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「SDGsは当たり前」
チャレンジする、若い力
「SDGs」(持続可能な開発目標)という言葉を、耳にしたり目にしたりしない日は無いのではないでしょうか?国連サミットで2015年に掲げられた「2030年までに達成すべき、世界を変えるための17項目」には、各国政府や国際機関のみならず、企業経営における取り組みとしても、関心が寄せられています。
NECは、2014年に「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現を目指して7つのテーマを掲げ、NECのICTソリューションやネットワークを最大限に活用して、社会課題の解決と社会価値創造に取り組んできました。翌年に策定されたSDGsについても、グループを挙げてその達成に貢献することに取り組んでいます。その中には、「国際課題を解決していきたい」と、入社直後からSDGsの達成に向けた案件に直接的に関わり、奮闘している若手社員がいます。
「グローバルな課題の解決」に取り組む部署
2019年4月に新卒で入社した眞塚麻里江が所属しているのは、グローバル事業推進本部の国際機関グループ。ベテランと若手で構成される、8人の少数精鋭部隊です。同グループでは、各国政府の開発に関する課題や取り組みをリサーチし、その解決に向けて取り組む国際機関にNECのソリューションを紹介してパートナーシップ締結に向けた交渉をしたり、ソリューション提供や開発に関わる社内の部署に、そのような機関とのパートナーシップ機会を紹介したりするなど、NECが持つさまざまなソリューションと内外の人々をマッチングして、国際課題の解決と、持続可能な社会の実現に向けた新たな価値創造を担う業務を行っています。
眞塚が国際問題に関心を持ったのは大学2年生の頃。「日本模擬国連」という全国規模のインカレサークルでの活動を通して、一人一国の国連大使として国際問題や外交交渉などを学びます。「色々な国の立場に立って、課題を知り解決に向けて考えていく中で、それまで日本で生活しているだけでは見えてこなかった視点を得ることができました。私自身も世界のいろいろな課題を解決していきたいと思い、多くの業界に横軸で関わり、様々な技術で課題を解決するICT業界に興味を持ちました。その中でも、日本企業で、“海底から宇宙まで”というキャッチコピーの通り幅広い業界に関わり、ICTソリューションをグローバルに展開しているNECに魅力を感じました」(眞塚)
入社時は、グローバル事業に携わりながら国際課題の解決に関わっていきたいという漠然とした思いを持っておりましたが、入社後の研修などを通して自社をより深く知っていく中で、数年前にできたばかりの「グローバル事業推進本部 国際機関グループ」の存在を知りました。「開発途上国の政府と国際機関、NECがそれぞれに協力し合い、課題の解決に向けて『三方よし』で取り組むチームだと知り、まさに自分がやりたいことができるのではないかと思い、配属を希望しました」(眞塚)
国際機関から感じる期待
初めての大きな仕事は、配属から約3カ月後の8月に横浜で3日間にわたって開催された「第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)」。アフリカ諸国の開発をテーマにした、日本政府が主催する国際会議で、各国のリーダーだけでなく、国際機関や民間企業などから3万人以上が参加し、様々なイベントが行われました。NECは2008年の第4回会議から毎回参加しており、TICAD 7には、国際機関との連携やアフリカでの事業、ソリューション提供などに関わる社内4部署から、30人を超える社員が携わりました。
眞塚は、イベントに登壇する役員をはじめとする社内関係者やパートナーシップを組む国際機関、政府関係者との間の、スケジュールや当日の現場での動きなどに関する調整を、一手に担いました。役員や国際機関のトップなどの前後のスケジュールを基に、他のスケジュールに影響が出ないように関係者と連携し手はずを整えたり、当日初めて会場に足を運ぶ関係者が迷わないように事前に会場を下見し、移動経路を写真に撮って資料にまとめたり。「ガイドブックのつもりで作った」という資料は、最終的には82ぺージの大作になりました。
眞塚のトレーナーを務めた主任の椿野沙織は、「入社してまだ半年でしたが、社内でTICAD 7に関わった全員から『TICAD 7に関することは眞塚さんに聞けば全て分かる』と認知されるくらい、本当に細かいところまで事前に確認し把握していて、みんなが彼女を頼りにしていました」と振り返ります。
仕事を進めていく中でいちばん苦労したのは「英語でのコミュニケーション」だったと、眞塚は言います。「海外へ行った経験も少なく、英語は苦手でした。でも、外国籍の上司や国際機関の方とのやり取りで英語を使うことは避けられなかったので、仕事をしながら少しずつ学んでいくという日々でした」
眞塚の直属の上司であるマネージャーのクリスティアーノ・ブラネスは、彼女を「情熱を持ったやる気のある若手社員」と評します。「相手が年上でも臆することなく、細かなところまで自分の疑問をぶつけてきます。仕事の時だけでなくランチの時なども自分から積極的に英語でコミュニケーションを図っていて、英語もぐんぐん上達しています」
