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AWS活用事例NECグループで実現した6万人のテレワーク

常時6万人がアクセスするテレワーク環境
既存資産とAWSのハイブリッド活用でスケーラブルに実現

業種:
  • 情報サービス業
業務:
  • 設計・開発・製造
  • 経営企画
  • ICT管理・運用
  • 共通業務
  • その他業務
製品:
  • シンクライアント
  • ソフトウェア/コラボレーション
  • ネットワーク/LAN/WAN
ソリューション・サービス:
  • クラウド
  • ネットワーク/ネットワークサービス
  • 基盤技術/サーバ仮想化/デスクトップ仮想化

事例のポイント

課題背景

  • 働き方改革を実現するため、6万人規模の国内のグループ社員すべてが安心・安全に利用できるテレワーク環境を構築したい
  • 国際的イベントや災害などによって変動するテレワーク需要に柔軟に対応したい
  • 自宅や外出先であっても機密性の高い情報を扱う業務を行えるよう、十分なセキュリティ対策を取りたい

成果

6万人規模のテレワーク環境を実現

約6万人の社員が仮想デスクトップ環境にストレスを感じることなく、安心・安全にアクセスできる環境を提供。自宅や外出先から、オフィスにいるときと同じように基幹システムも含めた業務遂行が可能に

利用状況に応じたリソースを確保

仮想デスクトップ環境にアクセスするためのゲートウェイ機能をハイブリッド構成に。変動するテレワーク需要に対応するコンピュータリソースを必要なときに必要なだけクラウドで調達することで、柔軟な対応とコスト最適化を実現

ハイブリッドなセキュリティ対策

オンプレミスで実現していたセキュリティ対策に加え、クラウドで提供されるセキュリティ関連のサービスも活用することで、より効率的に安全な環境を実現

導入ソリューション

仮想デスクトップ環境としてNEC神奈川データセンターで提供している「NEC Cloud DaaS」を活用。利用者はマルチデバイスに対応したリモートデスクトップアプリ「ThinclST/Mobile」でセキュアにインターネット接続し「Amazon Route 53」「Elastic Load Balancing」を利用して振り分け、認証を行う。ゲートウェイと神奈川データセンター間はNECパブリッククラウド接続サービス(タイプM)を利用。

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事例の詳細

導入の背景や課題

NEC
経営システム本部 マネージャー
本泉 俊一

6万人規模の社員が安心・安全に利用できるシステムを再構築

NECでは、1993年から在宅勤務などの人事制度の導入を始め、2006年からはシンクライアントを中心にしたテレワーク環境を段階的に整備してきました。しかし、制度はあるものの、テレワークの利用は一部にとどまっている状況でした。
2017年、政府の少子高齢化社会を見据えた「働き方改革実行計画」が決定され、NECグループも働き方改革を推進させるため、テレワーク環境を再構築する横断的タスクフォースを立ち上げました。「2020年夏までに国内の全社員と協力会社等が利用できる6万人規模のテレワーク環境を整備すること」を目標に、グループを挙げたテレワークの実証実験を開始。まず3000人の社員が参加しての1日テレワークを実施したところ問題は発生せず、参加者からポジティブな反応を得ることができました。

しかし、2018年に2万人以上の社員が参加して2日間のテレワークを実施した際、大きな課題に直面しました。

「開始早々に多くの利用者がリモートアクセスできない事象が発生しました。ゲートウェイサーバにアクセスが集中し、想定以上の負荷がかかったためです。目標とする6万人規模の利用に耐えるテレワーク環境を構築するためには、システム構造の抜本的な見直しが必要となりました」と同社の本泉 俊一は振り返ります。

これまでのテレワーク環境は、「NEC神奈川データセンター」内にシンクライアントから利用する仮想デスクトップ(VDI)を置き、DaaS(Desktop as a Service)として利用しており、ゲートウェイもそこに設置されていました。しかし、2万人のテレワークの結果、ゲートウェイの拡張が必要と判断し、リソースを柔軟に確保でき、コスト面でもメリットがあるクラウドを活用する発想に転換しました。さらに、機密性の高い情報はオンプレミスに置き、負荷増大にはクラウドで対応するハイブリッド構成を採用しました。

