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NECコトづくり共創プログラム
本気で意見を交わし模索するリテール変革の道
NECが主催する「NEC コトづくり共創プログラム」とは
- 業種:
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- 卸売・小売業・飲食店
- 業務:
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- 営業・販売
- 製品:
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- その他
- ソリューション・サービス:
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- 生体認証/顔認証
コロナ禍で進んだECへのシフトとアフターコロナに起こった揺り戻し、顧客ニーズの多様化、人材不足など、小売業は様々な障壁を抱えています。それらを解決する力となるのがデジタル技術ですが、どのように活用すべきか、最適解を導くための方程式は簡単ではありません。そこでNECは、異なるビジネスや文化や経験を持つ多様な小売業同士で、課題解決について議論する「NEC コトづくり共創プログラム」を主催しています。
注目度の高いテーマや技術を取り上げて研究会を発足
比較的近い業種、全く違う業種、同じ小売業でも接客に対する考え方が、これほど違うのかと色々な発見があった──。
私たちの接客には合わないと思い込んでいた技術について、他社の意見を聞いて少し考えが変わった。可能性と使い方について再考している──。
これらはNECが主催する「NEC コトづくり共創プログラム」の参加者の感想です。
NEC コトづくり共創プログラムとは、小売業の課題解決を目的とする取り組み。異なる企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をミッションとする人が集まり、課題解決に向けた議論を行っています。議論のテーマは時期やタイミングによって様々。注目度の高いキーワードや技術ごとに研究会を立ち上げ、それぞれが独自に活動しています。
「最新のデジタル技術を理解し、課題解決に役立つかどうかを見極め、使い方を考え、成果が期待できると判断したら導入し、場合によっては改善を繰り返しながら価値に結びつける。小売業の多くがDXに取り組んでいますが、生活者のライフスタイルやニーズの変化や技術の進化が急速に進む中、そのための情報収集や検討、試行錯誤を一社だけで行うのは、非常に困難です。そこで、複数の小売業が集まり、各社の取り組みを共有し、参考にする機会を設けたのですが、それが非常に有意義な会となりました。さらに参加した方からは、ただ共有するだけではなく、課題解決に向けた議論を行いたいという声が多く寄せられました。それが、現在のNEC コトづくり共創プログラムを立ち上げたきっかけです。ですから、プログラムの核はNECからの一方的な講義や発表ではなく、参加者全員で共に行う議論です」とNECの守田 咲絵は言います。
接客における顔認証活用について店舗体験を再現しながら議論
最近では生体認証を活用したOMO (Online Merges with Offline)をテーマに据えたDigital ID研究会で積極的な議論が行われました。参加したのはオリジナルの婦人靴、ハンドバッグなどを販売するダイアナ様、紳士服・婦人服の企画販売を行うAOKIホールディングス様の他、ドラッグストアや専門店を展開する6社の小売業の十数名です。
「ECでの買い物履歴を把握しながら店舗で接客するなど、オンラインとオフラインの双方で顧客データを活用し、新たな顧客体験に結びつけるには、前提としてお客様IDに多様なデータを紐づけた上で、そのお客様が誰かを認識する必要があります。現在、IDとして利用している会員証などは、お客様からの提示を待たなければなりませんが、顔認証なら来店したら即座にお客様を認識することができるかもしれない。多くの小売業がOMO実践のために生体認証の可能性に注目しています」と守田は言います。
具体的に、Digital ID研究会は、2022年から2023年にかけて4回の会合を持ち、参加者が一堂に会して、生体認証の有効活用法から、生活者に違和感や不快感を与えることなく生体認証の便利さを享受してもらうための対策まで、幅広い議論を行いました。特に後半の会では、NECが顔認証システムのプロトタイプを実際に構築し、全員で店舗スタッフと顧客の双方の立場で店舗体験を再現しながら議論を行いました。
「用意したのは顔認証で来店客を認証し、重要顧客だったらスマホに通知が届くという仕組みです。そもそも『本気』の方が集まっていますから、議論は常に活発ですが、プロトタイプを活用することで、さらに熱量が上がります。また、机上で考えるだけでなく、目の前でリアルな体験を再現しながら意見を交わすことで、全く見えなかった景色が見えました。例えば、ある参加者の方は、当初、顔認証で重要顧客ということが分かったら、すぐにでも声をかけたいという意見を持っていました。一方、別の参加者の方は重要顧客ということが分かっても、声をかけるタイミングは顧客からの依頼を待ちたいという考えでした。もちろん、アパレルとドラッグストアなど、業種が違えば接客に対するスタンスが違いますから、こうした違いがあるのは当たり前ですが、プロトタイプを使って2つのシナリオを再現してみると、業種を問わず前者のシナリオは、唐突で違和感があると誰もが感じたのです」(守田)。
