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Intelligent Logistics & Mobility インテリジェントICTで、人の移動をより快適に、モノの流れをより最適に

Intelligent Logistics & Mobility

デジタルによる変革(デジタルトランスフォーメーション:DX)は、人の移動(Transport)、モノの移動(Logistics)の世界でも例外ではなく進んでいます。更に、いまだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るいNew Normalへの転換が求められるなか、人とモノの移動も大きく変わろうとしています。本稿では、このような状況のなか、NECが目指す「実世界とサイバー空間をつなぎ、ロジスティクスとモビリティを融合することで、『安全・安心な人とモノの移動』を『デジタル』で支え、すべての人々と産業が公平にサービス・機会を享受できる社会」の世界観と、その実現に向けた取り組みの概要を、代表的な事例やテクノロジーとともに紹介いたします。

1. 事業環境や取り巻く課題

昨今、世の中はデジタルによる変革(デジタルトランスフォーメーション、以下、DX)の波のなかにあり、人の移動(Transport)、モノの移動(Logistics)の世界も例外ではありません。更に、いまだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、COVID-19)が猛威を振るいNew Normalへの転換が求められるなか、人とモノの移動自体が大きく変わろうとしています。

人の移動(Transport)は、観光控えや在宅勤務などで減少、生活のありようや住む場所の選択、移動に伴う安心感の要求など、生活における価値観の変化が起こりつつあります。

そして、モノの移動は、在宅の増加に伴う購買活動の変化により宅配が増加する一方で、自動車をはじめとした製造業の荷動き停滞により全体の物流量は減少しており、サプライチェーンを見直す兆しもあります。NECでは、物流を経済活動と連動し、需給とリソースの最適化を実現するための「ロジスティクス(Logistics)」ととらえ、この領域で今後大きな変化が起こると予想しています。

しかし、忘れてはならないのが、国内の労働力不足の深刻化です。人の移動とモノの移動を支える「運輸・倉庫」業界は現場労働集約型であるうえ、求められるサービスレベルは高まり続け人手はますます不足しており、現状のサービス維持さえも困難になっています。そのため、他業界にも増して「サービスレベルの維持・向上」と「働き方改革」の両方の推進が必要です。この解決策の手掛かりが、業界を越えた「共創」、そして「デジタル化の推進」になります。

2. 目指す世界観

このようななか、情報化社会は進み、AI、自動運転やドローンといった技術も発展しています。既存インフラの延命のみに軸足を置いていたのでは、この大変革時代に取り残されかねません。人々の生活や企業が抱える課題を深く理解し、新たな解決手段を模索していく必要があります。

そこで、NECが目指すのは、「実世界とサイバー空間をつなぎ、ロジスティクスとモビリティを融合することで、『安全・安心な人とモノの移動』を『デジタル』で支え、すべての人々と産業が公平にサービス・機会を享受できる社会」の実現です(図1)。

図1 Intelligent Logistics & Mobility目指す世界観

2.1 安全・安心で快適な人の移動を支える交通サービス(Transport)

飛行機、鉄道、バスなどあらゆる交通手段をモバイル・ICカード・生体認証などを用いてシームレスにつなぎ、MaaS(Mobility as a Service)によるストレスフリーな移動を実現します。

また、AI・IoTの活用によるオペレーション&メンテナンス業務における高度化・効率化・省力化を実現します。
 
最新のICTの活用により、安全・安心で快適な人の移動を支えます。

2.2 企業間連携によるサプライチェーン革新/安全・安心で効率的な物流現場を実現(Logistics)

情報をリアルタイムに収集し、企業の枠を超えて共有することで、サプライチェーン全体におけるモノの流れを素早く把握し、需給変動に柔軟に対応する強靭でダイナミックなサプライチェーンを実現します。また、人手不足に悩む物流現場へ人と協調するAI・IoT・ロボティクスを活用し、作業の自動化、省力化、効率化を可能にするとともに、安全・安心な物流を実現します。

2.3 安全・安心な人とモノの移動を支えるモビリティサービス(Mobility)

人とモノの移動手段であるクルマもDXにより、コネクテッド化や自動運転化が進んでいます。NECはネットワーク、AIなどの先進技術で、クルマの高度化に関するさまざまな開発や業務を支援します。 また、豊富な実績を生かして、モビリティに関わるステークホルダーとともに、さまざまな産業でモビリティサービスの提供を加速し、安全・安心・快適なモビリティ社会に貢献します。

