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JSR株式会社様


素材の特性評価における品質目視検査にAIを活用
対象業務の5割の省力化をねらう
- 業種:
-
- 製造・プロセス
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
-
- その他
- ソリューション・サービス:
-
- 共通業務/その他
事例の概要
課題背景
- 多品種化に伴って増大した目視検査業務の負担軽減を図りたい
- ITの専門家でなくとも活用できる画像認識の仕組みを実現したい
- AIによる生産性向上効果を幅広い製品に広げていきたい
成果
作業時間を大幅に削減
製品特性を左右する各種要因分類をAIで自動判別。担当者は難易度の高い判別作業に集中できるため、従来の作業時間が半減。品質検査の業務負荷を約5割削減できると見込まれている。
高度な専門知識は不要
わかりやすいユーザインターフェースを利用してノンプログラミングで画像解析が行えるため、ITの特別な専門知識を持たない現場の検査担当者でも容易に活用できる環境を実現できた。
他製品への展開も可能
今回構築したシステムとノウハウをほかの製品の検査作業にも適用することで、全社レベルでの生産性向上を推進。将来的には海外拠点へのグローバル展開も視野に入れている。
導入ソリューション

電子顕微鏡で撮影した製品画像の特徴をディープラーニングで自動的に学習。パラメータ設定などの作業に多くの時間と工数を費やすことなく、均質かつ高精度な画像認識が行える。これにより人の目視作業を大幅に軽減し、検査業務の省力化・効率化を進めることが可能になった。
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事例の詳細
導入前の背景や課題

製造技術第二センター長
楠本 士朗氏
目視検査業務の負担軽減が課題に
合成ゴムやエマルジョン、合成樹脂などの石油化学系事業に加え、半導体/ディスプレイ材料やライフサイエンスなどの事業も展開するJSR様。同社では、ある半導体材料の品質検査業務改革に着手しました。同社の楠本 士朗氏は、その背景を次のように話します。
「製造ロットごとの製品特性などを把握するために、当社では『要因分類作業』と呼ばれる検査を実施しています。この作業では電子顕微鏡で撮影した製品画像を担当者が目視でチェックしますが、製品の多品種化に伴って作業件数が次第に増加。作業時間自体も長くかかる検査であるため、担当者の業務負担軽減が大きな課題になっていました」
多品種化によって、製造技術第二センターで扱う製品だけで直近では毎月の検査数が約150件にも達していたといいます。しかし、所定の社内資格認定者の育成には数カ月を要するため、すぐに人手を増やすことも困難でした。
そこで着目したのが、最先端AIの活用です。同社の山本 健太郎氏は「現在当社では、『研究開発分野における生産性・開発効率の飛躍的向上』と『現場レベルでのボトムアップ』の2軸で、AIやIoTの活用といった、新しい技術の普及(民主化)を進めています。今回の品質検査業務についても、ディープラーニング技術による解決が図れるのではないかと考えました」と振り返ります。
選択のポイント

製造技術第二センター
試験チーム第一係
係長
大橋 伸規氏
熟練担当者と同等の高い認識精度を実現
この実現に向けて、同社ではAI Visual Inspectionを採用しました。その決め手について山本氏は「まず熟練担当者の目と同じくらいの高い認識精度が実現できるという点は大前提でしたが、これをクリアできたこと。“民主化”という観点で、AIの専門技術がなくても容易に利用できるツールであること。加えて、初期コストを抑えたリーンスタートアップが可能で、将来的に他業務にも拡張できるスケーラビリティを備えていることなどがポイントとなりました」と話します。
AI Visual Inspectionは、ディープラーニングによる高度な分類/検知/推論を可能にするNECの最先端AI技術「NEC the WISE」(注1)の1つである「RAPID機械学習技術」(注2)をベースとしており、対象となる製品画像の解析を高精度に、かつ素早く行えます。さらに、GUIベースのわかりやすい操作環境が提供されており、業務に必要な検査環境をパラメータ設定などを行わず、ノンプログラミングで実現することができます。「検査担当者は必ずしもITに精通しているわけではないので、現場での活用が容易なソリューションであることは高く評価しました」と楠本氏は話します。
導入に先立って実施されたPoC(概念実証)でも、AI Visual Inspectionの精度が十分に確認できたといいます。「NECにはクリーンルーム内の検査環境を実際に見てもらい、担当者の業務フローや実際に要因分類を行う上でのポイントなどを理解してもらいました。その上でPoCを実施したところ、人の目にかなり近いレベルの認識が行えることが判明。これなら実務に適用しても大丈夫との手応えが得られました」と同社の大橋 伸規氏は話します。続けて、楠本氏も「当社の要因分類作業は、一般的な目視検査よりも細かな分類を実施する必要があります。それでもきちんと人と同様の作業を再現できる点について驚きました」と話します。

