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資源循環・サーキュラーエコノミー

NEC製品の回収方法・内容 こちらをご覧ください

ガバナンス

資源循環推進体制

環境経営推進体制のもと、資源循環についても同様に対策を推進しています。その中で、各ビジネスユニットのサーキュラー関連事業のシナジー向上と新たなビジネスの機会創出に向け、「サーキュラーエコノミー活動共有会」を設置しています。

資源循環関連イニシアティブへの参加

  • CLOMA
  • サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ

戦略

NECは、2025年3月にサーキュラーエコノミー指針を制定しました。この指針は、気候変動や自然資本に並ぶグローバルリスクとなる天然資源不足等のサーキュラーエコノミーに関する課題に対応するものです。事業活動において資源循環を推進するとともに、技術革新と新たなビジネスモデルの創出を通じて、持続可能なサーキュラーエコノミー社会の実現に貢献する姿を示しています。
この指針に沿って、サーキュラーエコノミーの取り組みを推し進めていきます。

サーキュラーエコノミー指針

NECは、天然資源の枯渇というグローバルな課題に対し、製品の設計・生産からサービス提供に至る事業活動全体で資源循環を推進するとともに、技術革新と新たなビジネスモデルの創出を通じて、持続可能なサーキュラーエコノミー社会の実現に貢献します。

  1. ICTや人材を活用したビジネスモデルの提供により、バリューチェーン全体が直面する技術的・社会的課題を解決することで、サーキュラーエコノミー社会の実現を支援します。
  2. 事業活動全体で資源循環を徹底し、設計・生産から使用・回収に至るまで、提供する製品の資源循環に積極的に取り組みます。
  3. サーキュラーエコノミー社会の実現に向けた自社の取り組みや、お客様への貢献活動について、ステークホルダーに対し、透明性を持って積極的に情報開示します。
  4. サーキュラーエコノミー社会の実現に欠かせないデータ流通・共有に向けた基盤づくりに取り組み、ステークホルダー間の連携に貢献します。
  5. 社員一人ひとりがサーキュラーエコノミーへの理解を深め、業務を通じて積極的に貢献できるよう、人材育成と意識啓発を推進します。

自社の取り組み

使用済み製品の回収とリサイクル

NECでは、1969年より法人のお客さまから使用済みとなったコンピュータなどの情報通信機器を回収し、再利用・再資源化しています。2001年に「資源の有効な利用の促進に関する法律」が改正され、企業から排出される使用済みパソコンの回収・再資源化が義務化されましたが、NECでは「広域的処理認定業者」の認定資格を活用し、法律の施行と同時に他社メーカーに先駆け、パソコンの回収サービスを行っています。
2024年度の使用済み情報機器(コンピュータ、パソコン、プリンタなど)の回収量は、法人系で約701tと前年度比で約10%の減少となりました。再資源化率*1は前年度とほぼ同様に99%となっています。また、資源有効利用促進法の定義による資源再利用率*2も前年度とほぼ同様に91%となりました。今後はプラスチックなどの再資源化を推進し、さらなる再資源化の向上を推進していきます。

  • *1 再資源化率:
    回収された使用済み情報通信機器の全体重量のうち、リユース、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルされた物の重量の比
  • *2 資源再利用率:
    回収された使用済み情報通信機器の全体重量のうち、再生部品(部品リユース)もしくは再生資源(マテリアルリサイクル)として利用することができる状態にした物の重量の比(資源有効利用促進法の定義)。

パソコン回収・再資源化実績

2001年に「資源有効利用促進法」が改正され、企業から排出される使用済みパソコンの回収・再資源化が義務化されました。また、2003年には、家庭から排出されるパソコンについても同じく回収・再資源化が義務化されています。2024年度の使用済みパソコンの回収実績はデスクトップパソコン、ノートパソコン、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ合計で約56,000台となり、前年度比で約16%の減少となっています。法律で2003年までの達成目標として定められている資源有効利用率については、すべての製品について達成しています。

