活動などを行うことで、HANABIの活用を強力に推進しています。
導入後の成果
12時間のレポート作成時間を1時間に短縮。より高度な分析も視野に
現在、HANABIを利用するユーザ数は約1,900名に達しており、各事業カンパニーの業務効率化に役立てられています。「例えば、機械カンパニーでは、自動車ビジネスの損益月次分析にHANABIを活用。本社会計システムの為替データや手元で管理している商品別の市場・担当者情報を、ボタン1つで収集・加工できるようになったことで、月次レポートの作成時間を12時間から1時間へと劇的に短縮しています」と小竹氏は話します。しかもこのケースでは、同じ部内の作業であるにもかかわらず、従来は課ごとにバラバラだった集計フォーマットを統一化することにも成功しています。こうして、分析・レポート作成業務の効率化が図れれば、社員もより付加価値の高い業務に注力できるようになります。
さらに、HANABIには、より高度なデータ活用の実現に向けても大きな期待がかけられています。「例えば当社には、商品別の採算状況を把握するための標準的な売上分析レポートがあります。これもHANABIを導入したことで分析軸が広がり、商品別だけでなく取引先別の分析なども行えるようになりました。営業部門にとって、こうした情報は翌年の計画を立てる際などに有用な材料となります」と浦上氏は語ります。また、外部データを活用した取扱商品の需要予測なども視野にいれています。取扱商品の販売実績データを外部のオープンデータを基に予測分析を行えば、どの商品を、いつごろ、どこに、どれくらい在庫すればいいかが見えてくるからです。
現在はまだ導入期であるため、まずは現場における分析業務の効率化を徹底。その後は社内全体や経営層への展開を進め、最終的には経営層への定着化・さらなる高度化を目指す考えです。「将来的には海外拠点の基幹システムもSAP S/4 HANA化し、HANABIと連携できるようにしていきたい」と浦上氏は最後に展望を語りました。
お客様プロフィール
伊藤忠商事株式会社
所在地 | 東京都港区北青山2丁目5番1号 |
---|---|
設立 | 1949年12月1日 |
資本金 | 2534億4800万円 |
年商 | 5兆5100億5900万円(2018年3月期) |
従業員数 | 4,380名 |
URL | https://www.itochu.co.jp/ |
事業概要 | 世界63カ国に約120の拠点を展開する大手総合商社。繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において、国内、輸出入及び三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など幅広い領域にわたるビジネスを手がけている。 |
この事例の製品・ソリューション
本事例に関するお問い合わせはこちらから
(2019年6月21日)