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【再掲】ERPパッケージ「IFS Cloud」によるサプライチェーン管理と強靭化の実践
産業機械メーカー様における事例セミナーレポート②【2023.03.15】
カテゴリ:調達・生産管理保守・サービスSCM/MES/FSM
製造業では今、サプライチェーン全体を俯瞰・可視化し、多面的にリスク対応を講じていけるレジリエンス強化・サプライチェーンの強靭化が重要なテーマとなっています。
本セミナーでは、半導体・液晶の製造工程に欠かせない「真空ポンプ」世界トップクラスのメーカーである樫山工業様の事例をもとに、設計・生産領域に携わる皆様が今直面している課題と、それに対しNECの考える目指すべき方向性と解決策についてご紹介しました。
NEC 製造システム統括部 プロフェッショナル 髙實子 紀章
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製造業を取り巻く課題
初めに、製造業を取り巻くものづくりやサプライチェーンの課題について簡単に振り返りたいと思います。
① 国内の労働人口減少への対応やスキル・ノウハウの継承
② 不正検査や規制への対応と品質・トレーサビリティの強化
③ デジタル化への対応の遅れと“2025年の崖”への対応
④ グローバル企業との競争の激化とものづくり優位性の低下
⑤ 災害時非常時におけるサプライチェーンの分断・BCPへの対応
⑥ SDGs、ESG系働き方改革といった社会課題への対応
これらのことが挙げられると認識しています。
さらに昨今、コロナ禍の影響もあり、さらに発展的な課題として、急激な需要変動へのブレーキ・アクセルへの対応、常に何が起こるかわからない状態の中での持続的なサプライチェーンの再編といったことが重要視されています。
また、原材料の高騰、半導体の不足に製造業の方々は一番頭を悩ませていることでしょう。
そして、これまでのプロダクトアウト型のビジネスから、サービス・サブスクリプション型のビジネスへのシフトというビジネスモデルの変革に、我々製造業は対応していかなければなりません。
課題解決のためのDXと「IFS Cloud」
こうした中、DXが叫ばれるようになりました。DXで企業変革力を作っていくわけです。重要なポイントとして、「感知」「捕捉」「変容」という三要素があります。これらの軸での既存事業の改変という観点では、既存で持つデータを活用して、将来性の再評価、戦略の見直しを行い、ビジネスモデルを変革していく。新規事業という観点では、自社のリソースを把握し、機械を捕捉し、新事業を創出する。これらを行うためのDXとして、AIやIoTの活用、さらにはダッシュボードを使った見える化を促進していくためのデジタル化したプラットフォームづくりに取り組まれていくと考えられています。
これによって、先述の課題にあった、脅威変動に強い、新しいビジネスモデルにも適応し、強靭なサプライチェーンを構築するといった仕組みを作っていく。これが、製造業の普遍的な取組みテーマであると考えています。
中でも、サプライチェーンの管理と強靭化が大きなテーマ。そのソリューションとしてご紹介したいのが、「IFS Cloud(旧IFS Applications)」というパッケージです。ここで概要を紹介します。
「IFS Cloud」の概要
「IFS Cloud」は、スウェーデンに本社を置くIFS社が開発したパッケージで、ユーザーはグローバルで1万社以上、対応言語数は23言語というグローバルERPです。①航空宇宙、②エネルギー、③エンジニアリング、④製造業、⑤サービスの5業種に注力しているのが特徴です。
「IFS Cloud」は、Gartner社の顧客満足度調査において、ERPの領域では他の名だたるパッケージが並ぶ中で「4.7」という非常に高い評価を受けています。また、アフターサービス領域(FSM)や設備管理領域(EAM)でも高く評価されています。
「IFS Cloud」の多様な機能性を表したものが、図のモジュールチャート。会計系、人事管理、プロジェクト管理、生産管理、サプライチェーン管理、アフターサービス系といった幅広い業務に対応するモジュールを持ち、必要な要件や用途に応じて導入できるところがポイントです。
こういった多岐にわたるモジュールを使って、図のとおり見込生産から個別受注生産まで多様な生産形態に幅広く対応できるのが強み。これによって、適用している業種はハイテク機器や電気・精密機器、化学品、塗料、食料品、消費財といったプロセス製造業、自動車、自動車部品、装置部品、プラント設備、輸送機器等々、非常に幅広く対応可能となっています。
「IFS Cloud」の可視化機能とソリューション
この「IFS Cloud」は、可視化の機能が豊富で、今回のテーマである変動への対応力にも繋がります。
一つ目は、「IFS Lobby」というダッシュボードによるサプライチェーン全体の可視化機能。例えば、調達担当者が、自身が担当している調達のオーダーやそれらに対する進捗、納期が遅れたらどこに影響があるかを可視化します。さらに、遅延が発生しているオーダー件数をクリックすると、その購買指示をすぐに一覧で出すことができます。こうしたドリルダウンだけでなく、仕入先の軸や品目別グループ、さらに工場全体や会社全体ではどうなっているのかという俯瞰的な視点を組み合わせて確認していくことが可能です。
