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新たな働き方やビジネスを生み出す場所
~NEC デジタルワークプレイス~

お客様の業務改革を推進するDXオファリング

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響などにより世界規模でのデジタルシフトが進み、社会、個人の価値観も大きく変化しています。このような状況に対応するために企業としては、変化への機敏性(アジリティ)や事業の弾力性(レジリエンス)を身に付けることが求められます。NECにおいても、企業インフラへのテクノロジーの十分な活用に加え、文化、制度設計を通して、社員に「働きやすさ」だけでなく「働くことそのものが素晴らしい経験になる」ような「働きがいを高める」環境を提供することで、社員のパフォーマンスを最大化することに取り組んでいます。本稿では、NEC自身の工夫と、それを踏まえてお客様に提供するDXオファリングを紹介します。

1. はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、COVID-19)の感染拡大によって、外出・移動制限や都市のロックダウン、海外からの入国規制など、世界規模でヒト・モノが物理的に遮断されるケースが続きました。その一方でCOVID-19感染拡大前と比較してインターネット通信量や、データセンター向け半導体需要が大幅に増加するなど、社会におけるデジタルシフトの歩みは急速に進み、個人や社会、経済に大きな変化を及ぼしています。

このデジタルシフトに対応するために企業に求められるのは、変化への機敏性(アジリティ)や事業の弾力性(レジリエンス)を身に付けることです。そのための手段が、AIやデータ、ロボット、5Gといったテクノロジーの企業インフラへの活用であり、併せて、社員のパフォーマンスをいかんなく発揮してもらうための文化、制度面での変革が重要であると考えます。

本稿では第2章において、働き方に関する潮流とデジタルシフトに向けてNEC自身が取り組んでいる事例、第3章においてそれらの事例を踏まえてNECが提供可能なNEC デジタルワークプレイスのコンセプトとDXオファリングを紹介します。

2. 働き方の大きなシフトとNECの取り組み

2.1 働き方の大きなシフト

社会のデジタルシフトは、個人の働き方にも大きな影響を及ぼしています。政府の「人生100年時代構想会議」のアドバイザーも務めたリンダ・グラットン氏は、その著書「ワーク・シフト―孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>」1)において、2025年に向かっては、働き方に、3つのシフトが見られると予測しました。

  • (1)
    求められる人材が、さまざまな知識を持つ「ゼネラリスト」から、より高度な専門性の高い「スペシャリスト」へとシフト。また専門性の幅を生涯を通じて広げていくことが期待される
  • (2)
    個人の実績を競い合う「孤独な競争」から、同僚やパートナー、お客様と「協力して起こすイノベーション」へとシフト
  • (3)
    「消費を求めて働く」という思考から、「働くことそのものに情熱を傾ける、働くことそのものが素晴らしい体験である」といった思考へのシフト

これらから、個人は、これまでのように企業に所属し与えられた仕事において周りと競争するのではなく、今後はそれぞれのキャリアを自ら考え、専門性を開発しつつ、その専門性を生かしお客様やパートナーの方々とつながりながら協力し、イノベーションを起こして、社会に価値を提供していく形になっていくと考察します。NECにおいても、このような新しい働き方に対応するための取り組みを進めています。

2.2 NECでの取り組み

新しい働き方に対応するためには、テクノロジーの活用の最大化と人、組織の文化・制度面での変革が重要な鍵となります。これらに関するNECの取り組み事例を述べます。

NECでは、2018年からカルチャー変革の取り組みとして、オフィス改革や、スーパーフレックス制度の導入、テレワーク環境の整備など、社員の「働きやすさ」のための環境を整備しました。その結果2021年8月時点でテレワーク率は最大85%、1日当たり3.1万回のWeb会議が行われるなど、社員の働き方は大きく変化しました。

更にこれからは「2025中期経営計画」の重要施策として、個人と組織が最高のパフォーマンスを発揮しながら「働きがいの実感を高めていく」活動を、トップの強いコミットのもとで推進しています。Workplace、Digital Technology、Work Principleの考え方について次に述べます。

2.2.1 Workplace

社員の自律的な働き方によるハイブリッドワークを定着させ、働く場所は「ロケーションフリー」を原則とする一方でオフィスは社員がホームグランドとして集う「コミュニケーションハブ」としています。またお客様と社員とのイノベーションを生み出すための「共創空間」もますます重要ととらえ、今後8倍に拡大する予定です。