TICAD 7でNECは、国連世界食糧計画(WFP)、国際連合工業開発機関(UNIDO)といった国際機関との間で、NECの技術を活用したパートナーシップの締結・合意といった発表を行い、大きな注目を集めました。「TICAD 7への関わりを通して、NECが持つ技術を深く学ぶことができ、また、政府や国際機関から、NECのソリューションやSDGsに対する取り組みへの期待も感じることができました。また、WFPは2020年に飢餓撲滅への長年の取り組みが評価されノーベル平和賞を受賞されました。このような組織と連携できることを誇りに思うと同時に、引き続き様々な地球課題解決に貢献していきたいと強く思いました」(眞塚)
新たな技術で、世界の子どもたちを救う
現在、眞塚が主に担当しているのが、子どもたちの予防接種を推進する活動をしている国際組織「Gaviワクチンアライアンス」(Gavi/ガビ)と、指紋認証ソリューションを提供するイギリスのスタートアップ企業Simprints Technology Ltd.(シムプリンツ社)、そしてNECの3者で取り組んでいる、開発途上国でのワクチン普及を目的とした1歳から5歳の幼児の指紋認証の実用化に向けたプロジェクトです。
世界トップクラスの生体認証(バイオメトリクス)技術を持つNECの指紋認証は40年の歴史を持ち、その精度は世界でもNo.1の評価を得た実績があります。しかし、Gaviとシムプリンツ社と取り組むのは、「世界初」となる、幼児を対象とした指紋認証の実用化。シムプリンツ社の指紋認証ソリューションに、NECが開発した「幼児指紋認証エンジン」を組み合わせ、Gaviがワクチンを配布する際に、「どの子どもが」「どのワクチンを」「いつ接種したのか」を、指紋認証を活用してデータベース化していくという構想です。
成人とは異なり、指先が小さく柔らかく、成長とともに指のサイズが変わっていくため認証が困難と言われる幼児の指紋を、きちんとスキャンしてデータ化し、成長を経てもその都度高い精度で指紋を照合できるようにするための実用技術を確立することは、NECにとっても意欲的かつ挑戦的な取り組みです。
「SDGsの17の目標の3番目には『すべての人に健康と福祉を』が掲げられていますが、本プロジェクトはそのうちの、『ワクチンのアクセスの提供(ターゲット3.8)』と『5歳以下死亡率の低減(ターゲット3.2)の実現』につながるものだと確信しています。また、幼児指紋認証の技術は、ヘルスの分野だけでなく他の分野でも活用が期待でき、幅広い社会課題を解決するソリューションになると思っています」(眞塚)
プロジェクトは2020年4月から、計2万人の幼児を対象にタンザニアとバングラデシュで、幼児向け指紋認証の技術が実際に大規模活用できるのかの実証実験を行うことになっていました。その矢先、新型コロナウイルスの世界的な流行により、プロジェクトは一時中断を余儀なくされます。各国で感染拡大を防ぐための都市閉鎖(ロックダウン)や渡航・入国制限などの対策が取られたためです。
「コロナ禍で、当初予定していた対面形式の関連会合なども実施できなくなり、先行きが見通せなくなりましたが、リモートでもできることを考えて、会合用の資料を作成したりオンラインセミナーの開催に取り組んだりしました」(眞塚)
Gaviの活動を支援する「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」でプロジェクトリード(日本担当)を務める平井光城さんは、「国会議員向けに関連セミナーを開催した際には、色々な変更があったにも関わらず、眞塚さんにはきめ細やかに対応・調整いただき、感謝しています」と話し、「『民間×国際機関』や『ICT×現地のノウハウ』の組み合わせで、貧困国の課題解決が前進することに期待しています。NECとは今後も良きパートナーとして、共にグローバルな課題の解決に挑戦していきたいと思っています」と、今後への期待を述べています。
その後プロジェクトに関わる関係者の努力により、2020年8月からタンザニアで、11月からはバングラデシュで実証実験を開始します。現地では約1年をかけて、幼児から指紋を採取して認証技術の精度を確認した後に、実際にワクチン接種を伴った指紋認証のシステム運用を行う予定です。
新型コロナウイルスの影響を受け、眞塚が現地を訪れる機会は当面の間、延期となってしまいました。それでも眞塚は、「現場でしか分からないことがあると思うので、いつか現地に行って、実際の状況を自分の目で見てみたいです」と希望を持っています。
SDGs達成に貢献するために
NECは、社会課題の解決のために、テクノロジーを活用・開発し、SDGsの達成に貢献することを目指しています。
入社から2年。眞塚は「上司や先輩社員とチーム一丸となって、やりたいと思っていた、国際課題の解決に貢献する仕事に携われています」と充実感を語ります。国際課題の解決に向けて重要なことは、「規模を伴って、取り組みを継続していくこと」と考える眞塚にとって、NECの持つソリューションと国際機関を結び付け、これまでにない取り組みを広げていくことは、より良い持続可能な社会を作っていくための着実な一歩です。
「SDGsは『やらなければいけないこと』ではなく、『やって当たり前のこと』」と、さらりと言う眞塚のような次世代を担う若手が、先輩社員の協力のもと、NECの技術と国際機関との共創で、世界のこれからを変えていきます。
関連リンク:1人でも多くの子どもが5歳の誕生日を迎えるために~指紋認証技術~
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