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住友電装株式会社様


NECの改革ノウハウを活用し、業務改革を実施
サプライチェーン全体を可視化し、製品在庫を大幅に削減
- 業種:
-
- 製造・プロセス
- 業務:
-
- 設計・開発・製造
- 生産管理
- 物流
- 経営企画
- グローバル
- 製品:
-
- ソフトウェア/情報管理
- ソリューション・サービス:
-
- IoT
- 共通業務/SCM
- サービス/コンサルティングサービス
事例の概要
課題背景
- コロナ禍で物流が混乱し、市場の変化への対応に時間がかかっていた。結果、特に市場に大きく変動が発生した際に、販売側で在庫過多が発生し、在庫コストの観点から大きな経営課題となっていた。
- 日本と海外工場の在庫が一連で見えないため、生産のアクセル・ブレーキが遅れ、余剰在庫や欠品リスクが発生していた。それに伴い在庫コストや異常費も発生し、収益性に影響を与えていた。
- 工場側も労働力維持・確保の観点から安定生産・安定稼働を重視した評価指標や生産体制になっていた。『部分最適』の傾向があり、『全体最適』の考えが浸透していなかった。
成果
NECのサービスを活用し、業務改革と在庫の可視化を実施
NECが自社で実践してきた改革ノウハウを活用し、業務改革を推進。合わせて「サプライチェーンアナリティクス基盤サービス」を導入し、主力製品についてサプライチェーン全体での在庫を可視化
グローバルな在庫可視化で、タイムリーにアクセル・ブレーキをかけられる仕組みを構築
日本側と海外工場が互いの在庫状況を見ながら、生産のアクセル・ブレーキを調整できる仕組みを構築し、主力品を中心に「実際に売れた分だけ製品を補充する」新しいサプライチェーンの管理方式を導入
主力製品の製品在庫を大幅に削減。『全体最適』でROIC志向への転換が進行
主力製品の製品在庫が大幅に減り、“数億円単位”の在庫削減効果が出た。さらに『部門最適』から、サプライチェーン全体で考えるROIC志向のものづくりへの転換が加速
導入ソリューション
「サプライチェーンアナリティクス基盤サービス」にて、NECが自社で実践してきた改革ノウハウを提供する「スループット向上コンサルティング」による伴走支援のもと業務改革を実施しました。さらに、海外工場を含めグローバルで、サプライチェーン全体の“モノの流れ”を可視化し、一部の主力製品を対象に、「売れたものを補充する」新しいサプライチェーンの管理方式を導入しています。
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事例の詳細
導入前の背景や課題

