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テクノロジーとパートナーとの共創で世界の社会課題を解決する

NECは創業以来120年にわたり、革新的な技術を数多く開発し、社会に新しい価値を提供しています。時代の変化とともに変遷する社会課題解決に向けた取り組みは、デジタルの力も求められています。

NECで社会課題解決事業グループを率いる野田眞(以下、野田)は、世界の複雑な課題に取り組んでいます。グローバルヘルスや農業の分野でNECのテクノロジーをどのように活用しているのか、革新的な取り組みの一部をご紹介します。

誰一人取り残されない世界の実現に向けて

国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するために、野田は、国際機関や財団、NGOをはじめとしたステークホルダーと共創しています。

「私たちの最大のミッションである、誰一人取り残されない世界を実現するために、プロジェクトでの国際機関や財団との共創は重要です。私たちは、人道支援、農業、創薬、グローバルヘルス、エネルギー、街の安全や安心など、幅広い分野で活動しており、NECのテクノロジーを活用して社会課題解決に向けた取り組みを行っています。この活動はまさしくOrchestrating a brighter world というNECのパーパスを体現したものです。」

もちろん、NEC一社だけで目指している世界を実現させることはできません。パートナーやステークホルダーと協奏(共創)することが重要です。

民間企業と国際機関の架け橋へ

DXにより包括的で持続可能な開発を加速できると、国連は述べています。民間企業であるNEC社員として、野田はまず国際機関と民間企業との距離を縮めていきたいと考えています。
「テクノロジーが持続可能な開発にどのように貢献できるかについて、まだまだ浸透していないように感じます」と、野田は話します。「言語の壁や文化、コンテクストを理解し、相互理解を深め、テクノロジー企業としてできることを国際機関の人々と連携し、両者の架け橋となっていきたいです」(野田)

途上国における幼児の予防接種の促進

野田が率いるチームが社内のビジネスユニットと連携し取り組む課題は多岐にわたります。代表的な4つのプロジェクトを紹介します。

1つ目はワクチン未接種児の問題です。世界ではおよそ2,000万人もの5歳未満の子どもたちが正式なIDを持っていません。命を救う予防接種を提供できるシステムからすると「見えない」存在になっているのです。

この問題を解決するために適切なパートナーとテクノロジーを組み合わせる必要がありました。野田のチームは社内のビジネスユニットと共同で、Gaviワクチンアライアンスと連携して世界初となる幼児指紋認証技術のプロジェクトを開始しました。英国Simprints*の指紋スキャナーと組み合わせることで本人確認を可能にします。これはNECにとっても画期的なプロジェクトとなりました。

NECの世界トップレベルの指紋認証は、一人でも多くの子供たちに予防接種の機会を提供するために活用されています。

IDの保有の整備がなかなか追いついていない発展途上国へのさらなる展開を目指して、私たちはバングラデシュで実証実験を行っています。子供たちが必要な予防接種を受けられないという状況は、最優先で解決していくべき社会課題のひとつです」(野田)

*1 Simprints Technology Ltd.

インドの小規模農家の収益向上を目指して

2つ目に紹介するのは、インドのスパイス産業におけるバリューチェーン全体の透明性向上を目的としたプロジェクトに、NECのブロックチェーン技術が活用された取り組みです。世界最大のスパイス輸出国であるインドは、毎年40億ドル以上の唐辛子やターメリックなどのスパイスを出荷しています。しかし、重要な輸出作物であるにもかかわらず、品質管理が不十分なために不良品発生率が高いことが問題となっていました。


その解決に向けて、NECは国際機関やインド政府の農業当局と協力し、ブロックチェーン技術によって、スパイスのバリューチェーンの各段階での情報を追跡・蓄積を実現するプログラムを立ち上げました。これにより、製品についての情報-農家の身元、所在地、品質検査の詳細に加え、栽培条件、灌漑、児童労働の使用有無、農薬散布、収穫時期や、流通過程における相場などが登録されるようになりました。