プラスチック資源循環促進法への対応

海洋プラスチックごみ問題に加え、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応を契機として、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進するため、2021年に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が成立しました。
法律に基づき、プラスチック使用製品産業廃棄物などを排出する事業者(NECは多量排出事業者に該当)は、プラスチック使用製品産業廃棄物などの排出の抑制・再資源化などを促進することが求められています。
NECとして、プラスチック使用製品産業廃棄物などの排出抑制や再資源化促進を目指し、排出量などの削減目標を設定して活動を推進しています。

  • 2025年度目標:廃プラスチック排出量*を2019年度比で4.2%削減(売上原単位) 
  • 2024年度目標の達成状況:53%削減(目標達成)
  • 2024年度廃プラスチック排出量:571t
  • *
    特殊要因(事業場の再開発に伴う非定常の廃プラスチックの排出など)を除くものとする。

事業を通じた貢献

プラスチック情報流通プラットフォーム(PLA-NETJ)の構築

NECは、政府が主導している「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第3期における課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」に参加し、プラスチック情報流通プラットフォーム(PLA-NETJ)の開発を行っています。
PLA-NETJは製品のライフサイクルにおいて製品に使用されているプラスチック材の循環をデジタル情報として管理・情報共有するシステムです。特に、再生プラスチック材の活用向上を目的として研究開発を行っています。PLA-NETJによって、「どこで採掘された原料を使い、どこで加工され、どこで最終製品にされ、CO2をどれだけ排出し、リサイクル品はどれだけ含まれ、どんな耐久性があるのか」などの証跡データを記録していきます。そして、PLA-NETJは、国内外で整備されるデータスペース(国境や分野の壁を越えてデータを共有・活用する空間、OuranosEcosystem、DATA-EX、Gaia-Xなど)に接続して、本PLA-NETJに登録したデータや他システムで登録されたデータとの情報流通を行い、デジタルプロダクトパスポートとして運用を行うものです。

PLA-NETJの特徴

PLA-NETJは製品の素材を起点としたデータ管理を行うことから、素材開発で利用されるマテリアルインフォティックスシステムや、本SIPで開発される再生材データバンクと連携してプラスチック材(バージン材、再生材)の物理特性を管理し、プラスチック材データベースとして需給マッチングを行うことができます。また、ブロックチェーンによる分散管理によって、製品のライフサイクルにおける証跡データを管理することができます。フィジカル空間における製品のライフサイクルをサイバー空間のPLA-NETJで管理、見える化を行います。

マテリアルズ・インフォマティクスを活用した、再生プラスチック製造の効率化

NECと丸喜産業(株)は、AIにより材料開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクスの技術を応用し、再生プラスチックの製造を効率化する実証実験を行いました。その結果、再生プラスチック製造における廃プラスチックの配合と調色を経験が浅い作業員が行った場合、作業時間を半減できることを確認しました。

プラスチックのリサイクル工程は、廃プラスチックの回収・選別に始まり、粉砕・配合・調色・造粒工程などを経て、ペレットと呼ばれる製品に加工し出荷されます。その中でも配合工程では、強度・加熱流動性・色などお客さまの求める性能や量に応じて、毎日受け入れる少量多品種の廃プラスチックから都度最適な配合を決定する必要があり、熟練作業員の知識や経験が特に求められます。
今回、丸喜産業(株)が創業以来培ってきた配合データをもとに、NECが有するバイオプラスチックなどの素材開発の知見とマテリアルズ・インフォマティクスの技術を活用して、廃プラスチックの配合案と調色案を提示するシステムを開発しました。本システムは、希望の性能や色を入力することで、日々変動する廃プラスチックの在庫に合わせて最適な案を提示することが可能です。
両社は今回の成果をもとに、再生プラスチックの効率的な製造を実現するソリューションの開発に向けて協議を開始しました。両社は2025年を目標に、プラスチックリサイクルに携わる企業に対してコンサルティングを起点としたソリューションを提供し、廃プラスチックの効率的かつ循環的な利用を推進します。また、再生プラスチックの製造に関する情報の一部を開示可能にすることで、AIによる再生プラスチック素材の高付加価値化を生み出し、活用範囲の拡大に貢献します。
両社はこれらを主導し、業界の垣根を越えた共創活動を推進することで、資源を効率よく循環させる社会経済システムであるサーキュラーエコノミーを加速し、社会課題の解決に向けて取り組んでいきます。

