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自動車部品業のデジタル変革 製造業の未来を切り拓く、ものづくりDXとは?

ものづくりの未来

自動車業界100年に一度の大変革期に備える一歩【2022.02.16】

カテゴリ:DX・業務改革推進設計・開発・技術PLM/CAD

100年に一度の大変革期を迎えている自動車部品業界では、DXによる競争力強化や新事業創出への取り組みが加速しています。一方で、従来の業務プロセスや情報の分散・分断がDX推進を阻むケースも多く、ものづくりの源泉である上流工程の設計から製造現場までをデジタルでつなぐ「エンジニアリングチェーンの強化」が注目されています。
NECでは、自動車部品業のお客様向けにオンラインセミナー「NEC Solution Square」を開催し、ものづくりにおけるデジタル変革の動向から、DXの要となるものづくり基準情報BOM/BOP統合管理の重要性、さらに3D設計や3D CADデータ活用、IMDS対応や含有化学物質管理をご紹介しました。

プログラム

1.製造業の未来を切り拓く、ものづくりDX
~これからの工場ITシステムとは

外部環境の変化と次世代のものづくりシステムについて

製造業では、今、デジタル化の波が急速に進んでおり、NECは現実世界をバーチャル空間上に再現する「デジタルツイン」によってビジネス(バリューチェーン、働き方、組織・エコシステム)の変革を構想・推進しています。
ここでは、バリューチェーン・ものづくり領域の変革について見ていきます。
これまでのものづくりでは、現場に人が行き、人がデータを収集し、改善策を考えて、現場を改善する取り組みを行っていました。
現在のものづくりでは、IoTによってリアルタイムにデータを収集し、タイムリーに状況を把握できます。
そしてこれからのものづくりは、工場の稼働状況をバーチャル空間上に再現し、日本にいながら世界の工場の状況がタイムリーにわかり、さらに、過去の状況もいつでも確認することが可能な世界になると考えられます。トラブルが発生した場合は、バーチャル空間上でその前後の工程を人とAIが協調することで解決するシミュレーションを行い、リアル空間にフィードバックできるようになるでしょう。「デジタルツイン」「サイバーフィジカル・システム(CPS)」によって、少量多品種・カスタマイズ製品でも、コストや納期で大量生産品と戦えるものづくりが可能になると考えられます。
そして、企業の壁を超えてグローバルに繋がり、“共創”し、異業種からの参入も容易となる時代が来ると考えられます。つまり、競合と同じ土俵で、急な需要変動に誰が素早く対応できるかが勝負どころとなります。その備えが重要なのです。

そこで、次世代のものづくりシステムは、グローバルな顧客の複雑化するニーズに素早く対応するため、①現場・現物・現状のデジタル化、②見えない・隠れた世界を見通す、③バリューチェーンのシームレスな連携、④製品のスマート化、の4ポイントが不可欠となります。

ものづくり領域のシステム構成イメージ

NECが考える将来の工場ITシステム全体像として、企業の壁を越えてつながるものづくり、企業間の共創、企業を超えたサプライチェーンの効率化を実現するAI間交渉技術でのビジネスモデル変革のイメージをご紹介しました。
それらを支える、ものづくり領域のシステム構成は、従来の部分最適化された様々な業務システムのデータをものづくりDX基盤上に集約・一元化し、AIによる分析も加えて、業務プロセスで活用するイメージです。データドリブンによる経営・業務意思決定の高度化・自動化を実現します。
最後に、サイバーフィジカル・システム/デジタルツインを実現するのに、なぜ、BOM/BOPが必要なのか。ものづくりDX実現の要となる、ものづくりの基準情報BOM/BOPの管理に強みをもつNECのPLM「Obbligato」について触れ、次の講演につなぎました。

2.ものづくりDXを加速するBOM/BOPとは
~設計と製造のデジタル連携~

DX推進とBOM/BOPデータの重要性

ニューノーマル時代に企業が生き残るためには、変化を察知し、迅速・柔軟に対応するための企業変革力が重要です。その強化には、エンジニアリングチェーン(ECM)とサプライチェーン(SCM)を通じたデータ利活用の拡大・迅速化による生産性の向上や新たな付加価値の創出が求められます。
そのためには、ECM-SCM全体、かつ製品ライフサイクルを通じた3Dモデル、設計部品表(E-BOM)、製造部品表(M-BOM)、工程表(BOP)のデータ連携と共有による部門間コミュニケーションがポイントになります。
ECM-SCM2つの異なるチェーンをデジタルにつなぐのが、BOM/BOP統合データベースです。1つに集約・統合された共通のデータベースを共有することで、コミュニケーションや業務のコンカレント化を促進。最終的には、BOM/BOPをものづくりの基準情報としてSCM/MESにデータを転送し、ECM業務とSCM業務をスムーズに連携します。
そのBOM/BOP統合管理のデータモデルと業務連携イメージについて解説しました。

