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Digital Inclusion
~デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ~

C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2018 展示会報告

2018年11月8日・9日、「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2018」が、東京国際フォーラムで開催されました。テーマは「Digital Inclusion ~デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ~」。デジタル技術が、社会や生活の隅々にまで浸透した「Digital Inclusion」社会を見据え、デジタルのチカラで、さまざまな社会的課題を解決し、より安全・安心・効率・公平であるとともに、すべての人々が生き生きと輝く社会的価値の創造に貢献したい。そんなNECの企業姿勢を実際の製品・サービスを通してアピールするイベントとなりました。

概要

初日にNECの新野隆 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOが「Digital Inclusion ~デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ~」をテーマに基調講演を行いました。そのなかで、デジタル技術の進展が隅々まで浸透した社会を「Digital Inclusion」(デジタルインクリュージョン)な社会としてとらえ、そのDigital Inclusionな社会で、NECは「安全・安心、効率・公平」の価値提供を行い、「人が生きる。豊かに生きる」社会を実現すると語りました。

今回の展示やステージも、基調講演に沿った内容となりました。特に事業として注力する成長領域である「NEC Safer Cities」「NEC Value Chain Innovation」に加え、これらを実現する「Digital Transformationを加速するプラットフォーム/サービス」の3つのゾーンからなり、46の展示と各種ステージや体験デモを紹介しました。また、今回の展示会場では、事前にアプリケーションによる入場者の顔写真登録を受け付け、ホールやセミナー、展示会場へのウォークスルー入場及び、登録した顔写真により顔認証の体験ができる展示も多数ご用意しました。

NEC Safer Cities

安全・安心で、効率・公平な都市の実現を支える「NEC Safer Cities」のゾーンでは17の展示を設け、生体認証や映像解析を含むAI、IoT関連の先端技術を活用し、人々がより自由に、個人の能力を最大限に発揮して豊かな生活を送るためのさまざまなソリューションを紹介しました。

満足度の高い旅行体験を提供する「FastTravel」

日本政府は、年間訪日観光客数を2030年までに6,000万人とする目標を掲げています。そのような状況を見据え、安全・安心かつスムーズな空港サービスとともに、街中のさまざまなサービスと連携し満足度の高い旅行体験を提供するのが「FastTravel」のコンセプトです。顔画像情報とパスポート情報、搭乗券情報を紐付けることにより入国審査が完了、スムーズに空港を出て目的地へ向かうことができます。入国の際に登録した情報は、出国の際も活用することができるため、チェックイン、手荷物預け、保安検査、出国審査、搭乗までも、顔認証で完了します。顔画像情報をホテルやレストランなど、空港以外でも活用し、さまざまな場面でのサービスを「ひとつのID」でサポートします。展示会場では、空港の入国ゲートで自動撮影される顔写真とパスポートの写真、及びeチケットの照合によるスムーズな入国審査(写真1)や、撮影した顔画像を利用したホテルでのチェックインのデモを紹介しました。顔写真の照合で使用しているのは、世界No.1の認証精度を有するNECの顔認証AIエンジン「NeoFace」*1です。

写真1 入国審査のデモ。撮影される顔写真とパスポートの写真、
eチケットの情報を紐づけてさまざまなサービスに利用

競技大会会場でのパブリックセーフティ

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020)の40以上の施設で大会関係者約30万人の本人確認を行うシステム(写真2)として、東京2020組織委員会に納入予定の顔認証装置の展示も行われました。競技会場内の複数の重要エリアに繰り返し立ち入る大会関係者には、より高いセキュリティが求められる一方、よりスムーズな本人確認が必要となります。NEC*2の顔認証システムは厳格かつスムーズな本人確認に貢献します。本イベントでは、多くの方が体験デモに参加し、その認証スピードを実感しました。

