NEC DX Factory

デジタルトランスフォーメーションによる次世代ものづくりを加速する

マスカスタマイゼーション(多品種少量生産)や品質の強化が、これまで以上に強く求められる中、変化に強いものづくりに向けて、人とAIが協調した新しいスマートファクトリーの取組みが進んでいます。しかし、工場内から工場全体、さらには工場と工場をつないだスマートファクトリーを実現するには、その実現イメージやありたい姿を共有できないといった課題があるようです。

次世代ものづくりを具現化する「NEC DX Factory」

バーチャルでシミュレーションを繰り返し
結果を現実のプロセスにフィードバックする

NECは、日本の製造業の課題を解決し新しいスマートファクトリーの実現を支援するため、「NEC DX Factory」というコンセプトを打ち出しました。これは次世代のものづくりを先取りし、その具現化を支援するもの。人とAIが協調する「デジタルツイン」の世界が、それを可能にします。

具体的には実世界のプロセスやモノの流れなどをデジタルに置き換え、工場をバーチャル世界で再現。ライン全体(部品調達から出荷まで)をシミュレーションし、その結果を現実の世界にフィードバックします。

人とAIが協調可能なバーチャルな世界では、何度もラインの変更などが行えるため、失敗のリスクを気にすることなく、様々な観点からシミュレーションすることが可能です。人とAIが協調しながら、ロボットや生産設備を自律制御することで、ものづくり革新が加速していきます。

次世代ものづくりは「お客様との共創」で進化する

最新ソリューションの体験・検証を通じ
革新を促す「NEC DX Factory共創スペース」を開設

「NEC DX Factory」は次世代ものづくりを具現化する新しいコンセプトだけに、具体的な活動や実現手段はイメージしにくいかもしれません。そこでNECは2018年8月、次世代ものづくりの体験の場となる「NEC DX Factory共創スペース」をNEC玉川事業場(川崎市中原区)に開設しました。

ここでは大きく3つの活動を展開していきます。1つ目は「お客様との共創」です。実際に共創スペースで次世代製造ラインを体験してもらい、お客様にとって最適な取り組みの実現に向けたアイデアの創出や議論の活性化を促します。2つ目は「先端技術の検証」です。NECおよびパートナー企業の先端技術やソリューションの組み合わせ実証、その効果検証などを行います。

そして3つ目が「NECグループのものづくり革新」です。検証した先端技術についてNECグループの工場へ適用することを進めていきます。

「NEC DX Factory共創スペース」には、スマートファクトリーを実現するための11種類の先進技術やソリューションが実装されており、これらのソリューションを軸にした次世代製造ラインのデモ環境が用意されています。このデモ環境は「部品投入」「加工・搭載」「組み立て」「検査」という4つの工程で構成されています。製造ラインの上流から下流まで、革新的なソリューションによって、ものづくりがどのように変わるのか。「NEC DX Factory」のコンセプトを疑似体験できる貴重な場です。

主な技術・ソリューションは以下の通りです。

  1. AGV最適制御ソリューション
    工場内のセンサーやIoTデバイスによって取得した位置情報を基に、生産ラインと連携し、AGV(Automatic Guided Vehicle:自動搬送車)の動きを最適制御します。人が操作することなく、AGVが自律的に作動するため、効率と生産性、安全性が大きく向上します。
  2. 個体識別情報管理ソリューション
    NECが世界で初めて開発した「物体指紋認証技術」をベースにしたソリューションです。工業製品・部品の表面に自然発生する微細な紋様(物体指紋)から、製品を高精度に個体識別します。
  3. 人作業ナビゲーション
    NECが開発した耐騒音性音声認識エンジン「VoiceDo」を活用し、音声による作業指示や作業報告を可能にします。指示や報告はハンズフリーで行えるため、作業の手を止める必要がありません。
  4. NEC 感情分析ソリューション
    リストバンド型のウェアラブルデバイスを用いて、心拍変動データなどから作業員の感情を可視化。感情疲労や心理的負荷を把握し、適切な対応を早期に取ることで、メンタルヘルスケアや働き方改革の推進、感情起因の事故防止や生産性向上につながります。
  5. 顔認証なりすまし防止ソリューション/なりすまし防止ソフトウェア
    NECの高精度な顔認証技術を活用し、スマートデバイスのカメラで撮影した対象人物を認証します。生産ラインの作業を任せられるスキル保有者かどうかなどを容易に判定でき、作業ミスの防止や情報の保護に有効です。
  6. PLM-SCM-MES/IoT連携
    製品のライフサイクルを管理するPLMシステム、サプライチェーン全体を最適化するSCMシステム、製造工程の状態把握や作業者への指示・支援などを行うMESシステム、そして設備機器などのIoTデータを連携させたソリューションです。IoTデータを活用し、ものづくりのマスタ情報を効率的にPLM/SCM/MESの各システムに取り込み、一品ごとに異なる製造指示を正確かつ迅速に伝達できるため、多品種少量生産にも対応可能です。

