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企業市民活動

ガバナンス

企業市民活動の体制

NECの企業市民活動には、次の3つの推進主体による取り組みがあります。

  • NECコーポレートコミュニケーション部コーポレートプロモーショングループ、およびNECグループ会社の企業市民活動推進部門が中心となって企画・実施する社会貢献プログラム
  • 全世界のNECグループ従業員が主体的に参加する地域貢献活動
  • 財団による各種助成

戦略

企業市民活動の方針

NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指すことをPurposeの中で謳っています。

この考え方のもと、NECは、役員から従業員まで一人ひとりがよき企業市民として、中長期的な社会課題解決に向けた企業市民活動「NEC Make-a-Difference Drive」を行っています。

同活動は、NEC 2030VISIONで掲げる、NECが目指す社会像である「環境」「社会」「暮らし」という3つの分野で、地域のみなさまやNPO・NGO、自治体、大学などとともに推進しています。これは、社会課題解決の担い手、あるいは主役は地域のみなさまであり、NECは、持続可能な地域社会があるからこそ、その地域で企業活動を行うことができるものと認識し、地域の一員として積極的に課題解決の支援をしたいと考えているからです。

こうした考えは、NECグループ行動規範「Code of Conduct」で示されている「地域社会との共生」にもつながっています。

また、このNEC Make-a-Difference Driveを、ESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ」である「多様な人材」を育成するための基盤の1つと位置づけています。NEC Make-a-Difference Driveは、役員・従業員が地域社会や社会セクターをはじめとするさまざまなステークホルダーと対話・共創し、社会価値創造型企業として取り組むべき社会課題を体感できる場や機会を提供しています。

NECは、こうした場や機会をとおしてボランティアマインドや共創マインドを学び、お客さまや社会の本質的な課題に敏感に気づける社会感度の高い人材が、社会課題を起点とした事業創造の担い手になると考えています。

NEC Make-a-Difference Driveで取り組む社会貢献プログラムや連携するNPOは次のような方針およびガイドラインで選定しています。

NEC Make-a-Difference Drive のロゴ

また、社会貢献プログラムの評価制度も整備し、定期的にプログラムの社会的インパクトなどを確認し、プログラムの改善や見直しを進めています。

リスク管理(含む機会創出)

災害・復興支援

NECグループは、米ハワイ州マウイ島の山火事および能登半島地震の被災者の方々や被災地への支援を目的として、各々500万円および1,500万円の寄付を行いました。また、世界各地のNECグループ各社において、赤十字やジャパン・プラットフォームなどを対象に、オンライン寄付やカフェテリアポイントなどを活用した従業員募金を実施しました。

また、東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故による災害からの復興・再生を目指す福島県と、デジタル変革(DX)の推進や県産品の振興などを目的とした包括連携協定を締結しました。

本協定の締結により、地域のさまざまな課題に迅速かつ的確に対応し、デジタル変革の推進や県産品の振興および風評払拭・風化防止などに向けて取り組んでいきます。

NEC社会起業塾

2002年度にNPO法人ETIC.と協働で開始した若手社会起業家育成プロジェクト「NEC社会起業塾」では、2023年度までに72団体が卒業しました。本プロジェクトは、これまでに著名な若手社会起業家を多数輩出していることから、“社会起業家の登竜門”とも評されています。

2023年度は、予約したい福祉タクシー・民間救急がすぐに見つかるサービス「mairu」を運営する株式会社mairu techと、シニアのためのテーマパーク「シルバーニア」を運営する株式会社想ひ人を支援しました。

また、「NEC社会起業塾」2003年度卒塾生であり、子ども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造に取り組む認定NPO法人フローレンスとNEC社内横断チームにて、「子ども・子育て」分野におけるデジタルを活用した見守りなどの新事業創造のためのディスカッションを進めてきました。

今後も、NEC社会起業塾卒塾生などとNECとの課題解決型事業創造に向けたディスカッションを進めていきます。

NECプロボノイニシアティブ

NECは、従業員の持つプロフェッショナルスキルをNPOや社会起業家の抱える課題解決に役立てる取り組みであるプロボノ「NECプロボノイニシアティブ」を、2010年度に国内企業として初めて開始しました。2023年度は、プロボノのパートナーである東京都や川崎市や社会起業家(NEC社会起業塾卒塾生)などと連携し た取り組みを実施しました。

