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採用と定着および報酬
ガバナンス
採用と定着および報酬についての体制
NECでは「NECグループ人権方針」の中で、国際労働機関(ILO)などが示す各種ガイドラインを参照し、従業員が労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保有することを認めています。また、日本電気労働組合と締結している労働協約書において、団体交渉権を保証しているほか、賃金、労働時間その他重要な労働条件を変更する場合は、労使で協議する旨を定めており、会社との協議の場として年2回の中央労使協議会などを実施しています。
当社では、労働協約書において、管理職や特定業務を担う一部の一般従業員などを除くすべての従業員が組合員であることを定めています。
当社の労働組合は、日本電気労働組合と称し、NECグループの一部の会社の労働組合により結成されているNECグループ労働組合連合会(組合員数約44,000人/2024年3月現在)に加盟しています。
また、NECグループ労働組合連合会は、上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しています。
なお、労使関係は安定しており、特に記載すべき事項はありません。
戦略
採用と定着および報酬についての方針
NECでは、HR(Human Resources)方針のもと「会社の成長」と「個人の成長と幸せ」の実現のため、NECの事業の成長を担う人材を育成し公正な評価を行っています。そして、従業員一人ひとりが働きがいを持って高いパフォーマンスを追求する働き方を実践するとともに、働きやすい環境の整備を進めています。
公正な評価の実現に向けては、年齢、性別などにかかわらず事業への貢献に応じた評価を行う処遇制度を確立し、各種法令、労働協約、社内規程に基づいて、役割と成果に応じた適正な賃金、賞与を支給しています。
また、NECでは、柔軟な働き方の実践と過重労働の防止および休暇取得促進について、各国の関連法制度を遵守し、労使で協力して取り組んでいます。こうした処遇制度をはじめ、福利厚生制度、ワークライフ・バランスの実現、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる働き方については労使間で協議を行い、協力しながら働きがいのある職場環境の整備を進めています。特に、法定水準を上回る育児介護関連制度の整備や、他社に先駆けて2000年に導入した在宅勤務制度など、多様な人材が活躍できる環境の整備に取り組んでいます。
リスク管理(含む機会創出)
NECグループは、社会に受け入れられる製品・サービスおよびソリューションを開発するため、優秀な従業員を獲得し維持する必要があり、また、そのような優秀な従業員の獲得に際しては、豊富なリソースを有する多国籍のテクノロジー企業と競合する可能性があります。そのため、NECグループの人事部門は、中期経営計画の成長領域をはじめ、NECグループの事業を推進する部門に必要な人材を採用し、その雇用を継続することに努めており、将来の採用コストおよび人件費が増加する可能性があります。また、今後、技術および業界におけるトレンドの変化に伴い、社会感度が高く、さまざまな価値観、能力、バックグラウンドや従来とは異なる技術を有する多様な人材を採用する必要性が高まる可能性があります。具体的には、近年のデジタル化・自動化の進展に伴い、AI、機械学習、データサイエンスおよび統計分析などの技術を有する人材の需要が増していることから、これらの人材の獲得に向けた競争は今後より激しくなることが見込まれ、そのような技術を備えた人材の採用は、従来の採用方法だけではなくリファーラル(従業員紹介)やスカウトなどの多様な手法を採る必要があります。
これらの要因により、優秀な従業員が多数離職した場合、優秀な人材を新規に採用することができなかった場合、または人材の多様性が確保できなかった場合には、NECグループの事業目的の達成が困難となり、社会価値創造型企業として社会に受け入れられる製品・サービスおよびソリューションを提供できなくなることがあります。
採用
新卒採用における取り組み
当社はジョブマッチング採用による多様な人材獲得の取り組みを実施しています。
- 2024年4月入社の新卒採用から、内定時に配属部門と職種が確定する「部門×職種別採用*1」と、内定時に職種が確定する「部門フリー採用」から構成されるジョブマッチング採用を実施
- 2020年度から優秀な人材に対して学歴別初任給ではなく、本人が担う役割に応じた報酬水準で処遇する新たな仕組み(新卒ジョブ型採用)を導入
- 新卒を含む若手のトップ研究者を対象に、市場価値を考慮した報酬上限のない選択制研究職プロフェッショナル制度を導入
- *1採用時に約60のジョブディスクリプションを公開し、学生は希望する「部門×職種」を選択して受験します。合格した「部門×職種」の初期配属が確約される採用方法です。採用のうち約7割をこの「部門×職種別採用」で実施しています。
キャリア採用の拡大
当社は「適時・適所・適材」を実現すべく、人材活用の在り方を大幅に見直しています。外部人材の活用をはじめ、ビジネス戦略を即実行するためのキャリア採用を拡大(2023年度:643人)した結果、新卒採用とキャリア採用の比率は概ね1:1となり、ジョブ型人材マネジメントを加速しています。
- NEC従業員の人脈を活用した採用制度(リファーラル採用)では2023年度に106人を採用
- NECから直接お声掛けさせていただくダイレクトソーシングでは2023年度に59人を採用
キャリア採用者のインクルージョン
当社の2023年度のキャリア採用入社は、新卒入社とほぼ同数の643人です。キャリア採用者数の増加に伴い、下記のような取り組みを行っています。
- キャリア採用の面接担当者向けのインタビュートレーニングをオンラインで実施
- オンラインで入社時オリエンテーションを開催
