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航空宇宙・防衛領域の整備業務(MRO)を効率化
NECが目指すIFS Cloudによる航空宇宙・防衛産業のDX化とは?【2024.12.18】
カテゴリ:保守・サービスSCM/MES/FSMDX・業務改革推進
[目次]
複雑かつ高度な業務が求められる、航空宇宙・防衛産業におけるMRO(Maintenance:整備、Repair:修理、Overhaul:オーバーホール)。これまでアナログに行われることの多かった当該業務の管理を大幅に効率化させるのが、グローバルERPパッケージの「IFS Cloud」です。NECはパートナーとして多くの企業への導入を手掛けてきました。今回はNECの梶友樹が、「IFS Cloud」のMRO機能についてご紹介します。
NEC エンタープライズBU 製造ソリューション事業部門 製造システム統括部
SCMソリューショングループ 主任 梶 友樹
2015年にNECのSE職として入社し、製造業向けシステムのプロジェクト管理を担当。その後、自動車部品メーカーや産業システム分野のプロジェクトに従事。2019年より現SCMソリューショングループへ異動し、製造業や航空宇宙防衛産業の顧客にIFSソリューションを紹介。2024年には同業界のプロジェクトにソリューションコンサルタントとして参加中。
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1.MROの重要性とは
民間のエアラインの旅客機や貨物専用機、航空自衛隊で用いられる戦闘機や輸送機。このような航空機には高度な安全性が不可欠であり、そのために厳密な整備が行われています。
こうした整備はMRO(Maintenance Repair Overhaul)と呼ばれており、航空会社および官公庁から受託して当該業務を行う重工業メーカーなどのMROベンダーが重要な使命を担っています。
MRO業務の内容としては、一般的にMRO事業者が顧客から航空機やエンジンなどを自社整備ドッグに引き取り、分解・診断・修理・組立を行って顧客のもとに返すというプロセスを取ります。
航空機は納品後、何十年にも渡って使い続けられるものであり、かつ人命に関わるものとして、整備不良や品質不備などは決して許されません。したがって、航空会社や当該官公庁にとって最重視される事業と言えます。
なお、MROはものづくりのPLMの考え方における「保守フェーズの業務」に該当しています。
2.MRO業務効率化の要請
近年において、日本を取り巻く国際情勢に厳しさが増し、防衛関連予算が増大しています。これを受けて防衛装備品などの業界やMRO業界が活況を呈しています。
そうして業界における需要が高まる一方で、MROベンダーにおいては、専門性の高い業務を手掛ける人材の不足、高い品質基準への継続した対応、強力なグローバルコンペチターとの競争、収益性の改善といった課題を抱えています。このため、これまで以上にDXによる業務効率化が不可欠の状況にあると言えます。
この、MROのDXとして有効なツールが「IFS Cloud」です。
3.「IFS Cloud」とは
IFS社は、スウェーデンに本社を置き、日本を含め50か国以上に拠点を展開するパッケージメーカーです。「IFS Cloud」は、ERP(エンタープライズリソースプランニング)、EAM(企業資産管理)、FSM(サービス管理)すべてを単一プラットフォームで管理することが可能で、
なかでも「製造」「エネルギー」「サービス」「建設・エンジニアリング」「通信」そして「航空宇宙・防衛」の6業界に注力。航空宇宙・防衛領域においては、当該領域における専門的な項目や機能を盛り込むことで業界から高く評価され、航空宇宙・防衛領域における設備管理ソリューション市場の40%以上、10年連続No.1のトップシェアを獲得。全世界の航空機の約20%がIFSによって整備管理されている実績を誇ります。( EAM Software Market Leader)
「IFS Cloud」のアフターサービス・保守整備関連機能には、機体の運用者向けの「Maintenix」、機体整備を担うMROベンダー向けの「航空機MRO」、エンジンなどの精密部位の整備に対応する「複合型機器MRO」、工場内の設備の点検/整備に特化した「設備管理」および細かい部品を管理する「構成品MRO」など幅広い機能があります。
各機能の概要は、以下のとおりです。お客様の業種や整備対象品に応じて適切なソリューションをご提供することが可能です。
航空機MRO
- 機体や整備品に設定されている整備計画と、運用実績値を突き合わせ、必要な整備アクションをシステムから提示し、作業指示を発行
- 上記と併せて、顧客との契約情報を登録することで、整備に必要な部品の調達先を制御することも可能
複合型機器MRO
- 引取整備品に対する一連の整備プロセス(分解、診断、修理、再組立)の作業実績を一元管理
- 整備品に対する分解範囲の指定を行い、範囲内の部品を個別に診断&整備対応することで精密なオーバーホールの実績管理を支援
設備管理
- 自社&他社設備や、アフターサービス製品に対する予防保全、事後保全管理、保守作業管理を支援
構成品MRO
- 整備対象品や、その構成モジュール品に対して、診断や修理、返送、交換などの整備指示を発行
- 上記記載の他の機能との連携が可能
4.「IFS Cloud」MROソリューションの強み
「IFS Cloud」MROソリューションは、引取整備品のシリアル構成や整備項目、改修情報や様々な技術情報管理を保持し、それを土台として整備計画~整備指示~実績報告までの整備作業管理、さらにはそれらに必要なパーツ手配、外注依頼、在庫管理までを幅広く支援することで効率的なMRO業務をサポートします。
とりわけ、航空宇宙・防衛領域の専門的な整備項目や用語に標準機能で対応している点は大きなポイントです。
類似の管理ツールは、プラントなどの設備のメンテナンス向けのものを航空宇宙・防衛領域にも転用する形のものが多く、MRO領域に特化した機能を持つ「IFS Cloud」の優位性をもたらしています。
5.NECの機能と役割
NECは、IFS社のSIベンダーや共同事業開発者として1997年以来27年にわたるパートナーシップを続けており、これまで208社への導入を手掛けています。もちろん自社にも導入し、ユーザーとして機能を熟知しています。
こうした取り組みがIFSに評価され、全パートナーを対象としたパートナーアワードにおいて全チャネル内のトップパフォーマーとして過去3回にわたって表彰されています。
NECは、自社自身が「IFS Cloud」のユーザーでもあります。その知見やこれまで多くの製造業への導入実績から得たスキルやノウハウを「Fitting型導入メソッド」として体系化。そのメソッドを「ソリューションコンサルタント」と呼ばれるIFS導入の専門知識を持つ人材が活用しながら導入プロジェクトを進めています。
NECはSIベンダーであるとともに、自らも航空宇宙・防衛領域で製品を提供しているメーカーでもあります。この特長を生かし、「IFS Cloud」MROソリューションにおける知見を深め、お客様のDXに有効なご提案を行ってまいります。
6.今後のビジョン
本ソリューションの対象は航空宇宙・防衛産業に止まるものではありません。あらゆる産業の中でも高度な整備レベルが求められる同産業向けMROソリューションとして、他の製造業のお客様にもご活用いただけます。整備業務のDX化をご検討のお客様は、ぜひ、NECまでご相談ください。
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航空機や輸送機などの大型資産は、ライフサイクルが長期間にわたります。また整備作業では、部品装着位置の正確な把握など細かな管理を要求されます。IFS Cloudの整備・改修業務管理は部品や構成情報を細かい粒度で管理でき、ヒトとモノが一体となったソリューションを提供します。
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