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製品開発とグリーン調達

環境に配慮した製品開発

NECは、従来の製品開発である「品質」「コスト」「納期」に、「エコロジー」(資源循環・地球温暖化防止・グリーン化)と「法令遵守(コンプライアンス)」の視点を加えて、資材調達からお客さまの製品使用、廃棄までのライフサイクル全体における製品の環境負荷低減に取り組んでいます。

エコプロダクツ開発の仕組み

NECでは、自社の環境配慮基準を満たす環境配慮型製品とソフトウェア/サービスを3階層に分けて認証・登録しています。
「エコプロダクツ」は、製品の新規開発時に各事業部門で実施している製品アセスメントにおいて、基本要件となるエコプロダクツ基準をすべて満たしたことが確認された製品です。
「エコシンボル」は、「エコプロダクツ」のうち、環境先進性やさらなる環境配慮を求めたエコシンボル基準に適合した製品です。
「エコシンボルスター」は、「エコシンボル」の中でも、従来製品比でCO2排出量を50%削減するなど、環境トップランナー製品として位置づけられる厳しい基準に適合した製品です。
基準に適合した製品は製品カタログ、ホームページなどにマークを貼付しています。

エコシンボル制度zoom拡大する
エコシンボル制度

エコシンボルスター登録事例

「NEC IoTセンサーデータ可視化サービス」
~現場情報を可視化し、安全・安心な作業環境づくりをサポート~

「NEC IoTセンサーデータ可視化サービス」は、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が示す「気候変動がもたらすリスク」の1つである「熱波によるリスク*3」の改善が期待できる適応ソリューションです。この10年で猛暑日が増加し、気候変動による気温上昇が熱中症の原因の1つとなっています。特に、高温・高湿度になりやすい作業環境では、作業員の健康管理が求められます。これまで管理者が定期的に現場の温度・湿度を確認することで安全を維持していましたが、多くの時間と手間を必要とすることが課題でした。
本サービスは、作業環境の温度・湿度・照度・気圧などのデータ化に対応しています。安全・安心な作業環境づくりに必要な現場情報をネットワークなどの現場環境を変更することなく自動収集し、クラウドにより可視化することで、作業現場から離れた場所にいてもリアルタイムでアラートを受け取ることができます。アラートをとおして、現場の温度湿度の調整や水分補給など、状況に応じた適切な措置を促し、猛暑による健康被害や疾病リスクの防止や低減が期待できます。
また、収集したデータを活用することで、作業環境管理への活用や管理者の業務効率化にも効果が期待できます。

  • *3
    正式名称は、熱波による、特に都市部の脆弱な層における死亡や疾病のリスク
NEC IoTセンサーデータ可視化サービス
NEC IoTセンサーデータ可視化サービス

製品環境コンプライアンス

製品含有化学物質規制への対応

NECは、国内外の化学物質規制への適切な対応に努めています。「EU RoHS指令」や「EU REACH規則」「米国TSCA」などのグローバルな製品含有化学物質規制に対して、サプライチェーンを通じた含有化学物質情報の授受およびNEC内部での情報管理体制の強化を進めています。
製品に含有する化学物質情報の授受では、個別のルールを持ち込むのではなく、国際規格(IEC62474)に準拠した製品含有化学物質情報の伝達スキーム「chemSHERPA(ケムシェルパ)」を共通利用し、情報授受者双方の業務効率化と迅速な対応を図っています。NECは、JAMP*1が運用する「chemSHERPA-CI*2」および「chemSHERPA-AI*3」を利用するコンプライアンス体制を構築しています。

  • *1
    アーティクルマネジメント推進協議会
  • *2
    物質または調剤が含有する法令対応で必要な含有化学物質情報を記載するシート
  • *3
    成形品が含有する法令対応で必要な含有化学物質情報を記載するシート

製品含有化学物質のリスク管理

「EU RoHS 指令」への対応

「EU RoHS指令」は、電気・電子機器中の鉛、水銀、カドミウムなど10物質群の含有を原則、禁止します。NECは、お取引先に対し、納入品の「EU RoHS指令」への適合をお願いするとともに、調達部品・材料における含有禁止物質の含有状況を調査しています。これらの取り組みを通じて、NECブランド製品は、原則、「EU RoHS指令」に適合しています。

代替化の推進

NECグループでは、「EU RoHS指令」で規制されている物質への代替化は次のように進めてきました。
六価クロメート処理鋼板は、「EU RoHS指令」の施行に合わせて、三価クロメート処理・有機被膜・ニッケルメッキ・ステンレスなどへの代替化を進めました。
顔料および塗料についても、鉛・カドミウム・六価クロムが非含有の処理に変更しました。
鉛はんだは、鉛フリーはんだへの移行が完了しています。
PBDEならびにPBB含有品については、1997年から調達禁止としており、ほかの難燃剤を使用しています。
フタル酸化合物(4物質)については、含有禁止となる1年前から調達品への含有を禁止し、代替化を進めてきました。

適用除外品の管理

「EU RoHS指令」は、一定の条件のもとで禁止物質の含有を認める適用除外があります。法律が定める期間内での利用が可能である一方で、適切なタイミングでの確実な代替化が求められます。
NECは、「chemSHERPA-AI」で集めた調達品の含有化学物質情報を、「CHEMSIS(ケムシス)」と称する社内システムで一元管理し、含有禁止物質の閾値超過含有の有無、適用除外期限を自動判定することでリスク管理を行っています。あわせて、調達取引先に対しては、適用除外期限の6ヵ月前までの対応をお願いしています。

分析による確認

リスクが高いと判断された調達品に対しては、調達取引先から分析データを取得するとともに、必要に応じて個別分析による非含有の確認も行います。NECグループでは、生産工場内に蛍光X線分析装置を導入し、鉛・カドミウム・水銀・六価クロムなどの一部の含有禁止物質に対する非含有確認を行う体制を整えています。