川崎市との連携では、2024年の川崎市市制100周年に向けたプレ事業として、川崎市などと協働で、「かわさきSDGsパートナーまつり」をNECプロボノ倶楽部(NECグループ従業員有志から構成されるプロボノコミュニティ)の従業員チームが企画・運営しました。このイベントは、「かわさきSDGsパートナー」である企業・団体・教育機関などが、SDGsをテーマとしたさまざまな出展・出演を行うことで、市民を含めた地域社会におけるSDGsの理解啓発を図ることを目的としています。本イベントには、2日間で約4,000人が来場しました。

また、川崎市との連携では、社会福祉法人川崎市社会福祉協議会と地域共生社会の実現とSDGs達成に向けてパートナーシップ協定を締結しました。この協定では、プロボノ等の地域共創活動で得られた地域の課題・ニーズを起点に、DXによる新たな住民サービス創出のための調査研究・実証等に取り組みます。

社会起業家との連携では、NEC社会起業塾の2021年度卒塾生であり、オンラインを通じたメンタルヘルスケア事業などに取り組む東京医科歯科大学発ベンチャー・株式会社BANSO-COに対し、NECプロボノ倶楽部の従業員チームが資金調達に向けた事業計画書の策定支援を行いました。

この活動は、2022年6月に開始した株式会社BANSO-COとNECの実証事業として進めているヘルスケアサービス「NECカラダケア」との事業連携を後押ししました。

NEC Future Creationプログラム

2022年度からの高等学校の学習指導要領の改訂に合わせ、教育コンサルティング会社の(株)キャリアリンクと協働で、SDGsをテーマに、高校生を対象とした「できたらすごい」未来を創る教育プログラム「NEC Future Creationプログラム」を開発し、神奈川県・福島県の計3つの高等学校にて実施し、各学校から生徒 70人とNECの従業員47人がオンラインで参加しました。

特に実施校のうち、福島県立白河高校での授業は、福島県と締結した包括連携協定のもと行われた初の取り組みで、復興まちづくりをテーマに高校生が自らアイディアを考え、同時に、従業員も高校生との対話を通じて、そのアイディアのブラッシュアップを図りました。

アンケート回答者の全員が「SDGsに対する理解が深まった」と答えたほか、約9割が「社会課題に対する関心が高まった」と回答しました。

また、「とても有意義な時間を過ごせたと思う。東日本大震災から10年以上が経った今、新たなアプローチの引き出しを常に探していくことは、これからも大事になっていくと感じた。」との感想も寄せられました。

一方、参加した従業員にとっても、「次世代を担う高校生の今の感覚を実際に知れるところや、幅広い目線で社会を見て、さらに自社のことを普段とは違う角度から見ることが最大の価値だと思う。」という学びがありました。

従業員のボランティア活動の推進

  • カフェテリアプラン型の福利厚生制度「Will be」において、ポイントの使用方法として「ボランティア活動費の補助」「ボランティア団体や被災地に募金・寄付」の2つのメニューを用意。従業員はそのポイントを、ボランティア活動の交通費に充当する、また赤十字やUNICEFなどへ寄付することが可能
  • NECボランティア支援サービス(従業員ボランティアのデータベース)を通じて、オンラインを含むさまざまなボランティア機会を紹介。従業員の気軽かつ積極的なボランティア活動への参加を推進
  • NECグループでは、毎年12月〜1月に、従業員が参加しやすい身近な活動として、ベルマークや古本、書き損じはがきなど7品目の収集活動を推進。収集物はNPOなどを通じて被災地や途上国の支援などに役立てていただいています。

