Japan
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イノベーション・マネジメント
ガバナンス
イノベーション・マネジメントの体制
NECは、技術開発投資の全体最適化と社外とのコラボレーション戦略の立案などを事業戦略とリンクさせて、全社視点で遂行するためにCTO(チーフテクノロジーオフィサー)を設置しています。そして、CTOのもとに、各ビジネスユニットや研究開発部門と連携して技術開発戦略を検討・推進する技術開発推進体制を構築しています。さらに、技術を早期に社外展開し、社外パートナーを取り込んでR&Dを加速する取り組みを進めています。
当社は、グローバルイノベーションビジネスユニットに、社会やお客さまが求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能を結集させています。同ユニットでは、研究開発力やエンジニアリング力、事業開発力を統合し、既成概念の枠を超えた多彩な知の新結合によって革新的なビジネス開発に取り組むことで、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。
また、社内の他ユニットと連携し、コア技術を活かして、社会価値創造に向けた事業化の加速を推進しています。
これに加えて、シリコンバレーに設立したNEC Xでは、NECの人材と技術を核に、現地エコシステムと連携したオープンイノベーションを推進し、社会にインパクトを与える新たな事業の創出を目指しています。また、異業種7社と連携した共創型R&DのジョイントベンチャーであるBIRD INITIATIVE(株)やCorporate Venture Capita(l CVC)機能、ビジネスコンテストなどを通じて、価値創造・新規事業開発を加速しています。
グローバルな社会価値創造を目指す研究開発拠点
グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を活かした研究開発を推進しています。

考え方
イノベーション・マネジメントの方針
NECグループは、2025中計のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業のつながりを一層深め、技術力をお客さまの価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。
技術開発戦略
NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、その事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。
当社は、社会実装が急速に進展する生成AIの研究、製品開発および事業開発に一貫して対応する組織として、新たにAIテクノロジーサービス部門を発足させました。これにより最先端の新技術の市場投入までのリードタイムの大幅な短縮を目指します。
強みのある技術領域への集中投資
研究開発については、世界トップクラスの技術を多く保有するAIや、セキュリティ、ネットワークの技術領域を中心に据えて取り組んでいます。具体的には、AIの技術領域では、いつでもどこでも使える安心な生体認証技術や、映像認識の強みを活かした外部環境を高度に理解するマルチモーダル基盤モデル技術のほか、業界最高レベルの高速・高精度な応答でお客さまの業務を効率化する生成AI技術などを強化しています。さらに、これらの技術を組み合わせることで、複雑な指示・要求に対して自律的に動作するエージェント型A(I Agentic AI/ AI Agent)を開発し、組織をまたいだ全体最適化の実現に貢献します。セキュリティの技術領域においても、AIの強みを活用したセキュリティ業務の自動化やAIの信頼性を高める技術開発などに取り組んでいます。ネットワークの技術領域では、アプリケーションの品質やリアルタイム性を高信頼に保つ技術などの研究開発を通じて、安全・安心・高効率なICTインフラの実現に取り組んでいます。
さらに、AIを活用した科学計算革新の取り組みとして、高速なシミュレーション技術の開発などにより、創薬プロセスを大きく変革するAI創薬という新たなビジネスチャンスに挑んでいます。
新規事業開発戦略
NECは創立以来、イノベーションを核に、社会価値の創造を通じて持続的な成長を追求してきました。2013年には新規事業開発を担う専門部署を設置し、以来、社会課題を起点とした多角的な価値創出に取り組んでいます。
その取り組みを加速するため、2025年2月に、オープンイノベーションの機能や活動を「NEC Open Innovation」として体系化しました。オープンイノベーションを成長エンジンと位置づけ、外部の技術・アイディアを自社に導入する「インバウンド型」と、NECの技術・知見を外部に提供する「アウトバウンド型」の両輪で、社会課題起点の新規事業開発を加速させています。
具体的には、サステナビリティ領域やマーケティング領域を中心に多様なステークホルダーとの共創を通じて、NECの中核事業への成長が期待できる革新的な事業の創出に注力しています。
主な取り組み
企業価値向上に資する主な研究成果の事例
オープンイノベーション
社会価値と企業価値の両立に向けて、「NEC Open Innovation」というオープンイノベーション戦略を展開しています。
これは、社内外の知見・技術・人材をつなぎ、多様な社会的課題に応える新規事業創出を継続的に生み出すための中核的な仕組みです。
「NEC Open Innovation」の機能群
- スタートアップ投資(NEC Orchestrating Future Fund 他):
スタートアップへの戦略的投資を通じて、新たなビジネス機会と社会的価値を共創 - NEC Innovation Challenge:
世界の起業家を対象としたビジネスコンテストにより、革新的アイディアの共創機会を創出 - NEC X:
NEC X, Inc.がNECの最新技術とシリコンバレーのエコシステムで起業家の立ち上がり期を支援 - 先端技術コンサルティング:
研究者が企業のDXや高度な技術活用を伴走支援し、技術の社会実装を実現
NECはこれらの包括的なオープンイノベーション機能を活かし、柔軟かつ多角的な共創を国内外で展開しています。