写真2 厳格かつスムーズな大会関係者の本人確認を行う顔認証システム

SNS解析による迅速な被害状況の把握

2018年は、日本を含む世界各地が地震、洪水、台風などの自然災害に見舞われました。NECは、これまでも防災・災害対策につながる技術を提供してきましたが、今回の展示では画像解析による河川水位検知やセンサーを使った土砂災害予知検知ソリューションだけでなく、SNS利用者の「つぶやき(ツイート)」から、被害の状況を迅速に把握し避難や支援、復旧工事などに役立てる実証実験*3も紹介しました。例えば9月の北海道胆振東部地震では、都市部での液状化や停電も発生。多くのSNSユーザーがそのことを投稿しました。デモでは、これらの投稿文を高度な自然言語処理プラットフォームで解析し、地図上にグラフ表示(写真3)。被害の様子が可視化されました。

写真3 地震に伴う停電などのツイート文を解析して地図上にグラフ化

デジタル化でつながる企業と行政

複雑に関連する社会的課題が増えるに従って、行政の力だけでは解決しにくいことが増えています。行政が保有する住民データやマイナンバープラットフォームなどを官民の枠を超えて活用することができれば、介護福祉などのサービスの向上と新たなビジネス創出も可能になります。デモでは、生活者・企業・行政がデジタルガバメントで実現する近未来を想定した映像が流され、きめ細かな健康アドバイスをしたり、AIを組み入れた人材サービス事業を企画する様子が示されました。また、デジタルガバメントにより、各種申請のデジタル化や職員リソースを活用できることなども紹介しました。

NECが推進する「空飛ぶクルマ」

これはNECも参画する「空の移動革命における官民協議会」で2018年8月に発表されたモックアップです(写真4)。NECが培ってきた小惑星探査機「はやぶさ」やドローンの飛行制御技術が提供されており、将来的にはその管制技術や電波監視技術、サイバー攻撃対策技術などを検討していく予定です。

写真4 2020年代には自動運転の実現を目指す「空飛ぶクルマ」

省コスト多機能な「スマート街路灯」

街の安全に役立つ街路灯を進化させたのが「スマート街路灯」です(写真5)。約2mの頂部には調光可能なLED灯とネットワークカメラ(監視カメラ)、広報用スピーカー、側面には5G(第5世代移動通信システム)対応のWi-Fiアンテナ、正面には行政広報や近隣の催事、広告などを表示するLED文字表示版と、周辺のWi-Fi利用者の数や動きを把握するWi-Fi群流センサーが付いています。従来の街路灯に比べてコストが削減され、機能を集約することで場所や設備の節約にもなります。安全・安心を高めるとともに、景観面でもすっきりし、町のにぎわい創出にも役立てることができます。

写真5 周辺の人の状況をキャッチする
「群流センサー」も装備した「スマート街路灯」

ともに助けあえる街づくり

所有する価値でなく使用する価値が中心になる「シェアリングエコノミー」の時代を迎え、既に住宅や会議室、自動車、自転車などのシェアリングサービスが始まっています。モノ・ヒト・スペース・コト(体験機会)の垣根を超えて、多様に普及すると言われるシェアリングサービスですが、需給のマッチングや時間・コスト・物品管理など、課題は少なくありません。NECでは、企業・自治体・各種団体の会員管理機能と、シェア状況を管理する機能を組み合わせ、複数のシェアリングサービスを迅速かつ安全に展開できるプラットフォームを提供しています。そのほか、スポーツイベントなどにおけるボランティアの募集、配置、連絡などの運営支援を行うサービスや、増加する多言語での接客コミュニケーションを支援する多言語音声翻訳サービスについても紹介しました。

デジタルのチカラでヘルスケア

人々がより自由に、個人の能力を最大限に発揮して豊かな生活を送るためには、健康が欠かせません。デジタルのチカラを活用すれば、自分の健康管理、疾病の予防、医療機関との連携などにも役立ちます。今回の展示では、身体の柔軟性や筋力などのフィジカルコンディションを簡単に計測し、ケガ予防やパフォーマンスを向上できるチェックシステム(写真6)や、AIで過去の健診結果と照合しながら今後の状態を予測し生活習慣を改善する可視化システム、個人健康データを当人の了承(オプトイン)を得て利活用し、医療機関や企業と流通・共有するプラットフォームの実証実験などを紹介しました。そのなかには、AIで誤嚥性肺炎のハイリスク患者を抽出するとともに、看護記録の業務負荷を軽減する実証成果も紹介しました(東京・八王子市の医療機関KNI=北原病院との共同研究、グッドデザイン賞2018受賞)。

