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水リスク管理と水資源の有効活用

ガバナンス

水資源管理体制

各事業場・工場における管理体制

NECでは、経営計画を環境面から推進する「エコ・アクションプラン」により水使用量の削減目標を設定し、国内外のすべての事業場、グループ会社に展開しています。
水質汚濁防止対策として、各事業場、工場では国や自治体が定めているその地域の水関連法令の基準を超えた排水が発生しないように、より厳しい自社基準を設けて管理しています。また、排水処理に関する化学物質とのトレードオフの影響を小さくするために、化学物質の使用量の削減に取り組んでいます。具体的には、水質の状態を常にモニタリングすることで、必要以上の化学物質の投入を防いでいます。

イニシアティブ

ウォータープロジェクト(環境省)

戦略

リスク評価と対策

NECでは水不足、水質、洪水などのリスクを世界資源研究所が提供しているツール「Aqueduct」や自社独自のアンケートで評価しています。まずはNECの国内外392拠点のうち、生産に関わる16拠点をAqueductにより評価したところ、中国の江蘇省蘇州市とタイのパトゥムターニーの拠点がリスクのあるエリアに立地していることが確認されました。

立地 Aqueductにより高リスクと評価された内容
中国 蘇州 水不足、洪水、下水処理インフラ不足
タイ パトゥムターニー 水不足、干ばつ、洪水、下水処理インフラ不足

中国の拠点は水使用量が6,000㎥/年と少なく、水不足のリスクは少ないと考えます。また、この拠点はテナントビルの2階以上に入っており、排水は下水処理場に接続しているため、洪水や下水リスクも低いと判断できます。

タイの拠点では、2011年の大規模な洪水災害に見舞われて以降、現在まで洪水は発生していません。また政府がダムの制御方法を学び、周辺に堤防を作るなど多くの対策が実施されました。NECの拠点においても洪水に対してさまざまなBCP対策を実施しています。また、水不足、下水に関しても対策を徹底しています。

リスク タイの拠点での取り組み
水利用、渇水 貯水槽と水再生装置の設置、拠点内の水利用優先順位の設定
洪水 止水板・止水扉の設置、土嚢の備蓄、毎年のBCP訓練と手順見直し
電源設備を高さ2.5mの場所に設置、その他設備の緊急避難場確保
水質汚染 排水の一次処理と工業団地の下水処理施設への放流、定期的な水質テスト

さらに、1.5℃と4.0℃のシナリオにて高解像度の洪水シミュレーションを行いました。その結果、100年に一度の確率において、このエリアの浸水深は現状で0.6m、1.5℃のシナリオで0.7m、4.0℃のシナリオで0.8mであることがわかりました。よって現状の対策でカバーできると判断しました。これらの状況より、この拠点のリスクは最小化できていると判断しました。また、当該拠点のNEC全体に占める売上割合は1%以下であることから、事業上のリスクは少ないと考えます。

インターナルウォータープライシング

NECでは、設備投資可否判断にインターナルカーボンプライシングの考え方を用いてCO2排出量削減効果金額を算出していますが、水に関しても同様の対応を行っています。ウォータープライシングの設定にあたっては、将来的な水コストの上昇を考慮し、将来の水費用単価を現在の単価の2.5倍と設定しました。5m³/日以上の水使用量変化が新たに想定される場合、それに基づいてコスト影響の試算を行い判断します。

リスク管理(含む機会創出)

リスク/機会 内容 リスク低減対策/機会の具体例
リスク 渇水や災害による断水により、事業存続や生産の遅延・停滞が生じる 各拠点で断水に備えたBCP対策を実施済み
機会
(経済価値)
台風など風水害での被害を低減させる防災ビジネスの市場ニーズが高まる 河川水位予測など、水害対策支援システムの導入拡大

水質汚濁防止と排水

NECでは、国や自治体が定めているその地域の水関連法令の基準を超えた排水が発生しないように、より厳しい自社基準を設けて管理しています。
また、排水処理に関する化学物質とのトレードオフの影響を小さくするために、化学物質の使用量の削減に取り組んでいます。具体的には、水質の状態を常にモニタリングすることで、必要以上の化学物質の投入を防いでいます。

指標および目標

項目 2023年度目標 2023年度実績
水 使用量 9.5%削減(2018年度比) 達成
26%削減(2018年度比)
BOD・CODの
排出量(絶対値)*1
1%以上削減(2017年度比) 達成
BOD 19.0%削減
COD 48.8%削減
  • 活動:
    冷却水の循環利用の拡大や生産設備の運用効率化、節水対策の再徹底
  • *1
    公共用水域に排出される排水のBOD、COD排出量を対象とする
    (但し、テナントオフィスから排出される排水、雨水の排水は対象外とする)

水使用量削減の取り組み

NECでは、経営計画を環境面から推進する「エコ・アクションプラン」により水使用量の削減目標を設定し、国内外のすべてのグループ会社(連結子会社 289社(2022年3月末現在))に展開しています。

蒸気ドレン回収設備の導入による水使用量の削減

NEC本社ビルでは、空調用(暖房・加湿)に蒸気を利用しており、蒸気ドレン回収設備(ホットウェルタンク)を導入することで、蒸気供給工程で発生するドレンをボイラ給水として再利用しています。これにより、2020年度の水使用量を年間1,670m3削減することができました。
また、NEC相模原事業場でも同様にボイラによる蒸気ドレン回収を行っており、このシステムを使い同敷地内に入る他社とともに水使用量の削減に努めています。

ホットウェルタンク(NEC相模原事業場)

排水再利用システムの導入による水使用量の削減

NECグループの各事業場や施設では、設置可能な拠点において、トイレや給湯室等に排水再利用システムを導入し、施設内での排水の一部を中水として再利用することで、水使用量の削減に努めています。NEC本社ビルでは、トイレの手洗い・給湯室の排水・冷却塔ブロー水・雨水を汚泥法や活性炭ろ過法で処理し、トイレの洗浄水(大便器・小便器の排水)に中水として再利用しています。また、NEC相模原事業場では、冷却塔ブロー水の一部を処理し、トイレ洗浄水に中水として再利用しています。これにより、2020年度の水使用量を年間5,650m3削減することができました。

再利用水槽(NEC相模原事業場)
再利用水ポンプ(NEC相模原事業場)

モジュールチラー導入伴う水使用量の削減

NECプラットフォームズ 福島事業所では、施設内の熱源設備の冷却として新たにモジュールチラーを導入したことで他冷凍機の稼働に伴う冷却水の使用量削減に繋がっています。これにより、2019年度の水使用量を年間9,334m3削減することができました。

モジュールチラー設置前(冷却塔稼働中)
モジュールチラー設置後(冷却塔撤去)