Japan
サイト内の現在位置
PLM「Obbligato」で設計から生産を繋いで変化に強いものづくりを実現
産業機械メーカー様における事例セミナーレポート①【2022.08.17】
カテゴリ:設計・開発・技術調達・生産管理PLM/CAD
製造業では今、サプライチェーン全体を俯瞰・可視化し、多面的にリスク対応を講じていけるレジリエンス強化・サプライチェーンの強靭化が重要なテーマとなっています。
本セミナーでは、半導体・液晶の製造工程に欠かせない「真空ポンプ」世界トップクラスのメーカーである樫山工業様の事例をもとに、設計・生産領域に携わる皆様が今直面している課題と、それに対しNECの考える目指すべき方向性と解決策についてご紹介しました。
NEC 製造システム統括部 プロフェッショナル 澤野 陽平
設計~生産をつなぐPLMの重要性
開発・設計を中心に企画や引合から生産準備・生産といった縦の流れがエンジニアリングチェーン、それと生産を軸にクロスする、調達、生産、物流、販売といった横の流れがサプライチェーンです。この縦のエンジニアリングチェーンに沿って、フロントローディングや多品種少量生産などへの改革を進めるにあたり、製品情報を包括的に管理し、デジタル技術の活用を進めるための基盤がPLMです。
このPLMによって集約された技術情報をエンジニアリングチェーンに沿って繋いでいき、そして、SCMやCRMと連携し、スムーズにサプライチェーンに繋ぐ。この取り組みが、ものづくり全体を強化していく戦略であると考えています。
エンジニアリングチェーンをつなぐのがPLMです。BOMを中心としたデジタルデータの流れを整流化し、要求、仕様、BOM、BOPといったデータ同士を繋ぐ、そして作成されたデジタルデータを、システム間をまたがって繋ぐといったように、PLMが業務と人とデータを繋いでいくことによって、エンジニアリングチェーンの強化を実現していきます。
樫山工業様では、PLM「Obbligato」上で、設計BOM、先行手配BOM、生産BOMとして、製品自体の構成や、メンテナンス業務であるオーバーホールで活用する構成を作成。このように設計、生産、オーバーホールの業務で活用するデータ同士を繋ぎ、そのデータを「IFS Cloud」をはじめとした周辺システムに繋ぐことによって、社内外横断的にデジタルデータを発信、活用されています。さらに、「Obbligato」の1モジュールであるCollaboration Platform(コラボレーション基盤)も、社外の仕入先への文書配付として活用されています。
NECのPLM「Obbligato」の概要
「Obbligato」は1991年に販売を開始し、約30年にわたって進化しながら継続してきたPLMソリューション。おかげさまで26年連続国内トップシェアを維持しており、1,000社を超えるお客様に導入してまいりました。また、2015年からNEC自身でも全社PLMとして導入しており、個別受注から企画量産まで様々な設計プロセスにおいて適用・活用しております。
「Obbligato」のシステム全体イメージです。エンジニアリングチェーンに沿ってBOMやBOPをCADから生産まで一気通貫して繋げていくと共に、図面や文書、設計変更といった様々なデータとの関連づけ、さらにはコンプライアンス対応として含有化学物質の管理を行うといったように、様々なデータを一元管理することが可能です。これらの様々なデータを、プロジェクト管理で業務プロセスと繋いで進捗状況を把握。完成したデータは、配付管理やコラボレーション基盤を利用して社内から社外まで一気通貫で情報共有を図ることができるようになっています。
「Obbligato」は、BOM管理やドキュメント管理、プロジェクト管理といったような各種機能を提供。これらの機能は、お客様の課題や優先度に応じて必要な機能のみを選択・組み合わせて段階的に導入することが可能です。
NECでは「Obbligato」の製品サポートと合わせて、SEによる構築から運用までサポート。SEと開発が一体となって、お客様のPLMの活用をご支援しています。製品サポートが、該当バージョンのリリースから7年間の長期サポートであることも特長です。
また、NECはお客様と共に創る取り組みにも注力し、ユーザー会である「Obbligatoユーザーフォーラム」を毎年開催。ほかにも設計環境研究会や設計生産インターフェース分科会といったお客様との交流の場を大事にしており、お客様とNECがともに成長できる活動を行っています。
「BOM」と「BOP」の関連性
ここでは「Obbligato」のソリューション群の中でも、BOMとBOPに着目してご説明します。
