サイト内の現在位置

ものづくりを変革する“BOP”の威力とは

ものづくりの未来

各業界におけるBOP活用法を伝授【2019.09.13】

カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造PLM/CAD

日本電気株式会社 製造・装置業システム本部
マネージャー 山下元彦

製造業のお客様に対して、CADやPDM(製品データ管理)、PLM(製品ライフサイクル管理)などのエンジニアリング領域で用いるソリューションをベースに、お客様の企業価値向上に繋がるコンサルティング、ソリューション提案をミッションとしている。

工程間の“擦り合わせ”が品質や生産性向上に不可欠

90年代以降、製造業に部品の一覧表である「BOM」(Bill of Materials:部品表)が浸透し、製品の見積もりから設計、調達、生産、保守とあらゆる工程に利用されています。

設計工程では設計者の視点で「設計BOM」が作成され、生産工程ではそれを基に生産視点で必要な形に変更し「生産BOM」が作成されます。そのように、各工程で変化するBOMをエンジアリングチェーンとして繋ぎ、BOMを核として製品ライフサイクル全体で情報を統合的に管理できている企業も出てきました。

一方、実際のものづくりにおいては、設計者と生産技術者の連携が極めて重要です。例えば、設計の初期段階で過去の設計BOMと照らし合わせて設備や治工具の共通化を検討したり、どこでどのように作るかを確認したり、実際に試作し、生産容易性を設計者にフィードバックするといった“擦り合わせ”が品質作り込みや生産性向上に欠かせないからです。

設計と生産をシームレスに連携させるBOP

設計と生産をシームレスに連携させるBOP
NEC 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下 元彦

擦り合わせでは、「どの工程で」「どのように」「何の設備や治工具を使って作るか」を表す製造プロセスの情報が必要となります。しかし、製造プロセス情報は、「製造指示書」や「QC工程表」といった帳票としてエクセルやパワーポイントなどで作成している製造現場がまだまだ多く、データとして一体的に管理できていないのが実情です。

そこで登場したのが「BOP」(Bill of Process:工程表)です。BOMが「どんな部品を何個使ってつくるか」を表す製品自体の基準情報であるのに対し、BOPは「どの工程でどのように何の設備や治工具を使って作るか」を表す製造プロセスの基準情報です。このBOPを、目的が違い形も付加情報も異なる設計BOMと生産BOMの間にシステム的に介在させることで、両者がシームレスに連携できるようになります。

このBOPが注目され、導入を始める企業が増えている背景には、生産拠点のグローバル展開や労働力不足が挙げられます。そして、そのBOP導入の目的や活用法には、業界ごとの違いが見られます。

自動車部品メーカーはグローバルなトレーサビリティに活用

まず、自動車部品。製品に不具合が発覚し、リコールとなるケースがよくあります。現在では世界中に3次請、4次請と生産拠点が広がっているので、トレーサビリティが容易ではありません。

どこの国のどの工場でどのように製造しているのかを詳細に把握するには、一つ一つの工場に赴いて調査を行う必要がありますが、それには膨大な手間と時間を要します。

そこで、BOPを導入して全生産拠点と繋ぐことで、マザー工場に居ながらにしてあらゆる生産現場を一元管理したいというニーズが生じています。

以下のWebページで自動車部品メーカーでのBOPケーススタディを紹介しています。

ハイテクメーカーはロボット化を機にBOPを導入

日本電気株式会社 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下元彦
NEC 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下 元彦

次に、電気製品やPC、モバイルデバイスといったハイテク製品。BOPの必要性は認識されているものの、メガリコールなどの押し迫った事情がないため、自動車部品業界ほどの導入の必然性までには至っていません。

しかし、複数の海外拠点で生産を行う企業においては、 どこで作った製品でも均一な高品質を維持するために、 言語や文化の壁を越えたグローバル標準BOPの整備が必要になってきています。 品質計画に基づいた生産指示や製造ノウハウを正しく伝達し、製造要員の育成をするためのツールとしてBOPへの期待が高まっています。

