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オフィスのセキュリティと利便性を向上する「顔認証ソリューション for オフィス」

デジタルトランスフォーメーションを加速するAI活用サービス・ソリューション

企業でのセキュリティ意識の高まりから、鍵による施錠、IDカードやパスワードなど、オフィスではさまざまな認証手段が導入されています。これらは場所や用途によって使い分ける、手間をかけて管理、運用するといった利用者の負担や、盗難や使い回しによる不正利用といった課題があります。「顔認証ソリューション for オフィス」は、複数のNEC顔認証製品、サービスをまとめて提供し、オフィス内の認証手段を顔認証で統一することにより、セキュアで利用者の利便性が高いオフィスを実現するためのソリューションです。本稿では、本ソリューションについて紹介します。

1. はじめに

NECの生体認証ブランド「Bio-IDiom」の中核技術であり、世界No.11)の認証精度を誇る顔認証AIエンジン「NeoFace」を採用した商品群を連携させ、オフィス内におけるセキュリティ強化や利便性の向上を図るのが「顔認証ソリューション for オフィス」となります。

昨今、企業においてセキュリティ意識の高まりから、さまざまな認証手段が導入されていますが、それに伴い利用者が複数の認証手段の利用を強いられるなどの負担が顕在化しております。例えば、業務システムごとに異なるID/パスワードを設定することや一度設定したID/パスワードを定期的に更新する必要があったり、IDカードについても用途ごとにカードを使い分けて利用する場合や、紛失時に無効化、再発行に時間が必要になるなど、セキュリティ対策のために多くの手間を利用者と管理者の双方にかけている実態があります。

本ソリューションは、顔情報を共通利用できるサービス「NeoFace顔情報マネジメントサービス」を中心に、PCログオンなどができるPCセキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor」、出入口のセキュリティゲートの解錠を行う「NeoFace Access Control」、顔認証システムを容易に導入可能な「NeoFace 顔認証システム導入セット」など、NECの顔認証製品やサービス群をまとめて提供する、オフィス向けに特化したソリューションです。迅速かつ容易に導入でき、複数の認証手段を顔認証で統一することで、利用者と管理者の負担軽減も実現します(図1)。

図1 「顔認証ソリューション for オフィス」全体イメージ

2. 「顔認証ソリューション for オフィス」を構成する製品とサービス

2.1 「NeoFace Access Control」

本製品は、顔認証エンジンを始め、顔データベース、カメラや表示パネルなど、顔認証に必要なソフトウェア・ハードウェアをパッケージ化した一体型顔認証端末です。あらかじめ端末内のデータベースに登録した顔写真と、内蔵カメラが撮影した動画から顔を検出し、瞬時に本人確認を行います。

オフィスのセキュリティゲートに設置することで、顔認証によるセキュリティゲートの解錠が可能になり、ハンズフリーでの入退場を実現できます。社員証などのIDカードと顔認証を併用する二要素認証にも対応しているため、IDカードの盗難や使い回しによる不正な入退場を抑止し、セキュリティの強化を図る運用も可能です。

また、カメラの前で立ち止まることなく歩きながら本人確認ができるため、出退勤時などでもスムーズに顔認証による入退場を行うことが可能です(写真1)。

写真1 「NeoFace Access Control」導入時の入場イメージ

2.2 「NeoFace 顔認証システム導入セット」

本製品は、顔認証ソフトウェアをあらかじめインストールしたサーバと導入時に構築支援するサービスや保守サポートを一括で提供するセット製品です。ドアの入退室管理や大切なお客様のおもてなし対応など、顔認証による本人確認の用途で利用することが可能です。

入退室管理の用途では、IPカメラに加えてWindowsタブレットによる顔認証にも対応しています。タブレットで自分の顔を確認しながら認証できるため、利用者の利便性が向上します。入退室を行うドアは、電気錠式とオフィスに多く見られるサムターン式にも対応しており、サムターン式ドアに後付け可能なスマートロック「Akerun顔認証モデル(株式会社Photosynth社製)」も用意しています(図2)。本製品により、顔認証でドアの自動解錠を実現しています。

図2 Akerun顔認証モデルの構成イメージ

また、本製品は他システムと連携するインタフェースを豊富に用意しております。顔認証での入退室情報を勤怠管理システムと連携させることにより、入退室時刻と出退勤時刻のかい離をチェックし、労働時間を適切に管理することができるなど、さまざまな用途で活用可能です。

