Japan
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社長メッセージ
デジタルの力で、ステークホルダーとともに、
人間性を発揮し平和に暮らせる世界を創る
NECグループは、おかげさまで創業125年を迎えました。 ICTの発展によって新しい未来を創造し続ける企業姿勢に対し、お客さまをはじめ、お取引先やパートナー、投資家、そして地域社会の皆さまから信頼を寄せていただき、NECグループの一人ひとりがステークホルダーの皆さまと共創してきた結果であると思っています。私たちのPurpose「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します」には、この歴史とDNAが刻まれており、次の5年、10年先の未来へと続く羅針盤にもなっています。
2024年1月に世界経済フォーラムが発表した「グローバルリスク報告書」によると、今後2年間のグローバルリスクのトップ5は「誤報と偽情報」「異常気象」「社会の二極化」「サイバー犯罪やサイバーセキュリティ対策の低下」そして「国家間武力紛争」でした。私も参加した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、生成AIやAIに関するセミナーや会議が数多く開催されていました。
ほんの数年もすれば、AIが社会の隅々まで行きわたる世界がやってくることでしょう。また国際情勢の不安定さは増し、AIやサイバーセキュリティといったデジタルテクノロジーをいかに扱うかが人々の平和な暮らしを大きく左右するようになるはずです。ダボス会議に限らず、私はさまざまな国際イベントでグローバルトップ企業や政府関係者と議論する機会がありますが、AIを頼りにする時代において「守るべきことは何か」「AIが格差を助長しないか」といったテーマが盛んに議論され、グローバル課題になっていると実感しています。
そのような時代に私たちのような先進技術を扱う企業は、社会の安全・安心・公平・効率を担うために、もっともっと信頼される存在になる必要があります。テクノロジーを正しく使い、誠実に行動し、責任・約束を果たしていく。すなわちインテグリティの精神を、経営層および全従業員が体現し続けることが必要です。これに関して、会社としての行動原則「Principles」や、行動基準「Code of Values」は、どれも私たちの企業姿勢を示すものです。また、こうした企業姿勢は、NECが2005年に署名した人権・労働・環境・腐敗防止の 4分野 10 原則を謳う世界的イニシアチブ「国連グローバル・コンパクト」にも沿っています。
確かな信頼をベースにグローバル課題に対処し、持続可能な社会の実現に向けて提供する。これに向けてNECグループにはテックカンパニーならではの取り組みがいくつもあります。たとえば気候変動によって激甚化する災害への対応策は様々に試みられていますが、その効果を可視化し、これにより資金調達を促進する「適応ファイナンス」を提唱しています。2023年度に始まったこの取り組みは、コンソーシアム設立など共創の枠組みを広げているところです。食料の安定供給には、AIを活用した営農支援ソリューションを住友商事株式会社様との戦略的パートナーシップ契約の締結により拡販し、将来的に事業の柱になることを期待しています。
2040年カーボンニュートラル達成に向けては、NECグループ自身のCO2排出量削減に向けた取り組みも継続しています。2023年、環境分野における企業の情報開示を評価するイギリスの非政府組織「CDP」から最高評価となる「Aリスト(気候変動、水)」入りを5年連続で果たしました。こうした環境への取り組みの成果をKPIとしたサステナビリティ・リンク・ボンドを3年連続で起債し、資本コストの低減にも活用しています。
サイバー犯罪やサイバーセキュリティに関しては、セキュリティ基盤の堅牢化や攻撃の見える化などによる迅速かつ効果的な対策を一気通貫で支援しています。これは自社におけるリスク低減で培ったセキュリティ技術・ノウハウを生かした、裏付けあるものです。セキュリティ人材やデジタル・トランスフォーメーション(DX)人材の獲得・育成も強化しており、お客さまの経営の上流から課題を洗い出して対策を提案・実行します。私たちが有するサイバーセキュリティを含むテクノロジー、ビジネスモデル、そして人材や組織を網羅した価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)をこのほど立ち上げたことを機に、さまざまな社会課題の解決にさらに貢献していきたいと思います。
これらNECグループが進める施策を強く推し進めていくためには、意思決定と実行の迅速化が肝要であり、さらに経営の客観性と透明性も求められます。NECでは2023年度、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社に移行しました。監督と執行の分離を進めつつ執行役に業務執行の大幅な権限委譲を行い、スピード感を強く意識した事業運営を進めます。
デジタルテクノロジーの発展による恩恵は、世界中の人々が公平に享受すべきものです。私たちNECグループはこれまで125年の歴史がそうであったように、ステークホルダーの皆さまから信頼を寄せていただき、共に価値を創っていくことで、誰もが人間性を発揮し平和に暮らせる社会づくりに貢献していきます。そのためにもPurpose実現への歩みを着実に進め、持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも貢献してまいります。
2024年7月
日本電気株式会社
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
森田 隆之