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NECがDXオファリングで目指す社会のデジタルトランスフォーメーション
デジタル技術の進展により社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進みつつあるなか、NECのDXの取り組みをベストプラクティスとしてまとめたソリューション群である「DXオファリング」について、その背景や位置付けを説明します。また、お客様のDX課題に基づくNECの3つのDXアプローチとDXオファリングについて事例を交えて紹介します。1つ目は、ビジネスプロセスです。上流のコンサルティングアプローチから具体的なソリューションまで、一気通貫にお客様のDX課題解決を行うことが特徴です。2つ目は、テクノロジーです。NECではグローバルで共通なデジタルプラットフォーム「NEC Digital Platform」にNECコアアセットを集約し、拡張しています。3つ目は人材です。NECではDX人材育成プログラムを整備し、社内人材のデジタルシフトを実践しています。
本部長
繁沢 優香
1. はじめに
ICT技術、特にクラウドやAI、IoT(Internet of Things)などのデジタル技術の進展により、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)(以下、DX)」が進みつつあります。
NECは、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。」というPurpose(存在意義)のもと、社会のDXを加速させるため、デジタルテクノロジーの研究開発、お客様の経営課題の解決に向けたコンサルティング、高品質なシステムインテグレーションや運用・保守など、上流から下流まで一貫した取り組みを行っています。
本特集で紹介するDXオファリングは、これまでの取り組みをベストプラクティスとしてまとめ、お客様のDX課題をスピーディかつ高品質に解決するソリューション群です。
次に、DXオファリングに取り組む意味やDXオファリングの体系、及び各DXオファリングの内容や提供価値、特徴などについて説明します。
2. 社会変化とDX市場の動向
まずDXに関する動向ですが、ビジネスとテクノロジーの両面でDXが加速しています(図1)。
ビジネスの観点においては、さまざまな業界・業種で異業種間連携が加速しています。
例えば、トヨタ自動車株式会社のつくる街づくりでは日本電信電話株式会社(NTT)やENEOS株式会社が参画していますし、小売業界を見てみれば、Amazonや楽天と、実店舗を持つスーパーが提携するなどしています。
また、この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに、グローバルにサプライチェーンを見直していく動きが顕著になりました。
更に2021年には日本でもデジタル庁が発足し、デジタル・ガバメントも推進されていく動きです。
またNECでも進めていますが、全社レベルでのレガシーシステム刷新の動きも加速しています。
テクノロジーの観点では、ご存知の通りAIはさまざまな業務に活用されるようになりました。コールセンターやものづくりの現場などでも活用が進んでいます。
またさまざまなデータが蓄積され、その利活用にも大きな注目が集まっています。
一方で、デジタル化が進むにつれ、そのサイバー空間の安全・安心にも留意する必要があります。
5G、6Gに関しては、ソフトバンク株式会社やKDDI株式会社がいずれも2兆円規模の投資を行うと発表しています。
3. 社会のDXを加速するうえでの課題
国内DXの状況を見てみると、組織的にDXを推進する企業は増加しており、DX推進リーダーの役職を設置している国内企業は、既に63%に上っています(図2)。
そのなかでもリーダーが執行役員以上という企業は、全体の81%を占め、まさしくデジタル課題はイコール経営課題であるといえます。
一方で、DX推進には多くの課題が見られ、DXビジョンやロードマップが描けない、具体的な事業への転換が進まない、DXに関する人材が不足しているという声が多く聞かれます。
4. NECのDXアプローチ
NECは、DX推進のために3つのフレームワークを定め、アクションのPrincipleとしています(図3)。
4.1 ビジネスプロセス
DXはDXを実施することが目的ではなく、デジタルシフトされている変化のなかで、経営目標を達成するための手段であるため、DXを実施する目的を明確化することが非常に重要であり、DXの結果を左右します。
NECではNEC社内にDX専門のDX戦略コンサルタント組織を立ち上げ、DXに関する上流からの構想策定を行っています。
NECのコンサルタントの特徴は、上流から実装・運用まで、一貫して提供していける点、実装・運用の経験・スキルをコンサルアプローチにフィードバックし、常にアップデートし続けている点です。
構想策定を絵に描いた餅にしないために、社内5,000名のDX人材とも連携しながらDX実現に向けての具体的なロードマップを創り出します。
