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大阪公立大学医学部附属病院様
利用シーンに応じた顔認証で
「セキュア」「便利」「衛生的」な手術室の入室管理を実現
- 業種:
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- 医療・ヘルスケア
- 業務:
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- その他業務
- 製品:
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- PCサーバ
- ソリューション・サービス:
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- 生体認証/顔認証
- セキュリティ/セーフティ
事例の概要
課題背景
- 多くの人が出入りする手術室のセキュリティを衛生面に配慮して強化したい
- 忙しい医療現場に負担をかけない運用方法を確立したい
- 用途に応じて最適な認証方法を確保したい
成果
帽子とマスク着用時でも立ち止まることなく入室
顔写真を登録した人以外の入室を制限し、セキュリティを強化。手術室手前に設置したIPカメラで複数人を同時に顔認証。マスク、帽子、手袋を着用していても立ち止まることなく入室
容易な運用かつ拡張性の高いシステム
利用者の顔写真は撮影履歴から簡単に登録が可能。認証場所の追加も、大きく手を加えることなく、柔軟に対応
適材適所の顔認証で確実に認証
手術室に隣接する更衣室の入口には顔認証専用端末を設置。一人ひとりを確実に認証する共に、認証結果によって開錠されたことが分かるようにし、ハンズフリーで簡単スムーズに入室
顔認証システムの導入イメージ
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事例の詳細
導入前の背景や課題
手術の妨げにならず、衛生的な入室管理の仕組みを実現したい
大阪市内唯一の大学病院として地域医療の中核を担う大阪公立大学医学部附属病院様。高度な総合医療を提供するとともに、厚生労働省指定の地域がん診療連携拠点病院として、がんの新たな診断法・治療法、予防医学の研究・開発を推進しています。
2022年4月には新たに「がんセンター」を創設。身体的・精神的・社会的なサポート体制を整え、患者のニーズに合った総合的チーム医療のほか、入退院支援やがん相談支援などきめ細かなサポートも行っています。
入院・外来患者とその家族が毎日数多く訪れる病院は、安全を確保することが重要な責務です。誰もが訪れやすい開かれた病院であると同時に、部外者の立ち入りは制限する。その両立が求められています。
同院でも各部門で入退管理システムを導入するなど、院内の物理セキュリティ強化を進めています。「しかし、手術室の入室管理は手付かずの状態でした」と同院の中央手術部 兼 医療機器部主査として手術室の安全管理を担う定亮志氏は打ち明けます。
手術室の正面入口の扉は自動開閉式。夜間や休日は中から施錠し、部外者は立ち入りできませんが、手術を行っている平日日勤帯は誰でも自由に出入りができる状況であったため、入室管理が十分とは言えませんでした。
手術室には多くの診療科の医師や看護師、臨床工学技士、その他メディカルスタッフ、学生などが毎日入れ替わり立ち替わり入室します。「手術室では手術着に着替えての入室となるために部外者かどうかを区別することは困難です。また、手術室内には高額な医療機器が多くあり、盗難のリスクは捨てきれません。このことは、毎年の病院長ヒアリングでも議題として挙がっていました」と定氏は続けます。
ただし、入室管理システムを導入するには、いくつかの条件がありました。その1つが認証の手段です。例えば、緊急手術の場合、医師やスタッフは急いで手術室へ駆け込んでくることがあります。
「ICカードを使った入室管理ではカードを常に携行しなければならず、ポケットからカードが落下すると清潔環境が侵される可能性や着替えによる紛失のリスクもある。指紋認証は手指消毒や手術時手洗いによる指紋の消失、また手袋を外さねばならず、手間がかかる。画面に直接指先を当てるため、衛生面でも問題があります。検討時期はコロナ禍だったこともあり、衛生面には特に気を遣いました」と定氏は課題を述べます。
選択のポイント
認証精度と可用性・利便性の高さが決め手
手術室での運用に適した非接触での認証システムとして、同院は顔認証システムを前提に検討を開始しました。求めた要件は、帽子とマスク着用時でもスピーディに認証できること。特に緊急手術の場合は、患者に付き添う医師や看護師が数人まとまって入室するからです。
「一刻を争う手術もあるのでスタッフがカメラを意識することなく、なおかつ動きを止めず、確実に認証できる仕組みが必要です」と定氏は語ります。
要件を絞り込んだうえで、公開入札をした結果、最終的に選定されたのが、「NEC 顔認証アプライアンスサーバ」です。