「EU REACH規則」への対応

「EU REACH規則」には、含有を禁止する制限物質と含有を認める一方で、閾値を超える場合は、製品受領者への情報提供の義務が生じる高懸念物質(Substances of Very High Concern:SVHC)があります。
NECは、「chemSHERPA-AI」を用い、お取引先に上述の化学物質情報の提供をお願いするとともに、得られた回答を社内のグリーン調達支援システムである「CHEMSIS(ケムシス)」で一元管理することで、制限物質の有無、SVHCの超過含有の有無を管理し、欧州の販売会社と情報を共有しています。

その他のグローバル規則への対応

「EU RoHS指令」や「EU REACH規則」以外にも、NECでは米国、中国など各国で施行される製品含有化学物質規制に、国内外の関連業界団体などと連携しながら現地法人、全事業部門が一丸となって対応しています。

化学物質情報の管理

NECは、JAMPの「chemSHERPA」提供に合わせ、2017年4月に、調達品の含有化学物質情報をNECグループで一元管理するシステム「CHEMSIS」※6を立上げ、調達品の含有化学物質情報の調査機能から、調査回答の適合判定までを自動化しました。法規制の適合管理は、「EU RoHS指令」のみならず、「EU REACH規則」、「EU POPs規則」、「米国TSCA」、「化審法」など、「製品含有化学物質の調達制限基準(お取引先様向け)文書番号:環管通04-006」で定める含有禁止物質、および、条件付含有禁止物質の根拠規制をカバーしています。適合判定は「chemSHERPA-AI」の調査回答と、「CHEMSIS」で定義する各国の規制要件マスタを照合することで行います。加えて、「EU_REACH規則」が求める高懸念物質(SVHC)※7の閾値超過含有の管理も行います。
「CHEMSIS」は、NECが外販する含有化学物質管理のクラウドサービスの原型(社内仕様版)なので、同様の機能を外販ソリューション「ProChemist/AS」として提供することができます。

上述の通り、「CHEMSIS」が調達品のコンプライアンス管理を担い、NEC製品のコンプライアンス管理は全社統合PDM※8が担います。
CHEMSISが付与する調達品のコンプライアンス判定の結果は、逐次、統合PDMにデータ連携され、設計BOM※9の環境情報に紐付けられます。この情報をBOMで集計することで、NEC製品のコンプライアンス状況が可視化されます。

  • ※6
    調達品に含有する規制物質情報を一元管理する社内システム
  • ※7
    SVHC : Substances of Very High Concern
  • ※8
    PDM : Product Data Management
  • ※9
    BOM : Bill Of Materials

サプライチェーンにおける環境活動

NECでは、製品のライフサイクル全体における環境負荷低減を目指しています。調達取引先には、「NECグループ調達基本方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、責任ある企業行動を要請しており、環境面においても調達取引先と一体となったグリーン調達の推進を行っています。

グリーン調達

NECは、循環型社会の構築に向けたグリーン製品市場の拡大と、それに対応した環境配慮型製品の開発促進、設計・開発者の意識啓発を目的として、環境へ配慮しているものを優先的に調達する「グリーン調達」を全社的に取り組んでいます。「全製品を環境配慮型へ」を目標に、2006年度以降、ソフトウェア・サービスを含め、グリーン認定先からの調達を推進しています。

NECグリーン調達基準

NECでは、グリーン調達を推進するため、「グリーン調達基準」を制定しています。

サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドラインの中で、環境の行動規範として定めた(V-1)から(V-14)の各項目が「グリーン調達基準」です。

サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン(中国語)

「グリーン調達基準」のうち、製品に含有する化学物質の適正管理につきましては、「製品含有化学物質の調達制限に関する基準」で詳細を定めています。

これまでNECのグリーン調達基準を定めてきた「NECグリーン調達ガイドライン(お取引先様向け)[文書番号:環管通02-044]」は廃止し、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン[文書番号:調指 第2022-01号]」に集約しました。

調達取引先とのエンゲージメント強化

NECでは、サプライチェーン全体でのリスク評価・特定に向けて、2023年度に調達取引先の約1,300社を対象にサステナブル調達に関する調査を実施しました。調査の中で、環境分野においては、環境マネジメントシステムの構築・運用状況や化学物質の適正管理、CO2排出量削減、水使用量、 廃棄物発生量などの環境負荷の抑制・低減状況などの設問のほか、生物多様性のリスク評価状況に関する設問など計40にわたる項目を確認しました。この中で、特に気候変動対策については、CO2削減に向けた活動STEP(5段階)の推進に向けて、調達取引先への協働・共創を強化しました。具体的には、2023年6月に、調達取引先約600社に対してSTEP2(排出量の可視化)に関する説明会を開催し、具体的な算定方法の説明とともに、簡易算定ツールの無償提供を行いました。また、STEP3(削減定量目標の設定)についても、今年度、調達取引先のSBT認定取得を支援する活動を開始しています。
水リスクへの対応については、自然資本への影響が相対的に高いと考えられるハードウェア関連の調達取引先を対象に、約2,000の生産拠点のリスクを世界資源研究所(WRI)が提供している水リスク評価ツール「Aqueduct」によって評価しました。その結果、リスクがある場所に立地している拠点(約2%)を特定しました。この中で特に水リスクへの影響が大きいと想定される製造メーカーと個別に対話を行い、拠点の実態やリスクへの対応状況などのヒアリングを通じ、リスクが軽微であることを確認しています。
今後も調達取引先と協力してサプライチェーン全体での環境課題の実態把握や是正対応を図りながら、環境影響リスクの低減に向けた活動を進めていきます。