- 配属先部門へのオンボーディングマニュアルの配付
- 入社一定期間後のアンケートによるVoE(Voice of Employee)収集
NEC以外での経験を持つキャリア採用の従業員には、他社での経験に基づいた多様な考え方や視点があります。
配属先の各職場では、既存業務への改善の提案が行われるなど、キャリア採用者が触媒となり、カルチャー変革を加速しています。
離職
当社における離職率は、退職数÷当該年度期末従業員数(期中の入社および退職も1人としてカウント)で算出しています。
また、退職には定年退職や関係会社への移籍などを含みます。
従業員の評価
個々人の成長へとつなげる評価の実施
NECでは、以前から上司・部下の双方向の対話をベースとした評価育成を行っています。全従業員が上司・部下の1on1ミーティングを通じて、事業戦略と一人ひとりの役割に応じた目標をすり合わせます。現在は、約半数の従業員が月に一度以上の1on1ミーティングを実施しています。
また、目標達成に向けて以下の取り組みを推進しています。
- 上司は業務管理と個々人の成長やキャリア形成のためのコーチングを実施
- 1on1ミーティングでは、「Code of Values(行動基準)」に基づき、成果だけではなく、行動面にもフォーカスしたフィードバックを強化
- 多面的なフィードバックを行うため、「Feedback From Others」という360度フィードバックの仕組みを導入
- 管理職に対しては、部下の主体性や創造性、モチベーションや自律的な行動を引き出し、チームのパフォーマンスを最大化するためのマネジメント強化のトレーニングを実施
本人が希望する以外に業務上の必要がある場合は、職場職種の変更、転勤、出向などの異動を行いますが、その際は、7日前までに労働組合に通知することを労働協約書に定めています。
退職給付制度と持株会制度
正規雇用者を対象に、 退職給付制度、 従業員持株会制度(当社およびNECグループ会社の一部が導入) を設けています 。 また、「同一労働同一賃金関連法」の趣旨をふまえ、 正規雇用者向け制度の一部を臨時従業員も利用できるようにしています 。
退職給付制度(退職金・年金制度)
当社の退職給付制度は、在籍中に積み立てて退職時に支給する退職金制度と、企業型確定拠出年金(DC年金)の2つの制度で構成しています。2024年4月にこれらの制度改定を行い、年収と職位に基づいて入社から退職まで年齢や勤続年数にかかわらず一貫して付与(拠出)する仕組みに改定しました。これにより、報酬制度のPay for Job / Pay for Performanceの考えに基づいた公平な処遇制度を実現しています。
また、これまでに当社が行ってきたDC年金制度の基盤整備や継続投資教育の充実化、個別相談窓口の設置などといった資産形成支援は、従業員のFinancial Well-beingを向上させ、仕事やプライベートをより一層充実させるとともに、従業員の多様なキャリア選択を阻害することなく、社内外を含めた幅広い視点で長期的なキャリア開発を行うことへのモチベーションとしても機能しています。
持株会制度
NEC従業員持株会(以下、持株会)は、取締役および執行役を除くすべての従業員を対象としています。従業員は自らの申し出により会員となることができ、毎月の給与や賞与から一定額を拠出し、自社株式を購入することができます。また、当社では拠出金に対して一定率の奨励金を設けることで、持株会の入会を促進、奨励しています。毎月一定額が積み立てられることにより、会員は中長期的な資産形成を行うことが可能です。
なお、持株会に加入するNECグループ会社従業員も同様に、会員となることが可能です。
この持株会制度は、会社経営に対する従業員の参画意識を高めることに貢献します。これらによる会社の企業価値の向上は、株価の上昇や会員の資産増加につながります。
NECの発行済株式総数(自己株式を除く)に対する持株会の持株比率は、2024年3月末現在1.41%です。
福利厚生制度
当社では2020年4月から、従業員および臨時従業員を対象にカフェテリアプラン型の新しい福利厚生制度「Will be」をスタートしました。会社が仮定したモデル型のライフプランに沿った福利厚生制度ではなく、従業員が自ら選びデザインすることができるよう一定額のポイントを付与し、それぞれがポイントの範囲内でニーズに合わせて多様なサービスを選択する福利厚生制度です。
2024年度からは、成長のための自己投資や健康増進サービスへの補助について、ポイント単価を引き上げることで、福利厚生のコンセプトであるGrowth & Well-beingの実現を強力に支援することができるようになりました。
また、育児・介護を行う従業員には、基本ポイントとは別に仕事との両立を支援するための育児ポイント・介護ポイントをそれぞれ付与しています。
このうち、介護ポイントの利用対象について、2024年度以降、従来の「要介護」「要支援」の認定を受けた家族(配偶者・親・祖父母)のみならず、障がいのある家族についても対象とするとともに、家族の範囲についても2親等以内に拡大しました。
指標および目標
採用と定着に関する指標および目標
採用に関する数値
当社の採用計画数は新卒採用で2025年度700人、キャリア採用で2024年度600人としています。
報酬に関する指標
当社において賞与は年2回、会社業績および個人評価に基づき算定し支給しています。また、若手従業員のさらなる活躍への期待に加え、採用競争力の強化の観点から新卒採用者の初任給を引き上げています。
また、新卒採用者の初任給は東京との2023年10月時点の最低賃金(時給1,113円)を上回っています。
男女の賃金の差異(女性:男性)
労働者の男女の賃金の差異は、当社をはじめ多くの連結子会社が70%台となっています。賃金の額が比較的高くなる管理職における男女の人数差が、男女の賃金の差異に影響していると考えています。なお、当社の役職別における男女の賃金の差異はおおよそ90%台半ばとなっており、格差は小さいものとなっています。