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SCM高度化によるサプライチェーン全体の在庫最適化
Anaplan CONNECT Tokyo 2024イベントレポート【2024.11.20】
カテゴリ:DX・業務改革推進調達・生産管理SCM/MES/FSM
2024年10月16日(水)、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京にて計画分析業務における国内最大級のイベント「Anaplan CONNECT Tokyo 2024」が開催されました。
AnaplanのSolution Advisory PartnerであるNECは、ブース展示とともにランチオンセッションに登壇し、Anaplanを活用し、製造業のお客様のROIC経営を実現するためのSCM高度化に関するソリューションをご紹介しました。ここでは、その様子をお届けします。
[目次]
●「Anaplan CONNECT Tokyo 2024」の概要
Anaplan社は、フロリダを本拠地とし、日本をはじめグローバルに拠点展開しているエンタープライズクラウドソフトウェアの大手プロバイダー。組織全体を連携させて経営計画の立案や運営を効率的に行う製品が強みで、NECも製造業のお客様を中心にSCMのソリューションとしてご提案しています。
「Anaplan CONNECT Tokyo 2024」は、日本における同社のプライベートセミナーとして開催され、800名ほどの来場者を集め盛況に終わりました。
アジェンダとしては、5つの基調講演のほか、4つのランチオンセッション、16のブレイクアウトセッションで構成。基調講演では、ユーザーである日本の大手プラント・機械メーカー副社長とAnaplanジャパン株式会社社長執行役員との対談などが行われました。また、ロビーでは同社と提携するベンダー各社がブースを設けて説明を行いました。
NECは、ランチオンセッションと共通するSCM高度化に関するソリューションを展示。大変多くの方がNECブースで足を止め、熱心に説明に耳を傾けていました。
次に、NECスマートインダストリー統括部の久保明子が行いましたNECのランチオンセッションの内容についてご紹介します。
●NEC講演「SCM高度化によるサプライチェーン全体の在庫最適化」
【講演者のご紹介】
NEC スマートインダストリー統括部 久保明子
NECにて約20年に渡り、製造業の販売管理や生産管理などの基幹システムのインテグレーションや業種向けサービス開発業務に幅広く従事。近年は、SCM領域を中心に、製造業向けのものづくりDXソリューションの事業開発を推進。
1. 製造業をとりまく外部環境の変化と注目される経営アジェンダ
製造業でもあるNECは、1990年代から過剰在庫による経営危機を機に「ものづくり革新」への取り組みを始め、サプライチェーン全体の改革、グローバルOne Factory化、スマートファクトリー化を進めています。こうした一連の取り組みで得たノウハウを活用し、お客様のものづくりDX推進をご支援しております。
こうしたご支援内容の一環として、ここでは「SCM高度化によるサプライチェーン全体の在庫最適化」についてご説明します。
いま、製造業を取り巻く環境は、紛争や気候変動によるサプライチェーンの分断、労働人口の減少、原材料の高騰など様々なリスクが生じています。
こうした中で、NECとしては次の4つの経営アジェンダが求められると考えております。
- ①ROICなどの資本生産性重視の経営/全社横断のデータドリブン経営
- ②スマートマニュファクチャリングの実現
- ③環境経営の実現
- ④エンゲージメントの向上/デジタル人材の育成
ここでは、①ROICなどの資本生産性重視の経営/全社横断のデータドリブン経営についてご説明します。
2. ROICとサプライチェーンマネジメント
企業の成長のためには、収益による投資が不可欠です。そこで、投下資本に対して効率的に利益を回収できているか、今後事業を拡大/縮小すべきかを判断するための指標として、投下資本利益率(Return On Invested Capital:ROIC)を重視する「ROIC経営」が求められると考えています。
ROIC経営を進めるには、「ROICツリー」を展開し、それぞれの分子・分母に対してKPIを設定し、“増やす”“減らす”活動に具体化させる必要があります。
また、経営目標と業務オペレーションの相関を明確にする「ROIC経営と現場業務の同期」も重要です。経営が決めた予算を基に、現場が販売やコスト計画をS&OP(Sales and Operations Planning)プロセスを通じて数から金額へ換算することで、SCMの高度化を図るのです。
しかしながら、ハードルが高く実際に行うのは難しいと捉える企業もあるでしょう。そこで、何らかの歪みの結果であり、かつ業務側でコントロール可能な「在庫」に注目して活動してみることをお勧めします。
