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GHIT R&Dフォーラム2024登壇レポート

(C) GHIT Fund

去る2024年12月5日に、開発途上国を中心に蔓延するマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)等の治療薬・ワクチン・診断薬の研究開発を支援する官民パートナーシップ公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)が主催する「GHIT R&Dフォーラム2024 」に、NECの北濱が登壇しました。民間企業、アカデミア、研究機関、NGO/NPOなど、国内外より多様なステークホルダーの方々、総勢120名以上が参加した本イベント。

北濱が登壇したのは「Session 4: Technologies on the Ground — Adapting new technologies in the context of LMICs —」。LMICs、つまり低中所得国におけるテクノロジーの適用について議論されるセッションでした。
アカデミアや製薬会社の研究者、またそれを支援する財団やNGOの方が多く並ぶ中、グローバルヘルスに取り組むテクノロジー企業として登壇しました。

海外からの聴講者も多く、まずはNECという会社の紹介から。日本のICT企業ということを紹介した上で北濱が強調したのはNECのPurpose。「NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。」この誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現のために、デジタル技術を活用して誰一人取り残されない持続可能な社会を目指す、それこそがICT企業であるNECがこのグローバルヘルスという分野にも取り組んでいる理由だ、と説明します。

続いて、そのような社会を実現するためのNECが考える4つのステップを紹介。
第一ステップは、Digital Identity。信頼できインクルーシブな本人確認手段を提供することで、支援が必要な人たちが社会保障や必要な支援を受けられるようになります。

続いて第二ステップは、支援を届けること。支援サプライチェーンの可視化などを行い、緊急時をはじめ必要な人に適切な支援をタイムリーかつ効率的に届けることができます。

第三ステップは、地域の人の自立を支援。経済的・社会的に誰もが自立をしていけるよう、能力向上を行います。

このようなステップを経て、持続可能な社会を共創していきます。このプロセスは国や地域社会、国際社会など様々なステークホルダーを巻き込んでいきます。

次は、具体的なユースケースのご紹介。
Step1にあたる本人確認。こちらはGaviワクチンアライアンスと進めているプロジェクト。子供がワクチンを打つ際に、以前は医療関係者は分厚い本から母親と子供の記録を探し、本人確認をするのに20分かかっていました。そこで幼児指紋認証を開発。本人確認が90秒に短縮されたという例を紹介しました。

Step2の支援サプライチェーンのユースケースはFAOと進めたコミュニティプログラムにおける給付管理。紙のクーポンで起きていた目的外使用(医療品のためのクーポンなのに別のものを買ってしまう)などが防げて、また地域組織も何に使用されたか把握し次の社会的なプログラム活かすことができるようになりました。

Step3の現地のキャパシティビルディングのユースケースは、ガーナで行った保健所スタッフ向けのモバイルアプリ。全ての母子に同じ水準の健康診断および栄養指導を行えるように、視覚化されたガイドラインを取り入れたモバイルアプリを開発しました。その結果、入力される項目数が増え、母子に届けられる栄養ガイドラインの数も増えました。またビジュアル化されたことにより、母親も保健所スタッフから受けた栄養指導の内容を覚えやすくなりました。

最後は、ワクチンに関連した事例をご紹介。CEPIが立ち上げた100日間チャレンジプログラムに参加したNECは、ベータコロナウイルスのホモサピエンス向けワクチンのプロトタイプをデザイン。次の疾病発生時にワクチンが製造できるようになることを目指しています。

モデレータからの北濱への質問は「アフリカの低中所得国で直面している最も重要な課題は何か?? 医療分野で技術を適応させるには何が必要か?」でした。

北濱は答えます。
「パートナーの支援を得ながらプロジェクトの実施前に現地の課題を理解するように努めています。まずは、ステークホルダーと綿密なインタビューと協議を行います。また現場での業務を理解するために、ジャーニーマッピングも行います。例えばワクチン接種事業の場合、同じ子供を別の大人が連れてくるケースが観察されています。これは子供にワクチン接種をうけさせるともらえる少額のインセンティブ目当てでした。もちろん同じワクチンを必要以上に打つのは有害です。このように我々はパートナーやケアクリニックを通じて、ケアワーカーの現場から様々な課題を学び、技術で解決できることを見つけています。」

少額のインセンティブ目当てに同じ子供が複数回ワクチンを接種しているケースがある、と北濱が発言したとき、会場にどよめきがおきました。日頃ワクチン開発や普及に従事されている多くの会場の方にとってショッキングな事実だったように感じました。
だからこそ、確実に本人確認できる幼児指紋認証のような技術が必要なんだ、と改めて感じた場面でした。

登壇終了後、NECブースに立ち寄り、北濱と意見交換をする来場者の方も多数いらっしゃって、製薬会社や研究者など、立場は違えど、同じ課題に取り組む仲間として、NECを認知いただけたように感じました。

NECはこれからも様々な国際機関をはじめとしたステークホルダーの皆様と共創しながら、誰一人取り残されない持続可能な社会の実現に向けて、デジタル技術を活用していきます。

本イベントの動画がGHIT Fund様のページにて公開中です。あわせて、ご覧ください。

GHIT R&D Forum 2024 特設サイト
new windowhttps://www.ghitfund.org/newsroom/randdforum/jp
NECが登壇したSession 4の動画
new windowhttps://www.youtube.com/watch?v=ZY5V-p0SFnU
※動画はすべて英語です

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