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衛星管制システム

宇宙空間でミッションを遂行する人工衛星の健康状態をどうやって監視し、制御しているの?

地球から遠く離れた宇宙でミッションを遂行する人工衛星。ミッション達成のために、地上から人工衛星の健康状態を監視し、制御しています。たとえば、「はやぶさ」は小惑星イトカワでサンプルを採取し、7年の歳月をかけて地球に戻ってきましたが、はるか遠くの人工衛星の状態をどのように知り、衛星に指令を出しているのでしょうか。

地球から人工衛星を監視・制御する衛星管制システム

宇宙空間で働く人工衛星の健康状態を監視し、制御しているのは、地球上の管制センターの衛星管制システムです。通信、測位、地球観測等の目的に応じた一つひとつの人工衛星ごとに衛星管制システムが整備されており、人工衛星を運用しています。

衛星管制システムは、地球上に設置される地上局を経由して人工衛星を監視しています。地上局のアンテナを使ってデジタル信号で人工衛星と通信し、人工衛星の位置や健康状態を確認します。必要に応じて、人工衛星の軌道や姿勢を変更したり、例えば、写真を撮るなどのミッションを指示します。これにより、人工衛星を正しい位置に制御し、目的を達成できるようにします。これらの通信は暗号化されていて、安全に行われます。

NEC衛星オペレーションセンター
NEC製高性能小型レーダ衛星「ASNARO-2」の運用を行っている。

衛星管制業務は「運用計画立案」「衛星監視制御」「軌道力学計算」からなります。

  • 運用計画立案
    人工衛星の目的に基づいた制御計画の自動生成や、制約条件を考慮した最適化を行い、詳細な運用計画を立案します。要求解析、シミュレーション、スケジューリングの技術を利用します。
  • 衛星監視制御
    人工衛星の健全な運用を継続するため、衛星データ収集・解析、異常検知、制御信号の送信を行います。リアルタイム処理、故障モード解析、自動制御等の技術を利用します。
  • 軌道力学計算
    人工衛星を所定の軌道に保持するため、軌道決定、軌道予測、軌道制御等を行います。最小二乗法やカルマンフィルタの推定アルゴリズム、力学モデルの計算、外乱モデリング等の技術を利用します。
衛星運用シミュレーション

このように、細かな運用計画に基づき、緻密な軌道計算を行い、人工衛星から送付されるデータを確認しながら、衛星の運用を日々行っているのです。

どうやって地球から人工衛星と通信しているの?

例えば、はやぶさが着陸前にランデブーした時のイトカワまでの距離は約3億Kmありました。想像もできないほど遠距離にある人工衛星の状況をどうやって把握しているのでしょうか?

人工衛星との遠距離通信では、NECが保有する様々な通信技術が活躍しています。

  • レーダー技術
    非常に弱い数ミリワットの強さで使用できる電波を使用します。
  • 情報圧縮技術
    通信のデータ量を減らすために詳細な画像データを圧縮します。
  • 誤り訂正技術
    電波の減衰や信号の変質による通信データの誤りを検出して訂正します。

人工衛星の安定運用を実現し、社会の安心・安全に貢献

衛星管制システムでは、このように高度な技術力が多く必要となります。NECは、気候変動観測衛星「しきさい」準天頂衛星「みちびき」宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」等、多くの衛星管制システムの開発を担当してきました。NECは、継続的な技術開発と運用経験の蓄積を行うと共に、得意とするIT技術をシステム開発に導入していくことが可能です。

NECは、長年の宇宙開発に関する知見を活用し、人工衛星の健全な運用や災害等の緊急時の対応のために、衛星管制システムに関する研究開発を日々行っています。将来に向けてAI等の最新技術を導入し、社会課題を踏まえた省人化や高速化を目指しています。NECは、重要インフラである人工衛星の安定した運用を実現して、社会の安心・安全安全・安心に貢献していきます。

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