自動車部品業における統合BOM/BOPのトレンド

近年、自動車部品業では、完成車メーカーによるSCMの見える化・BCP対応迅速化、品質要求の高度化などの要求が寄せられています。それらに対応すべく、DX推進や企業変革力の強化などがトリガーとなり、BOM/BOPシステムの検討・導入が加速的に進んでいます。
ここでは、BOM/BOPを活用した4つのケースをご紹介しました。
①フロントローディングによる上流からの品質つくり込み、②グローバル新拠点立ち上げと最適地生産の迅速化、③工程変更・設備変更時のトレーサビリティ、④原価企画、設計上流でのコスト作り込み

「Obbligato」の強みと自動車部品業向けPLMソリューション

統合BOM/BOPシステムの導入は、グローバルでの品番統合や、組織・用途別BOMの運用定義など、失敗しないためのポイントが多く存在します。NECでは、豊富な導入実績をリファレンスとしたベストプラクティスのご提案、業務改革に合わせた段階的なシステム拡張のご提案が可能です。また、基盤となるObbligatoは、拡張性に優れており、スムーズな業務適用を実現します。全社利用システムに最適なフローティングライセンスを採用しており、大きなコストメリットもご提案可能です。
NECのPLM「Obbligato」は、これまで30年に渡り1,000社以上、自動車部品業へは約100社に導入しています。最近では、統合BOMやBOP、含有化学物質管理、開発プロセス管理などを中心に、自動車部品業への導入も急増しています。
また、自動車部品業への導入実績をベースとして、お客様の改革テーマを支援するソリューションを整備。高品質・短期間なシステム導入で、業務改革の推進を支援します。効率的・効果的な技術・品質情報管理基盤を構築し、グローバルレベルでの共有・活用、トレーサビリティの向上を実現します。

3.自動車部品業の3D図面推進と3D CADデータ活用への取り組み

自動車業界で進む3D設計のトレンド

製造業の中で3D設計が最も進んでいると言われる自動車産業では、3D図面、3D単独図・図面レス、3DA(3D Annotated Model)、DTPD(Digital Technical Product Documentation)といった設計に関する技術文書のデジタル化が進んでいます。

3D図面には、形状・寸法、材料特性、加工指示など多くの情報を含めることができ、設計者の意図を正確・迅速に展開できるメリットがあります。
3D CADの選定条件は、従来の「データ受け渡し可能な発注元指定CAD」「干渉チェック・解析ができればよい」といった最低限の要求を満たすものから、「3Dデータを全社で活用できる機能がある」「外部とのデータ授受が可能なデータ変換や形状簡易化」など、CADモデリングにとどまらず設計、エンジニアリング、製造を統合する製品開発ツールとしての活用が検討され、社内で設計するCADの再検討やリプレイスも進んでいます。また、3Dデータを企業全体の中心に据えて新たな製品開発の基盤とするという考え方も広がっています。

目的に合わせたCAD配置とものづくりのDXを支援する3D CADツール

次に自動車部品業界におけるCAD配置見直しの検討ポイントをご紹介しました。従来は、発注先等とのデータ授受を主目的としたCADを自社の設計用として用いていた企業が多いと思われます。その場合、使用しない高度な機能が含まれることや、高額な3D CADを利用者数だけ維持することや長時間のトレーニングにコストを要しました。そこで、発注元とのデータ受け渡し用窓口CADとして、発注元と同じCADを少数配置し、自社設計用には、使いやすさや、トレーニングも含めたコスト、全社でのデータ活用性などの条件をクリアする3D CADを導入する運用をお勧めしています。

使いやすさ・機能・導入コストを兼ね備えている3D CAD「SOLIDWORKS」を社内設計用に活用するイメージをご紹介しました。
「SOLIDWORKS」の特長は、①3D CAD国内シェアNo.1(※)によるユーザーネットワーク、②直観的な操作が可能な使いやすさ、③ものづくりプロセス全体を考えた各種ソリューションの提供です。

  • 株式会社テクノ・システム・リサーチ「2021年機械系CAD/PLM関連ビジネス市場分析調査」

図面レスを実現する「SOLIDWORKS MBD」、品質評価のための検査レポート/チェックシートを自動作成する「SOLIDWORKS Inspection」、3Dデータを製品開発の基盤とするために必要となる設計データ管理「SOLIDWORKS PDM」、さらには、「SOLIDWORKS PDM」と全社PLM「Obbligato」の連携で個別最適と全体最適を両立するイメージをご紹介しました。

