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カゴメ、NEC、DXAS、農業ICTプラットフォーム「CropScope」初導入となる北イタリアのトマト圃場で、節水と収量増を実現

~ 商用導入のポルトガルの大規模トマト圃場でも、高収量を実現 ~

2023年11月8日
カゴメ株式会社
日本電気株式会社
DXAS Agricultural Technology LDA

カゴメ株式会社(以下 カゴメ、※1)と日本電気株式会社(以下 NEC、※2)が設立した、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社DXAS Agricultural Technology LDA(以下 DXAS、※3)は、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑(※4)に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能(※5)を組み合わせたサービスを、北イタリアとポルトガルのトマト圃場に導入しました。「CropScope」初導入となる北イタリアでは、本年4月~8月に実証試験を実施したところ、導入していない区画と比較して少ない灌漑量で収量が増加しました。また、ポルトガルの大規模トマト圃場にも同時期に商用導入し、高い収量を得ることができました。
今後3社は再現性の確認を行いながら導入地域を拡大し、世界各地で問題となっている営農現場における水不足に対応することで、より環境に優しく収益性の高い営農を促進し、持続可能な農業に貢献します。

  • (※1)
    代表取締役社長:山口聡 本社:愛知県名古屋市
  • (※2)
    取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之、本社:東京都港区
  • (※3)
    CEO:中田健吾 本社:ポルトガル・リスボン
  • (※4)
    作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ栽培手法のこと。
  • (※5)
    灌漑設備と連携し、水や肥料をリモート・自動で制御する機能のこと。

背景

昨今、農業資材やエネルギー価格の高騰に加え、干ばつをはじめとする気候変動が世界各地における農作物の栽培に大きな打撃を与えており、持続可能な農業にとって水不足対策が喫緊の課題となっています。一方で少量多頻度灌漑は、最適な土壌水分量を保ちながら水の消費量を削減する栽培手法として知られています。しかしこの手法は、変動する土壌水分量を最適に保ちながら細やかな管理が求められ、広大で複数の圃場をもつ生産者には判断が難しく、管理が複雑で作業負荷が大きいことから普及が進んでいませんでした。

今回の取り組みの概要と結果

今回、「CropScope」のサービスメニューである少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を、北イタリアとポルトガルのトマト圃場に導入しました。
「CropScope」初導入となる北イタリアでの実証試験では、「CropScope」を活用していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量で収量を約23%増加することができました。これにより、今まで「CropScope」を導入していた地域とは気候や土質などが異なる新たな栽培環境でも、良好な成果が得られることを確認しました。またポルトガルでは、熟練指導者の技術も組み合わせることで、約21ha(2圃場合計)と大規模な商用圃場で148t/haと高い収量を得ることができました。

北イタリア試験圃場における取り組みの概要と結果

  CropScope導入区画 比較対照区画
場所 イタリア・Ferrara(フェラーラ)
トマト品種 「UG11227(*)」
面積 1.25ha 1.7ha
収量 148.8t/ha 120.5t/ha

ポルトガルDXAS商用大規模圃場における取り組みの概要と結果

  CropScope導入圃場A CropScope導入圃場B
場所 ポルトガル・Vila Franca de Xira(ヴィラフランカデシーラ)
トマト品種 「UG16112(*)」を含む複数品種
面積 13ha 8ha
収量 144t/ha 161t/ha
平均収量 148t/ha
  • (*)
    「UG11227」「UG16112」は、カゴメグループUnited Genetics社の品種です。

今後の展開

カゴメとNECは今後、本取り組みから得た知見を「CropScope」の機械学習に取り込むとともに、DXASも加えた3社で実証試験を繰り返し行い再現性を高めることで、AI営農アドバイスの精度を向上し、ソリューションを強化する予定です。またDXASは、本サービスを世界の加工用トマト市場に普及させていくことで、さらなる営農支援を加速していきます。

通常の灌漑の場合、水過剰ストレスあるいは水欠乏ストレスが植物にかかってしまうが、少量多頻度灌漑では水ストレスのない状態を維持できる
zoom拡大する
自動灌漑設備の導入によって灌漑や施肥などのAI営農アドバイスを自動で制御可能となり、煩雑で手間のかかる手動での作業が不要になる
畑の環境に合わせてAIが水やりの判断をする
北イタリアの圃場(AI少量多頻度灌漑区)
ポルトガルの大規模圃場と熟練指導者(写真左手前)
トマトの果実が豊富に実った株元の様子

※参考

DXAS Agricultural Technology LDA(ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー)

所在地 ポルトガル・リスボン
事業開始時期 2022年9月
代表者 CEO 中田 健吾(カゴメ スマートアグリインキュベーション部長兼任)
事業内容 AIを活用した営農アドバイスサービス・圃場可視化サービスの販売、
マーケティング、プロモーション、顧客開拓、サービス企画
資本金 及び 株主比率 2,119,392.44ユーロ(3億円相当) カゴメ:66.6%、NEC:33.4%

DXASの核となるサービス「CropScope」のご紹介(機能と提供価値)

  AIを活用した営農アドバイスサービスと
少量多頻度灌漑に対応した自動灌漑制御
圃場可視化サービス
(センサーや衛星写真を活用)
農家
(トマト生産者)
  • 熟練者のノウハウを習得したAIにより、生産者の習熟レベルによらず収益性の高い営農を実現できる。
  • 効率的な自動灌漑により、環境に配慮した営農が行える。
  • 技術継承が容易になり、新規就農者の増加が期待できる。
  • 広大な圃場の状況を「見える化」できることで、異常を視覚的に感知しやすくなり、栽培リスクを低減できる。
営農指導者
  • 形式知化された営農支援ノウハウを利用することで、生産者への指導や営農指導者の育成に要する時間を削減できる。
  • 広大な圃場でも遠隔から異常箇所の特定ができるため、データに基づいた迅速かつ正確な指導ができる。
トマト加工会社
  • 加工トマトの安定生産により、調達リスクの低減や投入資源の最小化が期待できる。
  • 客観的なデータに基づいた全体最適な収穫調整により、生産性向上を図ることができる。

以上

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 事業開発統括部 AgriTechグループ
E-Mail:info@agri.jp.nec.com

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