西部事業本部 生産管理統轄部
部長 兼 ハーネス生産本部 生産調査部 主幹
梶原 正裕 氏
パンデミックによる半導体不足・物流混乱で、余剰在庫が発生
自動車用ワイヤーハーネスのリーディングカンパニーとして、世界各国で事業を展開する住友電装株式会社様。日本を含む30以上の国と地域に100以上の拠点を設置し、『世界同一最高品質』を目指したものづくりに取り組んでいます。
同社はASEAN諸国やメキシコに主な生産拠点を設け、北米、中国、日本などに製品を提供する長大なサプライチェーンを構築しています。しかし、2020年のコロナ禍を機に世界的な半導体不足や物流の混乱が発生しました。その際、「変化に柔軟に対応できず、多くの余剰在庫を抱えてしまった」と西部事業本部 生産管理統轄部長の梶原正裕氏は当時の苦しい状況を振り返ります。
同社では、日本側から海外の工場に対して、リードタイムを加味した上で手配をかけ、工場側はその指示に応じて製品を生産・出荷する仕組みを構築していました。しかし、コロナ禍で物流が混乱する中で、リードタイムが大幅に長期化し、実需とのズレが頻発。加えて、日本と海外工場の在庫が一連で見えていなかったため、生産のブレーキが遅れ、「大量の余剰在庫が発生する状況が生まれていた」と言います。
工場側も、安定生産と販売在庫削減のバランスに苦労しており、市場の急な変化への追従にどうしても時間がかかってしまっていました。コストを最優先する評価指標や生産体制も余剰在庫が増える要因の1つになっていたと梶原氏は分析します。
「極端な言い方をすると、サプライチェーン上のさまざまな部署が『部門最適』の取り組みで満足している状態でした。これだと、各組織としてのKPI(業績評価指標)は良くなるかもしれませんが、全体のKPIが良くなるとは限りません。『全体最適』を目指すマインドが薄かったことも、在庫コスト増や収益性の悪化を招く一因になっていたと考えられます」
こうした状況を改善するため、同社はサプライチェーンマネジメント(SCM)改革の実施を決定しました。その第一歩を踏み出すために導入したのが、NECが自社で実践してきた改革ノウハウを提供する「スループット向上コンサルティング」と、サプライチェーン全体を可視化する「サプライチェーンアナリティクス基盤サービス」でした。
選択のポイント
導入の決め手は「NECが有する豊富なSCM改革の知見」
導入を決めた理由として梶原氏は、「NECがトヨタ生産方式(TPS)を実践してきた経験を有すること」を挙げます。NECでは1990年代より、TPSを自社向けにアレンジしながら取り入れるなど継続的に生産革新活動を実践しており、その実践に裏打ちされた知見をもとにSCM改革を支援しています。
「当社もかつてTPSを実践したことがありますが、残念ながら社風や文化の違いもあり根付きませんでした。そんなTPSを自社流にアレンジし実践されているNECからは、多くの学びが得られると考えたのです」
NECは、同社がベトナム工場で生産・出荷している主要製品の生産実績や在庫状況を分析し、その分析結果も大きな決め手になったと言います。
「分析結果を見ると、製品がどこで滞留しているのか、なぜ在庫が増えてしまうのかが明確に可視化されており、いかに我々が近視眼的な見方に囚われていたのかに気づかされました。それまで持ち得なかった視点を得られると確信したことが、本サービス導入に踏み切った最大の決め手です」
SCM改革を開始した梶原氏は、取り組みと並行して変革の知見を得るために「NECものづくり人財育成プログラム」に参加。自身のマインドセットを変革しながら、NECの伴走支援のもと、業務改革やサプライチェーンの見える化を推進しました。
「SCM改革のターニングポイントになった」と梶原氏が語るのが、NEC担当者とのベトナム工場の訪問です。
「その時点でVSM(バリュー・ストリーミング・マッピング)の『As Is』(現状)モデルは作り上げていましたが、我々だけで新方式の業務プロセスを示す『To Be』(将来)モデルを作り上げるのは難しいと感じていました。そこでNEC担当者にベトナム工場を視察してもらい、『To Be』モデル設計の支援をしてもらおうと考えたのです」
NEC担当者はベトナム工場を訪問し、新方式の業務設計を支援した他、現地スタッフに対して、模型などを用いて改革の意義を伝える活動も実施しました。こうした取り組みが「改革の大きな推進力になった」と梶原氏は評価します。
さらにNECは、同社の海外工場スタッフをNECグループの白石事業所(宮城県)に招き、工場を視察していただくイベントも実施し、改革の機運向上にも貢献しました。
「実際に工場を見てもらうことで、『なるほど、日本側はこういうことがしたいのか』と海外工場のメンバーにも“腹落ち”してもらえました。NECの支援を通して、社内の意識が確実に変化していることを実感しています」
導入後の成果
在庫の可視化や億単位のコスト削減効果のほか、『全体最適』への転換も加速
2023年春同社は一部の主力製品を対象に、これまでの『内需の見込み生産』ではなく、『売れたものを補充する生産』に切り替える方針を掲げました。これは、工場側に製品のストックを一定数持たせておき、その製品が売れた数(実需)に応じて出荷し、その補充のために生産を行うというものです。「実需に応じて、遡りながら生産することで、当初の目的であった、無駄なものを作らない・余剰在庫を溜めない供給網を構築できる可能性が高い」と梶原氏は自信を覗かせます。
この新方式の実現には、日本側と海外工場が互いの在庫状況を見ながら、生産のアクセル・ブレーキを判断することが鍵となります。そこで同社ではNECの「サプライチェーンアナリティクス基盤サービス」に関連システムやデータをつなぎ込み、サプライチェーン全体を可視化できる仕組みを構築しました。
梶原氏は、新方式の導入やサプライチェーンの可視化による大きな導入効果として、コスト削減を挙げます。
「従来は海外工場で作ったものを全て日本に出荷していたため、日本側は常に約15日分の在庫を抱えていました。しかし新方式の対象となった製品は、海外工場に3日分ストックし、売れた分だけ出荷するようにしたため、日本の在庫は約7日分にまで減りました。全体の在庫も大幅に減少し、数億円単位の在庫削減効果が出ています。さらに現地では、倉庫の空きスペースを見える化し、効果を実感しています」
また同社では、在庫の偏在・滞留状況をレポーティングするデジタル定期診断サービスも利用しています。「対象となる製品の在庫は確実に減らせていますが、工場側では小ロット生産を実行したことでコストが上がっており、コスト減とコスト増をきちんと合算し見ていく必要があります。以前はこうした分析をしようという発想すら持てませんでした。新たな評価指標を得られたという点で、本サービス導入の意義は非常に大きいと考えています」
加えて梶原氏は、SCM改革で得た知見を広める社内教育も実施しました。「同じ方向を向く仲間が増えた」とし、同社のものづくりが、『全体最適』でROIC(投下資本利益率)志向なものへと転換しつつあると語ります。
今後同社では、ASEAN諸国のみならず、北米のサプライチェーンにも新方式を展開していく構想を抱いているとのことです。さらに梶原氏は「生産工程だけでなく、資材調達工程の改革にも着手と考えています。引き続きNECと共にSCM改革のさらなる推進に取り組んでいきたいです」と述べました。

