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タッチレスで快適なこれからの顧客体験

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、人々のあらゆる生活環境に影響を及ぼし、人の生活やビジネスの形を大きく変えようとしています。ホテルや集客施設などのサービス業においては需要が急減しており、サービス提供側は効率的で安全・安心な事業運営を実現することが喫緊の課題となっています。課題解決には、「早く」「正確に」「非接触で」利用者本人であることを認識する技術が求められます。NECの顔認証技術は、非接触認証で素早く正確に本人認識が可能な技術です。本稿では、ホテルや集客施設における顔認証を活用したソリューションの取り組みと、顔を共通IDとしてカスタマージャーニーをつなぐ将来構想について紹介します。

1. はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、2020年6月の訪日外国人は2,600人にとどまり、2019年6月時点の288万人から急減しています()。ホテルなどのサービス業においては需要が急減するなかで、サービス提供側は効率的で安全・安心な事業運営を実現することが喫緊の課題となっています。

表 2020年 訪日外客数

本稿では、ホテルを中心としたサービス業において、これらの課題に対する顔認証を活用したソリューションの取り組みを紹介します。

2. ホテル業向けスマートホスピタリティサービス

ホテルにおけるフロント業務において、チェックイン、チェックアウトの受付対応や、氏名や住所を記載する宿帳の入力などは、特に顧客が集中しやすい時間帯においては業務負荷が高く、密を発生させる要因となる業務です。既に、自動精算機を導入してチェックアウト業務の一部負荷軽減を図るケースは増えていますが、抜本的な解決策にはなり得ていません。スマートホスピタリティサービスでは、スマートフォンアプリケーションでゲストカードの必要事項をあらかじめ登録しておき、ホテルのフロントでは本人確認をするだけでスマートにチェックインが完結し、部屋も本人であることを認識してデジタルに開錠できる仕組みを実現できます(図1)。この仕組みを実現するうえでキーデバイスとなるのが、顔認証技術になります。

図1 スマートホスピタリティサービス

具体的には、各ホテルが共通で利用できるスマートチェックイン用スマートフォンアプリケーションにあらかじめホテルの宿泊予約情報を読み込み、氏名、性別、住所などゲストカードと同様の情報入力と、併せて顔画像を登録しておきます(図2)。

図2 スマートチェックイン用スマートフォン
アプリケーション

宿泊者がホテルにチェックインする際は、KIOSK端末もしくはフロントに設置されたカメラ付きの端末に顔を向けることで、チェックイン予定の宿泊者であることが確認されます。これによりチェックイン時のフロント業務負荷を軽減するとともに、非接触・非対面による安全・安心な環境を提供します(写真1)。

写真1 チェックイン端末イメージ

チェックインした宿泊者はそのまま部屋に向かい、部屋の扉に設置されたカメラに顔をかざすだけで顔認証が行われ、扉が開錠されます(写真2)。宿泊者は、ルームキーを部屋に忘れたり、紛失したりするリスクがなくなり、また、家族など同室に宿泊する人同士での鍵の受け渡しなどの手間もなくなります。ホテル側は、フロント業務における鍵の受け渡しが不要となり、非対面による安全性の確保と工数の軽減につながります。

写真2 顔認証による扉開錠イメージ

これらの仕組みを実現するためには、PMS(Property Management System)と呼ばれる宿泊予約管理システムとの連携が必須となりますが、NECは既にホテル基幹業務システム「NEHOPS」ブランドにてPMSをサービスとして展開しており、シティホテルマーケットにおいて70%を超えるシェアを有しています。そのため、「NEHOPS」とのインタフェースは既に用意されており、利用者の許諾を得たうえで宿泊情報を連携することで、容易にスマートホスピタリティサービスを導入することができます。

既に活用されている事例を紹介します。NECは三井不動産株式会社様と株式会社三井不動産ホテルマネジメント様が展開するホテルブランド「sequence」において、スマートホスピタリティサービスを提供しております。顔認証を活用したセルフチェックインとキーレスでの入室により、「sequence」が目指すコンセプトの1つ「smart:気の利いた心豊かになれる時間」の実現に貢献しています。

3. 顔でつなぐカスタマージャーニーの実現

これまでホテルのインフラや業務に関係する顔認証の活用について取り上げましたが、利用者は本来、観光やスポーツ観戦、温泉や食事など、その地域のアクティビティを楽しむためにホテルに宿泊します。

利用者は、空港や鉄道などの移動から、ホテルのチェックインやルームキー、食事の決済、レジャー施設の入場パスなど、非日常体験動線のなかで一連の本人確認アクションがストレスなくつながることを望んでいます。NECでは、顔認証を共通IDとしてソリューション同士をシームレスにつなげ、非日常体験動線全体を通して顧客満足度を高める取り組みを始めています(図3)。

図3 顔を共通IDとした非日常体験動線

また、共通IDをつなげるだけでなく、ホテル利用者へ好みに合った地域アクティビティの提案をしたり、アクティビティ利用者へ次のホテルプランを提案するなど、利用許諾を得たうえでレコメンドサービスを行い地域全体の活性化を図る取り組みも視野に入れています。

今後のサービス拡充予定ですが、まずは空港手荷物配送サービスの実現を目指します。本サービスでは、宿泊客が空港などの手荷物配送カウンターに設けた専用タブレットで、顔認証によりホテルの予約確認を行い、宿泊先ホテルに手荷物を配送しておくことで手ぶら観光ができるようにするものです(図4)。配達伝票を日本語で書くことができない訪日外国人でも安心して利用することが可能となっており、ホテル側は利用者のホテルチェックイン時間を事前に把握することで、部屋の準備をスムーズに進めることができます。

図4 空港手荷物配送サービス

4. むすび

本稿で取り上げたソリューションで活用する「顔」は、忘れることがなく、なくすこともなく、非接触で安全に本人確認を可能とする最良のキーデバイスとなります。NECでは、顔認証を共通IDとしてソリューション同士をシームレスにつなげ、カスタマージャーニー全体の顧客満足度を高めながら、人と場を結び付け、その人を継続的に動かすことにより地域を支える仕組みを実現していきます。

執筆者プロフィール

藤田 悟
トレード・サービス業ソリューション事業部
マネージャー

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