実際、研究会に参加したメンバーも研究会の議論の質の高さやプロトタイプの有効性を強調します。
「お客様に意識させることなく、お客様のことを認識して接客が行える。顔認証には、とても期待しています。ただ、どのように活用するのが最適かについては、様々な考えを巡らせていました。それがプロトタイプでの体験や議論を経て、部分的に固まりつつあります。例えば、重要なお客様が来店したことを店舗スタッフに伝える通知。当社の店舗設計や業務を考えると、タブレット端末で受け取るよりウェアラブルデバイスのほうがよいのではと考えるようになりました。研究会のメンバーは、異業種の方たちだったため、当初は何を話せばいいのだろうかという不安もありました。しかし、いざ議論が始まると、そんな不安は吹き飛びました。ビジネスを変革したいという思いは同じ。業種の壁を越え、まるで同じチームの仲間のように本気で意見を交わしました。研究会のメンバーとは、今でもよい関係が続いています」とダイアナの谷口 正氏は言います。
同様に研究会に参加したAOKIホールディングスの鈴木 涼氏も次のように続けます
「コロナ禍でECの利便性を感じたお客様に対して店舗でどのような価値を提供するのか。パーソナライズを中心とする店舗の再定義は私たちの重要な経営課題となっています。それでDigital ID研究会に参加しました。私は、ぜひ他の業種の話を聞きたいと考えていたのですが、一緒に参加した同僚は同じアパレル業の話に興味があると言っていました。同じアパレルでも、主にフォーマルウェアを扱う私たちと、普段着やおしゃれのためのウェアを扱う企業とでは、多くのことが違うからです。そうして臨んだ研究会ですが、他の企業との『他流試合』を通じて様々な発見がありました。例えば、当社には、接客時にできるだけお客様をお名前でお呼びする文化があるのですが、いつのまにか顔認証で個人を特定され、教えてもないのにいきなり名前で呼ばれるのは、ちょっと怖いという意見を聞き、当たり前だと思っていた自分たちのやり方を見つめ直す機会にもなりました。」
研究会で得た発見を自社に持ち帰り、具体的な検討を開始
Digital ID研究会は、当初予定した会期を終えて解散。メンバーたちは、議論を通じて得た発見を各社に持ち帰りました。
「店舗のあるべき姿を再定義する中、これまでは多様なデータを収集して、お客様の接客に役立てたいと考えていましたが、漠然とデータを集めるのではなく、目的や価値を見極めた上でデータを絞り込むことも重要だと考えるようになり、データ活用方針の見直しも検討しています」と鈴木氏は言います。
ダイアナ様は、NECと共にすでに具体的な施策の検討を開始しています。
「OMOとは、単にECと店舗間で送客を行うことではありません。真の目的は、従来の方法にとらわれない新しい小売業を実現することです。そのためには、オンラインだけでなくオフラインでもデジタル技術やデータを積極的に活用し、そこで得たデータを使って、接客はもちろん製品開発、社内の業務、サプライチェーンなどを変革していかなければなりません。その変革を通じて新しいお客様体験や従業員体験を創出。さらに新しい体験を通じて得た新しいデータを活用して、変革のサイクルを回し続ける。これこそがOMOだと捉えています。しかし、私たちの頭の中は、どうしてもこれまでのやり方で凝り固まっている部分も多い。だから様々な意見を聞きたかった。Digital ID研究会が、その場を提供してくれたことにとても感謝しています。研究会の活動を終え、現在はNECと共にOMO実現に向けた具体的な検討を開始しています」と谷口氏は言います。
NEC自身も研究会の主催を通じて様々な知見を蓄積しました。それらを多くの小売業、ひいては社会に還元すべく、関連部署と共有し、すでにソリューション開発などに活かしています。
「冷蔵庫など、店内の設備の最適な管理を検討するラウンドテーブルの実施など、NECは今後もNEC コトづくり共創プログラムを継続し、お客様と共に小売業の課題解決に取り組んでいく構えです」と守田は言います。もちろんNEC コトづくり共創プログラムだけではありません。お客様のDXを支援するために、小売業に関わるあらゆる人と人をつなぎ、解決策を見出していく様々な取り組みを継続していきます。ぜひDXパートナーとしてのNECに期待してください。
お客様プロフィール
ダイアナ株式会社
所在地 | 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-8-6 |
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事業内容 | 婦人靴・ハンドバッグを中心としたオリジナルブランドの販売・商品企画、海外有名ブランド商品の輸入・販売 |
URL | https://www.dianashoes.co.jp/ |
株式会社AOKIホールディングス
所在地 | 〒224-8588 神奈川県横浜市都筑区葛が谷6番56号 |
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事業内容 | グループ会社の経営管理、並びにそれに付帯する業務 |
URL | https://www.aoki-hd.co.jp/index.html |
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(2024年3月19日)