2.3 「NeoFace Monitor」

本製品は、PC端末(Windows OS)へのログオン、OSのロック解除や業務アプリケーションへのログインを顔認証で実現する製品です。

利用者は、PC端末やアプリケーションの利用の度に長いパスワードを入力する必要がなくなり、またセキュリティのために複雑なパスワードを考えて記憶しておく必要がなくなります。

管理者は、誰がいつPC端末を使っていたのかを顔情報のログから個人単位で特定できるため、正しい利用者が使用していたかを確認することができます。これは、利用者の不正利用の抑止にもなります。これにより、利用者の負担を軽減しつつもセキュリティを強化することが可能です。

OSのログオン/ロック解除時のセキュリティを強化する機能として、顔の動きをチェックすることで写真や動画での不正なログインを防ぐ動き検知機能の搭載や、パスワード/IDカードと顔認証を組み合わせた二要素認証にも対応しています。更に、OSのログオン/ロック解除のセキュリティを強化する機能として、利用時に定期的に顔認証を行い自動でロックをかける常時監視機能を搭載しています(写真2)。

写真2 PC端末ログオン画面

2.4 「顔認証印刷ソリューション」

本ソリューションは、従来IDカードで行っていた印刷時の本人確認を顔認証で行うソリューションです。プリンタの近傍に設置したネットワークカメラで印刷要求者の顔をとらえ認証し、認証された本人の印刷ジョブが印刷されます。手ぶらで認証可能な顔認証技術を認証印刷に活用することで、IDカードをかざすといった認証時の煩わしさを軽減し利便性を高めるとともに、印刷物の放置や取り間違いを防止するといったセキュリティ対策を提供します。

製品としては、株式会社シーイーシーの認証印刷ソリューション「SmartSESAME SecurePrint!」に顔認証AIエンジン「NeoFace」を連携させることで実現しています。顔認証による前述の特長に加え、マルチベンダーのプリンタ対応や、ロケーションフリー印刷、印刷ログの取得などが可能です。

2.5 「NeoFace Cloud GPS連携サービス」

本サービスは、顔認証機能を提供するクラウドサービス「NeoFace Cloud」を活用したもので、スマートフォンやタブレット端末での顔認証による本人確認とGPSによる位置情報を組み合わせることで、「誰が、いつ、どこにいたか」を正確に記録できるクラウドサービスです。

タイムレコーダーの代わりにオフィス内で利用するだけではなく、外出先や工事・点検作業を行う建築現場などの屋外においても、スマートフォンなどの端末から正確に利用者がいつどこにいたかを確認、記録することが可能です(図3)。

図3 「NeoFace Cloud GPS連携サービス」利用イメージ

2.6 「NeoFace 顔情報マネジメントサービス」

本サービスは各顔認証製品・サービス(以下、顔認証システム)にて蓄積した顔情報の共有を自動で行うクラウドサービスです。管理者はポータル画面から顔認証システムごとの連携状況の確認と、連携する範囲の設定が行えます。

顔認証システムごとの顔画像共有状況の把握を容易にし、登録者単位でどの顔認証システムで顔情報を利用するかといった柔軟な管理が可能となり、運用管理者の作業負荷を軽減します。

また、連携する範囲を設定することで、複数システムを束ねたグループごとでの顔情報の管理が可能となります。そのため、来客と従業員などの管理対象、情報システム部門と総務部門などの管理部門に合わせた管理範囲の設定が可能です。

また、「NeoFace 顔認証マネジメントサービス」と顔認証システムとの連携部分の構築に関する支援も行っており、当ソリューションの迅速かつ容易な導入を実現します。

3. おわりに

NECではさまざまな用途の顔認証製品を提供しており、また、パートナーとの共創により、各顔認証製品とパートナーの製品を連携させたソリューションも増えつつあります。このような顔認証製品、サービスを、「顔認証ソリューション for オフィス」を中心にお客様へ提供していくことにより、顔認証が持つセキュリティと利便性の両立といった付加価値を、今後もお客様に届けていきたいと考えております。


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    Akerunは、株式会社Photosynthの登録商標です。
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    Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標です。
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    その他記述された社名、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。

参考文献

執筆者プロフィール

斎木 誠
プラットフォームソリューション事業部
シニアマネージャー
平尾 浩一郎
プラットフォームソリューション事業部
マネージャー
大林 永利
プラットフォームソリューション事業部
主任
三宅 峰
プラットフォームソリューション事業部
リ サンサン
プラットフォームソリューション事業部