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No.1(1月)電子デバイス特集
Vol.62 No.1 (2009年1月)
電子デバイス特集
画像処理・表示分野に向けた半導体・ソリューション
鈴木 正宏
近年のデジタルTVの目覚ましい発展に最先端の半導体テクノロジーが利用されています。NECエレクトロニクスでは、デジタル処理を行うEMMA・画像表示のドライバーICを提供するとともに、デジタルTVパネル向けに画像表示のタイミングを制御する機能と液晶表示の倍速変換を行う機能を最先端のASICテクノロジーで実現し製品を提供しています。そのソリューションの概要と将来展望を報告します。
簗瀬 亮二 ・磯野 浩志 ・小豆畑 裕明 ・久保田 剛史 ・小森 秀樹 ・松浦 佳弘
NECエレクトロニクスでは、NEC中央研究所と共同で研究を行った「1枚超解像技術」を用いて組込みに適したシステムLSIを開発しました。本稿ではその技術を用いてASIC(Application Specific Integrated Circuit)設計するために提供するIP(Intellectual Property)と、そのIPを用いて開発した組込みシステムに適したシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit)について説明します。
奥山 智之 ・伊藤 雅洋 ・小野田 佳央 ・宮本 敦司 ・宮内 哲夫 ・巣山 浩生
BDプレーヤの主要機能のすべてを、世界で初めて1チップに統合したシステムLSI「EMMA3PF」を開発しました。EMMA3PFは、光ディスクから信号を読み出す機能、映像・音声信号に復号する機能、HDMI出力機能までを統合しています。また、高性能マルチコアCPUとグラフィックスエンジンの搭載で、プレーヤの操作性を大幅に向上できます。NECエレクトロニクスでは、EMMA3PFの発売と同時に、リファレンスボ-ドと最新のBD規格に準拠したソフトウェアを提供する予定です。
大矢 章貴 ・松本 久美 ・川口 裕司
携帯電話に搭載されるカメラが、ついにデジカメ並みの画質を追及できるまでに進化してきました。NECエレクトロニクスでは、これまでのカメラエンジンソリューションビジネスで培ってきたノウハウを基に、携帯電話搭載カメラの最高峰800万画素までの対応を可能にした、CE131について紹介します。
モバイル、ワイヤレス分野に向けた半導体・ソリューション
福島 治 ・佐渡 雅樹 ・伊藤 篤史 ・有門 智弘
本稿では、NECエレクトロニクスが開発したMedity2に搭載した2G・3Gデュアル通信システムにおける、デュアルシステム通信ソフトウェアについて紹介します。通信ソフトウェアは、GSM技術の導入、並列タスク動作によるデジタルベースバンド部の制御、状態に応じた省電力制御を実施し、2G・3Gデュアル通信システムと省電力化を実現しています。
岩田 直高 ・藤田 祐智
最近の携帯電話は、マルチバンド・マルチモード化が進むとともに、FeliCaに代表される近距離通信機能が付加されています。これらのアンテナには小さな携帯電話の中で機能を実現するため、細かなインピーダンス整合が求められます。GaAsスイッチICは低い損失特性など、それらを実現するために適した特性を有しています。本稿では、アンテナのインピーダンス整合用に開発したGaAsスイッチICの技術と製品を紹介します。
松本 尚寛・山岡 俊文・富永 正志・佐々木 康文
汎用インタフェース規格の1つであるUSBは、転送速度480MbpsのUSB2.0からその無線版であるワイヤレスUSBへと進化を続けています。拡大するUSBインタフェースのニーズに応えるために、NECエレクトロニクスは、ワイヤレスUSBのキーデバイスであるホストコントローラとDWAを開発、製品化しました。リファレンス・デザインやシステムソフトウェアを含めたワイヤレスUSBソリューションについて紹介します。
省エネルギー、低電力分野に向けた半導体・ソリューション
大場 浩司 ・河合 一慶 ・松下 留美 ・石原 国泰 ・江藤 公治
オールフラッシュマイコンは、お客様のシステム競争力向上のため、すべての製品をフラッシュマイコンで揃えた製品群です。近年の省エネに対する意識の高まりと、それに伴うお客様のマイコンに対する低消費電力の要求に対応するために、業界最高レベルの低消費電力性能を目指した、16ビットオールフラッシュマイコン78K0R/Kx3-Lの開発を行いました。本製品は特に電池駆動の機器に最適な、1MHz動作、スタンバイ動作の消費電力を大幅に削減することを目標とし、実現のために製品仕様、回路に工夫を行っています。本製品を使うことにより、お客様の製品の電池寿命改善に大きく寄与することができます。
