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株式会社サンフレム様
新事業立ち上げを視野に、自社ビルで顔認証の実証を開始
IoTデバイスとの連携で来訪者のおもてなしも実現
- 業種:
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- 製造・プロセス
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
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- PCサーバ
- ソリューション・サービス:
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- 生体認証/顔認証
事例の概要
課題背景
- 本業の船舶燃焼機器事業に加え、脱炭素社会の実現に向けた新たな経営の柱を確立することが急務に
- 既存技術である船舶機器の遠隔制御と顔認証技術との連携を構想
- 自社ビルのリニューアルに際して実証環境を構築しようと考えた
成果
スピーディでセキュアな顔認証によるビル入退を実現
正面玄関や社員通用口に顔認証による入退の仕組みを設置。社員通用口ではほぼ100%の精度で認証・解錠を行えるようにした
顔認証×IoTデバイス制御連携で、何度も訪れたくなるスマートビルの「おもてなし」を提供
国際規格に基づいた各種センサーやライトなどの外部機器と連携させることで、来訪者のおもてなしに応用。パーソナライズされた体験で顧客満足も向上
様々な企業とのパートナーシップによる技術の研磨・知見の蓄積で将来を見据えた新たな価値を創出
スマートビルでの実証を通じ、NECとのパートナーシップで顔認証技術の活用ノウハウを社内に蓄積。脱炭素化が急務な船舶機器制御の新たな価値として還元を進める
導入ソリューション
照明制御の国際標準規格DALIをベースに多様なIoTデバイスが連携する仕組みをサンフレム社の技術力で構築。これにNECの顔認証を連携させることで、さらに高度な価値提供を実現しており、将来的には同様の仕組みを顧客向けソリューションとして展開予定
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事例の詳細
導入前の背景や課題
脱炭素化の次の一手としてスマートビル制御システム事業の立ち上げを目指す
船舶燃焼機器の大手であり、燃焼技術を用いたボイラー用バーナ、廃油焼却炉の製造も手掛けるサンフレム様。約20年前からは堅ろうかつ高性能なハードウェア製品だけでなく、管理性・操作性を高めるための制御機器やソフトウェアの開発にも積極的に取り組んできました。誰でも容易に扱える船舶機器を開発・提供することで、人手不足が顕著になる海運業界のニーズに応えています。
同社は現在、それらの技術開発で培った知見を基に、新たな事業の柱を確立しようとしています。代表取締役社長の田中達生氏は次のように話します。
「当社のビジネスは『油を燃やす』ことで成り立っています。ただ、脱炭素化が急務となるこれからの時代、いずれこの領域だけで事業を継続することは難しくなるでしょう。社員のためにも、次のビジネスの柱を考える必要性が出てきました」
そんな中、ビル制御システムを検討する中で、船舶向けと同様の制御機器が使われていることに気付いた同社は、ここに新事業の“種”を見出します。ビル制御の領域で新事業を立ち上げるため、自社オフィスをスマートビルにリニューアルして実証環境にする――。このような発想に至りました。
「早速、若手メンバー中心のチームで、実装したい機能について議論しました。同時に、できることの可能性を広げるため、自社技術と連携できそうな技術も調査しました。そこで出合ったのが顔認証技術だったのです。顔認証は成熟した分野ではなくこれからの最新技術。だからこそ今、チャレンジする意味がある」と田中達生氏は振り返ります。
選択のポイント
認証精度と外部連携機能を評価してNECのソリューションを採用
顔認証技術の検討に当たり、同社は複数のソリューションを検証しました。最終的に選んだのが、NECの顔認証システム「NEC 顔認証アプライアンスサーバ/NEC ビデオマネジメントシステムアプライアンスサーバ(VMS)」です。
「あるメディアで『NECの顔認証技術は米国国立標準技術研究所(NIST)が行った顔認証のベンチマークテストで世界1位を獲得している』※1※2という情報を入手しました。そこで直接NECに問い合わせ、自社拠点でデモを行ってもらうことにしました」(田中達生氏)。
そのとき行った入退のデモで、カメラをのぞき込まなくて済む「ウォークスルー顔認証」が可能なことを確認。認証精度も非常に高いことがわかりました。
さらに外部連携が容易な点も選定の決め手となりました。当時構想中だったシステムは、照明制御の国際標準規格「DALI(Digital Addressable Lighting Interface)」を使い、ビル内の多様なセンサー/機器や顔認証技術、電子錠コントローラなどを連動させるもの。「本来は照明専用の規格であるDALIを空調ファンやモーターなどの機器と連携させる点に、船舶制御で培った当社の技術を活かします。NECの顔認証技術は、その連携先の1つに容易に組み込める拡張性がメリットでした」と田中達生氏は説明します。
その後、同社のITシステム担当部署が主導して、DALIと連携したNEC顔認証システムの構築、および新オフィスへの実装を進めました。
「初めて顔認証システムを扱いましたが、操作がわかりやすく設定も簡単でした。不明点が出てきた場合も、NECの担当者が的確なアドバイスをくれたため問題なく進めることができました」と話すのは、ITシステム担当の田中柚衣氏です。同様に、外部連携の仕組みもスムーズに開発を進められました。
こうして新オフィスは無事オープン。顔認証の仕組みは、正面玄関の入退で2カ所、社員通用口の入退で2カ所の計4カ所に設置しています。