「スパイスの売買においては、流通過程の情報や取引の透明性が欠けていたために、農家が中間業者に不当に利益を搾取されるなどの問題がありました。しかしこの取り組みより透明性が高まり、農家の情報格差が改善されました。その結果、より高品質のスパイス生産にかかわる技術などの情報を入手することも可能になり、農家がより高い価格で製品を販売できるようになりました」(野田)

ガーナで暮らす母子の栄養改善を

3つ目に紹介するのは、西アフリカのガーナにおける母子の栄養改善の取り組みです。ガーナでは、栄養不足、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素不足、また、過体重・肥満といった栄養面の問題があります。都市部と地方部でも格差があり、特に妊娠期から子どもが2歳になるまでの母子の健康状態が課題となっていました。

栄養不足になる根本的な原因は知識不足にあります。健康・栄養についての理解を深めることによって、行動変容が期待できます。

NECは、国連WFP(国連世界食糧計画)とのパートナーシップの下、味の素ファンデーションおよび日本の医療機器メーカーであるシスメックスと連携し、現地の保健所スタッフや母子への栄養教育を行い、母子の行動変容を促進することで健康・栄養改善に貢献しています。この取り組みの一環として、NECは栄養指導のためのモバイルアプリ開発し、健康診断を行う保健所のスタッフにタブレット端末を提供し、トレーニングを実施しました。

「この取り組みにより、健診結果の可視化、検診のフォローアップと指導内容の標準化が実現でき、栄養改善についての適切な指導や行動変容を促す事ができるようになりました」(野田)

ナミビアの農家補助金制度を支える

4つ目はアフリカ南部のナミビアで国際機関と協力して実施した農業DXの取り組みです。小規模農家が作物の栽培に必要な種子や肥料を購入できること、食料不足を補うことを目的に、これまでナミビア政府は農家に補助金として紙のバウチャーを配布してきました。しかし、紙ベースのためにバウチャーが紛失してしまったり用途不明となったり、政府は補助金がどのように使われたかを正確に把握できていませんでした。
NECはナミビア政府と国際機関と連携し、スマートフォン端末型の電子バウチャーシステムを活用した農民IDを導入しました。農家への補助金はIDに基づいて電子マネー(ICカード)で配布され、必要な物資を購入できるようになりました。このICカードには各農家の経費が記録され、支給に必要なデータが蓄積されます。そのため、政府も農家が必要とする物資をリアルタイムに把握することが出来るようになり、完全な補助金制度が実現しました。導入したシステムにより、今後ますます補助金制度の効率が高まり、費用対効果も良くなることが見込まれています。

「補助金の給付では、二重給付やなりすまし等の不正行為は得てして起こります。ですが、システムをデジタル化することによって、可視化でき、適切な人々に補助金を提供できるようになったのです。また、政府が状況を把握して効果的な政策を行えるようになりました」(野田)

世界共通のミッションへの挑戦

野田は、国際機関と民間企業、非営利組織、そして政府機関との連携を通じて、社会課題解決事業のエコシステムとバリューチェーンを構築することができると考えています。そして、課題解決に向けた共通の目標達成に向けてパートナーやステークホルダーと共創することに、大きなやりがいを感じています。

「私たちはこれからも積極的に海外に出向いて直接色々な人達と会い、国連の国際会議に出席し、私たちが貢献できることを紹介していきます。”社会課題を解決する”ことは世界共通のミッションだからです」(野田)

NECには、テクノロジーと豊富な実績、そして世界中のパートナーと共創できる力があります。野田のように、社会変革を推進するというミッションに高い目的意識と情熱を持って取り組むリーダーと共に、NECで働くイノベーターたちはこれからもパートナーと手を携え、誰一人取り残されないインクルーシブな世界を実現するために努力を続けてまいります。

野田眞

NEC グローバル事業推進統括部 社会課題解決事業グループ長として国際機関、財団等との連携事業を推進。これまでAIIoT、ブロックチェーン、生体認証などのテクノロジーを活用した農業、通信、交通、ヘルス領域等での国際プロジェクトに従事。ニューヨーク在住時には、コロンビア大学国際公共政策大学院で公共政策修士号(MPA)を取得し、UNDPで民間セクター連携アドバイザーを務めた。

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