鳥養 政博 ・浅井 道成 ・金竹 光人
近年、フォトカプラを搭載するFA機器や白物家電などの各種インバータ制御分野は、省エネルギーなどの環境意識の高まりを背景に、高機能化と同時にシステム自体の小型化が求められています。本稿では、高速カプラ、IGBTゲート駆動カプラなど安全規格に準拠したパッケージ構造パラメータを確保しつつ実装面積を約1/2にしたSDIP パッケージフォトカプラシリーズを紹介します。
高性能低電力ロジック製品
古田 浩一朗 ・粟島 亨 ・藤井 太郎 ・戸川 勝巳 ・戸井 崇雄 ・本村 真人
近年、装置機能の増加・複雑化に伴うLSIへの非常に高度で複雑な処理に対し、CPUを搭載しSoC化することにより、やわらかさ(CPUによるC言語を用いたソフトウェア設計)と硬さ(専用設計による高性能ハードウェア)に切り分けて対応してきました。しかしCPUでの処理は性能が不足がちで、高性能なプログラマブルコアと使いやすい設計環境へのニーズがあり、その解としてSTPエンジンを開発しましたので本稿で紹介します。STPエンジンとその開発環境を用いることにより、やわらかさ(Cベース設計のプログラマブルコア)を保ちつつ処理性能を向上できるため、様々な装置の高機能化・高性能化を実現できます。
次世代CMOS基盤技術
林 喜宏
LSI基礎開発研究所では、高信頼・高性能・低消費電力デバイスの確立に必用な材料・プロセス・デバイス・回路を開発し、お客様に満足して使っていただくことを目指しています。本稿では基幹CMOS技術(FEOL/BEOL)・差異化技術(RF/回路/ばらつきなど)に関して最近の研究成果の一部について紹介します。
平田 守央 ・清水 卓 ・山田 健太
半導体の微細化に伴い、トランジスタ特性のばらつきとレイアウトに依存するトランジスタ特性の変動が顕在化しています。トランジスタの性能を最大限に絞り出し、低コストで高性能のLSIを実現するためには、設計段階からこれらの現象と影響度を予測できる設計手法が重要となります。本稿では、弊社のばらつき考慮設計とレイアウト依存考慮設計の取り組みを紹介します。
深井 利憲 ・池田 昌弘 ・高橋 寿史 ・夏目 秀隆
UX8は、NECエレクトロニクスの最先端プロセスであり、最先端露光技術を用いて前世代比2倍のゲート密度を達成し、新規技術を採用して性能改善を行っただけでなくコア、1.8V系、3.3V系トランジスタとSRAM、DRAMのメモリ混載も実現しました。更にUX8は、高速動作から低消費電力アプリケーションに対応するためコアデバイスについて2種、0.9V LOP (Low Operation Power)と1.1V LSTP (Low STandby Power)、を開発し、コアの選択を可能にしたことから、ロジック製品からDRAM混載製品までの幅広いユーザに対応したデバイスプラットフォームを有します。本稿では、UX8で適用した代表的な技術、デバイスラインナップを紹介します。
量産化に向けた生産技術
内山 貴之
65nmロジックから55nmロジック以降への微細化に対応する技術として液浸リソグラフィの開発を行いました。ウェハ上に回路パターンを形成するために用いる露光装置において、従来は空気中であったレンズとウェハの間に水を満たすという液浸リソグラフィを導入することにより、解像力が向上し、より微細なパターン形成が可能となります。これまでに材料開発、露光装置開発、及びプロセスの最適化を行いました。本技術は現在NECセミコンダクターズ山形の300mmウェハ生産ラインにおいて量産適用が行われています。
磯崎 智明 ・矢島 征樹 ・内田 浩亨 ・掛川 千賀
LSIの性能・コストの最適化のため、チップ・パッケージ協調設計手法を適用しています。協調設計手法を適用したパッケージ設計では、開発初期段階で放熱設計や反り・応力の検討を行いパッケージの基本構造を決定しています。またパッケージ設計では、端子配置最適化などのほかに、インピーダンス整合回路などの高度なインターポーザ設計技術を組み合わせて、性能と製造コストのバランスの取れたパッケージ設計を行っています。
二階堂 正人
家電製品や各種装置の高機能化、小型軽量化が進み、それら製品に搭載するLSIも微細化、大規模化が著しく進んでいます。LSIについては、生産開始から高い歩留まりを維持して、高い品質で安定して供給することが、お客様の信頼を得ることと利益確保の観点から非常に重要です。本稿では、ロジックLSIについて、歩留まりに影響のある原因を短期間で解明する上で重要となる、故障箇所をピンポイントで特定する故障箇所特定技術に関して事例を含めて紹介します。