写真6 体幹のゆがみや筋力低下などのチェックがケガ予防にも役立つ

NEC Value Chain Innovation

食料廃棄や労働力不足、消費環境の変化、多様化する脅威など、企業はさまざまな課題に直面しています。これらを解決するためには、今までつながっていなかった人やモノ・プロセスを産業の枠を越えてつなぎ、バリューチェーン全体で共有し、新たな価値を生み出すための変革が必要です。そして、その実現には、産業界全体の幅広い知見や実績が求められます。NECは社会価値創造型企業として、産業を越えた“つながり”の輪を広げ、さまざまな産業の皆さまとともに歩むことで、より豊かな社会の創造を目指しており、その取り組みを、各種ソリューションとして紹介したのがこのゾーンの展示です。

食品ロスや廃棄を減らす需給最適化

現在、世界では年間約13億トンもの食料が廃棄されており、その量は生産量の3分の1にもなると言われています。この食品ロスを減少させるための「需給最適化プラットフォーム」を紹介しました。食品製造事業者や卸・物流事業者、小売事業者などバリューチェーンに含まれるすべての企業の間で、需要予測や在庫情報、販売実績などを共有して全体の需給を最適化する仕組みです。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の一つである「異種混合学習技術」を活用して、予測結果の根拠を明確にとらえることで精度と解釈性の高い需要予測を実現しました。豊富なデータやナレッジを入力することで、予測精度や情報共有スピードの向上が可能となります。会場では、食品のバリューチェーンを想定したデモンストレーションを実施しました。

AIと人が協調した未来のものづくり「NEC DX Factory」

デジタル技術の浸透によって、人々の生活や産業をより良い方向に変化させるのがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。NECは、多様化するお客様ニーズへの対応を図りつつ効率と品質向上を両立させる未来型ものづくり「NEC DX Factory」を提案しています。これはAIやIoT、ロボティクスなどの先端技術と、NEC工場などで培ったものづくり革新のノウハウを融合し、製造工程全体の最適化を図るものです。展示では、設計から物品投入、加工・搭載、組立、検査、出荷物流までのラインを組み、人と機械が協調する様子を紹介しました(写真7)。また、NECの生産革新に長年携わった匠によるコンサルティングも紹介し、お客様の製造現場革新をご支援する体制があることをアピールしました。

写真7 AIやIoT、ロボティクスとNECのものづくり
革新のノウハウが融合した「NEC DX Factory」

人とAI・IoTが協調する物流現場

物流現場の労働力不足が深刻化し、自動化・省力化が喫緊の課題です。NECはAIやロボティクスによるピッキング、搬送、出荷検品プロセスの自動化などで、人とAI・IoTが協調した倉庫内の作業を省人化し、人員の最適配置を可能にする次世代倉庫「Future Warehouse」や、入出荷予測や要員リソースの管理をAIコックピットで行う、物流の最適化を提案しています。展示では、AIによる入出荷予測、要員の最適配置の見える化、独自の通信制御による協調ロボットの試作品などを紹介しました。このロボットは、天井カメラでの監視と指示により、2台が協調して台車上のカゴを挟んで搬送。ピッキングした商品を指定場所まで運ぶことができます(写真8)。

写真8 センサー、ダンパー付きのロボット2台で指定場所まで搬送

クルマの未来を拓く「Connected Car Solutions」

自動車がネットワークにつながり、新たな価値を生み出すと期待される「Connected Car」。通行人や標識の自動認識や、運転者の本人確認、よそ見の警告などにより、より安全・快適な走行を実現。自動運転技術と統合されることでクルマの未来を拓くと期待されています。NECでは、自動的に最適な通信ネットワークに接続するSDN(Software-Defined Networking)技術やそのゲートウェイ、AIを組み入れた先進運転システムのADAS(advanced driver assistance system)とソリューションを提供します。展示とデモでは、通信速度を推定して遅延を抑え込む技術や、隊列走行時にレーザ通信で相互の運転をアシストする技術などのほか、搭載カメラで運転者の顔や視線情報から、よそ見を検知して警告したり(写真9)、歩行者を検知して知らせる様子などを紹介しました。