正面玄関では事前登録した来訪者のウォークスルー顔認証を実現。社員通用口では、出社した社員がインターホンカメラに顔を向けるだけでドアが解錠される仕組みを構築しました。このインターホンカメラとネットワークの工事・設定は、販売パートナーのディーアイエスサービス&ソリューションが担当。「社員通用口ではインターホンカメラを使って顔認証を行いますが、認証結果をLEDで点灯させる他、万一の際はIP電話(UNIVERGE SV9500配下)と通話ができるようにしました。将来は遠隔開錠(手動)ができる仕組みも検討していきたいと考えています」(田中柚衣氏)
- ※1
- ※2NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません
導入後の成果
獲得した顔認証技術の知見を船舶機器制御にもフィードバック
導入後、得られたメリットや気づきは数多くありました。
例えば、物理鍵の廃止によるセキュリティの向上です。従来は社員が物理鍵を使って朝の解錠と最終退出時の施錠を行っていましたが、現在は物理鍵を原則廃止とし、鍵の紛失リスクを排除しています。「新オフィスでは顔認証を主とし、予備として番号式の鍵を併用しています。この組み合わせにより、強固かつユーザに優しいセキュリティが実現できました」と田中達生氏は述べます。
また、現在進行形でノウハウを蓄積できていることも大きいとのこと。
「最初はNECより提供される製品を組み込めば動くと考えていましたが、サーバやカメラのハードウェアの選定、それらの設置状況や使用環境、適した設定や調整を綿密に行わないと性能が発揮できないとわかり、運用を始めた今も思考錯誤を繰返し、連携するプログラムの開発と合わせ最適なシステムの構築を目指しています。これらのノウハウの蓄積が大きなメリットであり、自社活用で『できること』『できないこと』の両方を知ることが、将来的なお客様への提供に向けて役立つと感じています」(田中柚衣氏)
今後は、顔認証システムをビル内の多様なセンサー/機器と連携させて、訪れるたびに楽しい、そんな顧客体験が可能な「おもてなしへの活用」を拡充させていく意向です。
例えば、訪問者それぞれに合わせた案内メッセージをプロジェクターで足元に投影するほか、来訪時にセンサー(DALI)が付いた玄関の傘立てを利用した場合、顔情報と紐づけて管理し、退館時には忘れものがないよう、利用者に対してアラームを出すといったことも既に検証を始めています。
加えて、得た技術やノウハウは本業の船舶機器にも積極的に活かしていきます。
現在は船舶の自動化が進んでおり、最終的には現場作業を行う最小限の人だけが乗船するようになると同社は見ています。そうなれば、利用者に複雑な操作を求めない顔認証の仕組みは、船舶の運航などを司るコンピュータ室をはじめ重要機能室への入退管理など多くの場面で活躍するでしょう。「実際、船舶への顔認証導入に対するお客様の関心は高いです。新事業を立ち上げるといっても、それは既存のお客様をないがしろにするということでは決してありません。長年お付き合いのあるお客様や業界にどのように還元するかも、継続的に考えていきます」と田中達生氏は強調します。
そこで不可欠なのがパートナーの力です。NECを始め、さまざまなパートナーとの連携を強化しながら、これからもサンフレム様は挑戦を続けていく構えです。
担当スタッフの声
続々と出てくるアイデアの具現化を最新技術で支援します
NECは長年にわたり顔認証技術の開発・応用に取り組んでおり、私も6年ほど多業種で顔認証のご支援をしてきましたが、サンフレム様のように、スマートビルの広範な機能と連携させたいというご要望をいただいたのはほぼ初めてのことでした。そのため最初は「本当にできるのか」と半信半疑でしたが、幾度ものやり取りを進めていく中で「これまでにない素晴らしいものができそうだ」という確信へ変わっていきました。
サンフレム様は田中社長をはじめ、若い社員の方もさまざまなアイデアを持っています。ときには漠然とした要望をいただくこともありますが、そこから「来訪者へのおもてなし」のような、顔認証の新たな使い方につながることは少なくありません。そのため、話を聞かせていただく我々も「サンフレム様が求めるのは顔認証技術そのものではなく、それにより実現する新たな体験だ」「顔認証はあくまで手段の1つ」という意識を持ち、お客様が本当に求めるものは何かを考えて提案するよう心がけています(堀本)。
さまざまなやり取りを通じて、NEC自身も新しい顔認証の活用方法を考えていきたいと思います。もちろん、アイデアの中には現時点の技術では実装が困難なものもありますが、今後も技術に一層の磨きをかけながら、お客様との「共創」によって実現させていきたい。これからも、お客様のアイデアの具現化を全力でお手伝いしていきたいと思います(上井)。
販売パートナー:ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社
サンフレム様のスマートビル建設に於いて、インターホンカメラの接続やネットワークの工事・設定を担当。
- 概要システム及びIT機器の導入、運用、障害復旧に関する技術サービス&サポートの提供、倉庫業、クラウド・システムインテグレーションサービスの開発・提供。
- URL
- SI事例サイト
お客様プロフィール
株式会社サンフレム
所在地 | 京都府宇治市大久保町西ノ端1番30 |
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設立 | 1968年8月 |
資本金 | 3,000万円 |
従業員数 | 71名 |
概要 | オイルバーナメンテナンス会社「大阪サンフレム」として誕生。1980年に高性能ロータリーカップバーナを発表して以来、船舶燃焼機器分野をリードする企業として知られる。また、IoTによる機器の制御や関連するソフトウェア開発も積極的に推進しており、今後はスマートビル制御システム市場への進出も目指している。 |
URL | http://www.sunflame.net/ |
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(2022年3月28日)