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三菱重工マリンマシナリ株式会社様

音声による作業の指示・報告でものづくりDXが加速
現場の生産性が向上し、漏れ・間違いによる品質低下リスクを防止

業種:
  • 製造・プロセス
業務:
  • 設計・開発・製造
製品:
  • ソフトウェア/情報管理
ソリューション・サービス:
  • IoT
  • 共通業務/その他

事例の概要

課題背景

  • 作業完了チェック(消込)のために作業の手を止めるため、作業が非効率に
  • 複数作業をまとめて消込するため、漏れや間違いのリスクにつながる

成果

製造現場の生産性が向上、漏れ・間違いによる品質低下リスクを防止

音声入力により手入力の消込作業が不要になり、生産性が大きく向上。加えて、漏れやミスによる品質の低下リスクの防止にもつながった

導入・運用が容易

既存システムを変更せずに導入が可能。指示データはEXCELで作成可能なので、現場主導による柔軟な運用も実現

データドリブンなものづくりの実現

熟練者の作業ログを分析・活用すれば、作業の均質化や生産性を向上できる。品質を左右する作業のボトルネック解消に向け、設計部門を巻き込んだものづくり改革も可能に

システム構成イメージ

タブレット活用によるデジタル化にとどまらず、「NEC 人作業ナビゲーション」により、製造現場の生産性の向上と、漏れやミスによる品質低下リスクの防止を実現。将来的には、熟練者の作業ログ分析による作業スキルや生産性向上、ボトルネック作業の設計部門へのフィードバックなどデータドリブンものづくりの実現を目指しています。

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事例の詳細

導入前の背景や課題

三菱重工マリンマシナリ株式会社
過給機事業部
製造課
課長
上河 義博 氏

工程ごとの非効率な消込作業が品質低下の大きなリスク要因に

三菱重工業100%出資の事業会社として、2013年10月に発足した三菱重工マリンマシナリ様。三菱重工グループの技術と知見を共有し、幅広い舶用関連製品を提供しています。

その主力製品が過給機です。これは舶用エンジンに高圧の空気を送り込み、機関出力を向上させる機械で、コンテナ船、自動車運搬船、石油タンカー、客船など大型船舶のエンジンに搭載されるため、過給機自体も全長1メートル未満から4メートル超のものまであります。

新しい技術を取り入れ、ものづくりDXに積極的に取り組んでいることも同社の特長の1つであり、その一環として、以前から力を入れているのが、現場の改善活動です。

10年前には、過給機の製造工程にタブレットを導入。紙で行っていた作業完了チェック(消込)をタブレット上で行うことで、ペーパーレス化を実現しました。

工程の中で漏れやミスがあると、品質の低下リスクにつながるため、消込はこうしたリスク防止に欠かせない作業です。「チェックシートはA4用紙25枚ほどあり、チェック項目は全部で数百項目。紙とペンでチェックする作業は大きな手間でしたが、タブレットで電子化することで、消込作業が簡素化されました」と同社で過給機事業部 製造課 課長の上河義博氏は語ります。

しかし、タブレットで電子化したとはいえ、消込の度に作業員は作業を止め、手工具や手袋を外し、タブレットに入力する必要がありました。

「一つずつ消込を行うと効率が悪いため、複数工程の消込をまとめて行うケースが散見されました。自分がやったつもりになって、終わっていない作業を消込してしまう。そういうリスクを解消する手立てを模索していました」と上河氏は振り返ります。

選択のポイント

三菱重工マリンマシナリ株式会社
過給機事業部
製造課
組立係
吉川 幸弥 氏

作業を中断せず、音声で答えるだけで作業完了の消込が可能

課題解決には作業員に負担をかけず、確実に作業完了をチェックできる仕組みが必要です。そのソリューションとして選定したのが、「NEC 人作業ナビゲーション」です。

「現場の作業員に最適なタイミングで必要な作業をナビゲーションし、作業完了の消込もハンズフリーの音声で行えます。作業員は次に何をすべきかが的確にわかり、消込のために作業を中断する必要もありません」と上河氏は決め手を話します。

容易に導入できることも重要なポイントでした。消込データは品質管理システムと検査支援システムに自動入力され、上長への報告も自動で行われます。消込データは作業検証やトレーサビリティに活用するため、データベースにも蓄積されます。また音声認識が難しい環境での作業もあるため、タブレットによる消込の仕組みも残しておく必要がありました。「『NEC 人作業ナビゲーション』はこの仕組みを変えることなく、既存システムにアドオンする形で併用が可能であり、容易に連携できます」(上河氏)

運用も現場で容易に行えます。「『NEC 人作業ナビゲーション』の指示データは使い慣れたEXCELで指示データを作成できるため、作業の追加や変更が発生しても、現場で柔軟に対応できます」と同社で過給機事業部 製造課 組立係の吉川幸弥氏は話します。

高精度な音声認識技術も高く評価しました。NEC独自の音声認識技術により、工場などの騒音下でも高い認識性能で発話を識別し、認識率のバラつきを補完する機能も充実しています。