写真9 運転者の視線や顔の向きから「よそ見」を検知して警告

利便性向上と業務効率化を実現する電子決済サービス

小売店舗などでの電子決済(キャッシュレス)化が進んでいます。その決済手段も電子マネー、クレジットカード、QRコードなど多様化しています。NECは、これに対応して1台の端末で複数の電子決済サービスを利用できるマルチサービスゲートウェイシステム(MSGW)を提供。主要な電子マネーやクレジットカードに対応し、POS接続型やスタンドアロン型など、用途に応じた端末を準備。既にコンビニエンスストアやドラッグストア、自販機関連企業など約40社に約15万台導入されています。今回の展示では、無料アプリケーションをインストールするだけでiPadがPOSレジになり、さまざまなサービスが利用できるクラウド型の「NECモバイルPOS」も紹介しました(写真10)。これは、持ち帰り弁当販売店全国約2,700店舗で導入されています。

写真10 アプリケーションをインストールするだけでiPadがPOSになる

明日から始める無人店舗/無人店舗運営支援ソリューション

店舗に見立てたブースでは、無人店舗によるスマートな買い物体験を紹介しました。顔認証技術を活用し、入退店時に本人を確認、更に画像認識技術を組み合わせ、購入商品をレジに置くだけで商品を認識し、顔パスで決済を完了、ストレスフリーな買い物を実現します。展示のモデルは、既に台湾の無人コンビニエンスストアで稼働しているシステムで、利用者の利便性向上だけでなく店舗業務を効率化します。更に、冷凍冷蔵設備やカフェマシンなどのリアルタイムの稼働管理や売場・棚の効率的な監視、来店者の行動分析など、スタッフ不在でも安全・安心で止まらない店舗運営を支えるソリューションも紹介しました。

Digital Transformationを加速するプラットフォーム/サービス

このゾーンでは、お客様からの多様なニーズにも柔軟かつ迅速に応えるAIや、ICTインフラの安全かつ効率的な運用を支えるサイバーセキュリティ・ネットワーク・クラウドなどのインフラサービスだけでなく、量子コンピュータなどの取り組みを紹介しました。

NECの生体認証「Bio-IDiom」

NECは半世紀にわたり生体認証の研究開発を続け、現在、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6つの生体認証技術を有しています。そしてこれらの生体認証を「Bio-IDiom(バイオイディオム)」と称し、さまざまなニーズやシーンに応じて使い分け、ときには組み合わせることで、最適な生体認証を選択または組み合わせたサービスを提案しています。今回の展示では、多くの事例ととともに、2018年に世界的権威のある米国国立標準技術研究所が実施した虹彩認証技術の精度評価テストにおいて第1位の照合精度を有するとの評価を獲得した虹彩認証のデモ(写真11)も紹介しました。

写真11 虹彩認証のデモの様子

RPAを活用した業務効率化

バックオフィスの業務には、定型的でありながらも、自動化や外注化しにくくて人手を要する業務があります。この課題をソフトウェア・ロボットの活用で自動化・省力化するのがRPA(Robotic Process Automation)です。RPAは、人手不足対策や働き方改革に役立つツールとして多くの企業でも導入が進んで注目されています。NECは、このRPAに機械学習を活用し、将来的には非定型業務や意思決定にも役立つツールに進化させる取り組みをしています。展示では、商品情報の登録業務を自動化した例(百貨店)や、伝票作成業務に要した時間を18分の1に削減した例(地方銀行)など、500社以上の実績と導入支援サービスをアピールしました。

AI・VRを活用した業務スタイル改革

NECのAI・VR技術を業務スタイル改革に活用する取り組みとして、今回の展示では2つのソリューションを紹介しました。「法人VRソリューション」は、業務を行う場所としてVR空間を利用、遠隔地から複数人でVR空間を共有することで、会議や各種トレーニングなどを円滑に行うことができます。また「AI for Work Shift Support」は、SNSのメッセージ交換のようにAIと対話し、業務を任せて効率化を図るとともに、ナレッジの共有や社内の専門家探しを助けてもらえます。多人数で画像を見て事案を検討することもでき、社内共創にも役立ちます。