また、グループ会社としてコンサルで長年の実績があるアビームコンサルティング株式会社のコンサルタント5,000名とも連携しながら進めています。
DX構想策定の実績としては、1年間で7業種の、DXリファレンスにつながるNECのお客様50社と既にプロジェクトを開始しています。
このなかには、ハワイの空港のプロジェクトなど、グローバルなお客様も含まれます。
本特集で紹介するDXオファリングも、ビジネスプロセスに位置付けられます。お客様の経営課題をイノベーション創造、お客様接点改革、業務変革ととらえ、お客様課題を解決するDXオファリングを整備しています。
DXオファリングには業種のノウハウや、NECのコア技術を含む全社の知見を集約しています。
DXオファリングの提供事例を3つ紹介します。
1つ目は、街のDXに向けた取り組み、いわゆるスーパーシティ構想です(図4)。
NECでは街のDXに向けた取り組みとして、地域らしい街の進化を支えるため、「経済基盤の活性化」「住む人・集まる人の生活の質(Quality Of Life:QOL)向上」「地域特有課題の解決」の3つの重点施策を実施しています。
「経済基盤の活性化」では都市経営サービスコンサルティングによる施策の実装、「QOL向上」では住民とともにサービスを具体化する共創プロセス、「地域特有課題の解決」では医療データの利活用や個人に合わせた観光プランによるリピータ確保などの分野間データの利活用などを行っています。
これらのノウハウを活用して、政府が行っているスマートシティ、スーパーシティの政策にも多く参画しており、スマートシティでは13自治体、スーパーシティでは31自治体のDXを支援しています。
グローバル標準の都市OS基盤FIWAREによるデータ利活用を実施し、データ利活用の先進市場である欧州やインドでもプロジェクトを展開しています。
2つ目の事例は官庁向けクラウドサービスです(図5)。
オープンで信頼性の高いマルチクラウドにより、行政の迅速なデジタル化に貢献しています。
また、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に対応したクラウド基盤サービスを提供しています。
3つ目の事例は2021年東京開催の世界的スポーツイベントで活用された、顔認証技術による本人確認システムです。
NECからは、ICTシステムだけでなく、次世代の業務用無線システム、混雑状況可視化システムを納入し、安全・安心で効率的なイベント運営に貢献しました。
4.2 テクノロジー
DXの実現には、テクノロジーも欠かせない要素です。NECではグローバルで共通なデジタルプラットフォーム「NEC Digital Platform」にNECコアアセットを集約し、拡張しています(図6)。
「NEC Digital Platform」の活用事例を紹介します。
最初にグローバル共通Platform(PF)を活用してスピーディに顧客課題を解決した事例です。
まず空港では、航空系ITソリューションプロバイダ国際航空情報通信機構と協業し、非接触な空港搭乗手続きの導入を進めています。スターアライアンスとの協業により、フランクフルト空港とミュンヘン空港(ドイツ)にて、NECの顔認証を活用した本人確認プラットフォーム「Star Alliance Biometrics」の運用が始まっています。
また、成田国際空港・羽田空港国際線旅客ターミナルビルにおいても「Face Express」が稼働開始しています。
既に世界約50空港で、顔認証を活用したシステム導入が進んでいます。
また、ハワイにおいては安全・安心な観光とビジネス回復のために、DXオファリングとPFを活用してハワイ主要5空港にウォークスルー体温検出ソリューションを約1カ月で導入しました。今後ショッピングセンターや観光地など、オフエアポートにおける展開を目指しています(図7)。
4.3 人材
DXを進めるには、人材の力が不可欠です。
NECではDX人材育成プログラムを整備し、社内人材のデジタルシフトを実践しています。
さまざまな領域で既にDX人材5,000名がいますが、2025年には10,000名に倍増させる計画です。
また社内で実施したAI、セキュリティ、クラウド、デザイン思考などの人材育成のノウハウを集結して、デジタル時代に必要になるDX人材育成オファリングをお客様にも提供していきます1)。
DX構想企画・オーガナイズ力を育成する「DX Organizer Program」、AIやサイバーセキュリティなどテーマごとに実践力を強化する人材育成フレーム、基礎的なスキルを身に付けるプログラムなどを整備しています(図8)。
このような取り組みや教育体系により、ビジネスとテクノロジーの両面からお客様のデジタルシフトを実現するスペシャリストを育成していきます。
5. 最後に
本特集では、NECが提供するDXオファリングの全体像や、お客様がDXを推進するうえでの課題解決にフォーカスした各種DXオファリングを、事例も交えながら紹介します。
お客様とともに、社会のDXを通して、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造していきたいと考えておりますので、ぜひ最後までご一読いただければ幸いです。