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NTT東日本 関東病院様
顔認証×ナースコールシステムの離院対策で
入院患者の安全とスタッフの負担軽減を実現
- 業種:
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- 医療・ヘルスケア
- 業務:
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- その他業務
- 製品:
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- PCサーバ
- ソリューション・サービス:
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- 生体認証/顔認証
事例の概要
課題背景
- 医療安全の観点から、患者・家族・医師の間で同意を得た場合にRFIDによる入院患者の見守り(離院対策)を行っていたが、患者の意思で病衣からタグを剥がしてしまうことがあった
- RFIDでわかるのは離院したことだけ。捜索の手掛かりとなる有益な情報が欲しい
- 患者の生活を妨げずに見守りつつ、スタッフの心理的・身体的負担軽減を両立したい
成果
離院時の初動対応が迅速化
無断外出をしようとしている入院患者を顔認証システムで識別し、ナースコールシステムとの連動でPHSにアラームを鳴らす仕組みを確立。医療スタッフの初動対応が迅速化した
患者を危険にさらすリスクが減少
医療スタッフの目の行き届かない僅かな時間に離院してしまった場合も、いつ・誰が・どこで離院したか、映像記録を手掛かりに捜索できるため、患者を危険にさらすリスクが少なくなった
医療スタッフの負担にならない容易な運用が可能に
患者の同意を得た上で、顔情報を登録。操作がわかりやすく設定も簡単で、ITに不慣れな現場の医療スタッフでも負担にならない運用が可能に
導入ソリューション
院内各所に設置したセキュリティカメラをネットワークで接続。すべてのカメラの映像は警備室と情報システム担当のモニターで確認できる。いつ・誰が・どの場所のカメラで検知されたか医療スタッフのPHSに速やかに通知され、必要に応じた対応が可能になる
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事例の詳細
導入前の背景や課題
患者の離院対策にRFIDを活用するも“わかること”に限り
「人と、地域と、つながる医療」をモットーとして、地域連携を大切にしながら質の高い医療を提供するNTT東日本 関東病院様。コロナ禍でも感染対策を徹底して平時の診療を継続し、地域医療の拠点病院として重要な役割を担っています。今後を見据えた急性期医療の整備も推進。がん治療や人工関節手術での「ロボット支援下手術」の適用範囲を拡大するとともに「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「病棟再編」を進め、業務効率化と働き方改革を両立する「スマートホスピタル病棟」を2022年10月から運用しています。
同院が何よりも大切にしているのが「医療の安全と質の向上」です。「患者さんとそのご家族が安心して質の高い医療を受けられるよう、さまざまな施策に取り組んでいます」と同院の運営を支えるNTT東日本の吉中 正史氏は話します。
早期から取り組んできたRFIDを活用した離院防止対策はその1つです。これは、入院患者の安全を守るために、病衣の裾についたRFIDを出入口付近のリーダーで検知する仕組み。「病棟の看護師は複数の患者さんを受け持っており、各種のケアを行っています。そのため、1人の患者さんに対して専任で見守ることは不可能であり、目の行き届かない僅かな時間に病棟を抜け出してしまうと、事故や病状の悪化などで患者さんを危険にさらしてしまう可能性がありますし、スタッフや警備員総出での捜索は多大な労力となります」と同院の池上 秀和氏は懸念を述べます。
RFIDはこうした離院対策に有効ですが、患者自身がRFIDを剥がしてしまったり、経年劣化で自然と剥がれてしまったりすることがあります。またRFIDでわかるのは「患者が病棟を出た、あるいは出ようとしている」ことだけ。誰がどの方向に行ったかまではわかりません。「患者さんの生活の妨げになったり行動を制限したりすることなく、より安全に見守る仕組みを求めていました」と吉中氏は語ります。
選択のポイント
非正面でも登録者を識別し、ナースコールシステムとの連携にも対応
RFIDに代わる仕組みとして、同院が関心を寄せたのが顔認証技術です。複数ベンダーの顔認証技術のデモを確認し、精度や性能を比較検討しました。その結果、最終的に採用を決めたのが「NEC 顔認証アプライアンスサーバ」(以下、顔認証システム)です。病棟の出入口などに配置したセキュリティカメラの映像を顔認証エンジンで識別し、事前に同意を得た登録者の顔情報を検知します。患者の行動にすぐに気付くことで、離院を未然に防ぐことができます。
決め手となったのはNECの総合力。顔認証を認証機器単体としてではなく、運用中のアイホン社製ナースコールシステムとの連携ソリューションとして提案したのはNECだけでした。
「患者さんの安全を守るためのシステムであることは大前提ですが、日々多忙な医療スタッフが使いやすく導入効果を実感できることも重要です。今回、顔認証とナースコールシステムの連携によって、『いつ』『誰が』『どこで』離院したのかスタッフ間で迅速に共有できるようになりました。このように、NECは患者さんだけでなく現場スタッフの業務内容や働き方を理解し、スマートホスピタルの実現を目指す我々に寄り添った提案をしてくれました」と池上氏は評価します。
認証精度も重要な点でした。「セキュリティカメラの前で立ち止まったり、正面を向くことはまずあり得ないため、登録者がカメラの前で横を向いたりすることを想定して、色々な角度でも認証できるよう要望しました。NECの顔認証は世界No.1※と聞いていましたが、実際にデモを見てその精度の高さを実感しました。また、さまざまな分野での導入実績が豊富なことも大きな魅力でした」と吉中氏は話します。
- ※
- ※NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません
