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なぜ、今、マイナンバーカード??

デジタル庁が各省庁や自治体と連携して取り組んでいるマイナンバーカード普及と利用拡大に関して、「国の政策紹介」、「マイナンバーカードが必要となる社会的背景」、「自治体の取組み紹介」の3回に分けて、ご紹介していきます。

第1回 徹底解説! マイナンバーカード、その普及を進める政府施策のポイント

第2回 なぜ、今、マイナンバーカード??

第3回 自治体が取り組むマイナンバーカードの普及策

前回ご紹介しましたように、政府はマイナンバーカードの普及に力をいれています。では、なぜ、今、マイナンバーカードなのでしょうか?
この理由を考察してみます。

1 マイナンバーカードの本人確認機能

マイナンバーカードは、様々な機能を有していますが、メインは券面とICチップの2つの本人確認(身分証)機能です。

券面には、表面に顔写真、氏名、生年月日、性別、住所等が記載され、「リアル空間」で身分証として利用できます。例えば、窓口でのカード提示や、コピーをとって郵送することで自分の身分を証明します。
また、裏面には12桁のマイナンバー、氏名、生年月日等が記載されており、マイナンバー提出の際の番号確認に使われます。

ICチップの中には、これらの券面に記載されている情報の他に、公的個人認証サービスの電子証明書も格納されており、「サイバー空間」での本人確認に利用できます。
例えば、インターネットで申請を行う際にカードをリーダライタにかざしてパスワードを入力することで自分の身分を証明できます。

では、誰が、身分を証明してくれているのでしょうか?
マイナンバーカードによって、居住地自治体の住民基本台帳(住民票)に記載されている情報であることが証明されるのです。
つまり、マイナンバーカード保有者の氏名、住所、性別、生年月日が正しいことを自治体が証明をしてくれるということになります。

このようにマイナンバーカードは、リアル空間とサイバー空間の2つの本人確認(身分証)機能を有しています。

2 デジタル先進国デンマークの本人確認手段

日本は、国連電子政府ランキング14位。1位は北欧デンマークです。
デンマークでは、自治体から住民への通知はデジタルポストにメールが届き、書面が郵送されてくることはありません。また、住民から自治体への手続もデジタルでの申請を義務付けられています。このため、自治体窓口での事務はほとんどなく、旅券等の物理的な配布や相談事務のみ。また、インターネットで来訪時間の事前予約を行うため待ち時間はゼロ、更に開庁時間を短縮している自治体まで存在します。

ここまで行政サービスのデジタル化が進んだ結果、サイバー空間での本人確認手段であるNemID(*1)/MitID(*2)は(任意取得にもかかわらず)成人のほぼ100%が保有しています。このNemID/MitIDは、マイナンバーカードのICチップに相当する本人確認機能を有するもの。おそらく日本でもこのような状態を目指していると想像できます。

  • (*1)
    NemID:デンマークのCPR番号(個人番号)の保有者が利用できるデジタルID。ユーザーIDを入力したあとに、コード(ワンタイムパスワード)を入力してログインする。行政のみでなく、一部の民間サービスや銀行のサービスでも使用できる。
  • (*2)
    MitID :NemIDに代わって導入される次世代デジタルID。2021年から段階的にNemIDからMitIDに移行される。

3 マイナンバーカードは「手段」であり「目的」ではないはず

日本においても、日常生活ではスマートフォンが当たり前になっており、様々な民間サービスがサイバー空間で提供されています。
今後、行政サービスにおいても、書面や対面を極力無くしていくこととなると考えられます。

例えば、相続手続。遺族は大切な方を亡くした悲しみの中、相続人の確定から遺産の処分に至るまでの多くの手続を、限られた時間で強いられます。このような状況の中で、法定相続人を確定させるためには、被相続人(亡くなった方)の出生時から死亡時に至るまでの全ての戸籍証明書(現在戸籍、改製原戸籍、除籍)を、戸籍が保管されている各市区町村から入手する必要があります。

これらの相続手続がインターネットで完結できるようになれば、いいと思いませんか?
この時の本人確認に必要なのが、マイナンバーカード。匿名性の高いサイバー空間において「なりすまし」で戸籍情報を入手されないようにするためです。

つまり、マイナンバーカードは、将来のサイバー空間での行政サービスを当たり前にするための本人確認手段といえます。決してマイナンバーカード普及自体が目的ではないでしょう。
今後は、マイナンバーカード普及だけでなく、本来の目的であるサイバー空間での行政サービスの更なる充実も期待されるところです。
「卵が先か鶏が先か」の議論となりますが、この両方が揃ってこそ、日本がデジタル先進国の仲間入りができることになると考えます。

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