一方で、労働力不足を見越し、生産ラインのロボットによる全自動化を検討しているメーカーもあります。そうなると、従来、エクセルなどで作成されていた製造指示書やQC工程表の膨大な情報をロボットにインプットする必要が生じます。これを手作業で行うわけにはいきません。そこで、BOPを導入し、情報をデータ化するニーズが生じています。

また、設計者に製造コストの意識があまりなく、生産現場の人海戦術によって対応することがありました。莫大な投資が必要なロボット化では、製造コストを意識した設計、生産効率を重視した設計を行う必要性が生じます。このためにも、設計と生産を繋ぐBOPが必要になるという側面があります。

プロセス産業はニーズの多様化や高度化に適応させる情報連携に活用

高機能素材や食品、消費財などのプロセス産業においても、導入が始まっています。製造物の特性から、レシピだけではなく、設備や製造条件など(つまりBOP)を一緒に管理する必要がありますが、やはりエクセルなどによって属人的な方法で管理している企業が多いのが実情です。しかし、ニーズの多様化や高度化により、製造条件を変えたり、添加物をコントロールしたバリエーションを小ロットで生産することが増えてきました。

そこで、設計と生産における情報連携をスムーズにする必要性が生じ、BOPに光が当たっています。

医療機器メーカーは公的機関申請に活用

医療機器メーカーにおいては、公的機関への申請をスムーズに通すために、当局からの照会に即応できるようにBOPを活用できないかという動きがあります。

備えるという意味においては、自動車部品におけるトレーサビリティに近い用途といえるかもしれません。

24年連続でトップシェアのソリューション「Obbligato」 ※

NECは、BOMやBOPを統合管理するPLMソリューション「Obbligato」を開発・リリースしています。1991年に発売開始し、1995年から2018年まで24年連続PLM領域において国内トップシェア(2018年度は33.5%)の実績を有します。これまで1000社近い電機、機械、自動車などの組立製造業を中心にご提供してきました。近年では、前述のとおり素材や消費財などのメーカーにも導入が加速されています。

NECは製造業でもあり、Obbligatoをグループ全社で活用しています。様々な改善を行い、「Obbligato」にフィードバックしながら機能強化を図ってきました。2019年秋にリリースする最新バージョンでは、企画/引合→設計→生産準備→調達→生産→品質→販売→保守という一連の製品ライフサイクルにおけるBOMやBOPをよりシームレスに連携する機能を強化しています。これにより、変化の激しい顧客ニーズへの迅速な適応や、製品開発リードタイムの短縮、品質向上、トレーサビリティの迅速化にさらに強力に貢献します。

NECでは、「Obbligato」によってどのように生産革新を実現させるか、コンサルテーションの段階からお手伝いしておりますので、まずはご相談いただければと思います。

  • 出典:㈱テクノ・システム・リサーチ「2019年機械系CAD/PLMビジネス市場分析調査」(2019年7月)

関連リンク

「Obbligato/BOPマネジメント ソリューション」ご紹介資料

PLM「Obbligato」の特長、「BOM/BOP」とは?BOPの活用方法とメリットについてわかりやすくまとめた資料です。

「Obbligato/BOPマネジメント ソリューション」ご紹介資料

DX時代のPLM戦略 New Normal を勝ち抜く救世主 BOPとは

製造業のデジタル変革を実現する経営戦略として、BOP(Bill of Process)が注目されています。全社に拡がるメリットとユースケースをご紹介します。

DX時代のPLM戦略 New Normal を勝ち抜く救世主 BOPとは

PLM「Obbligato」

Obbligatoは、企画~設計~生産~保守に至る製品ライフサイクル全領域に渡って、基準情報を管理・集約し、デジタルスレッドでデータをシームレスに繋ぐことによって、顧客ニーズの変化への迅速な対応や、製品開発リードタイム短縮、品質向上、製品トレーサビリティの迅速化を実現します。

PLM「Obbligato」

お問い合わせ