3. 主要な事業、中核ソリューション・サービス・プラットフォーム

NECは、交通サービスを支えるソリューション、サプライチェーンを支えるロジスティクスソリューション、そして交通、ロジスティクスの両方に使われるモビリティの進化を支えるソリューションの3つに体系立てをして提供しています。

3.1 交通サービスを支えるソリューション

国内での交通系ICカードは、ライフスタイルに密着した社会インフラとして定着しました。NECは、Suica導入当初よりその発展を支え、海外へ展開しています。また、モバイルや生体認証などにより、飛行機、鉄道、バスなどあらゆる交通手段をシンプルな手続きでシームレスにつなぎ、さまざまな国の人が、家から空港へのスムーズな移動、空港での電子申告や本人確認の自動化(Fast Travel)、そして街中まで安全・安心・快適に目的地に移動、手ぶらで宿泊や買い物ができる仕組みの提供に取り組んでいます。

一方で、既存交通インフラは年々老朽化が進むなか、人材確保が難しくなってきているという課題があります。交通サービスを支えているコントロールタワーである鉄道指令員や鉄道設備のメンテナンス作業者は、過去の豊富な経験のもと最適な判断をすることができます。NECは、これら熟練者の頭の中にある知識を、AI・IoTを活用してモデル化し、情報共有や技術継承、状況に応じた効率的な対処を可能とすることで、課題解決の支援を行っています。

3.2 サプライチェーンを支えるロジスティクスソリューション

今、求められている機能は、需要の変動や市場の変化をつかみ、いち早く生産や販売へとつなぐことができる仕組みづくりです。同時に、必要な製品を必要な時間と場所へ、必要な分だけ届ける、的確な物流の仕組みも必須です。

NECは、長年にわたって培われたNECのサプライチェーンに関する改革ノウハウや、さまざまな業種のお客様へ倉庫管理や輸配送管理、輸出入管理ソリューションを提供してきた実績があります。それをもとに、AI・IoT・画像認識技術などを活用し、仮想空間にモノの流れを可視化するとともに物流現場を革新させながら、生産・販売・物流の各部門が連携した、三位一体のロジスティクスネットワークを実現します。そして、COVID-19の影響を受け、これから始まるサプライチェーン変革の動きと合わせ、企業がともに連携することで相乗効果を生み出し、最適な需給バランスを実現するダイナミックなサプライチェーンを創造します(バリューチェーンイノベーションの実現)(図23)。

図2 ソリューションコンセプト図
図3 目的や課題に合わせて選択できるメニュー群

3.3 モビリティの進化を支えるソリューション

交通やロジスティクスのDXを進めるうえで、クルマを含むさまざまな移動手段のコネクテッド化、自動運転化が必須となってきています。特に、クルマの価値は大きく変化し、カーメーカー主導でのクルマを活用した移動サービス提供など、業界の構造自体も大きく変わろうとしています。

このような動向をとらえ、NECでは、「車外・車室内状況見守りソリューション」の開発に取り組んでいます(図4)。移動中のさまざまな情報を、AIを活用した映像分析技術でリアルタイムに処理することで、通常の監視はAIが行い、運行管理業務における人為的ミスによる見落としを低減し信頼性向上をはかるとともに、いざ高度な判断が必要な状況では人による判断を仰ぐことで、安全・安心な人とモノの移動の実現を支援します。

図4 「車外・車室内状況見守りソリューション」

4. 代表的な取り組みケース、事例

New Normalに向けた取り組みや、実世界を可視化する事例について紹介します。

4.1 New Normal時代を見据えたNEC本社実証

NECは生体認証技術を活用したシームレスな連携に加え、New Normal時代を見据えた実証をNEC本社ビル(東京都港区)で開始しました(図5)。サーモグラフィやマスクをつけたままでの顔認証など、サービスを享受するうえで何が課題となり、どう解決することができるのか、またその時のサービスプラットフォームのあり方を検証し、交通サービスや物流サービスの現場への社会実装への足掛かりとしていきます。

図5 「NEC I:Delight」 本社実証プロジェクト

4.2 サプライチェーン可視化事例(インド)