まずBOMは、設計BOM、調達BOM、生産BOM、保守BOMといったエンジニアリングチェーンに沿って用途に応じて変化していく様々なBOMを、統合BOMとして一元的に管理し、SCMや調達システムなど関連システムにスムーズに連携していくことが可能です。また変更が発生しても、PLM内で変更内容を確実に反映していくことで、BOMがエンジニアリングチェーンを強固に繋げていくためのコアのデータとなっていきます。
ちなみに、設計BOMと生産BOMを取り上げても、用途に応じて形が異なります。特に設計拠点と生産拠点が物理的に離れていたり、生産拠点が複数存在するといった際に生じる情報の不整合などの課題を解決するには、デジタルデータとして作成した生産BOMを生産拠点に伝達し、その後も変更が発生したら、形が異なるBOMに確実に変更を反映することが必要になります。このように設計BOMと生産BOMをうまく繋ぐことが、製品開発リードタイム短縮の要となるのです。
最近は、BOMに加えてBOPのニーズが高まってきています。生産BOMに追加する中間品、いわゆるストックポイントは製造プロセスを考慮して設けるからです。この場合、工程設計のアウトプットがデジタル化されていないと、生産BOMにスムーズには繋がりません。
さらに最近はスマートファクトリーへの取り組みが進んでいて、MESを介して製造現場に5Mの情報をダイレクトに伝えるには、5MのマスターデータであるBOPが必要になります。この図のように、工程やリソースをはじめとした5M情報をデジタルデータで体系的に管理するのがBOPです。BOPはどの工場でどのように製造しているのかを詳細に把握し、トラブル発生時にも迅速なトレーサビリティを可能にします。またBOPを、「標準BOP」というグローバルレベルでのものづくりの標準として策定することにより、生産拠点ごとの製造方法のばらつきをなくし、製品の品質向上に繋げることが可能です。
加えて、設計と生産技術がそれぞれBOMとBOPの作成や、生産性の検証をコンカレントに進めることで、早くから設計にフィードバックができるようになり、QCDの向上や手戻りの削減に繋がります。その後、設計BOMとBOPをもとに生産BOMを効率的に作成できます。その結果、この製品設計から生産準備まで、一連のプロセスのリードタイム短縮にも繋がっていきます。
この図は、具体的に製品設計と生産準備の業務をコンカレントに進める流れを表しています。E-BOM、M-BOM、BOPさらに3Dも含めてデータ間やそれぞれのツール間で整合、連携を取りながら進めていきますが、データ同士が複雑に絡み合うため、このようにPLMを中心に置いて、整合性を考慮し変更を正しく反映しながら設計業務を進めていく。これによってコンカレントの促進が可能になると考えています。
セミナーでは、樫山工業様におけるObbligato産業機械テンプレートやコラボレーション基盤など標準機能をフルに活用したフィッティング方式によるPLMの短期間での導入事例について、詳しくご説明させていただきました。
さらに、Obbligatoの様々な業種でのご活用事例として、重工業様におけるプラントのプロジェクト管理事例と、素材業様における高機能素材のレシピ(BOM/BOP)管理もご紹介いたしました。
以上のように、デジタル化の波によって劇的に変化している製造業に対して、NECはダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)を強化するプラットフォームとして、PLM「Obbligato」を継続的に進化、ご提供してまいります。
関連リンク
産業機械業向けPLMテンプレート
産業機械業での豊富な成功事例を分析した、PLMシステム導入ノウハウをテンプレート化してご提供します。フィッティングベースのシステム導入方式を採用することにより、短期間で、高品質で、スムーズなPLMシステム立ち上げを実現します。
PLM「Obbligato」
PLM「Obbligato」は、企画~設計~生産~保守に至る製品ライフサイクル全般に渡り、ものづくりの基準情報であるBOMとBOPを核に情報を連鎖・集約・共有し、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンをつないで、変動対応力・競争力を強化します。
PLM「Obbligato」関連資料ダウンロード
「Obbligato」のカタログやご導入事例、BOPやデジタルエンジニアリングなどの注目テーマに関する記事、おすすめソリューションのリーフレットをダウンロードできます。
お問い合わせ