「IFS Visualizer」は、在庫需給状況を可視化します。図の折れ線グラフが在庫の推移を、棒グラフが在庫の増減(製品の入庫や、購買品の入庫情報、部材の供給情報)を表しており、これにより需要と供給の情報を可視化し在庫の推移を確認できます。さらにグラフをクリックするとドリルダウンできる仕組みです。これを使いながら、製品の軸で業務管理担当者が担当製品の納入先別在庫推移を把握する、生産管理担当者が部材の過不足状況を確認するといったことができます。
さらに生産管理者向けダッシュボードとして、自身が計画している先々の生産計画や製造の指示タイミングできちんと部材が足りているかを確認できるものがあります。
一方、生産管理部門の業務として、製造のラインや作業者の負荷状況の可視化が大きなポイント。こういったものを山積みして計画を立てていく中、突発的な受注や需要の変動があったりすると、組み直しが必要になります。そういったスケジュール立案に対応する機能も搭載しています。
次に、個別受注生産向けソリューションをご紹介します。これは、プロジェクト管理(引合から設計・受注のプロセス)、製番管理とMRP管理(調達・製造からの製番紐付きでの手配とMRPの融合)、さらに出荷後の保守サービスに対応しているソリューションです。
保守サービスは、フィールドサービス・オーバーホール業務に幅広く対応しています。お客様からのサービス・修理要求の受付、定期メンテナンスの作業計画、必要な作業員や設備リソース管理、保守補修品の手配、現地メンテンナンスや工場に持ち帰っての分解・修理作業指示、モバイルでの実績報告、各種サービス業務のKPI分析に対応できるパッケージとなっております。設計から調達・製造・据付工事・出荷後のサービスまで、ライフサイクル全体をOneプラットフォームで管理できるのがIFS Cloudの特長です。効率化・可視化・データ利活用という観点は勿論のこと、近年注目されているLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現することができます。
この「IFS Cloud」は、最新バージョンとして2021年にリリースされました。「IFS Cloud」は近年重要視されているクラウド志向のアーキテクチャに進化しました。
標準業務テンプレートを活用したNECによる「Fitting導入」
続いて、IFSの標準業務テンプレートを活用したNECノウハウによる「Fitting導入」の進め方についてご紹介します。
NECは、IFS社との20年にわたりパートナーシップを組んでおり、NEC自社内の生産管理の仕組みとしてもIFS Cloudの前バージョンの「IFS Applications」を導入しています。自身も製造業であるNECでの業務改革とシステム導入の取組みと、IFSの豊富な機能性、グローバルな対応力を組み合わせて、お客様にご提供しています。
NECのお客様への導入実績は、205社371拠点(2022年5月現在)。見込生産系から個別受注生産系まで、多岐にわたるお客様に導入させていただいています。
NEC自身の標準化の方法として特徴的なポイントをご紹介します。
NECは家庭用のルーターからPOSレジ、防衛・宇宙系まで広範なものづくりを手掛けていますが、多岐にわたる製品やものづくりのやり方を、次の分類で工夫してきました。
I類が見込生産、II類が受注生産、III類が受注仕様設計生産、IV類が完全な一品物を作る個別受注生産です。これら各領域の製品特性や手法・特性、生産特性、調達特性を分類しながら、NECとして標準のシステム、業務の標準化を行ってきました。
こういったNEC自身のノウハウを、ぜひ製造業の皆様にも展開していきたいといった思いで作られたのが、サービスの導入ノウハウを体系化した「標準業務テンプレート」と呼んでいるものです。
具体的には、業務フローや、お客様の業務をシステムの使い方に落とし込んだ「適用企画書」などのノウハウを集中させたものを使いながら、さらにNECのソリューションコンサルタントというプロフェッショナル集団が、お客様への導入支援サービスを行うという形で体系化しています。
NECが持つ標準業務テンプレートを活用しながら、NEC自身の改革実績やお客様に対しての導入ノウハウを活用し、パッケージの標準機能を最大限活用した適用を「Fitting型導入」と呼んで、お客様にご提供しております。
最後に、NECのご提供するソリューションについて。
サプライチェーンの見える化・変動対応力強化では、システムももちろん重要ですが、システムだけではない目線も重要です。ものづくりの考え方そのもの、サプライチェーンのやり方そのものからNECはご支援できますので、ぜひお気軽にお声掛けいただければと思います。
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IFS Cloud
「IFS Cloud」は、世界的なERPベンダー・IFS社(本社:スウェーデン)のコンポーネント型グローバルERPパッケージです。「IFS Cloud」のユーザーでもあるNECは、IFS社のパートナーとして、自身の製造業としての課題や取り組みをベースに、DX時代のお客様のグローバルなものづくりを支援しています。
コンサルティングサービス(生産管理領域)
製造業としてのNECの自己革新によるものづくりの知見とビジネス・IT双方の知見を活かし、お客様の企業価値の最大化に向けた経営課題の解決をご支援します。
NEC ものづくり共創プログラム
「NEC ものづくり共創プログラム」は、生産革新やグローバルサプライチェーン改革推進に必要なノウハウやアセットを4つのコンセプトで提供しています。NECはお客様と同じ「ものづくり企業」として、お客様の改革推進に向けた活動を強力に支援します。
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