「辞書機能」を使えば、業界の専門用語や決まったコードなどを辞書データとして登録可能。「話者学習アプリ」は個人の発話の癖を学習し、認識精度を高めていきます。「検証作業では長い数値や英語の羅列は認識率が上がらず、作業者の発話の癖によって認識にバラつきもありましたが、辞書機能や話者学習アプリ、復唱機能を活用し、NEC担当者がきめ細かにチューニングしてくれたおかげで、要件を満たす認識精度を実現できました」と上河氏は評価します。

導入後の成果

生産性が約10%向上。作業の均質化や設計の最適化にも期待

「NEC 人作業ナビゲーション」はチューニングや検証作業が終了し、2023年度中に実運用を開始します。まず過給機の組み立て工程に適用する予定です。

ヘッドセットを付けて持ち場につけば、「NEC 人作業ナビゲーション」が作業を指示します。一定時間後、確認の問い合わせがあるので、終わっていれば作業員は「はい」と返答するだけで作業完了のチェックが済みます。

当初は組み立て工程の作業者3人から運用を始めますが、今後は利用人員を30人程度に拡大させる見込みです。「少人数で始めて、順次利用を拡大していける。スモールスタートできる点も大きなメリットです」(上河氏)

実運用はこれからですが、検証では既に大きな成果を上げています。「消込のための移動や入力の手間が不要になるため、約10%生産性が向上できると見ています」と上河氏は語ります。

同社の生産はセル方式。個人の裁量で作業手順を工夫できるので、熟練者と経験の浅い作業者では生産性に差が生じるという課題がありますが、この課題解決に「NEC 人作業ナビゲーション」を活用することも考えています。「熟練者はどの作業を優先し、どういう手順で作業を進めるのか。それを分析しナビゲーション化すれば、作業の均質化や生産性向上が見込めます」と吉川氏は期待を寄せます。

ログデータを分析すれば、作業ごとの所要時間もわかるようになります。「ほかと比べて所要時間が長ければ、難易度が高かったり、やりにくいということ。それを設計にフィードバックすれば、作業がやりやすくなり、製品の品質向上にもつながるでしょう。データドリブンなものづくりが可能になります」と吉川氏は続けます。

同社はものづくりDXの一環として、今後もデジタルを活用した改善活動を推進していく予定です。例えば、品質がより厳しく求められる作業にモーションキャプチャを活用すれば、結果だけでなくプロセスも検証できます。作業ロボットによる自動化や現場の見える化も進めていく考えです。「NEC自身がものづくり企業であり、多様なものづくりDXソリューションを提供しています。DXにつながる価値ある提案とサポートには今後も期待しています」と上河氏は話します。

三菱重工マリンマシナリ様は舶用Technology Providerとして、今後も世界の期待に応える舶用製品を開発・提供し、さらなる成長を目指す構えです。

三菱重工マリンマシナリ様の皆様と担当者

NEC担当スタッフの声

NECソリューションイノベータ株式会社
エンタープライズ事業ライン
ソリューションビジネス事業部
プロフェッショナル
寺谷 秀仁

現場を知る強みを活かしものづくりDXを強力に支援

「NEC 人作業ナビゲーション」は、NECプラットフォームズ福島工場の生産現場の課題解決のために導入され、工場での運用とデータを活用した改善活動によって磨き上げられたソリューションであり、その本質は改善ツールです。

三菱重工マリンマシナリ様には、こうした実績と特性を高く評価していただきました。導入にあたっては、現場の課題や実現したいことをうかがったうえで、さまざまな工程で検証作業を実施。どの作業に適用すれば最も効果が上がるか検証していきました。

その過程では、システムの適用が難しい作業も判明しましたが、できる・できないを切り分け、できない場合はその理由も説明することで、互いの認識のギャップを埋めることができました。

NECは自身が工場を持つものづくり企業であり、生産現場の課題はよくわかっています。音声を活用する「NEC 人作業ナビゲーション」以外にも、製造現場の映像を活用する「NEC ものづくりDX映像AI分析ソリューション」、設備や人作業の見える化、作業の自働化、データドリブン型ものづくりを支援するデータ基盤「NEC Industrial IoT Platform」など豊富なソリューションを提供しており、地に足のついた提案が可能です。

これからも三菱重工マリンマシナリ様はもちろん、製造業のお客様の課題解決を支援し、ものづくりDXに貢献していきます。

お客様プロフィール

三菱重工マリンマシナリ株式会社

所在地 長崎県長崎市飽の浦町1番1号
創立 2013年10月
資本金 10億円(2023年4月1日現在)
従業員数 230名(2023年4月1日現在)
事業内容 過給機、舶用ボイラ、舶用タービン、舶用補機並びに舵取装置およびその関連装置の開発、設計、販売、アフターサービス業務並びにライセンス業務を担う(過給機は製造も含む)。三菱重工の140年以上の歴史に裏付けられた確かな信頼性と最先端の省エネ技術を活かし、近年は海運・造船分野のGHG(温室効果ガス)ゼロエミッション実現に力を注いでいる
URL new windowhttps://www.mhi.com/jp/group/mhimme/

三菱重工マリンマシナリ株式会社様

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(2023年12月20日)

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