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安全・安心・公平・効率を提供する社会インフラ特集によせて
現在、私たちはさまざまな社会的課題に直面しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、COVID-19)の世界的な流行を契機として、社会が大きく揺れ動いています。そして、その社会のあり方が変貌を遂げようとしている状況を、私たちはまさに今目撃していることを、皆様も実感されていることでしょう。
日本政府に目を向けると、デジタル庁を令和3年(2021年)9月1日に発足させることを含めたデジタル改革関連6法が令和3年(2021年)5月12日に可決・成立しました。これまでも加速を続けてきた行政のデジタルトランスフォーメーションが、更に勢いを増していくでしょう。
また、New Normalを前提として、国内でも、世界的なスポーツの祭典が開催されようとしています。更に、2025年5月には大阪万国博覧会の開催が予定されています。移動拠点である空港・港湾や、世界的イベントをグローバルへ魅力的に発信する放送業界の変革も急務となっています。
近年、激甚化・頻発化する豪雨災害をはじめとした自然災害による使用停止リスクが高まる社会インフラの老朽化や、少子高齢化により1995年を境に減少している生産年齢人口などは、既に差し迫った社会問題となっています。また、国民の安全・安心という観点で国際情勢を見ると、私たち日本が属するインド太平洋地域では、自然災害はもちろん、海賊、テロ、大量破壊兵器の拡散などのさまざまな脅威に直面しており、これら地域の平和、安定、繁栄を目指すべく、日本政府は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進しています。
これら社会的課題や国際情勢上の脅威を解決するためには、デジタルトランスフォーメーションの推進に加え、ヒト・モノの動きや自然、社会インフラの状況をとらえるセンシング技術が重要になります。地球温暖化の原因となる温室効果ガスを宇宙から観測する光学センサー技術、地上の建物や社会インフラの劣化状況を宇宙から見極めるインフラモニタリング技術、宇宙から降り注ぐ素粒子のひとつであるミューオンを積極的に活用して、火山活動、地滑りや地中の構造物などを非破壊で計測するミュオグラフィの進展も目覚ましい状況にあります。更に、第3次人工知能ブームを引き起こしている中心技術のディープラーニングは、センシングされた実環境の分析をはじめとしたさまざまな応用分野で活用されるだけではなく、指紋や顔など生体認証にも大きな波を引き起こしています。
センシングによって生み出される膨大なデータを効率的にやりとりするネットワーク技術、更にこの膨大なデータから分析を通して社会へと働きかける情報技術の重要性は、論をまたないところです。
今回の「安全・安心・公平・効率を提供する社会インフラ特集」では、行政サービス、放送、空港などの社会システムを支えるインフラのデジタルトランスフォーメーションに加え、海底から宇宙までの人類が到達可能なすべての領域にわたるセンシング技術、更には、COVID-19で苦しむ地球に、2020年12月、小惑星リュウグウで採取したサンプルを希望と勇気とともに届けてくれたはやぶさ2に関する技術を紹介します。また、長期的な視点を顧客と共有し、ぶれない視点で研究開発を進めている最先端のインフラ技術を紹介することで、将来を見据えて海底から宇宙にまで広がる未来の社会インフラのあり方を示唆いたします。
本特集をぜひご一読賜りますとともに、引き続き、皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。