「dotData」が実現するデータ分析自動化

2018年4月、NEC出資で米国シリコンバレーに設立された「dotData」社は、これまでビッグデータの解析は専門家のデータサイエンティストにしかできないと思われていた常識を覆しつつあります。同社が実現したのは、高度なデータ分析に有効なデータ項目(特徴量)の抽出・設計から、最適な予測モデルの作成までの一連のプロセスを自動化・簡易化する「予測分析自動化技術」のソリューションです。これにより熟練のデジタルサイエンティストが2~3カ月を要したデータ分析作業を数時間から1日未満に短縮。製品・サービスの需要予測、見込み客へのキャンペーン効果予測、さまざまな判定・審査業務の効率化が図れます。今回の展示では、dotDataで劇的に変化するデータサイエンティストの仕事を、デモを交えて紹介するワークショップコーナーも設け、入場者が高い関心を示していました。

時代をチョコレートで味わう「あの頃はCHOCOLATE」

2017年に出展された、名作文学をコーヒーで表現する「飲める文庫」に続き、AIを身近に体験してもらう特別企画として出展されたのが「あの頃はCHOCOLATE」(写真12)。その時代の雰囲気をチョコレートで味わうというアメリカのチョコレート会社とのコラボレーションです。日経新聞の記事データ60年分をNECの最先端AI技術群「NEC the WISE」でテキスト解析し、10年単位でその時代のムードをチョコレートのテイストである「苦味」「酸味」「スパイシー」など7つの指標で分類。その指標をもとにチョコレートを製作するというものです。展示では、記事を味覚に変換する体験デモのほか、製作したチョコレートをサンプルとして提供し、大いににぎわっていました。

写真12 新聞記事の解析・分類結果とそれをもとに製作した年代別のチョコレート

止められないさまざまなシステムのサイバー攻撃リスクを仮想環境上で診断

デジタル化された社会の安全・安心を支えるサイバーセキュリティ。あらかじめセキュアにシステムを作る「Security by Design」に加え、セキュアな状態を維持するための最新技術である「サイバー攻撃リスク自動診断システム」を展示しました。この技術では、診断の対象となるシステムを止めることなく、潜在的なサイバー攻撃リスクを洗い出し、その対処策を検証できます。実システムをモデル化した仮想システムに対し、攻撃シミュレーションを行うため、ICTシステムだけでなく、容易には止められない重要施設やIoTシステムなどへの活用に、多くの入場者が興味を示していました。

また一歩前進した「量子コンピュータ」

スーパーコンピュータを使っても、正解が得にくい、膨大な計算量が必要になるため時間がかかるといった問題がたくさんあります。有名な「販売員の最適巡回ルート決定問題」や、市場変化が激しい金融ポートフォリオ設計などの「組合せ最適化問題」がその一つ。そこで期待されているのが量子コンピュータで、特に注目されるのが複数の量子ビット状態を保持しながら最適組み合わせを導く「量子アニーリング」(“量子焼きなまし”)方式です(写真13)。NECの研究は、既に20年の歴史を持っており、超伝導によって量子状態をより長く保持できる素子の開発と、量子間の結合をより密にして大規模問題にも拡張対応できる基本動作検証に成功(2018年1月)。同年10月には国の研究プロジェクトにも採択されました。

写真13 「量子アニーリング」方式を支える素子ウエハ

宙(そら)への挑戦 ~NECの宇宙ソリューション~

いつも多くの来場者から関心を寄せられているNECの宇宙ソリューションの展示です。小惑星リュウグウへのタッチダウンを目前に控えた小惑星探査機「はやぶさ2」。どのようにタッチダウンを行うのかを、「はやぶさ2」実物大イメージ模型とターゲットマーカーを使用しながら説明をしました。また、2018年11月1日にサービスインした日本の衛星測位システム「みちびき(準天頂衛星システム)」やGCOM(地球環境変動観測ミッション)が、私たちの生活にどのように活用されるのかを紹介しました。そして、高性能小型光学衛星「ASNARO-1」と高性能小型レーダ衛星「ASNARO-2」の衛星運用やリモートセンシング、データ処理・配信などの宇宙利用サービスの提供、社会課題解決への貢献について紹介し、コーナーは大変な盛況となりました。


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    iPadはApple Inc.の商標です。
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    Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
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