Japan
サイト内の現在位置
金星探査機「あかつき」は、金星周回軌道投入に成功しました!
スペシャルインタビュー
届け、あかつきの星へ
NECにおいては、2人の技術者が軸となって「あかつき」プロジェクトが推進された 。探査機開発のすべてを仕切るプロジェクト・マネージャー(以下プロマネ)と、衛星システム全体の計画管理を行うシステム・マネージャー(以下シスマネ)だ。「あかつき」では、小惑星探査機「はやぶさ」の開発で、シスマネを務めた経験を持つ大島武が、初めてプロマネを務めた。その大島が、シスマネ役として抜擢したのが、入社間もない榎原匡俊だった。(取材日 2010年10月13日)
「はやぶさ」と「あかつき」を比べてみよう。直ぐに分かる大きな違いがある。「はやぶさ」には、大きなパラボラアンテナが付いているが、「あかつき」にはパラボラアンテナはない。アンテナが付いているべき場所には、大小2つの白い円盤が付いているだけだ。この白い円盤こそ、新型の平面アンテナだ。「はやぶさ」のパラボラアンテナよりも高性能で、軽く、作りやすい。地球よりも太陽に近い金星に向かう「あかつき」は、強い太陽光にさらされる。金星の環境条件で、確実な通信を行うため、この平面アンテナが、新に開発された。担当したのは、衛星用のアンテナ開発に30年近く携わってきた尼野 理である。(取材日 2010年10月13日)
積まれた5台のカメラが、謎に満ちた金星の大気をくまなく撮影する、様々な高度から、様々なモードで。それをコントロールするために「あかつき」では新たに運用計画支援ソフトが導入された。
開発が始まった時、担当者は木村雅文(後述の囲み記事参照)と、大谷宏三の2人だった。だが経験豊富なベテランであった木村雅文は、開発途中で急逝する。「木村さんならどうしただろうか」――大谷は周囲の助けを借り、先輩木村の背中を追いながら、このシステムを完成させたのだった。(取材日 2010年11月17日)
「あかつき」は、5つの“眼”を持っている。金星を撮影するカメラを5台搭載しているのだ。各カメラは撮影に使う光の波長が異なる。IR1(波長1μm帯で撮影)、IR2(同2μm)、そして10μm帯を使う中間赤外カメラ(LIR)。これら赤外領域を撮影する3台に加えて、紫外線で撮影する紫外線イメージャ(UVI)と、可視光領域で撮影する雷・大気光カメラ(LAC)。NECはこのうち、LIRとUVI、及びカメラ全体の制御と画像処理を行うコンピュータ(DE)の開発を担当した。今回はLIRを開発した、宇宙用カメラのエキスパート樫川了一に開発秘話をさぐる。(取材日 2010年10月27日)
金星探査機「あかつき」にNECのプロジェクトマネージャとして関わる大島 武。「あかつき」のこれまでの道のり―設計、製造、打ち上げ、5年前の軌道投入時の状況、この5年間の運用―と、今回の再挑戦に向けた意気込みを聞いた。(取材日 2015年10月20日)