運用の容易さも高く評価しました。手間がかかる仕組みでは現場で使われなくなる恐れがあるからです。「事前に同意を得た対象者をデジタルカメラで撮影し、画像を取り込んで登録していますが、操作がわかりやすく設定も簡単で使いやすいです。また、セキュリティカメラの映像からの追加登録も可能だと聞いています」と同院の長沼 香織氏は語ります。またNECは電子カルテシステムを提供する国内有数のベンダー。「医療システムや医療の現場を熟知しているため、安心して任せられると判断しました」(長沼氏)。
導入後の成果
迅速な初動対応で患者の安全と、離院時の医療スタッフの負担を軽減
顔認証システムのセキュリティカメラは病院正面玄関、病棟出入口、病棟エレベーターホールなどに計8台設置。警備室や情報システム担当にモニターを設置し、カメラ映像を常時モニタリングしています。
セキュリティカメラが登録者をとらえてアラームを通知すると、警備室のパトライトが光り、ナースコールシステムと連動した医療スタッフのPHSが鳴動します。PHSには登録者の名前と検知場所、時間が通知されるため、必要に応じて警備員と連絡を取り、迅速に患者にお声がけをすることで離院を未然に防ぐことができます。
「RFIDを利用していたときは、離院した事実だけしかわからず、警備室側はその患者さんが誰なのか、また、歩いていただけなのか、職員やご家族の付き添いがあるかなど、詳しい状況がわからず確認に時間がかかっていましたが、病棟スタッフや警備員に離院と検知場所を即時共有できるため、スムーズに連携が取れるようになりました」と池上氏はメリットを述べます。
もし、離院してしまった場合も、顔認証システムと連携したVMS(ビデオマネジメントシステム)の録画機能を活用し、離院時の録画映像からどの方向に行ったのかを確認することで、捜索時間が以前より明らかに短くなりました。「初動が早くなることで患者さんを危険にさらすリスクが少なくなりますし、スタッフも必要に応じた行動ができます。NECはこちらの要望を汲み取り、医療現場の知見と経験が活かされた使いやすい最適なソリューションを構築してくれました」(長沼氏)。
「この仕組みは患者さんの安全を第一に考え、医療スタッフの心理的・身体的負担も軽減できることから、ほかの病棟からも使いたいとの声が上がっています」と池上氏は満足感を示します。
今後はAI技術を活用した患者の転倒リスクを予見するシステムの導入などを検討しています。「これもナースコールシステムと連携することで、危険があれば直ちに医療スタッフが駆け付け、転倒事故軽減につなげられるでしょう」と吉中氏は期待を寄せます。
顔認証システムは、今後もNTT東日本 関東病院様のスマートホスピタル構想の一翼を担い、医療の安全と質の向上に大きく貢献していくでしょう。
担当スタッフの声
技術と経験を活かし最適な仕組みを提案する
顔認証の精度は、カメラの設置場所や向きによって大きく影響を受けます。正確に、そして漏れなく登録者を識別できるように、どこに・どういう向きでカメラを設置するかを綿密に検討し、現場では何度も調整を繰り返しました。それもNECグループの持つ大きなノウハウの1つです。
しかし、顔認証システム導入後にコロナ禍が発生。マスク着用が常態化し、顔認識が困難になりました。そこで2021年12月に顔認証システムをバージョンアップし、マスク着用でも高精度で登録者を識別できるようにしました。
NECは電子カルテベンダーとして多くの病院様とのお取り引きがあり、医療現場の課題やニーズをよくわかっています。顔認証システムとナースコールシステムとの連携もその経験の中から生まれた提案です。これからも転倒防止システムなど新たな見守りサービスの実現をお客様と共に考え、ICTの側面から医療の安全と質の向上に貢献して参ります。
パートナーとの共創で新たな価値創造に挑む
当社が提供する医療施設向けナースコールシステム「Vi-nurse(ビーナース)」は、ナースステーションの壁に設置された親機が大画面で見やすく、どこからのナースコールか一目でわかるのが特徴です。この強みをNECの顔認証システムと連携させることで、医療スタッフに適切な対応を即座に促すことができます。
今回の試みは、当社にとってもシステムの付加価値と可能性を高める大きなチャレンジ。ナースコール本来の役割を損なうことなく、医療スタッフの応援要請であるスタッフコールと離院通知との優先制御に加え、ナースコールシステムの同姓・同名に関する誤表示に対して工夫を施しました。
当社はナースコールシステム以外に、IPネットワーク対応インターホンシステムなども提供しています。これとNECの顔認証システムを組み合わせれば、本人確認とコミュニケーション機能を一体化させたシステムも構築可能です。空港などの公共交通機関での安全対策のほか、マンションで利用すればキーレスの解錠や登録業者のみの入館許可が可能になるでしょう。
今後もNECをはじめとするさまざまなベンダーとの共創を進め、お客様ニーズを先取りした新しい価値創造にチャレンジしていきます。
- ※本顔認証製品によりカメラ撮影した、特定の個人を識別できる画像データは個人情報に該当します。個人情報保護法、および関連する規則・ガイドラインなどに従って個人情報をご利用ください。また、法令遵守のみならず、プライバシーの保護にも配慮をお願いいたします。
お客様プロフィール
NTT東日本 関東病院
所在地 | 東京都品川区東五反田5丁目9番22号 |
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開院 | 1951年12月 |
病床数 | 594床(一般病棟544床、精神病棟50床) |
外来患者 | 1,537人/日(2021年4月~2022年3月) |
事業内容 | 前身は日本電信電話公社の職域病院。1986年に保険医療機関の指定を受け、一般に開放。以来、地域と連携しながら、地域の中核病院として総合的かつ専門的な医療を提供し続ける。多職種によるチーム医療、低侵襲(身体的な負担が少ない)治療をモットーとし、医療の国際化も積極的に推進する。 |
URL | https://www.nmct.ntt-east.co.jp/ |
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(2023年2月8日)