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ビジネス変革を支えるIoTプラットフォーム 「NEC the WISE IoT Platform」
「NEC the WISE IoT Platform」は、お客様のデジタルビジネスを円滑に進めるため、IoTシステムを実現する機能群を体系化したものであり、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」を使いやすく実装できるアーキテクチャとなっています。「IoTアーキテクチャ5層モデル」を元に、必要な共通機能を「ビルディングブロック」化し、それらを組み合わせて実装・連携させます。スケーラビリティ/ポータビリティ、非IT化デバイスの接続対応、オープンソースの活用など、さまざまな利点を備え、お客様の事業成長に合わせてカスタマイズし、新サービスのスピーディな立ち上げとその検証に役立てることができます。
1. はじめに
急速なIoT(Internet of Things)の普及により、あらゆる「情報・ヒト・モノ・コト」につながりが生まれ、データサイエンスをビジネスに適用する機会が一挙に広がってきました。
IoTによりモノの状態が把握できるようになると、ビジネスには3つの変化が生まれます。1つ目は、既存事業の効率化です。業務改善の基本である「見える化」で、既存事業の課題が見えてきます。そしてより効率的・効果的な事業運営が、可能になります。2つ目は、既存事業、特に製品販売のサービス化です。モノの使用状況や消耗率などが把握できると、メンテナンス不良や故障を予知でき、トラブルを未然に防ぐサービスを提供できます。3つ目は、新規事業創出の活性化です。収集した複数のデータを別の視点から関連付けることで、新たな用途でのデータ活用の可能性が生まれ、新規事業創出のチャンスが生まれます。
「NEC the WISE IoT Platform」は、お客様のこうしたビジネス変化を加速し、デジタルビジネスを支える強力な基盤になるものと考えています。
2. 「NEC the WISE IoT Platform」の構成
「NEC the WISE IoT Platform」は、お客様のデジタルビジネスを円滑に進めるため、IoTシステムを実現する機能群を体系化したものであり、NECの最先端AI(人工知能)技術群「NEC the WISE」を使いやすく実装できるアーキテクチャです(図1)。
コンサルサービスや共創プログラムなどとともに、お客様のフェーズに合わせたソリューションやサービスが用意されています。
この「NEC the WISE IoT Platform」には、これまでNECがお客様との数々のプロジェクトを通して得てきた経験が、ふんだんに取り入れられています。その結果、広い領域にわたって、ビジネスに定量的な効果を生み出してきています。その背景にあるのは、デジタルビジネスを成功へ導くうえで重要となる、5つのステップに関する知見です。
すなわち、(1)ビジネスのアウトカム(成果)を明確化して要件に組み込む(仮説立案)、(2)モノやコトをデータとして「見える化」して検証する(仮説検証)、(3)素早く実証システムを立ち上げ、そのまま本番環境へも移行する(スモールスタート)、(4)事業成長や環境変化に合わせて柔軟に拡張する(事業成長)、(5)安定的に継続運用できる強固なシステムへと発展させる(堅牢化)、の5つのステップです。
3. 「NEC the WISE IoT Platform」の特長
これら5つのステップで活用可能な「NEC the WISE IoT Platform」の特長を紹介します。
3.1 IoTアーキテクチャ5層モデル
NECは、2015年7月に「IoTアーキテクチャ5層モデル」を発表しました1)。すなわちL1(Lはレイヤ。階層):デバイス・コンピューティング、L2:近距離ネットワーク、L3:エッジ・コンピューティング、L4:広域ネットワーク、L5:クラウド・コンピューティングの5層で、全体をセキュリティ基盤が支えているモデルです。
この考え方に基づいた数々のプロジェクトで得た経験・実績から、NECはIoTシステムに必要な機能をあらかじめ定義してブロック化し、それらを組み合わせて5層モデルに実装することが重要であると判断しました(図2)。
3.2 ビルディングブロック
