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chemSHERPA V2R1に対応するNECの含有化学物質管理ソリューション

新バージョンchemSHERPA V2R1の概要と変わり続ける環境法規制への対策とは【2024.1.17】

カテゴリ:品質・環境・物流PLM/CAD設計・開発・技術

【目次】

製品に含有される化学物質情報をサプライチェーン全体で適正に管理すべく、経済産業省が主導して2015年10月に初版がリリースされたデータ作成支援ツール「chemSHERPA」。2024年9月に新バージョン「chemSHERPA V2R1」がリリースされる予定であり、製造業各社には対応が求められます。
NECでは、「chemSHERPA V2R1」に対応するソリューションをご用意し、皆さまの化学物質適正管理をご支援する準備を進めています。そこで、NECの相川悟志が、「chemSHERPA V2R1」の概要やNECのソリューションについてご説明します。

NEC 製造システム統括部 環境ソリューション担当 主任 相川悟志

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chemSHERPA V2R1の概要

chemSHERPA V2R1の背景と目的

電気・電子領域に関わる国際規格IECは5年ごとにメジャー改定を行なっており、今回の「chemSHERPA V2R1」(以下、V2R1)はその改定においてISO化に向けて検討を進めた最新版となります。自動車業界との連携を視野に入れて進めていましたが、国際標準に遅れもあって現在のV2バージョンの枠組みで2024年9月にリリースされることになりました。

V2R1の目的は、「つながる化学物質情報の実現と活用度利便性の向上」です。“つながる化学物質情報”とは何か。次の三つの側面があります。

一つ目は、多階層で、IEC62474/他スキームとつながるということ。現状のchemSHERPAの成分情報は最大3階層の中抜き階層ですが、V2R1は3階層以上の多階層でIEC62474※1/他スキームとつながる形になります。

二つ目は、全成分で自動車と電気電子の業界がつながること。自動車業界は現在、全成分の情報伝達を行う形ですが、現在のchemSHERPAはRoHS※2やREACH※3などの報告物質の回答を求める形になっています。そこで、V2R1側が全成分の情報伝達をできる形にし、自動車業界とつながるようにするということです。

三つ目は、CI→AI連携で化学品と成型品がつながること。川上の化学品メーカーがchemSHERPAで作成するのはCI(Chemical Information)データで、川下の成形品メーカーはCIデータを入手してAI(Article Information)データを作成します。このCIからAIへの連携が、これまでのchemSHERPAでは手入力でAIに転記する形にでしたが、V2R1ではデータ変換機能が追加され、化学品と成型品がつながります。

  • ※1
    IEC62474:電気電子機器製品に関する含有化学物質の情報伝達についての国際規格
  • ※2
    RoHS:EU域内の電気・電子機器における特定有害物質の使用制限
  • ※3
    REACH:EU域内の化学物質の登録や評価、認可、制限に関する法律

chemSHERPAのV2とV2R1の比較

V2R1で利便性が向上した点としては、まず管理対象候補物質の個社様式での伝達抑制が挙げられます。現在のchemSHERPAは管理対象物質や候補物質は伝達できないので、各企業は自社の書式で候補物質を集めるということが多く行われていました。それが、V2R1側も候補物質が集められるようになるので、極力個社様式を抑え、V2R1で候補物質も伝達していけるようになります。

次に、ツール更新時の手間の効率化です。現在のchemSHERPAは最新バージョンを入手する際には、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)のchemSHERPAのホームページにアクセスして最新バージョンをダウンロードしていますが、V2R1からはツールの自動更新機能が搭載される予定です。

chemSHERPAのV2と新しいV2R1の比較については、主に基本情報画面、AIおよびCIの成分情報画面、バージョン表記に表のような変更点がありますので、詳しくはJAMPのホームページを参照ください。

V2R1に向けて必要な対応(NEC見解)

次に、各企業はV2R1にどう対応しなければならないのか、NECの見解も含めてご説明します。
まず、書式変更への対応。スキーマ自体は現行と変わりませんが、書式自体が変わります。書式変更のためにV2を読み込んで、V2exの形式で出力する必要があります。現在、chemSHERPAを使っていない企業は個社書式の場合もありますが、そのような企業はchemSHERPAに切り替えることも必要になるでしょう。

次に、追加項目の入力。伝達事項や全成分情報、管理対象候補物質また成分情報においては番号も入力するという新しい情報の記入が必要になり、単に書式変更だけでは対応が不十分です。既存のV2の情報を元に、V2exの情報伝達が必要になります。

続いて全成分の入力/生成です。基本はサプライチェーンからの伝達となりますが、これまでの管理対象物質に加えてMISCを含んだ100%以上の全成分での情報入力も可能となります。

NECの含有化学物質管理ソリューション

ソリューションのコンセプト

続いて、NECのソリューションについてご紹介します。

ソリューションのコンセプトは、変わり続ける環境法規制への確実な対応と、お客様の負荷軽減のため業界標準の仕組み作りからソリューションの提供まで、我々NECのノウハウを集約してお客様にご提供するというものです。
変わり続ける環境法規制とは、まずは規制対象物質の増加。SVHC(高懸念物質)は半年に1回物質が増えています。次に、対象の法規制の拡大。SCIP※4や紛争鉱物など規制自体が増えています。そして、グローバルな標準化の動向です。

このような業界を取り巻く動向に対し、NECは業界のルールメイキングや自社での検証を行っています。例えば、JAMPのワーキンググループに参加し業界標準化に取り組んだり、chemSHERPAのV2R1および将来のV3の仕様検討にも参画しています。そしてNEC自体が製造業としてシステム導入にあたり自ら検証を行い、要件をまとめています。