3. サプライチェーン全体の在庫適正化
サプライチェーン全体の在庫適正化によるROIC経営を実現させるための、3つのソリューションをご紹介します。
(1) NECの知見を活かしたコンサル:サプライチェーン全体の可視化
冒頭でNECのものづくり革新に触れましたが、当時はつくることにフォーカスをしたプッシュ型の生産を行っていました。販売計画/予測との連携ができておらず、過剰在庫を生み出してしまったのです。
そこで、お客様の要求に反応し、全体を一つのシステムとして自律的に機能する「顧客起点のものづくり」の観点で改革に取り組みました。
目指したのは、“造る”“運ぶ”“構える(貯蔵)”をスムーズかつタイムリーに流すスループットの向上です。つまり、部門最適から全体最適への転換です。これにより、リードタイムの短縮や保管コストの削減などROIC向上に貢献できます。
部門最適では部門間に在庫が滞留するなどの歪みが生じます。これを全体最適に改めるには、部門間を連携するKPI管理が重要です。
サプライチェーンの改善には、総リードタイムにおいて多くを占める滞留時間の分析・削減が必要で、そのためには生産の仕組みづくりと、サプライチェーン全体の可視化(サプライヤ側、工場内、顧客側の各状況の把握)が求められます。
そこで、NECは自社のものづくり改革のナレッジを踏まえたサプライチェーンアナリティクス基盤サービス(SCA)をご提供しています。
SCAは、①匠コンサル(業務改革)、②アプリケーション、③データアナリティクスによる三位一体のサービスメニューとなっています。
アプリケーションとしては、滞留アラート一覧や製品別在庫推移、滞留ヒートマップ、滞留在庫推移マップなど様々な視点でサプライチェーン全体を俯瞰できる画面をご提供しており、いち早く変化に気づき、過剰生産を抑制するアクションに繋げることができます。
(2) データドリブン経営・コネクテッドプランニング
Anaplanの活用によるデータドリブン経営・コネクテッドプランニングについてです。
SCMの高度化のために「ROIC経営と現場業務の同期」の重要性について前述しましたが、そうした業務プロセスにおいては、大きく「目標設定」、「計画」、「予測」の連携が重要です。
目標設定では、①ROICの値とROICツリーのKPIの設定、②経営シナリオのシミュレーション、③金額ベースでの需給計画の検討、④目標達成に向けたシナリオの提示による経営指標と業務計画の紐づけ、といった流れがあります。
この運用を開始後、問題が発生した場合はROICツリーを掘り下げることで原因追求が可能です。
SCM業務の評価を実効利益で行うことで、収益性の改善に繋げることができます。粗利は見込めても、原材料の調達から製造、輸送、保管に至る販管費を引いての実効利益はマイナスとなる状況や、そのコスト増要因も分析できます。
そして、収益を最大化させるためのPSI(生産・販売・在庫)のシミュレーションにもAnaplanは活用できます。
(3) さらなる高度化に向けたAI・最適化エンジン
製造業を取り巻く環境が非常に大きく変化する中、迅速に対応するためにはデータドリブンのものづくりを高度化させる必要があると考えます。
そこで、NECのAI技術を用いたソリューションについて、導入事例を通じてご紹介します。
まずは、量子コンピューティングによる生産計画最適化。
NECの生産子会社であるNECプラットフォームズに導入したもので、量子アニーリング技術を用いて様々な生産条件・制約条件による膨大な組み合わせの中から最適な条件を自動的にナビゲーションするというものです。
これによって段取り工数50%削減、設備稼働率15%向上、立案工数90%削減といった成果に繋げています。
また、意図学習を活用すれば熟練者の意思決定履歴データから、背後にある「意図」として最適化指標を学習し、その意思決定を模倣することで属人的な業務のAIによる自動化を実現できます。
次に、飲料メーカー様向けの新製品需要予測。
類似性判断によりベンチマーク商品を選定し、新製品との差異分析によって需要を予測するというものです。NEC独自のAI技術と需要予測の専門知識を掛け合わせ、需要予測オペレーションの仕組みを創出しています。
これによって、売上機会損失、棚卸資産、在庫保管費、物流費など年間3億円の削減を見込んでいます。
次に、生成AIによる地方自治体の会計業務の効率化。
NECの生成AI「cotomi」により会計事務に関するデータを学習し、問い合わせ対応業務を自動化させています。
4. NECが考える将来の世界観
最後に、NECが考える将来の世界観についてです。
2030年に向けて様々な行動変容が起きていきます。その中で、企業は変化とともに進化が求められていくでしょう。そうした際に、NECは本日ご説明してきたようなソリューションを始め、データ活用の観点でお客様の企業価値向上に向けてご支援させていただければと考えております。
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