3Dデータ活用と設計効率化を支援するソリューション

続いて、3D CAD製品を問わず、広くご利用いただける設計支援ツールをご紹介しました。

3D類似形状検索システム「SS4M」:10種類以上の3D CADや各種中間ファイル形式データを対象として、モデルの形状を基に類似部品を検索するツールで、類似部品の工程の参照、コスト・見積の参照、部品の標準化によるコスト削減に貢献します。

2D CAD「DraftSight」:既存の2D CAD資産の編集など、どうしても2D図面編集が必要な場面で、シンプルにお使いいただける2D CADです。

「CADシンクライアント」:在宅で3D CADを利用したい場面など、仮想環境での利用が可能な3D CADであれば、ネットワークに接続できる環境から、3D CADが使えるようになるツールです。在宅勤務が迫られる中、多くのご相談をいただいております。

4.IMDS連携を見据えた自動車部品業の含有化学物質管理とは

自動車部品業における含有化学物質管理の動向

自動車部品業界における含有化学物質調査に利用されてきた「JAMAシート」は2020年に「JAPIAシート」に刷新され、自動車OEMではIMDSでの調査に一本化されています。

こうした変化から想定される自動車部品業での課題は、得意先からのIMDS登録要請への対応工数の増加や、IMDSやJAPIAシートだけでは遵法判断ができないことによる自社での手作業管理といったアナログな調査・管理による業務負荷の増大と、環境コンプライアンス対応管理体制の強化が挙げられます。

これらの課題解決には含有化学物質管理システムを導入することが有効な手段の1つです。含有化学物質管理システムには、IMDSとのデータ送受信を可能にするIMDS-AIインターフェース連携による自動でのデータ登録、JAPIAシートを併用した含有化学物質調査、BOMを活用した化学物質集計と遵法判断などによって、化学物質管理への対応作業の効率化と規制判定や顧客報告ミスの低減などを実現します。

「Obbligato」含有化学物質管理のご紹介

PLM「Obbligato」は、含有化学物質管理情報とものづくりの過程で発生する多様な製品データを製品ライフサイクル全体に渡り統合管理し、“QCD+E(環境)”を向上させます。
「Obbligato」含有化学物質管理の特長としては、次の5点が挙げられます。
①設計システムと含有化学物質管理の共存。いつでもBOMを使った含有化学物質の集計ができ、設計段階から法規制対応の判定が可能です。
②複数の規制対応、除外情報を考慮した判定が可能。新たな法規制や企業ごとの独自規制にも対応可能です。
③IMDS連携、JAPIAシート、旧フォーマット(JAMAシート)にも柔軟に対応。これらの業界標準フォーマットはもちろん、Excelで独自に定義したオリジナルフォーマットでの調査も可能です。
④CMRTフォーマットを利用した紛争鉱物調査にも含有化学物質調査と紛争鉱物調査の共通管理が可能です。
⑤カスタマイズにより業務にフィット。カスタマイズインターフェースにより業務に合わせた画面や機能をご提供します。

導入事例

自動車部品業A社様においては、従来、手作業でBOMと整合を取りながら含有化学物質の集計を行っていたため、多大な手間とリードタイムを要していた上にIMDSでの対応要請が増加し、効率的な対応方法を模索していました。

そこで、IMDS連携とJAMAシート(※導入当時)を併用した調査の実施や、含有化学物質情報をBOMと紐づけて統合管理することによって、集計から報告までのリードタイム短縮を実現しました。また設計やデザインレビューの段階でリアルタイムに含有化学物質の集計・判定が行えるようになったため、手戻りが減少。さらに、IMDS-AIとの連携を活用した一括登録が可能となってIMDSへの登録工数も大幅に軽減しました。

その他 関連ソリューション(SCIP対応)

NECでは、SCIP対応ソリューション「ProChemist/SCIP」もご用意しています。2021年1月から登録責務が始まったECHA(欧州化学品庁)のSCIPデータベースへのSVHC含有情報の登録を支援します。SCIP汎用シートでの入出力を前提に、SVHC抽出のためのクライアントモジュールとSCIP項目更新および登録のためのSCIPサービスをご提供しています。

以上のように、NECは、PLMや3D CADをはじめとする各種ソリューションを品揃えし、自動車部品業が直面する製品開発力や品質ガバナンスの強化などの課題解決に向けて協力にサポートします。ご紹介したソリューションにご興味ある方は、ぜひご相談ください。

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