決め手になったのが、手術室という環境でも認証可能な精度*です。「検討段階では看護師数人に協力してもらい、実機によるデモンストレーションを実施しました。その結果、帽子やマスクをしていても、カメラがとらえた複数人の顔を同時に認証できることを確認しました。これならスタッフの動きを止めずに入室が可能です。実際、協力してくれた看護師にも好評でした」と定氏は評価します。
顔認証には事前の顔画像の登録が必要ですが、デジタルカメラやスマートフォンで撮った写真を簡単に登録できるほか、撮影履歴からその場で登録することも可能です。「導入後の運用を自前で簡単に行える点も選定理由の1つです」(定氏)。
実際のシステムの構築はNECとパートナーの販売会社、そして同院のIT環境をサポートする委託ベンダーが協力して進めました。
「手術室は廊下から続く正面入口と、隣接する更衣室から入る2系統の出入口があります。複数人が同時に入室する正面入口にはIPカメラ、隣接する更衣室には顔認証専用端末を設置しました。NECは、動線や使い方の違いを考えて、適材適所の認証方法やカメラ配置を提案してくれました」と定氏は語ります。
なお、本システム導入後に、手術室にもう1つのエリアを新設しましたが、こちらも正面入口と同様の動線となるため、手術室正面入口と同じ構成を実現しています。
導入後の成果
医師やスタッフに負担を強いることなくセキュリティを強化
導入後は、大きなトラブルもなくセキュリティ強化に貢献しています。手術室には帽子、マスクをかぶったままの医師や医療スタッフたちが入れ替わり立ち替わり、認証を意識することなく、入室しています。「現場に負担を強いることなく、セキュリティを強化できました。未登録の部外者は入室できないため、懸念されたリスクは大幅に低減されています。現場の安心感にもつながっているようです」と定氏は満足感を示します。
システムの運用管理も負担はほとんどかかっていません。現在の顔画像登録者は750人超。「当初の顔登録はNECにサポートしてもらいましたが、手順を覚えてしまえば作業は簡単。その後は私を含む現場スタッフだけで登録作業を行っています」と定氏は話します。
認証結果のログ情報は長期保存しています。不測の事態が発生した場合の監査証跡として利用するためです。誰が、いつ入室したか記録を残せることも、このシステムの大きなメリットです。
医療機器業界の自主規制ルールを管理・運用する医療機器業公正取引協議会は、メーカー担当者に対し、院内責任者の立ち合いによる作業を推奨しています。「顔認証システムの導入により、このルールに準拠することができ、院内のガバナンス強化にもつながっています」と定氏は続けます。
今後はほかのエリアへの適用も検討しています。2024年4月からは「医師の働き方改革」が施行されます。「NECの顔認証システムと勤怠管理システムを連携させることで、労務管理にも活用できるのではないかと考えています。今後もNECには有意義な提案を期待しています」と話す定氏。
大阪公立大学医学部附属病院は今後も院内セキュリティの向上に努め、地域住民の健康に寄与する質の高い医療の提供に尽力していく考えです。
NEC担当スタッフの声
お客様に寄り添い最適システムを設計・提案
今回、提案に際し重視したポイントは2つあります。1つは手術室への入室となるため、帽子とマスク着用時でも確実かつスムーズに認証できること。そしてもう1つが利用場所に応じた認証方式です。
この2つを実現するため、IPカメラを使った非積極認証と顔認証専用端末を使った積極認証を併用した運用が可能な顔認証アプライアンスサーバを提案しました。顔認証ソフトウェアをサーバにプリインストールした製品でシンプルな操作性も特徴なので、顔登録が簡単という評価をいただき大変嬉しく思います。
今回の導入はオンプレミスでの提案ですが、NECはクラウドでも顔認証を提供しており、パートナー企業様との連携サービスも豊富にあります。これまでの経験とノウハウを活かして、より便利で安心した医療・社会に貢献していきたいと思っています。
お客様プロフィール
大阪公立大学医学部附属病院
所在地 | 大阪府大阪市阿倍野区旭町1丁目5番7号 |
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設立 | 1925年10月 |
診療科数 | 37(2022年4月現在) |
病床数 | 965(2022年4月現在) |
事業内容 | 大阪公立大学医学部の建学精神「智・仁・勇」に基づき、地域住民の健康に寄与する質の高い医療を提供すること、こころ豊かで信頼される医療人を育成すること、医療の進歩にたゆまぬ努力を続けることをモットーとする。地域がん診療連携拠点病院としての活動に加え、健康寿命の延伸をサポートする先端予防医療にも力を注ぐ。 |
URL | https://www.hosp.omu.ac.jp/ |
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(2023年12月27日)