Japan
サイト内の現在位置
現場のPC-98資産を継承しつつスマートファクトリー化を実現!?
~“PC/FC-9800シリーズ対策ソリューション”で拓くスマートファクトリー化への第一歩(続編)~【2024.01.17】
カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造スマートファクトリー(IoT基盤/AI)
【目次】
2022年7月に「“PC/FC-9800シリーズ対策ソリューション”で拓くスマートファクトリー化への第一歩 ~老朽化による“事業継続リスク”解消へ~」という記事を掲載したところ、非常に多くの方にアクセス頂くとともに、「スマートファクトリー化はどのように進めればいいのか?」といった数々のご相談を頂きました。
そこで、前回の続編として、NECの原田祐介がお客様の生産現場のスマートファクトリー化へのアプローチについてお話しします。
NEC 第三製造ソリューション統括部 ソリューション営業グループ
プロフェッショナル 原田 祐介
【前回の記事】
PC-98からWindows PCへ
前回の記事では、現在も製造現場で多くのPC-98が生産設備や計測器のコントローラとして利用され、その老朽化リスクにさらされていることに対し、NECは「PC/FC-9800シリーズ エミュレータ」を開発した協力会社と連携し、全国の製造現場でPC-98をお使いのお客様にむけて、本ソリューションをご提供する体制を整えたことについてご紹介しました。
これによって、それまで設備の制御端末としてスタンドアローンで使われていたPC-98のハードウェアとソフトウェアを最新のWindows OS上で動作させることができるだけでなく、Windows PCのメリットでもあるネットワーク接続が可能となり、繋がる生産設備から*“5M1E”データを自動的に抽出・蓄積の上、生産データの見える化や分析に利活用でき、スマートファクトリー化への第一歩に繋がることをお話ししました。
- *5M1E=作業者(Man)、方法(Method)、材料(Material)、機械(Machine)、計測器の測定(Measurement)、環境(Environment)
また、これまでスタンドアローンで使われていたPC-98がWindows PCに置き換わる事で、Windows Proが標準機能として提供している「リモートデスクトップ」を利用できるようになります。「リモートデスクトップ」の機能を使うと、執務室にある手元のPC端末とネットワークで接続されたPC-98から置き換わったWindows PCのGUIやデスクトップ環境の操作が可能になるので、例えば、遠隔地やクリーンルーム内にある生産設備の所まで行かなくてもアラートチェックやパラメータ確認ができるようになります。また、RPA(Robotic Process Automation)と呼ばれるソフトウェアロボットを用いることで生産指示や集計・抽出処理などの業務も自働化できるようになります。これらWindows PCになった事で使える機能やソフトウェアをコストミニマムで活用する事もスマートファクトリー化の初歩と言えるでしょう。
“スマートファクトリー”が必要な背景
この記事にアクセス頂いた多くの製造業の方々から、「工場のスマートファクトリー化はどのように進めればいいのか」とのご相談をお寄せ頂き、その中でスマートファクトリー化に向けた現場の課題が見えてきました。そこで、今回は改めてスマートファクトリーの概要やアプローチ方法についてご紹介させて頂きます。
まず、改めて”スマートファクトリー化”が必要な背景についてです。製造業を取り巻く環境は、地政学リスク、天災やパンデミックの発生、カーボンニュートラルの要請、AIなど技術の進化といった様々な要因により複雑化・不確実化の一途にあります。こうした環境変化へリアルタイムに適応しデータに基づく意思決定をし、常に最適な生産活動が行える “変動対応力” “企業変革力”の強化・向上が求められています。“事実”であるデータに基づくものづくりの意思決定、つまり“データドリブン型のものづくり”これの実現が”スマートファクトリー化“の必要な背景であり、これを突き詰めることによってあらゆる変化に迅速・的確に適応できるようになるわけです。
“スマートファクトリー”の概要
では、“スマートファクトリー”とはどういうものか。次の図をご覧ください。
スマートファクトリーの定義は一般的に「最新のITやIoT技術を使い、製造プロセスを効率的かつ柔軟にするために設計された工場」と言われています。つまり、ITやIoTによって製造プロセスの自働化やデジタル技術の統合を行い、製造業務の見える化・分析・対処のサイクルをまわしていく事が重要であり、NECはお客様のパートナーとしてそれらを推進しスマートファクトリー化の実現へ向けご支援してまいりました。
