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ものづくりを変革する“BOP”検証から実装へ

ものづくりの未来

先進企業が挑む「レジリエンス」を高める最先端の取り組みとは【2021.11.17】

カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造PLM/CAD

2019年9月に「ものづくりを変革する“BOP”の威力とは」を掲載し、BOPの役割やその重要性についてご紹介したところ、大変多くの反響を頂きました。
それから2年、コロナ禍を経て、デジタル化・DX推進の加速も後押しし、注目のBOPは、関心・検証フェーズから導入フェーズへ。
そこで今回は、BOPの検証や導入で見えてきた業界別の狙いや実装パターンを整理して解説します。

日本電気株式会社 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下元彦

コロナ禍で進む生産現場のデジタル化

日本電気株式会社 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下元彦

かつて日本の製造業の強みは「現場」にあると言われていました。設計者がCADで作成した様々な図面に対し、製造現場で擦り合わせを行い調整しながら、納期に合わせて「現場力」で製品を作り込んでいました。
しかし、サプライチェーンのグローバル化、ベテラン生産技術者や現場熟練工のノウハウが伝承されないまま退職されるなど、 「現場力」が弱体化しているのが現状です。
元々忙しい生産技術部門では、出図が遅れても何とか納期に間に合わせるというベテラン技術者の「現場力」の高さがあり、それがデジタル化の進まなかった背景でもありました。
そこにコロナ禍が襲い掛かり、あらゆるビジネスシーンとともに生産現場へもデジタル化の波が押し寄せてきたわけです。これがターニングポイントとなって、BOM/BOPを起点に上流から下流までデジタル化、BOM/BOPを共通言語とした部門間コミュニケーション、ものづくりのDXの加速など、製品情報共有基盤PLMの導入が再燃していると言えます。
BOM/BOPの管理には、業界による違いがあります。業界ごとの特徴をまとめていきます。

【電機ハイテク業】市場変動に即応する “150%BOM/BOP”

2年前においては、「BOPの必要性は認識されているものの(中略)導入の必然性までには至っていません」とお話ししました。ところが、当社が把握する限り、この業界で最先端の動きが出始めています。

コンシューマー向けの企画量産型製品において、激しい需要変動をいち早く察知し、市場投入時間を最短化すべく、ものづくりの上流工程に“150%BOM/BOP”を導入してSCMやMES、さらに生産ラインにまでデータドリブンで接続する究極のマスカスタマイゼーションへの取り組みを始めた製造業があります。
“150%BOM”とは、通常の製品一品目あたりのBOMが100%であるのに対し、使用部品やカラー、オプションといったあらゆるバリエーションをあらかじめ網羅したBOMのこと。あらゆる部品をリストアップしたEBOMの150%化に、生産のための副資材なども加わるMBOMも150%化で対応させます。さらに生産工程表であるBOPも、それら150%BOMのあらゆる組み合わせパターンに対応可能な“150%BOP”(マスタBOP)を準備するのです。

これによって、SNSなどで特定の組み合わせがバズる傾向をつかんだ際に、特定の組み合わせパターンの“100%BOM/BOP”に絞り、一気にSCMやMESに繋いで生産を開始。あっという間に市場に投入し、バズっているニーズを総取りできるというわけです。
考え方としては、パソコンやアパレルの事例にあるBTO(Build to Order)に近いですが、SNSから需要予測するマーケティングDXを起点に、オーダーから生産まで、最上流からBOM/BOPを介してSCMやMES、調達、生産ラインまでシームレスにつながることで、データドリブンで柔軟な生産対応を実現させる、そこに、“150%”という概念を加えて最速化を図るところに、“突き抜けた”観があります。

【産業機械・重工業】“保守BOP”という新たな広がり

日本電気株式会社 製造・装置業システム本部 マネージャー 山下元彦

産業機械業は、顧客ごとの個別受注・個別設計生産が大半ですが、モジュールの組み合わせによってつくり変えているという側面があります。したがって、150%の“標準BOM”から個別企業の受注仕様による“受注(製番)BOM”に絞り、同様にBOPも150%の“マスタBOP”から、100%の“受注BOP”に絞り込んでSCMに繋ぎます。
なぜこうしたやり方を取るのかというと、A社からの受注がキャンセルとなった際に、その分の製品をB社やC社に流用すべく、今どこの工程やサイトで何がどう動いているかを俯瞰できるようにするためです。そのような情報をBOPに集約するのです。