    Obbligato III

    IFS Applications

  7. AI Visual Inspection
    NECが開発したディープラーニング技術「RAPID機械学習」を活用した外観検査ソリューション。対象の製品画像を基に高速かつ高精度な外観検査が実現できるため、目視による検品業務を省力化し、製造品質の均一化を促します。
  8. 高度映像解析 行動検知ソリューション
    カメラ映像を基に、リアルタイムで動く人やモノを認識・追跡し、高精度な行動検知が可能です。工場内の不審者や侵入者、生産ラインでの不審な行動などを即座に発見できるため、監視作業を効率化し、リスクの発生を予防します。
  9. 高信頼無線技術
    IoTデバイスの運用を支える工場内の無線ネットワーク環境を仮想化し、柔軟性を高めることで、超高速な経路切替が可能になります。通信の途絶や遅延を回避し、高信頼の無線ネットワーク環境を実現します。
  10. SCM Performance Monitoring
    「造る(作業)」「運ぶ(運搬)」「構える(貯蔵)」といった製造業のサプライチェーン全体において、モノの動きや滞留を見える化。ボトルネックを改善することで、スループットの最大化に貢献します。
  11. NEC Industrial IoT Platform
    スマートファクトリーを支える基盤となるプラットフォームです。開発・製造から製品を供給する物流まで含めたサプライチェーン全体のデータを統合し、その活用を容易にします。グローバルに同一品質の製品を適正コストで提供するものづくりを実現します。

ものづくり企業であるNECの経験とノウハウが最大の強み

製造業の課題を熟知し、様々な改善施策を実施
グループの成果をお客様の活動に役立てたい

それでは、なぜNECがこうしたスマートファクトリーのご支援を行えるのでしょうか。それはNEC自身がものづくり企業であり、製造業が直面する課題と向き合い、様々な取り組みを行ってきたからです。

1990年代から「ものづくり革新」に取り組み、2010年にはグローバルにおける製造マネジメントの標準化を目指した「グローバルSCM改革」を開始。「グループ全体の開発・生産基盤の統合化推進」「IoT活用によるものづくりの高度化」「スループットの向上・品質/トレーサビリティの実現」を達成しています。

このNECグループのノウハウを広く日本の製造業の皆様にお伝えし、互いに学びあい課題解決のための気づきを得られる場をご提供したいと考え、2012年10月に「NECものづくり共創プログラム」をスタートさせました。

さらに2015年にはこれまでの改革で活用した「NEC Industrial IoT」を発表。製造業向けのIoT活用を体系化したソリューションとして提供しています。

NECグループ内でも様々な取り組みを実践し、多くの成果を上げています。例えば、NECプラットフォームズの福島事業所では、2015年度にIoTを利用した生産ラインの見える化とKPI設定の仮設立案・検証を実施。生産ラインと連動したKPIのリアルタイムモニタリング、現場作業者への音声ナビゲーションなどに取り組み、40%もの生産性向上を実現しています。

デジタルツインの世界をさらに広げて共創を加速

サプライチェーン全体における“カイゼンの自律化”を支援

製造業の生産現場では、従来から作業効率や安全性の向上を図るカイゼン活動が広く行われてきました。しかし、その手法の多くは、熟練作業者が現場で状況を確認し、データを取って分析するというもの。これでは手間も時間もかかる上、効果も限定的です。これからはカイゼン活動サイクルをサプライチェーン全体にまで広げ、より短期間でPDCAを素早く回すことが求められます。

そのためには、実世界全体をデジタル化してシミュレーションするデジタルツインの世界を実現し、カイゼンが自律的に回る仕組みが必要です。先に触れた共創スペースは、まだ製造ラインのみの体験の場ですが、この提供価値は順次拡大し、サプライチェーン全体までカバーする計画です。

今後もNECは「NEC DX Factory」を通じて、多くの製造業のお客様のカイゼンの自律化を支援し、次世代ものづくりによるスマートファクトリーの実現に貢献していきます。