スマートファクトリーの構成要素は、図のとおり「自働化(プロセス)」「自律改善」「リモート(遠隔操作・指示)」「つながる(監視・管理)」「自働化(組立)」「つながる(製品回収・再利用)」となります。これらの各要素を連携しスマートファクトリーとして機能させる重要なポイントとして、標準化・統一化された業務とシステムから産み出される“良質なデータ”があげられます。それら“良質なデータ“を整えることで、データという“事実”に基づく意思決定。つまり “データドリブン型ものづくり”が可能となるのです。
“良質なデータ”が不可欠
スマートファクトリー化を成功させ”データドリブン型ものづくり”を実現させるには、全社横断で標準化・統一化された業務とシステムから産み出される“良質なデータ”を獲得するために、“マインド”・“活用プロセス”・“仕組み”が重要となります。
“マインド”とは、データ利活用に対する姿勢で、いわば「“データドリブンの成功体験による小さな変革”を追求する精神」と言えます。
“活用プロセス”は、KPI管理をしつつデータを利活用し、具体的な業務を行う一連の流れ。
“仕組み”はデータを収集し利活用するためのシステムです。ここで重要なのは、いかに標準化・統一化された“良質なデータ”を取り出せる仕組みにするかということです。
標準化・統一化された業務とシステムから産み出される“良質なデータ”があるからこそ、粒度や切り口が揃ったデータが得られ、同じ軸でデータ分析が可能となり、改善やフィードバックも拠点ごとではなく全社に迅速に展開することが可能になります。つまり、取得、分析、対処のすべてのベースに業務やデータの標準化・統一化が不可欠になるということです。
NEC自身が実践してきた“スマートファクトリー”
NECは自身が製造業として、またITベンダーとして“スマートファクトリー”を自らが構築し、または実践する事で、新旧様々なデバイスの活用や最新のテクノロジーを組み合わせた、製造業として“使えるスマートファクトリー”のノウハウを蓄積してきました。これをもとに、お客様の“マインド”の醸成や“活用プロセス”の定着化、“仕組み”づくりを支援するサービスをご提供しています。スマートファクトリー化するには何から手を付けて良いのかお困りのお客様は是非ご相談ください。
PC-98の資産を継承しつつ “スマートファクトリー化”へ
このように、現場のPC-98資産をWindows PCへ継承し、そこからの"良質なデータ"を利活用できるようにすることが、スマートファクトリー化への第一歩となります。
PC-98がWindows PCに変わることでネットワーク接続が可能となり、繋がる生産設備から“5M1E”データを自動的に抽出・蓄積の上、生産データの見える化や分析に利活用でき、スマートファクトリー化への第一歩に繋がることを前述しました。また、最新のテクノロジーを使い、今まで取得する事の出来なかったデータの抽出や、自働化を可能にするテクノロジーを使うことで、“データドリブン型ものづくり”を支える“スマートファクトリー”に対する障壁も下がってきております。あらゆる工程で網羅的にIoT化を進め、標準化・統一化された業務とシステムから産み出される“良質なデータ”を収集・分析・活用できるようになれば、新旧の生産設備が共存したままでも“スマートファクトリー化”は可能です。
繰り返しになりますが、NECは製造業として、ITベンダーとして、このような“良質なデータ”を利活用してきた自負があります。加えて、NEC単独では成し得ない、あらゆる領域の標準化やスピードアップを果たすべく、スマートファクトリーに必要なソリューションやアセットを持つパートナー企業と連携し、2023年11月に「共創パートナープログラム/Manufacturing」を立ち上げました。このエコシステムを活用し、製造業のお客様にいち早く必要なソリューションをお届けし、お客様のスマートファクトリー化をご支援していきたいと考えております。まずはお気軽にご相談ください。
関連リンク
レガシーPCモダナイゼーションサービス
PC/FC-9800シリーズ対策ソリューション
PC/FC-9800シリーズ対策ソリューションは、既存の設備はそのままに、PC-98のハードウェアとソフトウェアをWindows 10上で動作(エミュレート)させることができるソリューションです。稼働中のPC-98用ソフトウェアを変更する必要がなく、Windows10上で動作させることができます。また、製造現場で利用されている設備機器も、そのままWindows 10の PC上で動作するシリアルポートや、PCI/PCI Expressボードにコネクタ変換してケーブル接続できる環境を提供します。
お問い合わせ