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豊田自動織機様

NECの量子コンピューティング技術でDXを加速
複雑で難解な出荷計画業務を飛躍的に効率化

業種:
  • 製造・プロセス
業務:
  • 物流
製品:
  • 統合型システム
ソリューション・サービス:
  • AI・ビッグデータ

事例のポイント

課題背景

  • 顧客のオーダーを基に製造するフォークリフトは用途に合わせてカスタマイズされるため、仕様・形状が多岐にわたる
  • 制約条件を加味した出荷計画の組み合わせは約1兆通りにもなり、最適な計画を立てることが難しかった
  • 出荷計画立案業務の習熟には時間がかかり、業務の属人化や人材育成も課題となっていた

成果

業務時間が約6分の1以下に

出荷計画の立案は社員3人で合計12時間を要していたが、量子コンピューティング技術の導入で作業が飛躍的に効率化。担当者1人が合計2時間の作業で計画立案をできるようになった

業務のスキルフリー化を実現

出荷計画立案業務を担うためには業務習熟が必要で、属人化・一部社員への依存という問題を抱えていた。現在はシステム化により短期間での人材育成が可能となり、今後は属人化からの脱却が期待できる

輸送費、CO2排出も削減

出荷計画の最適化により、出荷トラックの積載率が向上。輸送費の低減や、CO2排出量の削減にもつながり、脱炭素社会の構築に寄与している

導入ソリューション

豊田自動織機様からお聞きした業務課題(配車結果の最適化)を基にNECではその解決策を提案。その後、NECの最先端技術を活用したプロトタイプを作成して検証を行い、実現できている点/できていない点を整理しつつ、何度も改善を実施。現場適用後もチューンアップを行い、運用定着と効果の最大化を支援した

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事例の詳細

導入前の背景や課題

株式会社豊田自動織機
高浜工場
トヨタL&Fカンパニー
生産管理部 国内物流室 国内G GM
澤田 陽介氏

1兆通りもの組み合わせになるフォークリフトの出荷計画

1926年に自動織機の製造・販売会社として事業をスタートした豊田自動織機様。その後、事業領域を広げ、マーケットもグローバルに拡大。現在は世界約270拠点で生産・販売体制を構築し、フォークリフト、カーエアコン用コンプレッサー、エアジェット織機の3分野で世界販売トップシェアを誇ります。

そのフォークリフトの生産拠点の1つが同社高浜工場です。国内向けに生産した年間約4万台のフォークリフトを全国へ出荷しています。

フォークリフトは顧客のオーダーをもとに製造するため、仕様が多岐にわたります。例えば、食品・水産業であれば倉庫や市場での物品や生鮮品の輸送、製造業や建設業であれば作業現場での資材の輸送というように業種によって用途が異なるからです。

フォークの長さや本数、アタッチメントも違ってくるため、全体の大きさや重量も異なってきます。電動車の場合はバッテリーや充電器などの付属品が付く場合もあります。バッテリーだけでも数百キロあり、予備の付属品をオーダーされるケースもあります。

その出荷計画の立案は非常に複雑で難解です。トラックの最大積載重量、荷台サイズ、配送先など100項目以上に及ぶ制約条件を配慮すると、フォークリフトとトラック、配送ルートの組み合わせは約1兆通りにもなります。「車両本体と付属品も含めて、『何を、どのトラックにどう荷積みし、どういうルートで配送していくか』。それらを加味して最適解を出す必要があります」と同社の澤田 陽介氏は説明します。

紙の帳票で行っていた出荷計画業務の一部はシステム化しましたが、膨大な組み合わせの中から最適解を選択するには経験と知見が欠かせません。業務をこなせる人材は限られ、属人化が課題となっていました。

「業務に精通した社員がいないと業務が回らないという組織上のリスク解消や、毎日多くの時間をかけている出荷計画業務の効率化は長年の悲願でした」(澤田氏)。

選択のポイント

株式会社豊田自動織機
高浜工場
トヨタL&Fカンパニー
生産管理部 国内物流室 国内G
横山 衛氏

難解な組み合わせを圧倒的なスピードで解く次元の異なる技術に圧巻

繁忙期にはフォークリフトの出荷台数が1日約200台にのぼり、50車から60車のトラックが出荷にあたっています。日々、膨大な組み合わせの中から最適な出荷計画を立案し、翌日分の出荷予定を販売店や運送会社へ連絡しています。

「予定していたトラックが手配できない」などの急な条件変更に即応しなければならないこともあります。「限られた時間の中で最適な出荷計画を立案するためには『スピード』が非常に重要になります」と同社の横山 衛氏は語ります。

出荷計画業務の効率化に向け、同社は複数の技術を比較検証しました。その結果を受け、最終的に採用したのが「NEC Vector Annealing(疑似量子アニーリングマシン)」です。これはNECの量子コンピューティング技術を活用した次世代を先取りする革新的なシステム。従来技術で数十分はかかる大規模な組合せ最適化問題を次元の異なるスピードで処理します。

組合せ最適化問題に強いとされる複数の技術を比較・検証しましたが、多くの技術では実用レベルの結果を得ることができませんでした。「NECの量子コンピューティングは非常に速いスピードで最適解を導き出してくれ、我々の業務との相性が良い」と横山氏は評価します。