そして2019年、4万人の社員がそれぞれ1週間のテレワークを実施した際、ハイブリッド構成のシステムは問題なく機能しました。

システム構築のポイント

NECソリューションイノベータ株式会社
グループITサービス事業部
シニアプロフェッショナル
宮地 啓輔

AWS活用の豊富な知見と開発実績

NECが採用したのは、柔軟にサーバのリソースを確保できる「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」でした。オンプレミスとクラウドのハイブリッド構成に適合する、負荷分散方式を採っています。まず、クライアント端末がオンプレミスとクラウドのどのゲートウェイサーバ群を利用するか「Amazon Route 53」の加重ルーティングポリシーを利用して振り分けを行います。さらに、クラウド内は「Elastic Load Balancing」を利用して、ゲートウェイサーバに振り分けを行います。

「大規模な利用者のアクセスを処理するためには、いかなる状況でも、システムダウンや遅延につながるボトルネックを解消しなければなりません。広い視野でシステムを捉え、柔軟に対処しながらシステムを構築しました」とNECソリューションイノベータの宮地 啓輔は語ります。

多くのクラウド・サービスからAWSを選んだ理由は、グローバルでのシェアが最も大きく、実績の多いサービスだからです。さらに、NECは国内でAWS認定の資格取得総数(注)が最も多く、「AWS パートナーネットワーク(APN)プレミアコンサルティングパートナー」と呼ばれる最上位のパートナーでもあります。

(注)2019年度単年度において、最上位のプロフェッショナル認定から、初学者向けのプラクティショナーまで、バランス良く認定者を育成、日本のAWSパートナーにおいて一番多くのAWS認定を取得。さらに、エンジニア数の一番多い層であるアソシエイト認定数の突出と、AWS認定のサービス開始以来、累積でのAWS認定取得者(エンジニアのみならず、セールス系の方々も含め)も、日本のパートナーで一番多く輩出
(出典:AWS Certification Award 2019 結果発表)

NECは、AWSを活用した豊富なシステム開発実績と幅広い知見やスキルを持つだけでなく、AWS社の手厚いサポートを受けることができます。このため、AWSのメリットをフル活用してお客さまから求められる理想的なシステムを、柔軟かつ確実に構築できます」と宮地は話します。

最終の実証実験として2020年2月に実施した、NECグループ一斉テレワークも無事完了し、当初目標としていた同年夏の国際的イベントに向けての準備が整いました。

導入後の成果と今後の取り組み

常時6万人の同時アクセスに対応、次世代のテレワーク構想にも着手

しかし、想定外の事態が起こります。世界中に蔓延した新型コロナウイルスの感染症対策のため、国内の社員のみならず、派遣社員や協力会社も対象にしたテレワークの早急な実施を迫られました。このため、オンプレミスとクラウド間のネットワークの増強に着手。1か月ほどで、契約帯域の増加やベストエフォート型から帯域保障型への切り替えを実施しました。

「常時、5万〜6万人の同時リモートアクセスに安定して対応できています。テレワーク・システムは業務の基本となるインフラであり、常に不具合なく使えることが求められるため、順調に稼働していることが成果と言えます。NECは、国内企業の中でもテレワークの実践をリードしているという自負があります。お客さまのテレワーク導入をサポートする際も、事務系を中心とする職場なら、ほとんどの企業の業務に対応できると考えています」と本泉は力説します。

また、NECは次世代のテレワーク環境の構想策定にも着手しています。例えば、テレワークでは、社員一人ひとりの健康状態や仕事ぶりに目配りしにくくなります。そこで、クラウドに蓄積したさまざまなデータを分析して各社員と業務の状況を「見える化」し、最大限のパフォーマンスを発揮できるマネージメント・システムが求められると考えています。

今後ますます、人の健康維持に価値を提供できるITが必要となります。NECは、ITの力を最大限に活用し、安全・安心に働ける環境を実現していきます。


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(2020年7月13日)

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