インドのデリー・ムンバイ大動脈構想において、物流可視化を図る取り組み事例を紹介します(図6)。

図6 デリー・ムンバイ間産業大動脈開発公社様物流可視化

インドでは、企業誘致のための物流インフラ整備が重要テーマとなっています。そのなかで、輸送用のコンテナにRFIDタグを取り付け、ゲートを通過する際に位置情報を収集することにより、コンテナの輸送情報の可視化を実現しました。その結果、港などでの滞留時間が長いなどの情報がリアルタイムにデジタル化されたことで、各ステークホルダーが問題解決に取り組むことができました。これにより、輸送リードタイム短縮や在庫削減、生産計画の精度向上などを実現しています。現在は、インド全土へ拡大しています。これは、「実世界をサイバー空間で可視化する」第一歩目の取り組みです。引き続き「Logistics and Supply Chain Transformation」に向けたロードマップ「LDB2.0 Road Map」(図7)を策定し、現地の方々とともにインドのサプライチェーンを支える仕組みとすることで、経済発展に貢献していきます。

図7 LDB 2.0 Road Map : Logistics Enterprise Data BUS

5. 事業・ソリューションを支える代表的なテクノロジー

人の移動やモノの移動は世界の動きそのものといえます。そして、その実世界のデータをサイバー空間で使える情報に変換し、その情報をもとに新たな価値を作っていくことが、DXととらえています。NECは認証技術やAI、そして通信分野で培われたネットワーク技術を組み合わせて、DXを実現します。

5.1 人とサービスをつなげる生体認証技術

生体認証技術を活用して、さまざまなサービスがシームレスにつながり、意識することなく快適にサービスを享受できる世界を目指して「NEC I:Delight」1)を2019年11月に発表しました。これにより、空港、駅、街中のスムーズな移動を支えます。世界No.1とされる顔認証技術2)に代表される生体認証技術は、ただ認証するだけではなく、現場で活用されるさまざまなシーンを想定して、待たせない、ストレスに感じないレスポンスを実現しています。将来的には、虹彩認証などを取り入れ、更なる認証精度の向上を実現します。

5.2 熟練者の暗黙知を形式知化するAI技術

交通サービスを支えている指令員やメンテナンス作業者、物流サービスを支えている現場管理者のノウハウを形式知化し、また、設備の状態やサプライチェーン全体の流れをとらえるための技術として、過去からの時系列データを分析し、未来を予測するAI「異種混合学習」や、その状態を監視し普段と違うことを検知するAI「インバリアント分析」など、さまざまな現場に適合するAIを、NECは保有しています。

これにより、例えば、鉄道やクルマを活用した移動の現場にて、予防保全や故障予兆検知を可能とし、定期メンテナンスから状態に合わせたメンテナンスへの変遷を支えることが可能となります。

5.3 安全・安心な移動を実現するAIとネットワーク技術

NECでは、ネットワークの状態変化をAIにより予測、モビリティで活用されるさまざまな移動手段に適したネットワークの実現を支援します。

このネットワークから送られてくる映像データを、AIによる映像分析技術で処理することで、車外・車室内がどのような状況であるかを的確に把握できるようになります。

また、ネットワークを通じて車両から得られるデータにより、リアルタイムな車両の状態把握や、先に述べた予防保全、故障予兆検知などを可能とします。

6. まとめ

NECが目指すのは、「実世界とサイバー空間をつなぎ、ロジスティクスとモビリティを融合することで、『安全・安心な人とモノの移動』を『デジタル』で支え、すべての人々と産業が公平にサービス・機会を享受できる社会」の実現です。New Normal時代における人の移動を安全で安心にするために、また、強靭なサプライチェーンを実現するために、これまで培ってきた技術を組み合わせて提供できるようにします。それとともに、産官学連携、多くの事業者、利用者の皆様の協力と連携を図り、ともに新たな価値創出を行うべく、取り組んでいきます。


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    Suicaは、東日本旅客鉄道株式会社の登録商標です。
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    LTEは、欧州電気通信標準協会(ETSI)の登録商標です。
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    その他記述された社名、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。

参考文献

執筆者プロフィール

武藤 裕美
交通・物流ソリューション事業部
ソリューション推進部長
加藤 学
モビリティソリューション事業部
エクゼクティブエキスパート

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