2.2.2 Digital Technology

NECではテクノロジーを単なるITインフラ整備という枠を超え、社員の働き方のあらゆる観点に浸透させ、個人とチームがベストパフォーマンスを発揮することをサポートし、働きがい創出の原動力として活用していきます。場所や言葉の壁、ライフプランやさまざまな事情による働き方の制約を解消し、社内に存在する多種大容量のデータの力を解き放つことにより、エクスペリエンスの向上と圧倒的な生産性の向上を支援し、社内外・社会とつながり、自己成長できるワークプレイスを提供します。Well-being by Design、Security by Designの2つのデザイン思考のもと、クラウド環境におけるセキュリティと利便性を両立した快適なクライアント環境の提供、バラバラと存在している各種申請や問い合わせプロセスを共通プラットフォームへ乗せ換えてシンプル化、標準化できる業務は極力ロボットやAIに代行させることなどを通して、社員は高度な経営判断やクリエイティブな人ならではの付加価値の高い業務に注力し、エクスペリエンスを高度化しています。また、社内外のナレッジやベストプラクティスを共有・展開できるデジタルコミュニティ形成や、さまざまなデータの分析・活用も重要と考えており、こうした考えからNECでは、個人情報やプライバシー、各国事情を加味しながら積極的につながり、データ活用を実現するためのコーポレートインフラの準備を開始しています。

2.2.3 Work Principle

新しい働き方を支える人、組織の文化・制度の変革について「社員と企業の関係の変化を受けた取り組みの考え方」「ジョブ型人材マネジメントの導入」「チーム力強化のためのデータ活用」の一例を挙げます。

  • (1)
    社員と企業との関係の変化を受けた取り組みの考え方
    これからの社員と企業は、より対等な立場で選び、選ばれる関係になっていきます。NECでも、社員が自ら描くキャリアデザインと企業の成長の双方を実現するために約束事として、企業、社員の価値観かつ行動の原点をNEC Wayとして明確化し、企業は社員の描くキャリアを実現していくための「機会」と「裁量」を提供します。「機会」の提供はジョブ型人材マネジメントの導入に不可欠なキャリアオーナーシップという考え方です。こうして社員は「自由と責任」のもとで最大のアウトカムを出せるように自律的に働き方をデザインし、積極的なキャリア形成を行います()。

表 企業が提供する「機会」と「裁量」

  • (2)
    ジョブ型マネジメントの導入
    NECでは、2019年10月に「挑戦する人の、NEC。」を掲げ、人材一人ひとりへの多様な挑戦・成長機会の提供やフェアな評価、挑戦する従業員がベストを尽くせるよう環境や風土の変革を進めています。ジョブ型人材マネジメントの導入はその1つで一人ひとりの役割と責任を明確にして、責任を全うした人に報います。「ベストを尽くせる環境/文化」と「キャリアオーナーシップ醸成」との両輪で、多様な人材が自律的に成長し、働きがいを感じられる文化を醸成していくことが重要と考えています。
  • (3)
    チーム力強化のためのデータ活用
    チーム力の強化に向けたデータ活用施策の1つとして「仕事の充実度」「生産性」「心身のコンディション」を組織・チームの状態を見る重要な指標(HR-KPI)として設定し、高めるための打ち手を、全社で定期的に行っているサーベイ、ストレスチェックや、Microsoft 365から取得できる情報、労働時間、人員データなどをもとに組織を診断し、ラインマネージャーに提供することにも取り掛かっています(図1)。
図1 「チーム健康診断・生産性診断」(働き方分析プラットフォーム)

3. 新たな働き方やビジネスを生み出す場所
~NEC デジタルワークプレイス~

3.1 コンセプト

第2章のNECでの取り組みである企業インフラとしてのテクノロジーの最大活用と人・組織、制度、文化変革を踏まえて、NECがお客様にも提供するデジタルワークプレイスのコンセプトを述べます。

デジタルワークプレイスは、新しい働き方を前提とし、社員が「Well-Beingである状態のもと、自律的に働きながら創造性を発揮」しつつ、「圧倒的な生産性を維持しながらより高い成果を創出」して、「イノベーションを起こし社会課題を解決していく」基地としての機能を整備しています(図2)。

図2 NEC デジタルワークプレイス コンセプト

COVID-19影響下でも安全・安心に働ける環境の提供はもとより健康や心理に配慮した働き方を実現し、最終的には個人と組織が大きく成長する場となります。

3.2 DXオファリング

前述のコンセプトに沿い、企業インフラとしてのテクノロジーの最大活用と人・組織、制度、文化変革をお客様がすぐに導入検討、導入できるよう、NECでの経験や知見をDXオファリングとしてまとめます(図3)。

図3 NEC デジタルワークプレイス DXオファリングメニュー

テクノロジーの最大活用としては、AI・自動化の活用、ゼロトラスト、クラウドシフトへの対応、5Gの活用、クラウド型仮想デスクトップの提供、顔認証の仕組みの活用などがあり、人・組織の制度、文化変革への対応として、戦略コンサルティングサービスを展開します。

次に、このなかから、これからの新しい働き方のために特に重要となる企業インフラでの「AI」「データの活用」、キャリアオーナーシップの考え方を支える「人材変革への取り組み」、「人材育成」に関するDXオファリングに焦点をあて紹介します。

