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カーボンニュートラルの取り組みに貢献する製造業向けソリューションのご紹介
自動車部品業界の大変革に備える一歩③【2022.07.13】
カテゴリ:DX・業務改革推進品質・環境・物流スマートファクトリー(IoT基盤/AI)
NEC スマートインダストリ統括部 セールスコーディネーター 深見 友彦
カーボンニュートラルの実現に向け、製造業においては生産現場のデジタル化による紙資源利用の低減、品質向上による廃棄ロス削減、生産性向上によるエネルギー利用の抑制、人やものの移動の制御など、様々な取り組みによりCO2削減に貢献できると考えられます。
本稿では弊社でCO2削減に向けた取り組み、デジタル化への挑戦と、それを実現する各種ソリューションを紹介します。
1.方向性とNECの取り組み
データドリブンの意思決定や対処の必要性
自動車部品製造業のお客様においては、完成車メーカからの要請もあり、カーボンニュートラルへの対応はもちろん、新型コロナウイルスのパンデミックも求められています。
SCMの影響を最小限にとどめ、更には半導体不足の中でのものづくりの継続など、これまでに例を見ない対策・対応を迫られているのではないでしょうか?
このように不確実性が高い環境において、企業のサステナビリティを維持するためにデータドリブンの意思決定や対処を弊社では実践しております。データを使ったものづくりや改善活動により諸課題の改善実績を上げております。
NECの環境配慮方針
弊社における環境配慮への取り組みは、以下の通りです。
CO2の排出とエネルギー使用量について、2014年に株式会社早稲田環境研究所様と定量評価手法を開発し、測定を開始。2017年に2050年までにICTの活用などによって、カーボンニュートラルを実現させると表明しています。
方針は大きく「緩和」と「適応」の2軸の活動になります。
「緩和」は、生産現場やサプライチェーン全体を通じたエネルギー使用量の削減が目的となります。例えば、エネルギーロスの削減や生産性向上、稼働率や輸送効率の改善など、日々のものづくりで行っている改善活動になります。
植林や排出枠売買といった策もありますが、製造業としてものづくりの現状を捉えて改善させていくことが重要であると考えます。
弊社では自社の取り組みに加え、ICTを活用し社会、お客様へ貢献することを考えております。
そのICT導入によるエネルギー使用量の削減対象としては、次の5項目が挙げられます。
①紙の使用 ②設備停止 ③不良・廃棄品 ④ものの移動 ⑤人の移動
ICT導入で、IT機器やネットワーク機器の消費電力は増えますが、①~⑤の削減と合わせてトータルでエネルギーを削減するという考え方になります。
次に、この5項目で代表的なソリューション例をご紹介します。
2.ソリューションのご紹介
① 紙の使用対策
作業指示書や作業報告書といった紙の削減対策として、作業者の手を止めずに指示内容を確認し、実績をタイムリーに把握する為の「音声による作業指示と実績登録」ができる人作業ナビゲーションについてご紹介します。
このソリューションは、作業者が装着したヘッドセットにコンピュータから作業指示が流れ、作業実施後に作業者が音声で完了を伝えるという仕組みです。作業指示が流れた時が作業開始時刻、音声回答した時が作業完了時刻として作業実績をリアルタイムに記録します。ライン組立作業や設備保全作業、検査業務などで活用できます。
弊社では、本ソリューションを導入し作業報告書を廃止。管理者によりストップウォッチを持っての定期的な作業時間計測も必要なくなりました。更にリアルタイムで取得した実績を昼と夕方に確認することで、早期に異常発見と対処が可能となり、改善サイクルの高速化を実現しています。加えて、ガイド復唱によるミスの低減や手順書確認のために目線を外すことがなくなり作業時間の短縮、期間作業者の教育期間が補助機材活用により短縮など多くの効果を出しています。
② 設備稼働対策
弊社の工場で実証し、ソリューションとしてご提供しているデータ基盤「NEC Industrial IoT Platform」をご紹介します。生産設備の様々なデータを収集、蓄積、見える化することで、設備稼働率を阻害する要素である7ロスの視点で課題を見つけ出し、改善につなげ生産性の向上が図れます。弊社工場で成果に結びつけた実績とノウハウをお客様へソリューションとしてご提供しています。
- データ収集方法、追加変更が容易となるデータ構造、
- 改善による変更を容易に実現するためのノンプログラミング志向のコンテキスト設定機能、
- KPIや閾値の変化、異常発生に対するアラーム機能
などをご提供します。
さらには「ものづくりDX 改善ガイド」を2022年度内のリリースを予定しております。
③ 不良・廃棄品対策
ここでは、「生産、加工情報の実績データと検査結果からAIを活用して不良要因を分析」するソリューションをご紹介します。
NECでは、複数のAIエンジンとオープンソースのソフトウェアを組み合わせたAdvanced Analytics Platform(AAPF)というAI基盤を提供。これを用いて、社内で不良要因分析や需要予測に活用するための検証を実施しています。AIの知見が十分でなくても活用できないか、との現場の声をうけ業務テンプレートを開発。製造業様向けには、品質不良要因分析と需要予測のテンプレートをご用意しています。
AIのアルゴリズムとしては、NEC独自の異種混合学習技術を利用。データからAIが自動的に相関性を見つけ出し、人が理解しやすい形で予測式や結果を示します。操作も、①テンプレートを選ぶ、②データを登録し学習させる、③予測モデルをチューニングするという簡単な3ステップ。AIのモデルをつくり、不良品が少なくする条件を見つけ、実際のものづくりで検証するという流れになります。
④ ものの移動対策
弊社は2000年前後に大量の在庫を抱えたことを期に、トヨタ生産方式を学び、「かんばん」という仕組みをITで実現させ、20年以上実践しています。考え方は「つくる」「運ぶ」「構える」という、ものの状態と流れを見える化し、スループットを改善し在庫削減に貢献するというものです。
弊社では、生産革新を実践してきたメンバーが「Value Stream Map」と呼ぶ、ものと情報の流れの整理から始め、現場の動線や物量、ストックポイントの設計など、お客様のデータと「SCM Performance Monitoring」を使っての現場改善支援を行っています。
⑤ 人の移動対策
弊社では、リモートグラスを活用した遠隔業務支援サービスをご提供しています。作業者がスマートグラスを装着し、遠隔の支援者がPCで見守ったり指示を行うという仕組みです。作業者がグラスを通じて見ている同じものを監督者が見たり、作業者のグラス越しにARで指示を出すことができます。複数作業者を1カ所で監督・支援することが可能です。NECでは、海外工場の立ち上げ時の事前評価や、作業のムリ・ムダ、ムラ取りの評価などに活用しています。
将来的にローカル5Gの導入を想定し、リアルタイム映像により遠隔地から作業指示を行うことで、熟練技能がなくても正確な作業が行える遠隔作業支援システムの社内実証を行っています。
以上のように、ICTを活用しカーボンニュートラルに貢献するツールをご紹介しました。
弊社では、仕組みだけでなく業務プロセスの見直しや実現に向けたマインドや文化の醸成などまで、様々なソリューションやサービスでご支援しております。
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