リスク管理

リスク/機会 内容 リスク低減対策/機会の具体例
リスク 国内外の使用済み製品の回収やリサイクルに関する規則の強化に対応するため、コストや時間を要する。対応が遅れた場合、競争力や評価の低下に関わる 法規制前の情報収集により、早期対応を実施
機会
(経済価値)
サーキュラーエコノミー関連ビジネスの新市場開拓や市場拡大が進む デジタルプロダクトパスポートなど、静脈産業と動脈産業をつなげるICTサービスを拡大

重大なインパクトを与える廃棄物

NECは、サーバやルータ・無線通信機器などの情報機器を製造・販売しています。情報機器製品には多品種の化学物質材料が使われており、製品使用後に適切な廃棄がなされなかった場合、環境負荷に重大なインパクトを与える可能性があります。そのため、NECでは電機業界では初めてとなる「広域的処理認定業者」の認定資格を2001年に取得し、回収・再資源化に努めています。また、製品製造に要する部品には、製品設計の段階から将来リサイクルしやすく、無害であることを念頭に置き、部品調達を行っています。

廃棄物の適正処理

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を遵守し、各事業場において発生する廃棄物を適正に保管・管理するとともに、その処理を適確に行うことができる廃棄物処理業者を選定し、処理を委託しています。また、委託契約している廃棄物処理業者が、法律の規定に従って適正に処理を実施していることを確認するために、現地視察やヒアリングを含めた定期的な現地確認を行っています。さらに、従業員の廃棄物の適正処理に関する認識を深め、実践へとつなげるため、従業員向けの廃棄物セミナーを定期開催しています。加えて、全社的な環境に関する取り組みとして行っている、全従業員向けのWeb研修では、廃棄物の発生抑制や分別徹底を教育し、従業員一人一人の意識の向上を図っています。

指標および目標

項目 2024年度
(目標)
2024年度
(実績)
廃棄物排出量の削減 10%削減(2018年度比) 達成
29.3%削減(2018年度比)
プラスチック廃棄物
排出量削減
3.5%削減(2019年度比) 達成
52.7%削減(2019年度比)
  • 対象会社ごとに設定。表の数字は日本電気(株)の目標

活動:有価物売却の推進・拡大や分別廃棄の徹底、電子化の推進による紙使用削減、緩衝材のリユースなどの取り組み、産業廃棄物委託先への現地訪問による適正な産業廃棄物処理の確認

  • *1
    再資源化率:回収された使用済み情報通信機器の全体重量のうち、リユース、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルされた物の重量の比
  • *2
    資源再利用率:回収された使用済み情報通信機器の全体重量のうち、再生部品(部品リユース)もしくは再生資源(マテリアルリサイクル)として利用することができる状態にした物の重量の比(資源有効利用促進法の定義)

廃棄物の排出量と原単位の推移

廃棄物排出量内訳

(単位:t)

  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
廃棄物総排出量 35,886 308,460 42,236 38,516 28,467
一般廃棄物 1,823 1,781 1,608 1,479 1,338
産業廃棄物 26,772 303,457 35,539 26,872 24,605
特別管理産業廃棄物 5,755 1,795 4,089 9,188 2,066
海外廃棄物 1,536 1,427 1,000 977 458
再資源化率 81.0% 94.6% 86.9% 72.9% 89.9%
再資源量 29,057 291,668 36,707 28,061 25,588