新しいテクノロジーには不安が付き物ですが、NECはこの点も手厚くサポートしました。「綿密なコミュニケーションを通じて業務課題の洗い出しからプロトタイプの作成、現場への適用まで伴走支援してくれました。来社いただいて現地現物での業務理解も行っていただき、専門性の高い当社業務への理解度も高いと感じられました。会話の中で業務の困りごとが何なのか、それをどう解決していくのかを一緒に議論して具体化できたプロセスを通じてパートナーとしての安心感・信頼感が醸成されていきました」と澤田氏は評価します。

PoC(※)の段階では最善の答えが出ないこともありましたが、その時の対応も非常に迅速でした。「すぐに原因を突き止め、改善策を提示して検証に臨む。歩みを止めることなく検証を進められ、難しい技術も我々が理解できるように説明してくれました」と横山氏は述べます。

アニーリングマシンはNEC Express5800と専用プログラムのみで構築可能です。「既存システムとの共存が可能である点も大きな決め手でした」と横山氏は続けます。

  • PoC(Proof of Concept):サービスや製品に用いられるアイデアや技術が実現可能かを確認する一連の検証作業

導入後の成果

出荷計画の立案時間は6分の1以下に短縮 輸送費やCO2排出も削減

こうして同社はNECのサポートのもと、量子コンピューティング技術を活用した出荷計画の最適化システムを構築しました。これにより、出荷計画業務は飛躍的に効率化しました。

出荷計画のコア業務はこれまで3人で1日12時間かけていた業務です。「それが今では、担当者1人が2時間で計画立案を終了します。つまり従来の約6分の1以下の時間で計画を立案することができるのです」と澤田氏は満足感を示します。

余力が生まれたことで、改善などほかの業務に多くの時間を割けるようになり、業務全体の生産性も大幅にアップしました。急な変更が必要になった場合も迅速に対応可能です。

業務の属人性を解消し、スキルフリー化も進みました。基礎的な知識や経験のある社員ならシステムを使って出荷計画業務を行えます。「担当者が出勤できない場合はほかの社員が代行できます。1人の担当者に頼らず、日々の出荷に必要不可欠な業務、難易度の高い業務を回していけるのです。新人育成も短期間で行えるでしょう」と横山氏は期待を込めます。

出荷計画業務の効率化はほかにもさまざまなメリットをもたらしています。積載率の向上はその1つです。最適な組み合わせを導き出すことにより「どのトラックに、何を、どう荷積みすればいいか」も最適化されています。

「効率的に積載したトラックが、最適なルートで輸送する計画が立案できているので、輸送費及びCO2排出の削減にもつながっています」と澤田氏は述べます。

期待以上の成果を創出でき、今後は海外への輸出向け出荷計画へ適用していく方針です。

NECの量子コンピューティング技術を活用し、難解で負担の大きい出荷計画業務を劇的に効率化した豊田自動織機様。このメリットを物流ソリューション事業のさらなる強化につなげ、世界の産業の発展と持続可能な社会づくりに大きく貢献していく考えです。

NEC担当者の声

NEC
量子コンピューティング統括部
シニアマネージャー
中村 暢達(ノブタツ)

研究所と連携し厚みのある体制で支援します

アニーリングマシンはNECの量子コンピューティング技術を活用した、まったく新しいシステムです。不安もあったと思いますが、豊田自動織機様は課題解決のためにチャレンジをいとわない。その社風には非常に感銘を受けました。

お客様の業務内容をヒアリングした上で、プロトタイプを作成し、デモを実施。実現できている点/できていない点を明確にしていくことで、熟練ノウハウを盛り込んだアプリケーションを開発することができました。

この活動はNECの研究所と密に連携して進めていきました。お客様と直に接するエンジニア、そのエンジニアをサポートする技術エバンジェリスト、そして高度な技術的課題は研究所がサポートする。多段の体制でテスト、開発に臨んだことが大きな成功ポイントだと思います。

これにより、難解な出荷計画業務を飛躍的に効率化するという大きな成果を創出しました。NECの量子コンピューティング技術が既に実用段階にあり、さまざまな分野に適用できることを示す好例になったと思います。

今後は豊田自動織機様の新たなチャレンジを伴走支援するとともに、さまざまな業種のお客様にこの技術の優位性をお伝えし、その成果を社会価値の創造につなげていきたいですね。

お客様プロフィール

株式会社豊田自動織機様

名称 株式会社豊田自動織機
所在地 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
設立 1926年11月18日
資本金 804億円(2024年3月31日現在)
売上高 3兆8,332億円(2024年3月期)
従業員数 7万7,824名(2024年3月31日現在)
事業内容 創業以来の事業である繊維機械を原点に、自動車と産業車両・物流ソリューションを両輪とした事業をグローバルに展開し、電動化や自動運転をはじめとする次世代製品の開発を推進。お客様ニーズを先取りする商品・サービスを継続的に提供することで、世界の産業・社会基盤を支え、社会と調和した持続的成長を目指す。
URL new windowhttps://www.toyota-shokki.co.jp/

豊田自動織機様

事例紹介動画


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(2025年3月28日)

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