NEC担当スタッフの声

匠コンサルティンググループ
プロフェッショナル
柳生 泰史
住友電装様の成功モデル構築は、製造業全体の競争力向上につながる
私は仕事柄いろいろな企業様のサプライチェーン改革をお手伝いしていますが、住友電装様ほど長大なサプライチェーンを持ちながら、改革をスピーディに進めている例は稀有です。ベトナム工場を視察させていただいた際もそうでしたが、あれこれ考えるのではなく、まずは“行動先行”で事を進める。そんなスピード優先の姿勢が改革を成功に導いているのだと、今回あらためて感銘を受けました。
住友電装様のグローバルサプライチェーンのあり方は、我々も勉強になる要素が多々あります。私自身も大きなやりがいを持ちながら、取り組んでいます。
住友電装様が抱える課題は、他の日系企業様が共通で抱える課題を多分に含んでいます。それはつまり、住友電装様の成功モデルを構築することは、日本の製造業の競争力向上に寄与できるとも言い換えられるでしょう。我々も微力ながら引き続き、その一翼を担わせていただけますと幸いです。

SCM事業開発グループ
プロフェッショナル
久保 明子
“可視化”の支援を通じて、ROIC向上にも貢献したい
住友電装様は、業務改革を通じて現場の活動を改善いただき、その後の「サプライチェーンアナリティクス基盤サービス」によるサプライチェーンの可視化をこれからさらに推し進めていただく段階に来ていると認識しています。現在の活動をより定着させ、住友電装様ご自身で改革を推進していただくためにも、可視化の取り組みは非常に重要な要素となりますので、本サービスを引き続きご活用いただければと思います。
現在製造業においては、ROICなど企業価値を向上させることが非常にホットな取り組みとなっています。ROIC向上を目指す際に、固定資産を減らすことはなかなか難しいことですが、「在庫の削減」は業務部門のコントロールでCCCの改善に貢献できる取り組みの1つだと思います。ぜひ現在の改革を推進していただき、経営全体に貢献するような形で成果を出していただければと願っています。我々もそのご支援に一層尽力してまいります。
お客様プロフィール
住友電装株式会社 (Sumitomo Wiring Systems, Ltd.)
代表者 | 漆畑 憲一 |
---|---|
所在地 | 三重県四日市市浜田町5番28号 |
設立 | 1917(大正6)年12月22日 |
従業員数 | 7,141名 (2024年3月31日現在) |
グローバル 従業員数 |
247,187名 (2024年3月31日現在) |
事業内容 | 自動車用・機器用ワイヤーハーネスの製造販売、ワイヤーハーネス用・電気機器用部品の製造販売、自動車用電線の製造販売 |
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この事例の製品・ソリューション
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(2025年02月28日)
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