世界各地での地域コミュニティにおける取り組み

NECでは企業市民活動を通じて、世界各地で地域コミュニティにおけるI&D推進の取り組みやその地域の課題解決を目的としたコミュニティ支援活動を実施しています。

日本国内での取り組み

  1. eネットキャラバン
    • 「セーブ・ザ・チルドレン」と「国連グローバル・コンパクト」、そしてユニセフが共同で発表した「子どもの権利とビジネス原則」に記されている子どもの権利に対応した取り組みとして、インターネットの安全・安心な利用のために、「小学生(中学年)~高校生向け」および、「保護者・教職員など向け」に実施する啓発・ガイダンス「e-ネットキャラバン」を実施
    • 現在、NECグループでは全国で333人が認定講師として活動
  2. パラスポーツ推進活動
    パラスポーツの普及・発展に向けて、地域のさまざまなステークホルダーと連携しながら、「都道府県民パラスポーツ大会」「パラ大学祭」の企画や開催運営に協力、「ボッチャ」活動を支援
    特に「都道府県民パラスポーツ大会」は、地域が自主的に企画運営できるモデルが岡山県で出来、今後も同モデルの他地域への水平展開を目指す。

グローバルでの取り組み

車いすテニス
国際テニス連盟が主催する車いすテニスの大会に対して、30年以上スポンサーを継続しているほか、従業員が大会の運営をサポート

NEC Corporation India社での取り組み

NEC Corporation India社では農村地区の子どもたちや経済的に困窮する高齢者、夫をなくした女性などの支援活動を行っています。2021年には、こうした一連の継続的な活動が評価され、インドCSRリーダーシップアワードを受賞しました。

  1. Gift the warmth drive(暖かさを贈る活動)
  2. Radhakund Ashram
  3. NGO「Krish」との連携
  4. Education for underprivileged children(恵まれない子どもたちへの教育)

NEC Corporation of America社での取り組み

テキサス州の小学校、非営利団体などと連携し、学生への教育支援やホームレスへの生活支援を行っています。

  1. NPO「Catch-Up and Read」との連携
  2. Young Women's Preparatory Networkとの連携
  3. Haven for Hopeとの連携

NECプラットフォームズ タイ社での取り組み

タイの文化と仏教を守るためのカチン活動などを行っています。

各活動の詳細は下記に記載しています。

指標および目標

中長期目標/重点活動と進捗/成果/課題

中長期目標/重点活動

(対象:特に記載のない場合は日本電気(株)、期間:2021年4月〜2026年3月)
M:マテリアリティに関わる主な非財務目標を示しています。

  1. コーポレートシチズンシップの裾野の拡大(2025年度までに新規登録者数10,000人達成を目指す)
  2. コーポレートシチズンシップを起点とした社会価値創造

2023年度の目標と進捗/成果/課題と2024年度の目標

2023年度の目標

  1. コーポレートシチズンシップの裾野の拡大
    • NECボランティア支援サービス(社会感度の高い従業員のデータベース)への新規従業員登録者数の増加(1,200人増/年)
    • コーポレートシチズンシップを起点とした新事業創造、営業活動の支援、地域社会との関係づくり(包括連携協定の締結など)
  2. コーポレートシチズンシップを起点とした社会価値創造
    • 「NEC社会起業塾」や「NECプロボノイニシアチブ」などコーポレートシチズンシップを起点とした新事業創造や地域社会との連携の強化

進捗/成果/課題

  1. コーポレートシチズンシップの裾野の拡大
    • 全国の従業員が気軽にかつ積極的に参加できるように、オンラインを主体としたさまざまな機会を設けることで、NECボランティア支援サービスへの新規従業員登録者数が大幅に増加(1,338人増/年)
      累計の新規登録者数は8,721人
    • 従業員参加者数の拡大
      昨年度比3,480人増の13,000人が参加
  2. コーポレートシチズンシップを起点とした社会価値創造
    • 福島県とデジタル変革(DX)の推進や県産品の振興などを目的とした包括連携協定を締結
    • 社会福祉法人川崎市社会福祉協議会と地域共生社会の実現とSDGs達成への貢献に向けたパートナーシップを締結

2024年度の目標

  1. コーポレートシチズンシップの裾野の拡大
    • NECボランティア支援サービスへの新規従業員登録者数の増加(1,200人増/年)
    • 従業員参加者数の拡大(昨年度比増)
  2. コーポレートシチズンシップを起点とした新事業創造、営業活動の支援、地域社会との関係づくり(包括連携協定の締結など)

企業市民活動に関する指標および目標

社会貢献活動費

2023年度のNECグループ全体の企業市民活動支出額は、総額約828百万円で、「学術・研究・教育」「芸術・文化・スポーツ」などの活動を世界各地で展開しています。

企業市民活動の効果測定