こうした点を踏まえて、お客様へソリューションをご提供しています。具体的には、含有化学物質の管理、サプライヤーの調査、紛争鉱物の調査、そしてSCIPの登録/IMDS※5連携などを行えるソリューションがあり、chemSHERPAやIMDSに関しては標準に準拠・追従しています。各ソリューションは自社導入(オンプレミス)型とSaaS型が選べるようにしています。

  • ※4
    SCIP:欧州化学品庁(ECHA)のSVHC含有情報を登録するデータベース
  • ※5
    IMDS:自動車部品の素材データを登録するためのサプライチェーン向けデータベース

ソリューションの全体像と主な機能

NECでは、自社導入型としてObbligato、SaaS型はObbligato for SaaSおよびProChemist/AS、そしてProChemist/SCIPというソリューションをご提供しており、目的に応じてソリューションを選択でき、つなげることで効率化を図ります。

それぞれのソリューションの利用目的、主な機能、提供形態、おすすめの企業は次の表をご覧ください。

想定業務フローおよび対応機器

それぞれのソリューションで組み合わせを想定している業務フローは、次の図をご覧ください。

左に顧客/納入先、右に仕入れ先/サプライヤーがあります。
顧客から含有化学物質の調査依頼を受けて、Obbligatoで受付を行います。受付後に対象製品を検索し、製品配下の部品を抽出、その部品の調査依頼を仕入れ先に行うという流れです。
調査依頼方法としては、メール添付、ProChemist/AS経由で仕入れ先へメール送信、そして自動車関係ではIMDSでの調査依頼が可能です。
仕入れ先としては、chemSHERPAなどのツールを使って回答を作成し、メールで依頼があった場合にはその回答ファイルをメールに添付。ProChemist/ASから依頼が来た場合は、回答ファイルをProChemist/ASにアップロードします。IMDSの場合は、直接IMDSのサイトに含有情報を入力します。

回答データは、メール添付の場合は添付ファイルの回答を確認し、判定を行ってObbligatoに登録します。ProChemist/ASやIMDS系の場合はこの回答確認や判定登録が自動で行えますので、回答を登録する手間を軽減できます。

顧客への回答は、登録された部品を積み上げて製品集計を行い、RoHSやREACHが〇や×などの判定を行って返します。また、集計データをProChemist/SCIPを使ってデータを編集し、SCIPデータベースに登録することも可能です。

それぞれのソリューションが、V2R1のリリースでどのような機能強化がされるかというコンセプトについては、次の表をご覧ください。

サプライチェーンにおける情報伝達支援

それでは、このような機能を使ったサプライチェーンにおける情報伝達支援がどのような形になるかについて、お話します。

NECの機能を活用することで、chemSHERPAの情報伝達に加えて、ExcelからchemSHERPAデータを生成し、V2ex形式への切り替えや業務負荷を軽減する例です。
図の上がchemSHERPAのみで情報伝達した場合、下がNECのソリューションを利用した場合です。

まずchemSHERPAのみの情報生成。化学品メーカーがchemSHERPAのCIデータ作成の際、Excelしかない場合は、手入力でchemSHERPAを入力し、CIデータのV2exを作成します。このCIデータを基に素材メーカーがAIデータを作成する場合は、V2exでCIからAIへ容易に変換できます。

続いて素材メーカーから部品メーカーへ。部品メーカーも独自の情報を持っている場合は、手入力の加工が発生します。手入力でのAIデータを、今度は川下メーカーが集めることになります。川下メーカーは複合化をして、自社の成型品としてのAIを作成します。
AIデータを確認する場合は、chemSHERPAを都度開くことが必要になることもあるでしょう。その成形品のSCIPデータベースへの登録は、完全なる手入力です。IUCLID6※7のサイトを開いてDosseir※8の形式でファイルを作って登録するという流れになります。

次に、NECのソリューションを適用した場合です。化学品メーカーが手入力でchemSHERPAを作るところは、ExcelからchemSHERPAのデータを生成する機能を使うと、手入力の負荷を軽減してCIのV2exを作成できます。素材メーカーにそのままツールを使ってもらい、部品メーカーもExcelで加工情報を持っていれば、ExcelからchemSHERPAのデータを作成できるので、ここでも手入力を軽減できます。

また、NECのソリューションを使えば、川下メーカーが各部品メーカーのAIデータを集めてBOMとして複合化集計を行うことが可能となる上、部品メーカーからの確認もchemSHERPAを都度開かずビューア機能を使って行えます。
集計した成型品のAIを使ってSCIPデータベースに登録する際にはProChemist/SCIPを使ってDosseir形式に変換し、自動的にSCIPデータベースに登録することが可能です。

このように、今後のchemSHERPA V2R1への対応に向けて、各企業の運用はいろいろと変更になるかと思いますが、ソリューションを活用することで、V2ex形式への切り替えや業務負荷を軽減します。

NECは、含有化学物質管理ソリューションを通じて、chemSHERPA V2R1へのご対応また製造業のお客様の化学物質適正管理をご支援いたします。新しいchemSHERPAの改定内容に対応したい、調査回答・集計業務が煩雑で困っている、国別・業界別の法規制や帳票の改定が多く、システム改修が間に合わないなどのお悩みをお持ちの方は、ぜひ、ご相談ください。

  • ※7
    IUCLID6: 国際統一化学情報データベース
  • ※8
    Dosseir:欧州化学物質庁(ECHA)への提出書類

関連リンク

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