3.2.1 AIと働く 〜NEC Digital Assistant〜

【想定課題】
企業にテレワークが浸透するなか、会議調整や経費精算の手続き、人事関係の問い合わせなど、細やかな業務がスムーズに進まず、本来業務を圧迫してしまうようなケースが生じています。

【提供価値】
本DXオファリングは、このような社員おのおのの生産性低下につながる問題に対応し、細やかな業務をチャットベースでAIに依頼することができます。またAIはチャットのやりとりを学習しパーソナライズ化された最適なリコメンドを行います。これにより社員の生産性が向上し、人ならではのクリエイティブな付加価値の高い業務に注力することができます。また、社員個人を理解するAIと一緒に働くという特別感を提供することで、エンゲージメントの向上効果も狙えます。

3.2.2 データドリブン経営
〜ビジネス&データドリブン アジャイルパートナーサービス〜

【想定課題】
変化の速い時代において、社内外にあるさまざまなデータの活用を前提としてその価値をアジャイルに見出し、業務で活用していく取り組みが求められます。

【提供価値】
本DXオファリングでは、従来のようにお客様から提供される仕様を待ってから開発するのではなく、お客様のビジネスのKGI/KPIを踏まえ、KPIを改善するために必要な機能を共同で設計し開発を進めます。例えば、コールセンターの放棄率を改善するために最も貢献度の高いアクションが問い合わせ事後処理時間の圧縮であることをデータよりつきとめ、そのために必要な機能を開発します。

KPI達成に必要な機能を探り当てる高度なITスキルとビジネスキルが求められ、その両方のスキルを持った人材も含めて提供できることが特徴です。また、データ活用にあたり、さまざまなAI技術も活用します。例えば、「Causal analysis」という因果分析ソリューションを活用した場合、相関関係だけでは分からないデータに潜む因果関係や物事のロジック、文脈構造を分析したうえで、因果構造を自動生成し提示することが可能です。この技術は、製品・サービスの分析はもちろん、従業員エンゲージメントの分析などにも適用できるとして注目されています。

3.2.3 人材変革への取り組み

(1)人材変革フレームワーク構想策定支援サービス

【想定課題】
さまざまな変化に対応し事業競争に勝つために、企業においてはデジタル人材の確保やジョブ型のマネジメント導入など、人材面での対策が急務となっています。

【提供価値】
本DXオファリングでは、これら人材面での課題に対応し、NECなどで人材変革の経験を積んだコンサルタントが、お客様の人事領域の戦略制度、施策などを把握したうえで課題を特定し、ロードマップの作成をサポートします。

このサービスを経て、職務に欠かせない能力など(=ジョブ・ディスクリプション)が明確になれば、外部からの人材確保はもちろん、現有人材の活用にもつながります。

(2)働き方可視化&改革支援サービス

【想定課題】
新しい働き方を実践するうえでは、これまでのルールが実態に合わなくなるケースもあります。対応にあたっては、定量的かつ客観的なデータによる補完が必要です。

【提供価値】
本DXオファリングでは、コンサルタントが働き方に関するさまざまなログ情報をもとに定量的な課題分析を実施し、変革ロードマップを立案します。「ハイパフォーマー」といわれるような人材にフラグを置くと、その他の人材との違いなども分析できることが特徴です。

3.2.4 AI人材の育成 〜NECアカデミー for AI〜

【想定課題】
COVID-19の感染拡大以降、企業においては既存事業の縮小への対応や、デジタル化・オンライン化への更なる対応が重要な課題となりますが、その改善のボトルネックが、高度な専門人材の不在やノウハウの欠如です。

【提供価値】
本DXオファリングは、データサイエンティストを育成するプログラムであり、NECで数多くのAI人材を育ててきた育成メソドロジーを社会に還元するべく提供しています。知識の習得支援に終始せず実践上の壁を超えられるよう、お客様の人材を一定期間お預かりします。NECのプロジェクトにて現場で起こる課題に一緒に取り組むことで現場でのナレッジを身に付けられるところが特徴です。

4. むすび

世界規模で起こっている大きな変化をチャンスに変えて、より高い価値を提供する企業、社員となるため、NECはデータ、AI、自動化などのテクノロジーの力のフル活用と人、組織の文化・制度面での変革に取り組むとともに、その経験、知見に基づくDXオファリングを提供し、お客様の新たな働き方とビジネス拡大を支援します。


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    Microsoft 365は、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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参考文献

  • 1)
    リンダ・グラットン:ワーク・シフト―孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>,プレジデント社,2012.7

執筆者プロフィール

今西 昌子
デジタルビジネスオファリング事業部
シニアマネージャー
綿引 征子
経営システム本部
上席IT戦略主幹
原田 郁子
コーポレート人事総務部
部長代理

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