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第2回 しずくの利用による天気予報の精度向上に期待

水と私たちの生活 第2回 しずくの利用による天気予報の精度向上に期待──気象庁

気象に関する日本の衛星といえば、これまでは「ひまわり」のみが注目されてきた。しかし今後は、「しずく」から届けられる観測データも、気象予報に欠かせないものになると期待されている。

来年から気象分野で本格活用される予定となっている「しずく」のデータは、天気予報をどのように変えていくのだろうか。気象庁予報部で数値予報の技術開発を担当する佐藤芳昭氏に、「しずく」への期待を聞いた。


佐藤 芳昭 氏
気象庁 予報部 数値予報課 データ同化技術開発推進官

写真:気象庁 予報部 数値予報課 データ同化技術開発推進官 佐藤 芳昭 氏

数値予報のベースとなる様々な観測データ

──はじめに、気象を予報する基本的な仕組みについてお聞かせいただけますでしょうか。


佐藤:
図版:地上気象観測網(平成24年4月1日現在)zoom拡大する
地上気象観測網
(平成24年4月1日現在)

気象予報においてとくに重要なのは、「現在」がどうなっているかを正確に知ることです。そのためには、現時点での気温、気圧、湿度、風速、風向きといった様々な観測データが必要になります。

日本では、全国約160カ所の気象台等、20カ所の気象レーダー、ラジオゾンデと呼ばれる観測気球、ウィンドプロファイラと呼ばれる電波発射装置などによって、そういったデータを集めています。それらのデータをもとに、現在の気象状況をコンピュータ上で再現し、そこから計算によってこれからの天気がどうなっていくかを割り出します。それを数値予報といいます。

しかし、数値予報がそのまま公表されるわけではありません。コンピュータが計算によって弾き出した予報を、長年の経験を積んだ予報官が細かく補正した上で、正式の天気予報として発表するわけです。

──天気予報に使うデータは、日本国内で集めたものだけなのですか?


佐藤:
そうではありません。気象予報においては、自国のデータのみがあれば十分というわけではないので、それぞれの国の気象機関で得た観測データをお互いに交換するという世界的な取り決めがあります。日本の気象庁は、世界各国の気象台、船舶、気球、洋上のブイなどからのデータを得ていますし、こちらが収集したデータも世界中に提供しています。

──人工衛星も、そのようなデータ収集のための重要なツールというわけですね。


佐藤:
そのとおりです。日本ではご存知のとおり、静止気象衛星「ひまわり」が赤道上空約35800キロの静止軌道上から、日本近辺の雲や水蒸気の分布などを観測しています。「ひまわり」が初めて打ち上げられたのが1977年で、以後、現在まで活動は続いています。最新の「ひまわり」は7号機ということになります。

──「ひまわり」に課題があるとすれば、どのような点でしょうか?


佐藤:
衛星には、それぞれの能力があって、できることとできないことがあります。「ひまわり」にできることは、可視画像と赤外線画像を撮影することです。
可視画像とは、人間の目で見るのと同じような画像であり、赤外線画像は、夜間などでも撮影できる画像です。これらはいわば写真と同じですから、雲があれば、その下の地上や海上は写りません。それから、「ひまわり」は静止軌道上にあるため、観測範囲の撮影を頻繁に行うことはできますが、範囲外の地域のデータを集めることはできません。課題を挙げるとすれば、その2点ということになります。
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