もう一つ、この業界独特の“保守BOM”という動きがあります。アフターサービスのビジネス化が課題である産業機械業は、消耗品や修理用パーツを揃えてFSM(Field Service Management)にも連携し、保守メンテナンス業務の効率化・収益率向上につなげたいというニーズがあるということです。さらには、どんな治具や工具を使ってメンテナンスするかという“保守BOP”のニーズも生まれており、BOP概念の広がりが感じられます。
重工業をはじめとするこの業界では、従来生産技術者の力が強かった生産現場におけるノウハウのデジタル化・見える化の動きとともにBOM/BOPの導入が進んでいくものと考えています。

【自動車部品業】品質管理や原価企画のBOPへの取り込み

2年前に最も進んでいたのは、相次ぐメガリコールを背景に精緻なトレーサビリティが求められる一方、生産拠点がグローバルに広がって品質の均一化やリコール対象の迅速なトレースが容易ではなかった自動車部品業界でした。
この業界では、以前から車台共通化などの合理化が進み、早くから“150%BOM”が活用されていました。BOPにおいては、国内の“マザー工場”に150%の“標準BOP”を置いて品質ガバナンスを強化し、各国の生産拠点にそれぞれ必要なBOPを展開するという形が取られています。

この業界に特徴的なのは、FMEA(故障モード影響解析)という品質管理手法をBOPに取り込んで標準化していることです。
また、原価企画においても、BOM/BOPに情報を取り込んで、過去のBOPから製造実績コストを参照し、設計の上流段階から精度の高いコスト作り込みができるようにしています。以前は、原価企画の際にいちいち現場に確認していた工数がかなり削減されます。
今後も、トレーサビリティの追求と安全安心な品質を究極に担保すること、設計上流での原価の作り込みを実施するフロントローディングにおいてBOPの必然性や価値が認められているため、導入も進んでいくと言えます。

【プロセス(食品・素材)業】SKUの増加や高機能品対応によるBOPの必要性

食品と素材は、どんな材料をどのように配合するかという“レシピ”に基づく生産が行われるという点で共通しています。

食品においては、レシピと工程は必ずリンクして製品づくりが行われていますが、上流工程での情報デジタル化は進んでおらず、Excelやグループウェアを使ってレシピや工程管理をしているのが実情でした。
ところが、最近になって消費者の嗜好の多様化やマーケティング戦略によってSKU(Stock Keeping Unit:受発注や在庫管理の最小単位)が激増。中味は同じでも、シーズンやエリア、サイズ別などでパッケージやラベルを変えただけの商品が増えているということです。こうなると、いよいよ属人的な管理では限界であり、上流から情報をデジタル化し、粗い情報から詳細な情報に育てていくBOPが必要であり、導入が進み始めています。
そこには、人が口にするモノ、食の安全安心を守る厳しい品質基準に対する危機意識もあります。トラブルが生じると一気にブランドを棄損するだけでなく企業の存続にも関わるとあって、より厳密な管理が求められているというわけです。

素材業に関しては、元々は一定の材料を炉に入れて、あとは自動的に運転して製品が完成する、装置を止めない製造といった特徴があり、設計上流から下流への情報伝達や、設計変更のスムーズな適用など、上流からの情報伝達(BOM+BOP)に投資する価値には疎遠な側面がありました。しかし、近年は高機能品など多品種小ロット化の傾向があり、それに対応すべくBOM/BOPのニーズが出始めています。

ここまで、業種別に見る現在の“BOM/BOP”取り組みの動向、目的や実装パターンを概観しました。
このように、製品ライフサイクルに渡って、部門ごとに目的に応じて変化する用途別のBOMがあるのと同様に、BOPについても設計段階から製造・保守まで、その活用場面に応じて、標準BOP・加工BOP・組立BOP・指示書BOP・保守BOPというように用途別BOPが存在し、BOP情報が育ち、活用されていきます。さらに、バリエーションの複雑化や、その標準化の観点でマトリックスBOPの要件も出てきています。
変化に強いものづくり・DXの実現には、用途別のBOM/BOPを業態に合わせて自由に定義でき、ものづくりの基準情報であるBOMとBOPを起点に、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンをつないで、情報を連鎖・集約できる情報共有基盤PLMの再整備が重要な経営戦略となっています。

NECでは、企業競争力の強化やものづくりのDXを支える基盤としてPLM「Obbligato」を通じて製造業のお客様をご支援いたしております。PLM「Obbligato」の統合BOM/BOPソリューションにご興味のある方は、ぜひ、ご相談ください。

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