ノイズ&パワーソリューション
下 彰利
NECトーキンが開発した新しいタイプのデカップリングデバイスであるプロードライザは、これまでノートパソコンのCPU用デカップリングキャパシタとして採用されてきました。次世代CPUにおいては、トータル1mΩのESRが要求されており、この動向に対応するため、超低ESRのプロードライザを開発しました。また、より消費電力の大きいデスクトップパソコン向けに高容量化したプロードライザの採用可能性についても紹介します。
斎藤 嘉宏 ・山内 英明 ・田畑 翼
各種電子機器への搭載部品の高密度化動向が加速している中で、大電流に対応する小型チョークコイルの要求が近年さらに強まっています。特にモバイルノートPCにおいては、低電圧大電流化に伴い、電力損失特性が重要視され始めています。そこでNECトーキンは、低損失磁性コア材「センティクス」を用いることで電源の変換効率を高めた一体成形型チョークコイル「MPCGシリーズ」を開発しました。「MPCGシリーズ」は、平角導体のエッジワイズ巻きコイルを、高い飽和磁束密度と金属ガラス特有の安定した非晶質構造を併せ持つ磁性材料「センティクス」で一体成形することにより、大電流通電とコア損失の大幅な低減を実現しています。
加藤 一幸 ・安部 聡 ・山下 大輔
近年、携帯電話、デジタルカメラに代表される携帯電子機器の小型化は著しく、電子部品に対する小型薄型化への要求がますます高まっています。このようなニーズに対し、NECトーキンではタンタルコンデンサの小型大容量品の開発を進めており、これまでに下面電極構造のF/SVシリーズとして、2012サイズで静電容量100μFのタンタルコンデンサを製品化しています。本稿では、市場からの更なる大容量化の要求に応えるべく、新たに開発し2008年7月より量産を開始した2012サイズ、220μFの「G/SVシリーズ」について、開発成果を紹介します。
エネルギーソリューション
小川 恵一 ・飛岡 和弘 ・黄賀 啓介 ・山口 浩平 ・宮田 晋嗣
電気二重層キャパシタ(スーパーキャパシタ)は、電気二重層と呼ばれる固体と液体との界面に正負の電荷が蓄えられる現象を利用したエネルギー蓄積・供給デバイスです。NECトーキンでは、これまでに表面実装対応のスーパーキャパシタとして、リフロー温度235℃対応のFCシリーズを発売してきました。今回、鉛フリーはんだのリフロー条件(リフロー温度260℃)にも対応できる高耐熱タイプ(スーパーキャパシタFCSタイプ)の開発に成功しましたので、その詳細について紹介します。
座間 浩一 ・鈴木 伸 ・笠井 正勝 ・塩谷 太志
本稿では、大容量タイプ及び高出力タイプのラミネート電池セルを用い、直列接続した24V系標準電池パックを紹介します。これらの標準電池パックは専用の充電器とセットで用いることで、リチウムイオン電池を初めて使う方にも容易に扱える仕様となっています。大容量タイプは、主に電力型のUPS(無停電電源装置)、大型機器のバックアップ電源、自然エネルギー(風力、太陽光他)ストレージなど、蓄電系アプリケーションを用途としています。また、高出力タイプは、瞬停回避型のUPS、電動バイク、電動カート、ロボットなどの瞬時の大電流を求められるモータ駆動系アプリケーションなどを主な用途としています。
アクセスソリューション
浦田 純悦 ・浜荒津 巌 ・三品 浩一 ・大沼 智幸 ・及川 義則
NECトーキンでは早くからRFID事業に参入し、125kHz帯、13.56MHz帯、2.45GHz帯、UHF帯の各周波数帯に対応したリーダライタ及び各種アンテナの拡充に力を入れてきました。本稿では、今回新規に開発したUHF帯ポータブル型リーダライタとアンテナ製品群について紹介します。
普通論文
Oleg Neuwirt ・Joao Da Silva ・Daniele Abbadessa ・Florian Winkler
既存の情報通信事業者は、顧客離れを低減し新たな収益源を生み出すため、IPTVが重要なサービスの差別化要因の1つになると捉えています。しかし、このサービスの事業者が増すにつれ、その差別化要因は急速に消失しつつあります。本稿では、情報通信サービスの統合によりいかにIPTVの充実を図ることができるのかを提示し、またIPTVドメインへのアイデンティティ管理導入により新たな共同ビジネスモデルを開発する方法も示します。さらにIPTVのサービス・ポートフォリオに関連して、新しいサービスへのユーザの支持を得るために不可欠なプライバシーや、IMS方式で配備されたプロトタイプシステムのアーキテクチャについても述べます。