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組織変更対応で苦労していませんか
コラムで学ぶデータ活用これまで、「データ活用」という視点で新見さんはさまざまなことを勉強してきました。今回は最後のテーマとして、「組織変更対応」について学びます。見逃しがちではあるものの、組織変更対応もデータの「精度」と「鮮度」を保証するうえで非常に重要テーマだとのこと。プロジェクトの中でどのように進めていくべきか。設計の初期段階から留意して進めていく必要があるようです。
「組織変更対応」についての学びポイント!
- データへの組織変更対応が不十分だと、企業のマネジメントに多くの支障をきたすリスクがある。
- 設計の初期段階から組織変更対応についても留意して進めていく。
- 組織変更対応に責任を持つ組織や担当者を明確にし、利害関係者のコンフリクトを解消しながら、全体最適で設計してシステムを構築していく。
組織変更対応の重要性
「データ活用」という視点でさまざまななことを教えていただきましたが、他に注意しなくてはいけない検討テーマはありますか。
見逃しがちではあるものの、「組織変更」の対応もデータの「精度」と「鮮度」を保証するうえで非常に重要テーマといえるかな。
D・チャンドラーJrが唱えた、「組織は戦略に従う」という言葉は聞いたことがあるだろう?多くの企業が自らの戦略を実践する手段として組織を変えるもの。IT部門では、組織変更があるとデータの洗い替え対応に追われることになるね。データへの組織変更対応が不十分だと、やはり使えないデータということでいずれ使われなくなってしまったり、業務プロセスがうまくまわらなかったり、セキュリティ不具合が発生したり、さまざまな問題に発展してしまう。つまり、企業のマネジメントに多くの支障をきたすリスクがあるということだね。
特に昨今では、ERPパッケージを活用する企業が増えている。これは、スクラッチ開発と違ってデータの洗い替えに対して制約があることに注意しておいた方がいい。そのため、ERPパッケージ導入の設計段階から、組織変更対応を考慮しておく必要があると考えている。
企業システムにおける組織変更対応パターンとアプローチ
それでは、これまで私が経験したERPパッケージの組織変更対応パターン例を示しておこう。
① システム的に組織変更対応を行わない。業績管理は手作業で対応する。
② 組織変更の対象とならない大きな単位で、組織設定を行う。
③ システムではなく、手作業によって組織変更対応を行う。
④ 組織変更の対象とならない、実組織より小さな組織構造をERPに設定する(対応工数と効果のバランスが良好な推奨パターン)。
⑤ 伝票生成時に、マスタの最新の組織コードを付加するようアドオン開発を行う(マスタ更新のみですむため、システム開発工数負荷は低い)。
⑥ データを外部システムにコピーし、外部システムで業績管理を行う。
⑦ ERP内に業績管理のためのシステムを別途アドオン開発する。
⑧ ERPの標準アプリケーションを使用して、変更対象の組織コードを更新する(一部制限あり)。
⑨ ERPの標準アプリケーションを使用して、変更対象の組織コードが入ったデータをいったん取消し、その後、新組織コードでデータの生成を行う。
⑩ ERPの標準アプリケーションを使用して、変更対象の組織コードが入ったデータの相殺データを生成した後、新たに新組織コードでデータの生成を行う。
かなりパターンがありますね。
そうだね。今回は説明しないが、それぞれのパターンごとにメリット・デメリットがあり、それを踏まえて対応をしていく必要がある。もちろん、これらのパターンでは対応できないという判断になることもありうる。その際には、コード設計まで戻って再考することになる。いずれにしても、スクラッチ開発と同様に考えてプロジェクトを進めていくと失敗するリスクがある。設計の初期段階から、組織変更対応についても留意して進めていくことが大きなポイントかな。
組織変更対応の検討体制
コードとマスタの標準化/統合化のところでも話をしたけれども、これらの設計を行うにあたって、個々の利害関係者がバラバラに検討してもなかなかなかできるものではないかな。だから、責任を持つ組織や担当者を明確にし、利害関係者のコンフリクトを解消しながら、全体最適で設計してシステムを構築していくようにしたい。組織変更対応はコードに大きく影響するところがあるので、コード設計の主管チームに組織変更対応の役割を兼任してもらうというのもひとつの方法だね。
なるほど、よくわかりました。これまで、「2025年の崖」を受けてDXを進めていくにあたり、「データ活用」が重要であることを学び、「データ活用」の視点でさまざまなテーマのお話を伺ってきました。考慮しなくていけない多くのポイントがあり、今後さらに勉強していかないと、と感じています。引き続きご指導お願いします!
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コラム制作者:
日本電気株式会社 エンタープライズ・トランスフォーメーション事業統括部
中西英介・土屋直之
本コラムの設定は架空のものであり実在の人物や団体などとは関係ありません。