このようにして、必要な機能をあらかじめ定義してブロック化することを「ビルディングブロック」と呼んでいます。この方式を用いることで、検証結果や事業成長に合わせてシステムを容易にカスタマイズできるようになり、スモールスタートや、柔軟なシステム構築が可能になります。
このビルディングブロック型のシステム構築は、従来の手法であるウォーターフォール型でのシステム開発に比べ、時間や費用の軽減が期待できます。
3.3 AIなどの先進技術活用
「NEC the WISE IoT Platform」では、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」をはじめ、お客様の多様なニーズに応えるべく、他社のAIエンジンでも自由に組み合わせて実装できます。これにより、データの収集・見える化・分析・対処の各フェーズで、最大限の効果を生み出します(図3)。
3.4 各種クラウド活用
事業成長、拠点展開の過程では、お客様が保有する既存のシステム(オンプレミス)やNECのクラウドだけではなく、各社のパートナークラウドを選ぶ必要も出てきます。ビルディングブロック方式の採用により、「NEC the WISE IoT Platform」上で作り上げた機能は、これらパートナークラウド上でも使用可能です。逆に他のクラウド上の機能やデータを、APIゲートウェイを介してセキュアかつシームレスに使うことも可能です(図4)。
3.5 ポータビリティ/スケーラビリティ
「NEC the WISE IoT Platform」によって構築したシステムは、事業環境の変化や事業成長のステージに応じて柔軟に変更できます。システム立ち上げ時と比較して、データ量が増加したり、リアルタイム処理への要求が高まった場合でも、柔軟にビルディングブロックを再配置して分散処理します(図5)。
デバイス側へ特定機能を移植して高速化することも考慮しています。例えば、これまでは振動・音のセンサーだけで分析していたものを、精度を上げるためにカメラなど映像デバイスを追加した場合、デバイス・コンピューティング層でのデータ処理量が一気に増えますが、AI機能をデバイス・コンピューティング層に移したり、新たに追加することで、スムーズなスケーラビリティを実現します。
3.6 マルチコネクティビティ
お客様の現場では、まだIT化されていない機器が多く、それらをIoTで活用したいという要望もあります。「NEC the WISE IoT Platform」の場合、非ITデバイスを接続するために、それらを読み取り可能なアダプタ群を用意しておき、あらかじめ検証してデータ収集できる形にしていきます。異なる通信方式やデータ形式の差分を吸収することで、非ITデバイスでも容易に接続でき、設備の拡張や更新、デバイスの追加などの作業を省力化することを目指しています(図6)。
3.7 オープン
「NEC the WISE IoT Platform」では、ビルディングブロックに数多くの事前検証済みオープンソースを採用しています。迅速に機能が開発され、システムの更新も頻繁に行われるオープンソースを積極的に取り入れることで、質の高いソフトウェアを広い範囲で活用できます。機能やセキュリティ面もオープン環境のなかで検証されたオープンソースを採用することで、安心して利用でき、またベンダーによる「囲い込み(ロックイン)」を回避することもできます。
NECは、オープンソースの活用には早くから取り組み、さまざまな分野での実績が高く評価されています。
4. むすび
「NEC the WISE IoT Platform」は、コンサルサービス、共創プログラム及び各種IoTソリューションと一体となって、「NEC Flexible Business Infrastructure」というサービス体系を構成しています。NECでは、お客様のフェーズに合わせたソリューションやサービスを用意しています。ビジネスの課題や目的が明確なお客様には、各種の業種へと拡充したIoTソリューションを提供いたします。一方、IoTやAIをどのように活用すればよいかお悩みのお客様には、コンサルサービスや共創プログラムを提案し、デジタルビジネスの導入を支援いたします。
- *LTEは、欧州電気通信標準協会(ETSI)の登録商標です。
- *その他、記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
参考文献
執筆者プロフィール
デジタル戦略本部
主席主幹