導入後の成果

システム戦略部
部長
山本 健太郎氏
適用領域を拡大し生産性のさらなる向上を目指す
AI Visual Inspectionによる新しい検査環境は、2018年7月より稼働を開始。本格的な成果が表れるのはまだまだこれからが本番ですが、同社ではすでに数多くのメリットを見込んでいます。「従来は製品の顕微鏡画像を1枚ずつ人の目で確認していましたが、今後は画像撮影装置からのデータ読み込みや画像認識、分類までの作業がすべて自働化されます。この結果、検査担当者はAI Visual Inspectionで判定が困難な難易度の高い作業にのみ集中できるため、業務負担も大きく軽減できることと考えています」と大橋氏は説明します。
今回は特定の製品をターゲットに取り組みを始めましたが、今後はほかの製品の検査業務にも適用することで、部門全体の業務効率化を図っていく考えです。加えて、こうしてより多くの製品への展開が進めば、検査作業の5割の作業を削減できると試算されています。
検査の均質化にも期待が寄せられています。「人による検査だと、所定の資格があったとしても、どうしても検査基準にバラツキが生じます。その点、AIによる自動判定を取り入れることで、より客観的なデータ分析が実現できると考えています」と楠本氏は話します。
プロジェクトを支援したNECに対しても、高い評価が寄せられています。「認識精度を高める上では、人が見ている画像をそのまま使っても、あまりうまくいきません。分類する要因種別に応じて適切な前処理を実施することが重要です。今回はNECと当社の現場担当者や技術担当者が、こうした点を膝を詰めて何度となく話し合うことで、検査業務に必要な精度を短期間で出すことができました」と山本氏は話します。
さらに将来的には、今回の成果を検査技術の継承が困難な海外拠点も含めた全社レベルに広げていきたいとのこと。山本氏は「電子顕微鏡画像を利用する検査業務は、社内のほかの部門にも数多く存在します。今後はそうしたところでも、現場でのAI活用を促進するアイテムとして、AI Visual Inspectionを活用していきたいですね」と展望を述べました。

NEC担当スタッフの声

NEC
AIプラットフォーム事業部
マネージャー
矢田 徹

製造・装置業システム開発本部
鈴木 美帆
世界有数の画像認識技術で検査業務の課題を解消
ディープラーニングに関してはオープンソースのツールなども存在しますが、それを実用レベルにまで持っていくには高度な専門知識が不可欠であり、とても容易に使いこなせるものではありません。その点、今回JSR様にご導入いただいたAI Visual Inspectionであれば、高精度で安定した画像認識技術を手軽にご活用いただくことができます。本製品の中核技術である「RAPID機械学習」をはじめとして、世界トップクラスのAI技術や画像認識技術を数多く有していることが、この分野におけるNECの大きな強みだと考えています。
また、優れた製品を開発するだけでなく、お客様の課題解決をご支援する体制も整えています。今回も担当営業、SE、データサイエンティストなど、様々な部門のNECスタッフが密接に連携。実際の検査業務におけるポイントなどをお客様からヒアリングしながら、認識精度の向上やシステム構築に取り組みました。今回の仕組みは、お客様が主体となってほかの製品や拠点にも適用していける柔軟なつくりになっていますので、今後も多くの成果が生まれることと確信しています。我々としても、引き続きJSR様の取り組みをしっかり支援して参りたいと考えています。
- (注1)
「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称です。"The WISE"には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めています。 - (注2)RAPID機械学習技術:
ディープラーニング技術を搭載し、事前に手本となるデータを読み込むことで傾向を自動で学習するため、データの分類/検知/推薦などの高精度な判断が可能。また、NEC北米研究所の独自技術により、分析エンジンの高速化と軽量化の両立を実現。これにより、大規模なマシンリソースを必要とせずにサーバ1台から分析処理ができるため、幅広い業務や企業への適用が可能。
関連リンク
お客様プロフィール
JSR株式会社
所在地 | 東京都港区東新橋1-9-2 |
---|---|
設立 | 1957年12月10日 |
資本金 | 233億2000万円 |
従業員数 | 7055名(2017年9月末現在) |
事業概要 | 石油化学分野のエラストマー事業や合成樹脂事業をはじめ、電子材料やディスプレイ材料でもビジネスを展開。現在は中期経営計画「JSR20i9」のもと、ライフサイエンス事業や低燃費タイヤ用溶液重合SBR、半導体材料事業などを中心にさらなる収益拡大を目指している。 |
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(2018年7月10日)
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