幅広い技術・事業領域と体系的なノウハウ・支援体制を基盤に、社会課題解決に向けた新たな事業創出を目指しています。
NEC、オープンイノベーションの加速を目的とした初のイベント「NEC Open Innovation Night~仕掛けよう、未来。」 を開催
- エコシステム型CVCファンド「NEC Orchestrating Future Fund」が、生成AIの研究開発を行うSakana AIへ出資
NECとSpreadyが新規事業開発での連携強化へ向けて資本提携
NECと東北大学病院 第7回日本オープンイノベーション大賞 日本学術会議会長賞を受賞
- ガーナの母子を救え―異業種3者の共創プロジェクトで母子の保健と栄養の改善を目指す
- NECと丸喜産業、マテリアルズ・インフォマティクスを活用し、再生プラスチックの製造を効率化する実証を実施
- NEC、生成AIと消費者購買データを活用したマーケティング施策立案ソリューション「BestMove」を提供開始
慶應義塾大学がカーネギーメロン大学と産業界と連携して、次世代のAIをリードする研究センターとして設立した「慶應AIセンター」にNECが参画(慶應義塾大学 プレスリリース2024年9月24日)
知的財産に関する取り組み
知的財産力の強化を担う知的財産&ルールメイキング部門
NECの知的財産&ルールメイキング部門では、グローバル知的財産ポートフォリオ構築・活用のため、ビジネスユニット、グループ会社に設置する知財責任者や、海外拠点に設置する知的財産センターと連携する知財戦略推進体制を構築しています。また、知的財産を活かしたビジネスチャンス拡大に向け、標準を戦略的に活用するためのルールメイキングや政策提言にも積極的に取り組むための体制を構築しています。
知的財産戦略
NECは、成長事業を牽引し、次なる成長の柱を生み出す技術領域の知的財産を注力領域として特に拡充しています。
知的財産を事業競争力や事業安定性を支え共創を促進する重要な経営資源と位置づけ、営業活動での活用や知財ライセンス活動の強化、ブランドを支える意匠権や商標権の拡充・活用等にも取り組んでいます。知的財産の活用によりイノベーションを促進し、企業価値向上に貢献しています。また、NECグループ全体の知的財産リスクマネジメントを実行するためのグローバルなガバナンス基盤を強化しています。
標準化戦略
NECは、ビジネスチャンスの拡大を図るため、先進技術を普及促進し社会受容性を高める標準化活動を戦略的に推進しています。AI/生体認証、情報通信や量子コンピューティングなどの重要な技術分野において、標準化委員会の委員長等の重要な役職を担い、国内外の標準化活動にて主導的な役割を果たしています。また、ビジネスをより強固にするため、標準化関連特許の件数増や活用を進めています。
標準化活動の推進に関する取り組み事例
2024年10月にインド ニューデリーにて開催された国際電気通信連合(ITU)電気通信標準化部門(ITU-T)の世界電気通信標準化総会(WTSA-24)において、当社の永沼 美保、山田 徹が2025~2028年の研究会期における「電気通信標準化諮問委員会(TSAG)」「第20研究委員会(SG20)」の副議長にそれぞれ就任しました。これらの標準化活動を通じてグローバルスタンダードの策定、よりオープンな標準化活動に向けた課題解消に貢献しています。
知的財産関連の政策提言活動
当社のメンバーは政府の知的財産関連のさまざまな役職に就任し、日本の知的財産政策推進に貢献しています。
- 遠藤特別顧問:政府の知的財産戦略本部有識者本部員、構想委員会委員、国際標準戦略部会座長、および日本産業標準調査会、情報通信審議会の両会長
- 和田Corporate SVP:産業構造審議会 知的財産分科会委員および特許庁政策推進懇談会メンバー
- 井本知的財産&ルールメイキング部門長:産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会委員
知的財産活動に関わる成果など
- クラリベイト・アナリティクスの「Top100グローバル・イノベーター」を14年連続で受賞(14年連続受賞はワールドワイドで16社のみ)
- Law Business Research Limitedが発行する知的財産メディアIntellectual Asset Management(IAM)より、「2024Asia IP Elite」に選出
- 社会課題解決に取り組むスタートアップ企業支援として、Piece Future社IP Hatchプログラムを通じ、これまで3社に対してそれぞれ特許1件を譲渡済みです。
また、電力データをAIで分析することで脱炭素ならびに暮らしの利便性向上に取り組むスタートアップ企業に特許1件を譲渡しました。
知的財産活動の詳細は下記を参照ください。
研究開発費用・保有特許件数
研究開発費用
研究開発費用は、注力領域へ集中的に投資するとともに、外部の研究機関との連携などにも投資しています。2024年度の研究開発費は、992億円でした。
保有特許件数
質の良い特許の比率を増加させ、活用方針に合わせて適切な量を適切な国で保有するために新たな特許獲得と定期的な棚卸を行い、特許ポートフォリオ全体の価値を向上させる活動を推進しています。
2024年度の保有特許件数はNECグループで約43,000件です。
注力領域への集中(注力領域が占める割合)
- 出願*1 全出願の45%(2017年度末)→80%(2024年度末)
- 保有*2 全保有の44%(2017年度末)→ 66%(2024年度末)
- *1NECグループの日本出願+直接PCT出願が対象
- *2NECグループの全保有特許権が対象
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 コンピューターテクノロジー 579件(1位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 デジタル通信 329件(3位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 ビジネス方法 213件(3位)
- *32023年の登録数。特許行政年次報告書2024年版より。分野は特許庁定義による。