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製造業における
「ローカル5G」の期待される効用とは
ローカル5G無線局免許を取得したNECの取り組み【2021.03.17】
カテゴリ:ローカル5G
NECは、本社ビルおよび玉川事業場内に4.7GHz帯におけるスタンドアローン(SA)構成のローカル5G無線局を設置するために、2021年2月9日、当該無線局として全国初となる免許を取得しました。
NECはこれを活用し、ローカル5G関連サービスのさらなる高度化や体感デモの実施、お客様との共創活動を加速し、ローカル5Gの普及やイノベーション創出に努めていきます。 そこで、NECでローカル5G活用を推進する新事業推進本部と、ローカル5Gの製造業への導入を推進するスマートインダストリー本部のメンバーに、ローカル5Gの解説やその製造業における活用の可能性について聞きました。
日本電気株式会社 新事業推進本部 マネージャー 小倉知洋
日本電気株式会社 スマートインダストリー本部 エキスパート 渕上浩孝
ローカル5Gとは
小倉: ローカル5Gとは、自社の敷地や建物内に独自に構築する5Gネットワークのこと。5Gには、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という特性があることが知られています。これを通信キャリアによる一般向けのサービス(通称:キャリア5G)だけでなく諸産業にも活用していこうと、総務省は2020年12月18日にローカル5Gの周波数帯を拡張する制度を整備し、ミリ波だけではなくSub6の無線局の免許申請受付を開始しました。NECはこれを受け、いち早くSub6の無線局免許を取得しました。

通信キャリアがネットワークを構築するキャリア5Gは、全国的にあまねく利用でき、保守運用を通信キャリアに任せることができる一方、多数の人が利用する災害時やイベント開催などでは、ネットワークが混雑して通信に支障を来す可能性が考えられます。これに対し、ローカル5Gは自らネットワークを構築し保守運用をする必要がありますが、独占的に使用できるため自らに最適化した形で構築することができます。工場内の通信端末数が多い場合、キャリア5Gの容量をオーバーしてしまうといった制約が課されることもありません。
工場に適した「Sub6」
小倉: ローカル5Gの周波数帯には、4.6GHzといった6GHz以下の「Sub6」と、28GHzといった「ミリ波」に分けられます。ミリ波は通信容量が大きく速度が出せる半面、電波が届く範囲が狭く直進性が強いので障害物の影響を受けやすいといった弱点があります。一方、NECが免許を取得したSub6は電波が広域に届き、障害物の影響を受けにくいという特性を活かし、工場内のAGVなど移動体の制御通信に適しているといえます。
NECは、自社のローカル5G無線局を備えた「ローカル5Gラボ」や「DX Factory」での動作検証や実証実験などを通じてノウハウを蓄積するとともに、お客様との共創活動でローカル5G活用によるイノベーション創出に力を入れていきます。
ローカル5Gで実現するスマートファクトリー

渕上: スマートファクトリーを進化させ、ブレークスルーにつなげる大きな技術革新が5Gです。NECは、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をどのように加速できるかを検討しています。
これまでのところ、ニーズが大きいのはデジタル化の加速に伴う大容量の無線通信。例えば、従来は生産設備につけたセンサーで数値データを取得し現場の状況を把握するといったことが行われていますが、それでは把握内容に限界があります。
そこで、ドローンやAGVのカメラも使って様々な角度から画像や映像を撮影し、リアルに把握するといったニーズが出ています。
また、ARグラスによる遠隔からの作業員支援といったリモート化や、労働力不足に伴うロボットやAGVの適用範囲拡大による自働化ニーズも高まっています。
一方、従来の工場のネットワークは一瞬たりともストップすることが許されないため、超低遅延の有線で構築されるのが普通でした。これをローカル5Gで無線化できれば、生産ラインを柔軟に組み替えることができ、配線コストもカットすることが可能です。 こうしたローカル5Gの活用でスマートファクトリー化を加速し、製造業のDXが実現できます。
ものづくりローカル5Gのユースケース
渕上: 具体的なユースケースをご紹介します。 まずは、高精細な画像・映像を活用した検査自動化。従来は、検査ラインを録画し、何かトラブルがあった際に原因分析のために確認するといった方法が取られていました。ここにローカル5Gの超高速ネットワークを活用し、自動的にAIカメラが捉えた欠陥品をロボットが瞬時に弾き出すようにするというものです。
工場やプラントなど広域のエリアでは、映像データを無線通信のローカル5Gによって、高解像度の大容量画像を高速に送れるようになりました。これによって、ARグラスを活用した作業員支援では、遠隔からリアルタイムに適切な作業指示を行い、経験の浅い作業員でもハンズフリーで効率的に作業できるようになります。
AGV(無人搬送車)においては、従来はAGVにセンサーや制御装置を搭載し、自ら判断して決められたルートの上を走行していました。これを、制御機能をエッジ側に集中させてローカル5Gを通じてリモート操作することにより、生産ラインのニーズに対してどのAGVをどういったルートで走らせれば最も効率的かを瞬時に割り出してコントロールできます。
さらに、AGVを建屋間搬送など広範囲の屋外移動にも使えたり、高解像度カメラを搭載しての環境調査、アームロボットを搭載してのピッキングなどの作業、ライン設備やエレベータなどとの協調制御といったAGV運用の多様化が図れます。AGVから制御装置を外すことで低コスト化できるので、大量に活用できるようになるのです。
NECの取り組み
NECでは、2020年以降、NECプラットフォームズの甲府事業所からローカル5Gを順次導入し、自らものづくりのデジタライゼーションを推進しています。例えば、先述の遠隔からの作業指示や、完全自働化が困難な作業を人がロボットをリアルタイムで遠隔操作するといった実証実験を行っています。
NECは、玉川事業場内に「DX Factory共創スペース」「ローカル5Gラボ」、本社に「Future Creation Hub(ローカル5G設置)」を設けており、これからもお客様との共創活動に積極的に取り組んでまいります。
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