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基礎知識

量子コンピュータとは

これまでのコンピュータは半導体技術の向上によって、飛躍的に性能向上とコストダウンを達成してきましたが、技術的・経済的に限界に近づき、これまでのような性能向上が望めなくなっています。その一方で、ビックデータ処理、深層学習、組合せ最適化などの様々な分野で計算ニーズがいっそう高まっています。
このような背景のなか、特定の分野で圧倒的な計算能力を発揮する量子コンピュータの登場に期待が高まっています。
量子コンピュータは、従来のコンピュータとは全く違う新しい仕組みで動作し、スーパーコンピュータで処理に数千年かかる問題を超高速に解決できるといわれています。これは、従来のコンピュータが0か1の2進数で演算処理を行っていたのに対し、量子コンピュータなら、0と1を同時に表現できる(重ね合わせの原理)ため、並列処理が可能となるためです。

量子アニーリングとは

量子コンピュータは、ゲート型とアニーリング型の2つに大別されます。ゲート型は、現在の計算機の処理単位である”bit”を”量子bit”で置き換えた計算機であり、従来は”量子コンピュータ”と言えばゲート型を指していました。1994年に量子計算機を使って大きな数の素因数分解を高速に実行するショアのアルゴリズムが発明されると暗号解読に使えるのではないかとして一躍注目を浴びました。しかし、実現に向けては様々な課題があり、実用化されるとしても数十年先と言われています。
アニーリング型は、東工大の西森教授が1998年に理論を提唱しカナダのD-Wave社が2010年ごろ世界で初めて実装した量子計算機で、金属の焼きなまし処理とよく似た処理を量子を使って行う、いわば自然の法則を活用して最小エネルギー状態を探索する量子計算機です。量子アニーリングでは最適な組み合わせを探す「試行」の回数を、量子重ね合わせの原理によって圧倒的に増やせるので、組み合わせ最適化問題に適しているといわれています。また、実用化が見える段階まできており、世界中の研究機関や企業が開発にしのぎを削っています。

組合せ最適化問題とは

組合せ最適化問題とは、膨大な選択肢からベストな選択肢を選びだす問題を指します。身近な例を挙げると、電車の乗り換え検索で、出発地点から目的地までの最適な経路を求める最短経路問題があります。
これら組合せ最適化問題は、規模が大きくなると組合せの数が爆発的に増加し、ベストな選択肢を得ることが途端に難しくなる特徴があります。
例えば、宅配の最適ルートについて、「X台のトラックそれぞれにY個の荷物を積んで宅配する場合、それぞれのトラックにどの荷物を積んでどのルートを走らせれば、もっとも早く荷物を配り終えられるか」を求めるとします。配達先の拠点数が増えるだけでルートの候補は指数関数的に増加するだけでなく、刻一刻と変わる交通状況や不在・再配達要求などの状況変化に対応しながら、最小時間で配達し、ガソリン使用量や配達員の労働時間の最小化も考慮するとなれば組み合わせの数は極めて膨大となります。
この場合、近似解法の活用では計算速度および解の精度に限界が来ると予想されており、量子アニーリングマシンが期待されています。

ビルの周りに15個の家のイラストが周りにまばらに並び、近隣の家同士が線で結ばれており、線上にある3つのルートを合わせると全家を通ります。